第一次世界大戦、あるいは帝国主義時代と第一次世界大戦に至る道のり、あるいは第一次世界大戦戦後処理と第二次世界大戦に通じる道！これらの事を話し合って行きましょう！！
第一次世界大戦前後の軍事史
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第一次世界大戦前後の軍事史2
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まずは、第一次世界大戦史の簡単な動画！！
【ゆっくり解説】第一次世界大戦の歴史がほぼわかる動画
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以下、ウィキより！！
戦争：第一次世界大戦
年月日：1914年7月28日 〜 1918年11月11日[1]
場所：主戦場はヨーロッパ。他東アジア、中東など。
結果：協商国側の勝利、ベルサイユ体制の成立。
交戦勢力
協商国
イギリス帝国
フランス共和国
ロシア帝国
セルビア王国
モンテネグロ
ベルギー
イタリア王国
ルーマニア王国
ポルトガル
ギリシャ王国
大日本帝国
中華民国
タイ王国
ヒジャーズ王国
アメリカ合衆国
同盟国
ドイツ帝国
オーストリア＝ハンガリー帝国
オスマン帝国
ブルガリア王国
指導者・指揮官
協商国
イギリス ジョージ5世
イギリス ハーバート・ヘンリー・アスキス
イギリス デビッド・ロイド・ジョージ
フランス レイモン・ポアンカレ
フランス ルネ・ヴィヴィアニ
フランス アリスティード・ブリアン
フランス アレクサンドル・リボ
フランス ポール・パンルヴェ
フランス ジョルジュ・クレマンソー
ロシア帝国 ニコライ2世
セルビア王国 ペータル1世
セルビア王国 ニコラ・パシッチ
Montenegro (1905–1918) ニコラ1世
Montenegro (1905–1918) ヤンコ・ヴコティッチ
ベルギー アルベール1世
ベルギー シャルル・ド・ブロクヴィル
イタリア王国 ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世
イタリア王国 アントニオ・サランドラ
イタリア王国 パオロ・ボセッリ
イタリア王国 ヴィットーリオ・エマヌエーレ・オルランド
ルーマニア王国 フェルディナンド1世
ルーマニア王国 イオン・ブラティアヌ
ルーマニア王国 アレクサンドル・アヴェレスク
ルーマニア王国 アレクサンドル・マルギロマン
ポルトガル ベルナルディノ・マシャド
ポルトガル シドニオ・パイス
ギリシャ エレフテリオス・ヴェニゼロス
大日本帝国 大正天皇
大日本帝国 大隈重信
大日本帝国 寺内正毅
大日本帝国 原敬
中華民国 段祺瑞
タイ王国 ラーマ6世
Hejaz 1917 フサイン・イブン・アリー
アメリカ合衆国 ウッドロウ・ウィルソン
同盟国
ドイツ ヴィルヘルム2世
ドイツ テオバルト・フォン・ベートマン・ホルヴェーク
ドイツ ゲオルク・ミヒャエリス
ドイツ ゲオルク・フォン・ヘルトリング
ドイツ エーリヒ・ルーデンドルフ
オーストリア＝ハンガリー帝国 フランツ・ヨーゼフ1世
オーストリア＝ハンガリー帝国 カール1世
オーストリア＝ハンガリー帝国 レオポルト・ベルヒトルト
オーストリア＝ハンガリー帝国 シュテファン・ブリアン
オーストリア＝ハンガリー帝国 オトカル・フォン・チェルニン
Ottoman Empire (1844–1922) メフメト5世
Ottoman Empire (1844–1922) メフメト6世
Ottoman Empire (1844–1922) エンヴェル・パシャ
Ottoman Empire (1844–1922) タラート・パシャ
Ottoman Empire (1844–1922) ジェマル・パシャ
ブルガリア フェルディナント
ブルガリア ヴァシル・ラドスラホフ
ブルガリア アレクサンドル・マリノフ
戦力
協商国
詳細は不詳。
同盟国
詳細は不詳。
損害
協商国側戦死者・犠牲者
イギリス90万8000人
フランス135万8000人
ロシア17万人
セルビア4万5000人
モンテネグロ3000人
ベルギー1万3800人
イタリア65万人
ルーマニア33万6000人
ポルトガル7200人
ギリシャ5000人
アメリカ11万7000人
日本300人
それ以上[2]
同盟国側戦死者・犠牲者
ドイツ177万4000人
オーストリア120万人
トルコ32万5000人
ブルガリア8万8000人
それ以上[3]
第一次世界大戦の主な戦線
バルカン戦線 西部戦線 東部戦線 ルーマニア戦線 イタリア戦線 マケドニア戦線 中東戦線 アジア・太平洋戦線 アフリカ戦線 海戦
第一次世界大戦史（年表）
以下は日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より！
1914年（大正3年） 6月28日 オーストリアの皇位継承者フランツ・フェルディナント夫妻、セルビアで組織された暗殺団に属するプリンチップによってサライエボで暗殺される（サライエボ事件）
1914年（大正3年） 7月28日 オーストリア・ハンガリー帝国（以下オーストリアと略記）、セルビアに宣戦布告
1914年（大正3年） 7月30日 ロシア、総動員令を発令
1914年（大正3年） 8月1日 ドイツ、ロシアに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月2日 ドイツ、ベルギーに対し領土通過を要求、ベルギーが拒否。ドイツ・オスマン帝国間に秘密同盟条約調印
1914年（大正3年） 8月3日 ドイツ軍、シュリーフェン・プランに従ってベルギーに進攻。ドイツ、フランスに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月4日 イギリス、ドイツのベルギー中立侵犯を理由としてドイツに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月5日 オーストリア、ロシアに宣戦布告。ドイツ軍、ベルギーのリエージュ要塞を攻撃
1914年（大正3年） 8月6日 セルビア、ドイツに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月7日 日本の参戦を決定する閣議で外相加藤高明の主戦論大勢を制する（〜8月8日）
1914年（大正3年） 8月10日 フランス、オーストリアに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月11日 イギリス、オーストリアに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月15日 日本、ドイツに、ドイツ軍艦の東アジア撤退と膠州湾のドイツ租借地の引き渡しを求める最後通牒を交付
1914年（大正3年） 8月23日 日本、ドイツに宣戦布告
1914年（大正3年） 8月26日〜8月31日 ドイツ軍、タンネンベルクの戦いでロシア軍を敗走させる
1914年（大正3年） 9月3日 フランス政府、パリからボルドーに移る
1914年（大正3年） 9月5日 イギリス・フランス・ロシア3国、ロンドン宣言を発表
1914年（大正3年） 9月6日 マルヌ川付近でフランス軍が反撃を開始し、マルヌの戦い始まる（〜9月12日）
1914年（大正3年） 9月11日 ドイツのフランス進攻軍右翼、エーヌ川の線まで後退を開始し、西部戦線の膠着化決定的となる
1914年（大正3年） 9月14日 ファルケンハイン、小モルトケにかわってドイツ陸軍参謀総長に就任
1914年（大正3年） 9月19日 イギリス軍、ドイツ領南西アフリカに上陸
1914年（大正3年） 10月14日 日本海軍、赤道以北のドイツ領南洋諸島を占領
1914年（大正3年） 10月29日 ドイツ巡洋戦艦に率いられたオスマン帝国海軍、ロシアのオデッサ（現、ウクライナのオデーサ）、セバストポリを砲撃
1914年（大正3年） 11月1日 ロシア、オスマン帝国に宣戦布告
1914年（大正3年） 11月3日 イギリスおよびフランス、オスマン帝国に宣戦布告
1914年（大正3年） 11月7日 日本軍、膠州湾岸の青島を占領
1914年（大正3年） 11月22日 イギリス軍、ペルシア湾岸のバスラを攻略
1914年（大正3年） 12月8日 イギリス・ドイツ海軍、アルゼンチン沖のフォークランド諸島付近で戦い、ドイツが大敗する
1915年（大正4年） 1月18日 日本政府、中国政府（大総統袁世凱政権）に「対華二十一か条要求」を提出
1915年（大正4年） 3月18日 イギリス・フランス艦隊、ダーダネルス海峡を猛砲撃
1915年（大正4年） 4月22日 イーペル（ベルギー）の戦い（〜5月25日）でドイツ軍史上初めて毒ガスを使用
1915年（大正4年） 4月25日 イギリス軍、ダーダネルス海峡のゲリボル半島に上陸
1915年（大正4年） 4月26日 ロンドン密約調印され、協商国（三国協商）側がイタリアに参戦の代償として南チロールなどを提供することを約束
1915年（大正4年） 5月3日 イタリア、三国同盟条約を破棄
1915年（大正4年） 5月7日 イギリス商船ルシタニア号、ドイツ潜水艦に撃沈され、128名のアメリカ人乗客死亡（ルシタニア号事件）。日本政府、「対華二十一か条要求」のうち「希望条項」としての7か条を削除した残りの要求の受諾を迫って、中国政府に最後通牒を交付
1915年（大正4年） 5月9日 中国政府、日本の最後通牒を受諾
1915年（大正4年） 5月23日 イタリア、オーストリアに宣戦布告
1915年（大正4年） 8月10日 外相加藤高明、元老山県有朋の圧力によって辞職。後任は駐仏大使石井菊次郎
1915年（大正4年） 8月17日 イギリス商船アラビック号、ドイツ潜水艦に撃沈され、2名のアメリカ人乗客死亡
1915年（大正4年） 9月5日 スイスのツィンメルワルトで国際社会主義者会議（〜9月8日）
1915年（大正4年） 9月18日 ドイツ政府、アメリカ政府の抗議を受けて潜水艦作戦の自制を決定（アラビック誓約）
1915年（大正4年） 10月12日 ブルガリア、同盟国側で参戦
1915年（大正4年） 10月19日 日本政府、イギリス・フランス・ロシア3国のロンドン宣言に加入
