哲学　Φιλοσοφιαコミュの永井均『意識はなぜ実在しないのか』　【本のトピック　第１集】

本を一冊づつ取り上げるトピックです。シリーズでやる予定です。
今回は、永井均『改訂版・意識はなぜ実在しないのか』岩波現代文庫　です。
原則読んだ人だけ感想や考察を書き込んでください。

コメント(91)

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何故永井哲学が理解し難いのかというと、論理構築のプラットフォームがめちゃくちゃ狭いのと、議論のテーマ自体が、我々が過去に疑問として来なかったディープな部分だからだということがあります。

何故そこが問題になるのかということがそもそも理解できない、というわけです。
あるいは、永井氏は何を“言えない” と言っているのかが分からない、ということだと思うわけです。

養老孟司著『バカの壁』を読まれたことがありますか？　あの“バカの壁” こそが、永井氏のいう“言えない” 論理構造的限界という共通観念であろうとオイラは考えます。

[53] mixiユーザー 11月11日 13:25

追記：養老孟司でなければ、ヴィトゲンシュタインの「語りえぬもの・・・」の概念です。

オイラのイメージでは、永遠に“逃げてゆく現実”
が、それを“言えなくさせている”。
『わたし』と言ったわたしはもう過去にしか居ない、という事実へと導く論理。

そんな感じです。

[54] mixiユーザー 11月20日 12:08

p.56 のモデルは、チャーマーズの意識無限後退イメージの改訂版のようなもので、背景にあるものは、概念の現実的様相と論理的様相との対比と相互干渉である。
p.58には、時制の様相を適応させている。
このような、概念の対比累進構造は、「意識概念」「時制概念」を理解する上で、とても面白い論点を提供してくれる。

[55] mixiユーザー 12月01日 12:29

p.63
《彼（*チャーマーズ)は、人々が痛みを「あのよう」に感じていることを、どうして知っているのでしょうか？　私にはここには根拠のない臆断が働いているとしか思えません。　そして、チャーマーズのみならず、多くの哲学者が、この最も本質的な点になぜメスを入れようとしないのか、たいへん不思議です。》

永井哲学の真髄にある批判あるいは議題。

[56] mixiユーザー 12月02日 12:25

p.66～

概念内包の一次性と二次性及びゼロ次性。

〔第一次内包〕
　　「現実」からの同一性の直訳的捏造（丸写し）

〔第二次内包〕
　　それを前提とした派生性の付加。汎化への準備。

[57] mixiユーザー 12月02日 13:14

ここで、概念の一次内包は、現実から抽出されて現実に固定されていて、論理性よりは現実性が優勢に見える。

二次内包は、論理性優先で、現実から可能世界への概念適用を準備する。

[58] mixiユーザー 12月02日 20:00

>>[47]

それは可能世界の話だからじゃないですか？

[59] mixiユーザー 12月04日 12:14

現実の同一性の捏造としての言語（概念）形成プロセスの遡行。

そう表現できるとすれば、永井哲学のこの概念層構造論は、人間と現実世界の関係における重複と不可分の本質性をそのまま表しているとも言えるだろう。
もっと言えば、言語（概念）が生み出される時に伴う願望、のような理性の意思を読み取ることができるのかもしれない。

そのような論理の秘奥を垣間見た上で、“ゼロ次内包” という概念層理解へと進んでゆく。

[60] mixiユーザー 11月16日 13:24

あれから約一年。二度目の通読を終えて、この本の内容の10%くらいは理解できたかな？　という感じ。
『なぜ意識は実在しないのか』
端的な回答は、まず「“意識” とは抽象概念にすぎないから」だろう。
そして、『意識』を哲学的に定義づけるための前提としては、　「自他の区別を確定する決定的な要素」であるということです。あるいは、「自分と世界を分別する精神作用」だと言ってもいいかもしれない。

[62] mixiユーザー 11月23日 23:27

永井均の本は何冊か読んでいるが本書は未読だったので本日注文。

本書の題名、『意識はなぜ実在しないのか』を見て思うのは、題名が「～は実在（存在）しない」という形式の書籍が哲学のみならず様々なジャンルで少なからず「実在（存在）」するということである。

『なぜ世界は存在しないのか』（マルクス・ガブリエル）
『時間の非実在性』（ジョン.エリス・マクタガート）
『時間は存在しない』（カルロ・ロヴェッリ）
『