1915年（大正4年） 10月24日 イギリスのエジプト駐在高等弁務官マクマホン、アラブ王国の独立を約束した「マクマホン書簡」をメッカの知事フサインに渡す（フサイン‐マクマホン協定）
1916年（大正5年） 1月1日 ドイツでスパルタクス団結成。袁世凱、皇帝に即位
1916年（大正5年） 1月6日 イギリス議会で義務徴兵法成立
1916年（大正5年） 2月21日 ベルダンの戦い始まる（〜7月12日）
1916年（大正5年） 3月24日 フランス船サセックス号、英仏海峡でドイツ潜水艦に撃沈され、アメリカ人乗客負傷し、アメリカ・ドイツ両国の関係悪化する（サセックス号事件）
1916年（大正5年） 4月24日 スイスのキーンタールで国際社会主義者会議インターナショナル開催（〜4月30日）
1916年（大正5年） 5月4日 ドイツ政府、ふたたび潜水艦作戦の自制を約束し、アメリカ・ドイツ間の関係一時修復に向かう
1916年（大正5年） 5月16日 サイクス‐ピコ協定、最終的に成立
1916年（大正5年） 5月31日〜6月1日 ユトランド沖海戦。イギリス海軍は14隻11万トンを、ドイツ海軍は11隻6万トンを失うが、イギリスの制海権は不動
1916年（大正5年） 6月24日 ソンムの戦い始まる（〜11月18日）
1916年（大正5年） 7月3日 第4回日露協約成立
1916年（大正5年） 8月27日 ルーマニア、オーストリアに宣戦布告
1916年（大正5年） 8月28日 イタリア、ドイツに宣戦布告
1916年（大正5年） 8月29日 ヒンデンブルクがファルケンハインにかわってドイツ陸軍参謀総長に就任
1916年（大正5年） 9月15日 イギリス軍、ソンムの戦いに史上初めて戦車を投入
1916年（大正5年） 10月9日 寺内正毅内閣成立
1916年（大正5年） 10月21日 オーストリア首相シュトルク、社会主義者フリードリヒ・アドラーに暗殺される
1916年（大正5年） 11月7日 ウィルソン、アメリカ大統領に再選
1916年（大正5年） 11月21日 オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世死去し、カール1世即位
1916年（大正5年） 12月5日 ロイド・ジョージ、アスキスにかわってイギリス首相に就任
1916年（大正5年） 12月12日 ドイツ首相ベートマン・ホルウェーク、同盟国側の講話提案を発表
1917年（大正6年） 1月22日 ウィルソン、「勝利なき平和」を提案
1917年（大正6年） 2月1日 ドイツ海軍、無制限潜水艦戦開始
1917年（大正6年） 2月3日 アメリカ、ドイツとの国交断絶
1917年（大正6年） 2月26日 アメリカ商船ラコニア号、ドイツ潜水艦に撃沈される
1917年（大正6年） 3月12日 ペトログラードで労働者兵士ソビエト結成される
1917年（大正6年） 3月15日 リボフを首相とするロシア臨時政府成立。ロシア皇帝ニコライ2世退位し、ロマノフ王朝滅亡（三月革命。ロシア暦では二月革命）
1917年（大正6年） 4月6日 アメリカ下院、対独宣戦を可決。アメリカ、ドイツに宣戦布告
1917年（大正6年） 4月16日 レーニン、「封印列車」で亡命先のチューリヒから帰国
1917年（大正6年） 4月17日 レーニン、「四月テーゼ」を発表
1917年（大正6年） 4月26日 ロイド・ジョージ、イギリス海軍に商船の護送（コンボイ）実施を命令
1917年（大正6年） 5月10日 ジブラルタルからイギリス本土向けの初めての護送船団出発
1917年（大正6年） 6月27日 ギリシア、同盟国側に宣戦布告
1917年（大正6年） 7月19日 ドイツ国会、平和決議案を可決
1917年（大正6年） 8月14日 中国、ドイツとオーストリアに宣戦布告
1917年（大正6年） 9月5日 スイスのツィンメルワルトで国際社会主義者会議ふたたび開催される（〜9月12日）
1917年（大正6年） 11月2日 バルフォア宣言。石井‐ランシング協定成立
1917年（大正6年） 11月7日 ロシアのペトログラードでボリシェビキの軍事蜂起成功（十一月革命。ロシア暦では十月革命）
1917年（大正6年） 11月8日 レーニン、「平和に関する布告」を発表
1917年（大正6年） 11月16日 クレマンソー、フランス首相に就任。親ドイツ派への弾圧を開始
1917年（大正6年） 11月26日 ソビエト政権、全ロシア軍に停戦を命令
1917年（大正6年） 12月22日 ブレスト・リトフスクで、ロシアと同盟国側との講和交渉開始
1918年（大正7年） 1月8日 ウィルソン、「十四か条」を発表
1918年（大正7年） 1月28日 フィンランドにロシアからの分離を求める内乱起こる
1918年（大正7年） 2月10日 ブレスト・リトフスクでの講和交渉中断され、ソビエト代表トロツキーは戦争状態終結のみを宣言して引き揚げる
1918年（大正7年） 2月18日 ドイツ軍、ロシアへの攻撃を再開
1918年（大正7年） 2月23日 ボリシェビキ党中央委員会、ドイツの新しい講和条件の受諾を正式に決定
1918年（大正7年） 3月3日 ソビエト政府、ドイツ側とブレスト・リトフスクで講和条約（ブレスト・リトフスク条約）に調印
1918年（大正7年） 3月21日 ドイツ軍、「ミヒャエル作戦」によってイギリス軍に対し大攻勢を開始。第二回目のソンムの戦い始まる（〜4月5日）
1918年（大正7年） 4月14日 フォッシュ、連合軍最高司令官に就任
1918年（大正7年） 5月7日 ルーマニア、同盟国側に降伏し、ブカレスト講和条約に調印
1918年（大正7年） 5月26日 ロシア軍の捕虜になっていたチェコ軍団、チェリャビンスクでソビエト政府に反乱を起こす
1918年（大正7年） 7月15日 マルヌ川方面でドイツ軍大攻勢（第二回目のマルヌの戦い）
1918年（大正7年） 7月18日 英仏の連合軍、フォッシュの作戦に従って反撃開始
1918年（大正7年） 8月2日 日本政府、シベリア出兵を宣言。英仏軍、アルハンゲリスクに上陸し、対ソ干渉戦争本格化
1918年（大正7年） 8月3日 イギリス軍、ウラジオストクに上陸
1918年（大正7年） 8月19日 アメリカ軍、ウラジオストクに上陸
1918年（大正7年） 9月12日 パーシングの率いるアメリカ第一軍、ベルダン付近で初めて単独で戦い、ドイツ軍に大勝
1918年（大正7年） 9月15日 バルカン半島での連合軍の大攻勢始まる
1918年（大正7年） 9月29日 ブルガリア降伏し、サロニカで休戦条約に調印
1918年（大正7年） 10月3日 ヘアトリングにかわり、マックス・フォン・バーデンがドイツ首相に就任し、「十四か条」に基づく休戦を求める覚書をウィルソンに送る
1918年（大正7年） 10月8日 ウィルソンのドイツ政府への回答、ドイツ軍の連合国領土からの撤退を求める
1918年（大正7年） 10月12日 ドイツ政府、ウィルソンの要求を受諾
1918年（大正7年） 10月26日 参謀次長ルーデンドルフ罷免
1918年（大正7年） 10月30日 オスマン帝国、レムノス島沖のイギリス巡洋艦上で休戦条約に調印
1918年（大正7年） 11月3日 ドイツのキール軍港で水兵の反乱起こる。オーストリア、休戦条約に調印
1918年（大正7年） 11月9日 マックス・フォン・バーデンがドイツ皇帝ウィルヘルム2世の退位を宣言、エーベルトに政権を委譲
1918年（大正7年） 11月10日 ウィルヘルム2世、オランダへ亡命
1918年（大正7年） 11月12日 ドイツ代表エルツベルガー、コンピエーニュの森で休戦条約に調印し、第一次世界大戦終わる。オーストリア皇帝カール1世退位
1919年（大正8年） 1月18日 パリ講和会議始まる
1919年（大正8年） 6月28日 ドイツ、ベルサイユ条約に調印
1919年（大正8年） 9月10日 オーストリア、サン・ジェルマン条約に調印
1919年（大正8年） 11月27日 ブルガリア、ヌイイ条約に調印
1920年（大正9年） 1月10日 国際連盟発足
1920年（大正9年） 6月4日 ハンガリー、トリアノン条約に調印
1920年（大正9年） 8月10日 オスマン帝国、セーブル条約に調印（1923年のローザンヌ条約で、セーブル条約は廃棄）
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コメント(71)
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃59】
それまで守備隊と群衆側の戦闘は、あまりにも力量の差がありすぎて、戦闘というよりは虐殺に近く、群衆側の死傷者が増え続けていました。ただでさえ攻める側が不利となる攻囲戦で、しかも訓練を受けた兵士と素人の能力差もあいまって、烏合の衆に過ぎない群衆側が一方的に不利であった訳です。ところがフランス衛兵隊が駆け付けたことにより戦闘の様相が一変します。というのも戦闘を指揮できる指揮官が加わったからです。
一人はピエール・ユラン。シャンパーニュ歩兵連隊やスイス人衛兵隊で下士官の経験がありました。この頃には既に退役していたものの、ユランはバスティーユ襲撃を知るとフランス衛兵隊に決起を促し、彼らを引き連れてやって来たのでした。もう一人は、王妃付歩兵部隊の旗手を務めていたエリー少尉で、彼は珍しい兵卒出身の叩き上げ将校でした。エリー少尉は実戦経験のある市民、――米国独立戦争の志願兵や退役兵など――、や国王軍を無断離脱してきた兵士なども引き連れてバスティーユへとやってきたのです。7月14日(火)午後3時半過ぎ、彼らの参加によって統率のとれていない烏合の衆に過ぎなかった群衆側は、ここに組織的な攻撃を開始することになります。
【バスティーユ襲撃59】
それまで守備隊と群衆側の戦闘は、あまりにも力量の差がありすぎて、戦闘というよりは虐殺に近く、群衆側の死傷者が増え続けていました。ただでさえ攻める側が不利となる攻囲戦で、しかも訓練を受けた兵士と素人の能力差もあいまって、烏合の衆に過ぎない群衆側が一方的に不利であった訳です。ところがフランス衛兵隊が駆け付けたことにより戦闘の様相が一変します。というのも戦闘を指揮できる指揮官が加わったからです。
一人はピエール・ユラン。シャンパーニュ歩兵連隊やスイス人衛兵隊で下士官の経験がありました。この頃には既に退役していたものの、ユランはバスティーユ襲撃を知るとフランス衛兵隊に決起を促し、彼らを引き連れてやって来たのでした。もう一人は、王妃付歩兵部隊の旗手を務めていたエリー少尉で、彼は珍しい兵卒出身の叩き上げ将校でした。エリー少尉は実戦経験のある市民、――米国独立戦争の志願兵や退役兵など――、や国王軍を無断離脱してきた兵士なども引き連れてバスティーユへとやってきたのです。7月14日(火)午後3時半過ぎ、彼らの参加によって統率のとれていない烏合の衆に過ぎなかった群衆側は、ここに組織的な攻撃を開始することになります。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃60】
午後3時半頃、フランス衛兵隊の部隊、元兵士、退役兵などが到着したとき、戦闘は膠着状態に陥っていました。そこで彼らは切り札の大砲を使用することにするのですが、砲撃は城壁ではなく門扉を狙うこととします。分厚い城壁への砲撃に意味がないと思われたからです。そして砲撃のためには燃え盛る汚物と藁をつんだ荷車を門前の前の路上から移動させねばなりませんでした。
この荷車はバスティーユからの射撃を防ぐための煙幕とするために勇敢な民間人が命がけで運び火を放ったものでした。これにより確かに視界不良となってバスティーユからの射撃が弱まったのですが、攻撃をしようとした場合、群衆側にとっても視界不良の原因となりました。そして、この三台の荷車撤去という敵前における危険な任務をエリー少尉らが果たす間に、砲弾が装填されて照準が合わされます。
いっぽう、もし門扉が打ち破られて、中庭に群衆がなだれ込んできたならば、要塞司令官ド・ローネー候は、その群衆に向けて、――中庭に据え入口に照準を合わせている大砲3門の――、砲撃を命じざるを得なくなる。攻撃側の群衆には中庭の防備が見えていなかったのだから、大量殺戮となってしまうに違いない。ローネー候は悩みます。
【バスティーユ襲撃60】
午後3時半頃、フランス衛兵隊の部隊、元兵士、退役兵などが到着したとき、戦闘は膠着状態に陥っていました。そこで彼らは切り札の大砲を使用することにするのですが、砲撃は城壁ではなく門扉を狙うこととします。分厚い城壁への砲撃に意味がないと思われたからです。そして砲撃のためには燃え盛る汚物と藁をつんだ荷車を門前の前の路上から移動させねばなりませんでした。
この荷車はバスティーユからの射撃を防ぐための煙幕とするために勇敢な民間人が命がけで運び火を放ったものでした。これにより確かに視界不良となってバスティーユからの射撃が弱まったのですが、攻撃をしようとした場合、群衆側にとっても視界不良の原因となりました。そして、この三台の荷車撤去という敵前における危険な任務をエリー少尉らが果たす間に、砲弾が装填されて照準が合わされます。
いっぽう、もし門扉が打ち破られて、中庭に群衆がなだれ込んできたならば、要塞司令官ド・ローネー候は、その群衆に向けて、――中庭に据え入口に照準を合わせている大砲3門の――、砲撃を命じざるを得なくなる。攻撃側の群衆には中庭の防備が見えていなかったのだから、大量殺戮となってしまうに違いない。ローネー候は悩みます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃61】
長引く戦闘に見る見るうちに落ちていく守備隊の士気。損失の程度にも関わらず攻撃側が諦めなかったことに、要塞司令官ド・ローネー候自身の士気も衰えていました。いずれにせよ、籠城戦を続けようとしても、そもそも1両日分の食糧だけで備蓄はない。
シャン・ド・マルスにいるハズの国王軍の状況は不明でしたが、群衆が武器を豊富に持っていることから考えるに廃兵院が襲撃されたに違いなく、国王軍はこれを阻止できなかった、あるいは国王軍が既にパリ近郊からも撤退したと考えた方が無難でした。現に、数時間も群衆に攻め立てられているバスティーユの孤立した状況がそれを証明していたからです。
そこで取りうる選択肢は、降伏しかない訳ですが、自分自身や守備隊が晒されている危険な立場というものをローネ―候自身がよく理解していました。怒れる群衆の前に無防備な身を晒すことほど危険なことはないからです。そのためローネ―候の関心は、守備隊はもちろんのこと自身の名誉と生命を保持することを条件とした開城・降伏交渉に向けられます。
【バスティーユ襲撃61】
長引く戦闘に見る見るうちに落ちていく守備隊の士気。損失の程度にも関わらず攻撃側が諦めなかったことに、要塞司令官ド・ローネー候自身の士気も衰えていました。いずれにせよ、籠城戦を続けようとしても、そもそも1両日分の食糧だけで備蓄はない。
シャン・ド・マルスにいるハズの国王軍の状況は不明でしたが、群衆が武器を豊富に持っていることから考えるに廃兵院が襲撃されたに違いなく、国王軍はこれを阻止できなかった、あるいは国王軍が既にパリ近郊からも撤退したと考えた方が無難でした。現に、数時間も群衆に攻め立てられているバスティーユの孤立した状況がそれを証明していたからです。
そこで取りうる選択肢は、降伏しかない訳ですが、自分自身や守備隊が晒されている危険な立場というものをローネ―候自身がよく理解していました。怒れる群衆の前に無防備な身を晒すことほど危険なことはないからです。そのためローネ―候の関心は、守備隊はもちろんのこと自身の名誉と生命を保持することを条件とした開城・降伏交渉に向けられます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃62】
守備隊の士気の低下を見た要塞司令官ド・ローネー候はバスティーユに保管してあるありったけの火薬を爆発させ ――隣接するサン＝タントワーヌ場末町の大半を吹き飛ばすことで―― 捕虜になる恥辱を避けようと試み既に失敗に終わっていました。その絶望的なアイデアの実行を下士官によって阻止されたからです。フランス衛兵隊らが砲列をしいて何発かの射撃をしたとき、守備隊は完全に戦闘意欲を失いました。そこでローネー候は名誉ある降伏を保証するための「取引条件」を思いつきます。
白旗がなかったために、白のハンカチが主門の跳ね橋のある塔の一つに掲げられ、バスティーユからの銃撃が停止しました。そして跳ね橋の壁の隙間から差し出されたメモを見た群衆が叫びます。「誰かあれを取ってこい！」。メモをとるため堀の上に板が渡され、何人かの男が片側に立って板を固定して、その上を勇敢な男が歩き始めたけれども、誤って堀に落ちました。二番目の男が危険な板渡りを試みてメモを回収した彼は声を張り上げそれを読み上げます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『守備隊の生命を保証するという条件において、我々は降伏の用意がある。もしこれが認められなければ、城内にある二万個の火薬を使って、守備隊もろとも付近全部を吹き飛ばすであろう。バスティーユより。1789年7月14日午後5時。ローネ―。』
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【バスティーユ襲撃62】
守備隊の士気の低下を見た要塞司令官ド・ローネー候はバスティーユに保管してあるありったけの火薬を爆発させ ――隣接するサン＝タントワーヌ場末町の大半を吹き飛ばすことで―― 捕虜になる恥辱を避けようと試み既に失敗に終わっていました。その絶望的なアイデアの実行を下士官によって阻止されたからです。フランス衛兵隊らが砲列をしいて何発かの射撃をしたとき、守備隊は完全に戦闘意欲を失いました。そこでローネー候は名誉ある降伏を保証するための「取引条件」を思いつきます。
白旗がなかったために、白のハンカチが主門の跳ね橋のある塔の一つに掲げられ、バスティーユからの銃撃が停止しました。そして跳ね橋の壁の隙間から差し出されたメモを見た群衆が叫びます。「誰かあれを取ってこい！」。メモをとるため堀の上に板が渡され、何人かの男が片側に立って板を固定して、その上を勇敢な男が歩き始めたけれども、誤って堀に落ちました。二番目の男が危険な板渡りを試みてメモを回収した彼は声を張り上げそれを読み上げます。
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『守備隊の生命を保証するという条件において、我々は降伏の用意がある。もしこれが認められなければ、城内にある二万個の火薬を使って、守備隊もろとも付近全部を吹き飛ばすであろう。バスティーユより。1789年7月14日午後5時。ローネ―。』
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◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃63】
メモが読み上げられると群衆は「そんな降伏が認められるか！」「やっつけてしまえ！」など口々に叫びます。メモは指揮官であるユランへと渡されましたが、既に多大な犠牲者を出している群衆はバスティーユの降伏を絶対に承服しない。衰えを知らない群衆の怒りに応えユランが攻撃続行を命じ、大砲の発射準備をしている ――バスティーユからはそう見えた―― とき、主門跳ね橋が突然落ちます。これはバスティーユの無条件降伏を意味していましたが、群衆の多くがそう理解した訳ではありません。後方で何が起きたか分からなかった群衆側は発砲を続けており、悲惨な同士討ちも起きました。
突入を果たした群衆は、すぐさま守備隊から武器・弾薬を奪い、また七名の囚人を救出。戦いの結果、群衆側の死者は98名、負傷者73名。守備隊の死者は1名、負傷者3名。この非対称、不均衡によって群衆側は守備隊に対する報復を要求していました。そして憎悪は要塞司令官ド・ローネー候に集中します。ローネー候もまたフランス衛兵に捕まり剣と杖を奪われたけれども、彼の回りは「殺せ」の声で溢れていました。危険を察知したユランとエリー少尉が何とかローネ―候以下捕虜の身の安全を保証して、市役所まで彼を連行しようとします。
その道中 ――バスティーユ攻囲戦に参加しなかった―― 群衆によって絶えず罵倒され、唾を吐きかけられ、叩かれ、傷つけられるローネー候を守るのにユランとエリー少尉は必死でした。何度となく彼の身柄を群衆に奪われそうになるも、そのたびにこれを取り返して、ユランはやっとの思いで市役所前グレーヴ広場にたどり着きます。
【バスティーユ襲撃63】
メモが読み上げられると群衆は「そんな降伏が認められるか！」「やっつけてしまえ！」など口々に叫びます。メモは指揮官であるユランへと渡されましたが、既に多大な犠牲者を出している群衆はバスティーユの降伏を絶対に承服しない。衰えを知らない群衆の怒りに応えユランが攻撃続行を命じ、大砲の発射準備をしている ――バスティーユからはそう見えた―― とき、主門跳ね橋が突然落ちます。これはバスティーユの無条件降伏を意味していましたが、群衆の多くがそう理解した訳ではありません。後方で何が起きたか分からなかった群衆側は発砲を続けており、悲惨な同士討ちも起きました。
突入を果たした群衆は、すぐさま守備隊から武器・弾薬を奪い、また七名の囚人を救出。戦いの結果、群衆側の死者は98名、負傷者73名。守備隊の死者は1名、負傷者3名。この非対称、不均衡によって群衆側は守備隊に対する報復を要求していました。そして憎悪は要塞司令官ド・ローネー候に集中します。ローネー候もまたフランス衛兵に捕まり剣と杖を奪われたけれども、彼の回りは「殺せ」の声で溢れていました。危険を察知したユランとエリー少尉が何とかローネ―候以下捕虜の身の安全を保証して、市役所まで彼を連行しようとします。
その道中 ――バスティーユ攻囲戦に参加しなかった―― 群衆によって絶えず罵倒され、唾を吐きかけられ、叩かれ、傷つけられるローネー候を守るのにユランとエリー少尉は必死でした。何度となく彼の身柄を群衆に奪われそうになるも、そのたびにこれを取り返して、ユランはやっとの思いで市役所前グレーヴ広場にたどり着きます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃64】
グレーヴ広場では群衆がローネー候をいかに処刑すべきかの方法を巡って論争が起きていました。そこにユランに守られたローネー候が到着するや否や群衆が殺到。ユランは押し寄せる群衆を押し返そうとするも多勢に無勢。群衆にもみくちゃにされ、引きずられ、うち叩かれる、――それまでも道中で散々な目にあった――、ローネー候が「もう殺せ！殺してくれ！」と悲痛な叫び声を上げます。誰かが有無を言わさず短剣でローネー候の腹を刺すと、周囲にいた者もこれに倣って彼をめった刺しにして、力なく崩れ去ったところを拳銃の集中射撃を浴びて絶命します。そして誰かが叫びます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『この男の首を公衆に見せることを要求する！』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
群衆はたちまち彼の首を切り落として、これを槍の先に突き刺しました。そしてその生首を高く掲げた集団は、意気揚々と行進をはじめます。他方で、ほかの捕虜たちの運命もまた同様のものとなります。とりわけ群衆に発砲を命じたと「おぼしき」将校3名は虐殺されて、最初に発砲したと「疑われた」退役兵（傷痍軍人）の2名はグレーヴ広場の街灯に吊るされます。
【バスティーユ襲撃64】
グレーヴ広場では群衆がローネー候をいかに処刑すべきかの方法を巡って論争が起きていました。そこにユランに守られたローネー候が到着するや否や群衆が殺到。ユランは押し寄せる群衆を押し返そうとするも多勢に無勢。群衆にもみくちゃにされ、引きずられ、うち叩かれる、――それまでも道中で散々な目にあった――、ローネー候が「もう殺せ！殺してくれ！」と悲痛な叫び声を上げます。誰かが有無を言わさず短剣でローネー候の腹を刺すと、周囲にいた者もこれに倣って彼をめった刺しにして、力なく崩れ去ったところを拳銃の集中射撃を浴びて絶命します。そして誰かが叫びます。
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『この男の首を公衆に見せることを要求する！』
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群衆はたちまち彼の首を切り落として、これを槍の先に突き刺しました。そしてその生首を高く掲げた集団は、意気揚々と行進をはじめます。他方で、ほかの捕虜たちの運命もまた同様のものとなります。とりわけ群衆に発砲を命じたと「おぼしき」将校3名は虐殺されて、最初に発砲したと「疑われた」退役兵（傷痍軍人）の2名はグレーヴ広場の街灯に吊るされます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃65】
勝利の証としての懲罰の量に群衆はまだ満足しません。激高した群衆の次の標的は、パリ市長フレッセルでした。各地区の代表が相次いで市役所へと駆けつけ、フレッセルに向かって「裏切り者」という言葉を浴びせていたのです。彼は武器・弾薬について意図的に民衆に虚偽を伝え、誤導したと糾弾されていました。選挙人の一部は、自分たちに災いが降りかかることを恐れフレッセルを非難する側に回りましたが、他の選挙人、特にフォーシェ司教は彼を死から救おうと必死でした。
フレッセルは訪問してくる殺気立つ人々を相手に努めて丁寧に対応していましたが、パレ・ロワイヤルから来た者が最も攻撃的でした。執拗にフレッセルを告発しようとするパレ・ロワイヤルからの来訪者は、拳銃をチラつかせて脅していました。てな訳でフレッセルは、最後には彼らの要求を受け入れます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『よろしい、皆さん、パレ・ロワイヤルへ行きましょう』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
自身にかけられた疑いの弁明にパレ・ロワイヤルへ赴くことに同意したフレッセルは、しかし目的地にたどり着くことはありませんでした。というのも市役所を出てきたところを拳銃で撃たれ、彼の首もまた怒れる群衆によって切り落とされてしまうからです。そして彼の首は、乱舞して凱歌をあげる群衆の手によって、ローネ―候の首と並んで高く掲げられ市内を行進することになります。
【バスティーユ襲撃65】
勝利の証としての懲罰の量に群衆はまだ満足しません。激高した群衆の次の標的は、パリ市長フレッセルでした。各地区の代表が相次いで市役所へと駆けつけ、フレッセルに向かって「裏切り者」という言葉を浴びせていたのです。彼は武器・弾薬について意図的に民衆に虚偽を伝え、誤導したと糾弾されていました。選挙人の一部は、自分たちに災いが降りかかることを恐れフレッセルを非難する側に回りましたが、他の選挙人、特にフォーシェ司教は彼を死から救おうと必死でした。
フレッセルは訪問してくる殺気立つ人々を相手に努めて丁寧に対応していましたが、パレ・ロワイヤルから来た者が最も攻撃的でした。執拗にフレッセルを告発しようとするパレ・ロワイヤルからの来訪者は、拳銃をチラつかせて脅していました。てな訳でフレッセルは、最後には彼らの要求を受け入れます。
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『よろしい、皆さん、パレ・ロワイヤルへ行きましょう』
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自身にかけられた疑いの弁明にパレ・ロワイヤルへ赴くことに同意したフレッセルは、しかし目的地にたどり着くことはありませんでした。というのも市役所を出てきたところを拳銃で撃たれ、彼の首もまた怒れる群衆によって切り落とされてしまうからです。そして彼の首は、乱舞して凱歌をあげる群衆の手によって、ローネ―候の首と並んで高く掲げられ市内を行進することになります。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃66】
7月14日(火)は、朝から今にも雨が降りそうな天気でしたが、夜にとうとう降り出します。街を練り歩くデモ隊や民兵が自宅に戻り始めるとパリ市内のお祭り騒ぎも自然と終息していきました。いっぽう国王軍のパリ守備隊司令官であるブザンヴァル男爵は、午前中には廃兵院を救うこと叶わず、午後からはバスティーユ監獄をも見捨てざるを得ませんでした。決定的であったのが、この日の朝10時に彼が開催した隊長会議で、各隊長が異口同音に述べた「兵士たちを動かす自信がない」との意見でした。
兵士たちの命令不服従 ――軍紀の崩壊―― は突然はじまった訳でなく、過去二年間に渡る全国的暴動の発生と、その鎮圧に軍隊が駆り出され翻弄され続けた結果でした。王権の朝令暮改は当たり前で、がために責任を取らされることを恐れる日和見主義的な上官の態度は下士官・兵士を困惑させるに十分でした。
もちろん啓蒙主義思想の伝播によって、アンシャン・レジームそのものの欠陥が広く喧伝されると、軍隊内部における不条理 ――プロイセン式規律や将校の貴族限定化の導入―― もより一層鮮明となり、新興貴族の将校、下士官・兵士の不満を高めました。すでに軍隊からの逃亡（脱走）は全国的傾向であり、この軍隊の崩壊こそがパリ市民の反乱を成功へと導いた訳です。
【バスティーユ襲撃66】
7月14日(火)は、朝から今にも雨が降りそうな天気でしたが、夜にとうとう降り出します。街を練り歩くデモ隊や民兵が自宅に戻り始めるとパリ市内のお祭り騒ぎも自然と終息していきました。いっぽう国王軍のパリ守備隊司令官であるブザンヴァル男爵は、午前中には廃兵院を救うこと叶わず、午後からはバスティーユ監獄をも見捨てざるを得ませんでした。決定的であったのが、この日の朝10時に彼が開催した隊長会議で、各隊長が異口同音に述べた「兵士たちを動かす自信がない」との意見でした。
兵士たちの命令不服従 ――軍紀の崩壊―― は突然はじまった訳でなく、過去二年間に渡る全国的暴動の発生と、その鎮圧に軍隊が駆り出され翻弄され続けた結果でした。王権の朝令暮改は当たり前で、がために責任を取らされることを恐れる日和見主義的な上官の態度は下士官・兵士を困惑させるに十分でした。
もちろん啓蒙主義思想の伝播によって、アンシャン・レジームそのものの欠陥が広く喧伝されると、軍隊内部における不条理 ――プロイセン式規律や将校の貴族限定化の導入―― もより一層鮮明となり、新興貴族の将校、下士官・兵士の不満を高めました。すでに軍隊からの逃亡（脱走）は全国的傾向であり、この軍隊の崩壊こそがパリ市民の反乱を成功へと導いた訳です。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃67】
その意味でバスティーユ襲撃は、フランス国内は言うに及ばずヨーロッパ全体に衝撃を与える事件でした。政治犯収容施設としても軍事的施設としても、さほど重要ではなくなっていたバスティーユの陥落そのものには意義も意味もありません。しかしながら、その陥落は極めて象徴的な出来事として認識されます。民衆が武器を持って立ち上がったことではなく、その忠勇なる国王軍が何も出来なかったという意味においてです。かくしてバスティーユ襲撃は、ルイ14世以来、周辺諸国を畏怖させてきたフランス軍の凋落と無力化 ――ひいては王権失墜―― の象徴となったのでした。しかし、このことを国王や政府が認識するまでには、まだ時間がかかることになります。
さて有名な話として1789年7月14日の国王の日記には「何もなし」と書かれていました。パリで騒乱が起きた日の感想として「何もなし」な訳ですから、これをもって国王がいかに現実の政治動向に疎かったか、あるいは愚鈍な性格の証拠であるとされ、後世において批判の、あるいは嘲笑の対象となる訳です。
しかしこの日記の記述も、同様に有名なように、あくまで日々の狩猟の記録であって、この日の獲物が「何もなし」な訳です。ですからバスティーユの一件が記されていないからといって、不可思議でもなく、また何も知らなかった訳でもありません。実際に国王は数々の報告に接し、状況を[ある程度は]把握していたからです。
【バスティーユ襲撃67】
その意味でバスティーユ襲撃は、フランス国内は言うに及ばずヨーロッパ全体に衝撃を与える事件でした。政治犯収容施設としても軍事的施設としても、さほど重要ではなくなっていたバスティーユの陥落そのものには意義も意味もありません。しかしながら、その陥落は極めて象徴的な出来事として認識されます。民衆が武器を持って立ち上がったことではなく、その忠勇なる国王軍が何も出来なかったという意味においてです。かくしてバスティーユ襲撃は、ルイ14世以来、周辺諸国を畏怖させてきたフランス軍の凋落と無力化 ――ひいては王権失墜―― の象徴となったのでした。しかし、このことを国王や政府が認識するまでには、まだ時間がかかることになります。
さて有名な話として1789年7月14日の国王の日記には「何もなし」と書かれていました。パリで騒乱が起きた日の感想として「何もなし」な訳ですから、これをもって国王がいかに現実の政治動向に疎かったか、あるいは愚鈍な性格の証拠であるとされ、後世において批判の、あるいは嘲笑の対象となる訳です。
しかしこの日記の記述も、同様に有名なように、あくまで日々の狩猟の記録であって、この日の獲物が「何もなし」な訳です。ですからバスティーユの一件が記されていないからといって、不可思議でもなく、また何も知らなかった訳でもありません。実際に国王は数々の報告に接し、状況を[ある程度は]把握していたからです。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃68】
7月14日(火）の午前中の段階で、議会からパリの騒乱状況の報告と市民軍創設および国王軍撤退を求める要望を国王はにべもなく断っていました。というのも、この時点ではまだパリの騒乱はたんなる暴動に過ぎないと国王は考えていたし、確かに前日の時点では単なる暴動に過ぎなかったからです。ロシュジャクラン侯爵夫人によれば、前日に新たにヴェルサイユに到着した二つのドイツ人連隊の歓迎会が14日に宮殿の庭園ヴェルサイユ・オランジュリーで開催されていました。軍楽隊の演奏が続くなか、会場でささやき声が広がると、出席していた貴族たちの笑顔が一変するのを侯爵夫人は見逃しませんでした。そのうち従僕がやってきて侯爵夫人にそっと耳打ちするのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『すぐ帰りましょう。早く、早く、準備してください。とにかく急ぎましょう。』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
パリで市民が武装蜂起したこと、バスティーユを襲撃していること、そして武装した群衆がヴェルサイユへ向け進軍中であることを告げられた侯爵夫人は慌てて帰路についたけれども、それは他も同様で、それまでの陽気な会場の雰囲気は恐怖へと変わり、たちまち庭園から人影が消えてしまいました。パリでは国王軍が攻めてくると考えパニック状態でしたが、ヴェルサイユもまた武装した群衆が攻めてくると思いパニック状態となるのです。いずれにせよ、当日の午後にはバスティーユ襲撃などの知らせがヴェルサイユへと届いていました。
【バスティーユ襲撃68】
7月14日(火）の午前中の段階で、議会からパリの騒乱状況の報告と市民軍創設および国王軍撤退を求める要望を国王はにべもなく断っていました。というのも、この時点ではまだパリの騒乱はたんなる暴動に過ぎないと国王は考えていたし、確かに前日の時点では単なる暴動に過ぎなかったからです。ロシュジャクラン侯爵夫人によれば、前日に新たにヴェルサイユに到着した二つのドイツ人連隊の歓迎会が14日に宮殿の庭園ヴェルサイユ・オランジュリーで開催されていました。軍楽隊の演奏が続くなか、会場でささやき声が広がると、出席していた貴族たちの笑顔が一変するのを侯爵夫人は見逃しませんでした。そのうち従僕がやってきて侯爵夫人にそっと耳打ちするのです。
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『すぐ帰りましょう。早く、早く、準備してください。とにかく急ぎましょう。』
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パリで市民が武装蜂起したこと、バスティーユを襲撃していること、そして武装した群衆がヴェルサイユへ向け進軍中であることを告げられた侯爵夫人は慌てて帰路についたけれども、それは他も同様で、それまでの陽気な会場の雰囲気は恐怖へと変わり、たちまち庭園から人影が消えてしまいました。パリでは国王軍が攻めてくると考えパニック状態でしたが、ヴェルサイユもまた武装した群衆が攻めてくると思いパニック状態となるのです。いずれにせよ、当日の午後にはバスティーユ襲撃などの知らせがヴェルサイユへと届いていました。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃69】
議会は前日から常時開会という態勢に入っていましたが、どのように事態を収拾すべきか見通しも立たないまま、議題はいかにして国王軍を撤退させるかに集中していました。7月14日(火)夕方、ラファイエット侯爵の義弟で自由主義派貴族であるノアイユ子爵がパリからたどり着き、廃兵院とバスティーユの陥落など、この日のパリの出来事を議会に報告します。議会はこの情報を報告すべく国王のもとへ使者を送ることになります。
すると国王は先手を打って、配下の将軍たちにパリ市民軍を指揮するように命じてあることを告げます。国王は、いまだブロイ公やブザンヴァル男爵らが事態をコントロールできているものと勘違いしているようでした。他方で、すでにシャン・ド・マルスの国王軍に撤退を命じたことも明らかにします。パリ高等法院との対決以来、国王が恐れていたのは騒乱が内戦にまで発展することであり、軍隊の力の誇示をしておきながら騒ぎが大きくなればなるほどに、振り上げたこぶしを引っ込めるというのは珍しいことではありませんでした。
その意味で、国王軍を撤収さえさせれば事態は解決に向かうであろうと考えていた点で、いまだ事態を楽観視していたとも言えます。
【バスティーユ襲撃69】
議会は前日から常時開会という態勢に入っていましたが、どのように事態を収拾すべきか見通しも立たないまま、議題はいかにして国王軍を撤退させるかに集中していました。7月14日(火)夕方、ラファイエット侯爵の義弟で自由主義派貴族であるノアイユ子爵がパリからたどり着き、廃兵院とバスティーユの陥落など、この日のパリの出来事を議会に報告します。議会はこの情報を報告すべく国王のもとへ使者を送ることになります。
すると国王は先手を打って、配下の将軍たちにパリ市民軍を指揮するように命じてあることを告げます。国王は、いまだブロイ公やブザンヴァル男爵らが事態をコントロールできているものと勘違いしているようでした。他方で、すでにシャン・ド・マルスの国王軍に撤退を命じたことも明らかにします。パリ高等法院との対決以来、国王が恐れていたのは騒乱が内戦にまで発展することであり、軍隊の力の誇示をしておきながら騒ぎが大きくなればなるほどに、振り上げたこぶしを引っ込めるというのは珍しいことではありませんでした。
その意味で、国王軍を撤収さえさせれば事態は解決に向かうであろうと考えていた点で、いまだ事態を楽観視していたとも言えます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃70】
パリの事態を告げる議会からの使節団に対し、�々餡Ψ海忙毀鰻海了愆�を命じたこと、��国王軍の撤収の2点を告げた国王は続けて、命令を下した結果としてパリで血が流されたとれば、それは大変悲しむべき事態だと述べたものの、議会が期待するネッケル復職については何らの意思表示もありませんでした。今回の騒動ももとはと言えばネッケル解任のニュースが発端であったにも関わらず。
それでも国王軍撤退というのは朗報に違いなく、一刻も早くパリに知らせる必要があると思われました。そこで議員のデュ・ポン・ド・ヌムール[1]がパリへ向けて出発。15日午前2時にパリ市役所へ到着して国王からの返答 ――国王軍の撤退―― を伝えます。
―――――――――――――――――――
[1] デュ・ポン・ド・ヌムール(1739〜1817年)。重農主義の経済思想家にして政治家。英仏通商条約(イーデン条約)交渉のフランス側代表。ヴェルジェンヌやカロンヌ政権下で活躍。革命の支持者であったが、ルイ16世に忠実であるその姿勢は国民の怒りを買った。恐怖政治下で反革命容疑にて死刑を宣告されるも、ロベスピエール派の失脚により一命をとりとめる。のち家族と共に米国へ亡命。息子は米国で「デュポン社」を立ち上げ、黒色火薬の生産を始める。会社は南北戦争、第一次・第二次大戦など米国の戦争を支え続けた。
【バスティーユ襲撃70】
パリの事態を告げる議会からの使節団に対し、�々餡Ψ海忙毀鰻海了愆�を命じたこと、��国王軍の撤収の2点を告げた国王は続けて、命令を下した結果としてパリで血が流されたとれば、それは大変悲しむべき事態だと述べたものの、議会が期待するネッケル復職については何らの意思表示もありませんでした。今回の騒動ももとはと言えばネッケル解任のニュースが発端であったにも関わらず。
それでも国王軍撤退というのは朗報に違いなく、一刻も早くパリに知らせる必要があると思われました。そこで議員のデュ・ポン・ド・ヌムール[1]がパリへ向けて出発。15日午前2時にパリ市役所へ到着して国王からの返答 ――国王軍の撤退―― を伝えます。
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[1] デュ・ポン・ド・ヌムール(1739〜1817年)。重農主義の経済思想家にして政治家。英仏通商条約(イーデン条約)交渉のフランス側代表。ヴェルジェンヌやカロンヌ政権下で活躍。革命の支持者であったが、ルイ16世に忠実であるその姿勢は国民の怒りを買った。恐怖政治下で反革命容疑にて死刑を宣告されるも、ロベスピエール派の失脚により一命をとりとめる。のち家族と共に米国へ亡命。息子は米国で「デュポン社」を立ち上げ、黒色火薬の生産を始める。会社は南北戦争、第一次・第二次大戦など米国の戦争を支え続けた。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃71】
このあいだにもパリの常任委員会は議会に対して報告・連絡・相談のために選挙人を派遣しており、ノアイユ子爵の情報が間違いない事実であること、さらに要塞司令官ド・ローネー候の殺害などの新たな情報をもたらしていました。そこで議会はパリ大司教ルクレール・ド・ジュイニエを代表者とする第二次使節団を国王のもとへと送り出します。
パリ大司教は三身分の合同に反対し続けた保守派であって、彼の言うことであれば信憑性も増すだろうことを期待しての人選でした。ところが、国王の反応は全く期待外れのもので『前回の使節団への回答に付け足すことはない』というものでした。この返答に対し議会ではもう一度使者を送るべきだとの声があがりますが、議員らの意見が分かれてしまい結論は翌朝に持ち越されることになります。
いっぽう無為に時間を過ごしていたシャン・ド・マルスの国王軍は、7月14日の夜にヴェルサイユへ向けて撤退を開始します。困難な状況で『最も賢明なのは軍隊を引き上げて、パリをパリ市民に委ねることだ』と考えたブザンヴァル男爵の独断でしたが、国王の事後承諾を得ていました。この夜間撤退は、兵士たちの離隊を加速させていきます。国王や王弟アルトワ伯が信頼できると考えていた外国人部隊においてすら ――例えばスイス人連隊のサリス・サマド連隊だけでも75人の兵士が―― 軍服を捨てて武器を持ったままパリに逆戻りしていきました。
【バスティーユ襲撃71】
このあいだにもパリの常任委員会は議会に対して報告・連絡・相談のために選挙人を派遣しており、ノアイユ子爵の情報が間違いない事実であること、さらに要塞司令官ド・ローネー候の殺害などの新たな情報をもたらしていました。そこで議会はパリ大司教ルクレール・ド・ジュイニエを代表者とする第二次使節団を国王のもとへと送り出します。
パリ大司教は三身分の合同に反対し続けた保守派であって、彼の言うことであれば信憑性も増すだろうことを期待しての人選でした。ところが、国王の反応は全く期待外れのもので『前回の使節団への回答に付け足すことはない』というものでした。この返答に対し議会ではもう一度使者を送るべきだとの声があがりますが、議員らの意見が分かれてしまい結論は翌朝に持ち越されることになります。
いっぽう無為に時間を過ごしていたシャン・ド・マルスの国王軍は、7月14日の夜にヴェルサイユへ向けて撤退を開始します。困難な状況で『最も賢明なのは軍隊を引き上げて、パリをパリ市民に委ねることだ』と考えたブザンヴァル男爵の独断でしたが、国王の事後承諾を得ていました。この夜間撤退は、兵士たちの離隊を加速させていきます。国王や王弟アルトワ伯が信頼できると考えていた外国人部隊においてすら ――例えばスイス人連隊のサリス・サマド連隊だけでも75人の兵士が―― 軍服を捨てて武器を持ったままパリに逆戻りしていきました。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃72】
国王は、軍隊を力を部隊の頭数でのみ考えておりその内情・士気・軍機の崩壊状況に無知なままでした。そのため国王軍が期待通りの実力を発揮すると思い、かねてからの計画通りパリ市内主要部の占領と秩序回復と治安維持が実現できると考えて、委任通りにしていれば問題ないだろうと信じていたから積極的に自ら直接の命令を下さなかったのかも知れません。
もちろん国王は二度にわたって議会からの使節団によって ――もちろんパリ守備隊司令官ブザンヴァル男爵からも―― この日にパリであった主要な出来事の報告を得ていました。それでも、国王が能動的になにか命令を下すというような態度を最後まで見せませんでした。
パリからの国王軍撤収を命じたと言っても、前述のとおりブザンヴァル男爵がパリから国王軍を引き上げることを独断で決定したものを、たんに追認したに過ぎなかったので、国王はこの日なんの決定も決断もしないまま眠りに就くことになります。
【バスティーユ襲撃72】
国王は、軍隊を力を部隊の頭数でのみ考えておりその内情・士気・軍機の崩壊状況に無知なままでした。そのため国王軍が期待通りの実力を発揮すると思い、かねてからの計画通りパリ市内主要部の占領と秩序回復と治安維持が実現できると考えて、委任通りにしていれば問題ないだろうと信じていたから積極的に自ら直接の命令を下さなかったのかも知れません。
もちろん国王は二度にわたって議会からの使節団によって ――もちろんパリ守備隊司令官ブザンヴァル男爵からも―― この日にパリであった主要な出来事の報告を得ていました。それでも、国王が能動的になにか命令を下すというような態度を最後まで見せませんでした。
パリからの国王軍撤収を命じたと言っても、前述のとおりブザンヴァル男爵がパリから国王軍を引き上げることを独断で決定したものを、たんに追認したに過ぎなかったので、国王はこの日なんの決定も決断もしないまま眠りに就くことになります。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃73】
さて、7月14日にいつも通りに眠りについた国王の行動の理由の一つとして、1787年以来フランス各地で相次いだ暴動の発生があげられるかも知れません。暴動の報告は珍しいものではなかったからです。そのような感覚の麻痺が、反応の鈍さとなって現れてしまったのかも知れません。また虚報・誤報が飛び交うなかで早まった ――そして誤った―― 意思決定を避けようとしたのかも知れません。というのもパリ高等法院との対決以来、国王の政治的決断が事態を悪化させたことがあったからです。
またブザンヴァル男爵は、国王は事態を断片的にしか理解していなかったと後に回想しています。あとからは何とでも言えますが、現在進行形で起きている事態の把握は現代でも難しいでしょう。通信手段の限られる当時であればなおさらです。もちろん一つ一つの情報を精査して、分析して、どのような対応をすべきか検討する。普通に時間がかかることばかり。その上で為政者は政治的な決定や決断を行う訳ですが、国王の場合、側近に有能な情報収集者や情報分析者、そして助言者・解説者に恵まれなかっただけかも知れません。
いずれにせよ後世にまで語り継がれる名誉ある助言者、騒乱の解説者としての役割は、国王衣装係ラ・ロシュフコー＝リアンクール公が担うこととなります。
【バスティーユ襲撃73】
さて、7月14日にいつも通りに眠りについた国王の行動の理由の一つとして、1787年以来フランス各地で相次いだ暴動の発生があげられるかも知れません。暴動の報告は珍しいものではなかったからです。そのような感覚の麻痺が、反応の鈍さとなって現れてしまったのかも知れません。また虚報・誤報が飛び交うなかで早まった ――そして誤った―― 意思決定を避けようとしたのかも知れません。というのもパリ高等法院との対決以来、国王の政治的決断が事態を悪化させたことがあったからです。
またブザンヴァル男爵は、国王は事態を断片的にしか理解していなかったと後に回想しています。あとからは何とでも言えますが、現在進行形で起きている事態の把握は現代でも難しいでしょう。通信手段の限られる当時であればなおさらです。もちろん一つ一つの情報を精査して、分析して、どのような対応をすべきか検討する。普通に時間がかかることばかり。その上で為政者は政治的な決定や決断を行う訳ですが、国王の場合、側近に有能な情報収集者や情報分析者、そして助言者・解説者に恵まれなかっただけかも知れません。
いずれにせよ後世にまで語り継がれる名誉ある助言者、騒乱の解説者としての役割は、国王衣装係ラ・ロシュフコー＝リアンクール公が担うこととなります。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃74】
ラ・ロシュフコー＝リアンクール公爵は、フランス有数の名門貴族リアンクール家に生まれ、15歳で軍人となりキャリアをスタート。コンドルセやテュルゴ―ら国内外の名士や知識人との交流を通じて啓蒙思想を学びます。先端技術への関心も高く、英国の著名な農学者アーサー・ヤングを招き英国流の農場を設立。他にも職業訓練学校の創設などを行いました。
父の官職を継承したのちはルイ16世側近の一人となり、国王衣装係に就任。国王からの信頼は厚かったものの、彼自身がポリニャック公爵一族を嫌っていたため王妃からも嫌われて、しばし宮廷から遠ざかります。
宮廷から離れた彼はもともと開明的で自由主義思想の持主であったので、ラファイエット侯爵らの「三十人委員会」に参加。また彼自身もまた貴族議員として選出されて、人道的見地から貧民救済や病院建設、個人の権利と自由の擁護などを提案。全国三部会で第三身分との対立が激化すると、第三身分との合流を支持するなどしていました。その彼がパリから急ぎヴェルサイユへと駆けつけます。
【バスティーユ襲撃74】
ラ・ロシュフコー＝リアンクール公爵は、フランス有数の名門貴族リアンクール家に生まれ、15歳で軍人となりキャリアをスタート。コンドルセやテュルゴ―ら国内外の名士や知識人との交流を通じて啓蒙思想を学びます。先端技術への関心も高く、英国の著名な農学者アーサー・ヤングを招き英国流の農場を設立。他にも職業訓練学校の創設などを行いました。
父の官職を継承したのちはルイ16世側近の一人となり、国王衣装係に就任。国王からの信頼は厚かったものの、彼自身がポリニャック公爵一族を嫌っていたため王妃からも嫌われて、しばし宮廷から遠ざかります。
宮廷から離れた彼はもともと開明的で自由主義思想の持主であったので、ラファイエット侯爵らの「三十人委員会」に参加。また彼自身もまた貴族議員として選出されて、人道的見地から貧民救済や病院建設、個人の権利と自由の擁護などを提案。全国三部会で第三身分との対立が激化すると、第三身分との合流を支持するなどしていました。その彼がパリから急ぎヴェルサイユへと駆けつけます。
◎ロシア南下政策の展開
【バスティーユ襲撃75】
パリから馬を駆ってヴェルサイユへとやって来たリアンクール公は、事件の詳細を報告しようと国王への謁見を願い出ます。すると秘書官が慌てた様子で次のように述べます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『陛下はもう既にお眠りになられております。御用の件は明日にしていただけないでしょうか？』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
秘書官の悠長さに苛立ちを隠しきれないリアンクール公は、自然と語気が強くなる。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『そのようなことを言っている場合ではないのだ！すぐにでも起こし申し上げてくれ！』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
しかし…いやしかし陛下は…となおも頑張る秘書官の制止を無視してリアンクール公は国王の寝室へと押し入る。王室衣裳係である以上、国王の寝室に入ることができる地位であったからです。国王の眠りを妨げたリアンクール公がパリで起きた出来事をこと細かく報告すると、国王は次のように問い返します。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『反乱ということか？』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
リアンクール公が仮借なく国王の言葉を訂正すべく答えます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『いいえ陛下、これは反乱ではございません。革命でございます。』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
【バスティーユ襲撃75】
パリから馬を駆ってヴェルサイユへとやって来たリアンクール公は、事件の詳細を報告しようと国王への謁見を願い出ます。すると秘書官が慌てた様子で次のように述べます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『陛下はもう既にお眠りになられております。御用の件は明日にしていただけないでしょうか？』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
秘書官の悠長さに苛立ちを隠しきれないリアンクール公は、自然と語気が強くなる。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『そのようなことを言っている場合ではないのだ！すぐにでも起こし申し上げてくれ！』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
しかし…いやしかし陛下は…となおも頑張る秘書官の制止を無視してリアンクール公は国王の寝室へと押し入る。王室衣裳係である以上、国王の寝室に入ることができる地位であったからです。国王の眠りを妨げたリアンクール公がパリで起きた出来事をこと細かく報告すると、国王は次のように問い返します。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『反乱ということか？』
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リアンクール公が仮借なく国王の言葉を訂正すべく答えます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『いいえ陛下、これは反乱ではございません。革命でございます。』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（補足）
暴動か反乱か。
C'est une révolte?
暴動か？
Non sire, ce n'est pas une révolte, c'est une révolution.
いいえ陛下、これは暴動ではありません、革命でございます
ルイ16世とリアンクール公の会話は「暴動」と訳されるのが主流と思います。「révolte」の意味は、�“人陝∨銃亜���抵抗、反抗。だそうで。で、ルイ16世はパリ市内の騒乱状態を把握して眠りについて、リアンクール公に起されてことの顛末を知ることになります。要塞司令官ド・ローネー侯やパリ市長フレッセルの件にショックを受けた様子であったと。
そんな事態に対して「暴動か？」というより「反乱」の方が良いと私は思ってまして。そういう次第で「反乱か？」としてます。その上で、いえ陛下、これは「反乱」じゃなく「革命」なんです。の方が両者の事態の受け止め方とその認識の落差が現れて劇的かなとも。
暴動か反乱か。
C'est une révolte?
暴動か？
Non sire, ce n'est pas une révolte, c'est une révolution.
いいえ陛下、これは暴動ではありません、革命でございます
ルイ16世とリアンクール公の会話は「暴動」と訳されるのが主流と思います。「révolte」の意味は、�“人陝∨銃亜���抵抗、反抗。だそうで。で、ルイ16世はパリ市内の騒乱状態を把握して眠りについて、リアンクール公に起されてことの顛末を知ることになります。要塞司令官ド・ローネー侯やパリ市長フレッセルの件にショックを受けた様子であったと。
そんな事態に対して「暴動か？」というより「反乱」の方が良いと私は思ってまして。そういう次第で「反乱か？」としてます。その上で、いえ陛下、これは「反乱」じゃなく「革命」なんです。の方が両者の事態の受け止め方とその認識の落差が現れて劇的かなとも。
◎ロシア南下政策の展開
【アンシャンレジームの終わり� �
リアンクール公の報告によって、事の重大性と自分の置かれた状況を理解した国王は、リアンクール公の助言と説得も相まって、ようやく議会とパリ市当局との対話の必要性を悟ります。市民軍が大量の武器・弾薬を手に入れ、また肝心の国王軍の瓦解の結果、議会を力ずくで覆そうとする王弟アルトワ伯や守旧派の試みの失敗が明らかとなったからです。そこで国王は、翌朝に議会を訪問することを決断します。
他方で7月15日朝、議会はネッケル解任を進めた者たちを国王から遠ざけることを要求する決議を行います。12日から14日にかけ議会を欠席していたミラボー伯は、国王軍撤退に関する再確認を求める3回目の使節団が送られようとする際に、立ち上がり激励演説を行います。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『国王に伝えてくれ。我々を包囲する外国人部隊は昨日、王族夫妻、寵臣たちの訪問を受けて、慰めと励ましと贈物を貰った。こうして一晩中、彼らは黄金と酒を浴びるほど与えられ、不敬な歌でフランスの奴隷化を予言した。連中の野卑な宿願は国民議会の破滅を祈ることであったと国王に告げよ。宮廷では廷臣どもが非フランス的な音楽のダンスをやっている。聖バルテルミーの大虐殺の前舞台はかくのごときであったと国王に告げよ。…』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
要するに演説は宮廷の一部が外国勢力と結託して伝統ある自由な国フランスを蹂躙しようとしている！というものでして、演説を聞き終えた使節団が国王のもとへ出発しようとしたとき、突如リアンクール公が議会にやってきて国王来訪を告げます。
【アンシャンレジームの終わり� �
リアンクール公の報告によって、事の重大性と自分の置かれた状況を理解した国王は、リアンクール公の助言と説得も相まって、ようやく議会とパリ市当局との対話の必要性を悟ります。市民軍が大量の武器・弾薬を手に入れ、また肝心の国王軍の瓦解の結果、議会を力ずくで覆そうとする王弟アルトワ伯や守旧派の試みの失敗が明らかとなったからです。そこで国王は、翌朝に議会を訪問することを決断します。
他方で7月15日朝、議会はネッケル解任を進めた者たちを国王から遠ざけることを要求する決議を行います。12日から14日にかけ議会を欠席していたミラボー伯は、国王軍撤退に関する再確認を求める3回目の使節団が送られようとする際に、立ち上がり激励演説を行います。
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『国王に伝えてくれ。我々を包囲する外国人部隊は昨日、王族夫妻、寵臣たちの訪問を受けて、慰めと励ましと贈物を貰った。こうして一晩中、彼らは黄金と酒を浴びるほど与えられ、不敬な歌でフランスの奴隷化を予言した。連中の野卑な宿願は国民議会の破滅を祈ることであったと国王に告げよ。宮廷では廷臣どもが非フランス的な音楽のダンスをやっている。聖バルテルミーの大虐殺の前舞台はかくのごときであったと国王に告げよ。…』
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要するに演説は宮廷の一部が外国勢力と結託して伝統ある自由な国フランスを蹂躙しようとしている！というものでして、演説を聞き終えた使節団が国王のもとへ出発しようとしたとき、突如リアンクール公が議会にやってきて国王来訪を告げます。
◎ロシア南下政策の展開
【アンシャンレジームの終わり�◆�
国王来訪の知らせに議場に自然と盛んな拍手が沸き起こる。ミラボー伯はこれを制して、国王の意向がハッキリ示されるまで、冷ややかな態度で迎えようではないかと呼びかけます。『民衆の沈黙は、国王に対する教訓なのだ』と。しかし、ミラボー伯の呼びかけは不必要なものでした。
7月15日午前11時半、現れた国王は飾り気のない簡素な出で立ちで、行列も従者もなく、さらに衛兵一人さえも付けず王弟のみを連れて歩いやって来たからです。その姿は議員たちを唖然とさせ当惑させるに十分でした。そしてプロヴァンス伯とアルトワ伯の二人の王弟が、それぞれの政治思想的立場を現すかのように、国王の左と右に立ち、国王もまた用意された椅子に座らずに静かに演説を始めます。
「諸君」と呼びかけた国王は、軍隊の招集に悪意があった訳ではないこと、議員の安全を脅かすいかなる企てもないことを明言し、またパリの不幸な無秩序状態を嘆き悲しみ、秩序回復のため「議会に助力」を求めます。前議長のバイイは、国王がはじめて「国民議会」という言葉を「三部会」の代わりに使ったのを聞き逃しませんでした。そして改めて『軍隊にパリとヴェルサイユから遠ざける命令を与えた。そこで余の措置をパリに知らせるための諸君の行動を認可しよう。是非ともパリに広く知らせることを勧める。』と述べます。非常に遠回しの表現ながら、国王が議会を公的に認めた ――または屈した―― 瞬間でした。王の意図と軍の撤収を公式に確認した議会は歓喜の声に包まれます。
【アンシャンレジームの終わり�◆�
国王来訪の知らせに議場に自然と盛んな拍手が沸き起こる。ミラボー伯はこれを制して、国王の意向がハッキリ示されるまで、冷ややかな態度で迎えようではないかと呼びかけます。『民衆の沈黙は、国王に対する教訓なのだ』と。しかし、ミラボー伯の呼びかけは不必要なものでした。
7月15日午前11時半、現れた国王は飾り気のない簡素な出で立ちで、行列も従者もなく、さらに衛兵一人さえも付けず王弟のみを連れて歩いやって来たからです。その姿は議員たちを唖然とさせ当惑させるに十分でした。そしてプロヴァンス伯とアルトワ伯の二人の王弟が、それぞれの政治思想的立場を現すかのように、国王の左と右に立ち、国王もまた用意された椅子に座らずに静かに演説を始めます。
「諸君」と呼びかけた国王は、軍隊の招集に悪意があった訳ではないこと、議員の安全を脅かすいかなる企てもないことを明言し、またパリの不幸な無秩序状態を嘆き悲しみ、秩序回復のため「議会に助力」を求めます。前議長のバイイは、国王がはじめて「国民議会」という言葉を「三部会」の代わりに使ったのを聞き逃しませんでした。そして改めて『軍隊にパリとヴェルサイユから遠ざける命令を与えた。そこで余の措置をパリに知らせるための諸君の行動を認可しよう。是非ともパリに広く知らせることを勧める。』と述べます。非常に遠回しの表現ながら、国王が議会を公的に認めた ――または屈した―― 瞬間でした。王の意図と軍の撤収を公式に確認した議会は歓喜の声に包まれます。
◎ロシア南下政策の展開
【アンシャンレジームの終わり��】
従者も衛兵も付けずに議場にやって来た国王は、帰路だって歩いて帰らなくてはなりません。すでに国王の演説内容は議場の外の群衆にも漏れ伝わって、ヴェルサイユの通りは群衆で埋め尽くされていました。そこで万が一の場合を考えて、議員20名が国王を取り囲むようにして護衛しながら通りを進んでいきます。
国王一行が人混みをかき分けてようやくの思いで宮殿に辿り着くと群衆は「バルコニーへ！」と叫びます。宮殿の内外は群衆によって取り囲まれており、国王一家にバルコニーへ出て姿を見せろという群衆の大合唱は、もちろん歓喜の声でしたが、脅迫的な示威行為ともなりました。かくして国王は、王妃と王太子と王女を連れまたバルコニーへ出て群衆の拍手喝采を受けることになります。
さて、国王から議会に託された使命は、国王軍がパリから遠ざかったことを周知徹底してパリの秩序を回復させることでした。そこで議会は ――馬車40台に分乗した選抜された議員88名―― 使節団を急ぎパリへと送り出すことにします。先頭に立つのは憲法制定国民議会の副議長ラファイエット侯爵。それにシエイエスやバイイなど名の知れた議員たちが続くことになります。
【アンシャンレジームの終わり��】
従者も衛兵も付けずに議場にやって来た国王は、帰路だって歩いて帰らなくてはなりません。すでに国王の演説内容は議場の外の群衆にも漏れ伝わって、ヴェルサイユの通りは群衆で埋め尽くされていました。そこで万が一の場合を考えて、議員20名が国王を取り囲むようにして護衛しながら通りを進んでいきます。
国王一行が人混みをかき分けてようやくの思いで宮殿に辿り着くと群衆は「バルコニーへ！」と叫びます。宮殿の内外は群衆によって取り囲まれており、国王一家にバルコニーへ出て姿を見せろという群衆の大合唱は、もちろん歓喜の声でしたが、脅迫的な示威行為ともなりました。かくして国王は、王妃と王太子と王女を連れまたバルコニーへ出て群衆の拍手喝采を受けることになります。
さて、国王から議会に託された使命は、国王軍がパリから遠ざかったことを周知徹底してパリの秩序を回復させることでした。そこで議会は ――馬車40台に分乗した選抜された議員88名―― 使節団を急ぎパリへと送り出すことにします。先頭に立つのは憲法制定国民議会の副議長ラファイエット侯爵。それにシエイエスやバイイなど名の知れた議員たちが続くことになります。
◎ロシア南下政策の展開
【アンシャンレジームの終わり�ぁ�
パリの常任委員会は、7月15日午前2時に議員のデュ・ポン・ド・ヌムールから国王軍撤退について知らされてはいたものの、半信半疑のままでした。意図はしていなかったけれどもバスティーユを攻撃して占領してしまったのだから、国王軍からの反撃や報復があって然るべきであると考えていたからです。
そこでパリ市民は朝から道路の舗石を剥がしてバリケード作りに勤しんでいました。また市内の工場・店舗などは一斉休業となっていたので、日雇い労働者はもちろん一般の労働者も仕事がない訳でして、彼ら失業者の登録作業を始めていました。何かしらの公共事業を作り出して彼らに仕事を与えねばならなかったからです。
いっぽう食糧の供給は依然として最悪で、あらゆる穀物が入ってこない状況が続いていました。常任委員会では良くてあと3日ほどでパリの食糧は底を尽くと計算していました。なぜここまで食糧が入ってこないのだろうか？パリ市民が考えるに、国王はパリを飢えさせようとしており、国王軍に命じてパリへの食糧供給を妨害しているに違いないと、そう思い込んでしま下。不安と恐怖が支配するパリにとって、議会の大使節団の到着は、驚天動地の知らせであり、大きな喜びをもって迎えられ、そして安堵感が一気に広がります。
【アンシャンレジームの終わり�ぁ�
パリの常任委員会は、7月15日午前2時に議員のデュ・ポン・ド・ヌムールから国王軍撤退について知らされてはいたものの、半信半疑のままでした。意図はしていなかったけれどもバスティーユを攻撃して占領してしまったのだから、国王軍からの反撃や報復があって然るべきであると考えていたからです。
そこでパリ市民は朝から道路の舗石を剥がしてバリケード作りに勤しんでいました。また市内の工場・店舗などは一斉休業となっていたので、日雇い労働者はもちろん一般の労働者も仕事がない訳でして、彼ら失業者の登録作業を始めていました。何かしらの公共事業を作り出して彼らに仕事を与えねばならなかったからです。
いっぽう食糧の供給は依然として最悪で、あらゆる穀物が入ってこない状況が続いていました。常任委員会では良くてあと3日ほどでパリの食糧は底を尽くと計算していました。なぜここまで食糧が入ってこないのだろうか？パリ市民が考えるに、国王はパリを飢えさせようとしており、国王軍に命じてパリへの食糧供給を妨害しているに違いないと、そう思い込んでしま下。不安と恐怖が支配するパリにとって、議会の大使節団の到着は、驚天動地の知らせであり、大きな喜びをもって迎えられ、そして安堵感が一気に広がります。
◎ロシア南下政策の展開
【アンシャンレジームの終わり�ァ�
国民議会初代議場バイイはパリへ向かう道中の様子を次のように書いています。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『…天気は良好。旅は凱旋であった。いたろところで引き上げてくる軍隊に出くわした。沿道には人が群れていて、どこでも「国民万歳！」ととなえてくれた。…』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
パリ市内へと入ると国王軍来襲に備えて臨戦態勢の市内はいたるところにバリケードがあり、馬車の往来も禁止されていて、市民軍が警戒のために街頭に立っているのと、防衛強化のための作業をしている人以外の姿は見えない。そこに思いがけずやってきた議員の大使節団の姿を認めるや否や、パリ市民は固く閉ざした自宅の扉を開き、路地という路地、小道という小道にも人々が溢れだし、人々は涙を流して抱擁しあいます。
なぜならパリ市民は ――市民軍の組織化に貢献した―― 弁護士ドゥセーズが回想するように『我々はみな、国王軍と戦い皆殺しにされることを覚悟』していたからです。大勢の議員の到着は、パリを包囲する国王軍がその通行を許したという意味で、国王が議員の行動を許可したという意味で、平和回復の証でした。
【アンシャンレジームの終わり�ァ�
国民議会初代議場バイイはパリへ向かう道中の様子を次のように書いています。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『…天気は良好。旅は凱旋であった。いたろところで引き上げてくる軍隊に出くわした。沿道には人が群れていて、どこでも「国民万歳！」ととなえてくれた。…』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
パリ市内へと入ると国王軍来襲に備えて臨戦態勢の市内はいたるところにバリケードがあり、馬車の往来も禁止されていて、市民軍が警戒のために街頭に立っているのと、防衛強化のための作業をしている人以外の姿は見えない。そこに思いがけずやってきた議員の大使節団の姿を認めるや否や、パリ市民は固く閉ざした自宅の扉を開き、路地という路地、小道という小道にも人々が溢れだし、人々は涙を流して抱擁しあいます。
なぜならパリ市民は ――市民軍の組織化に貢献した―― 弁護士ドゥセーズが回想するように『我々はみな、国王軍と戦い皆殺しにされることを覚悟』していたからです。大勢の議員の到着は、パリを包囲する国王軍がその通行を許したという意味で、国王が議員の行動を許可したという意味で、平和回復の証でした。
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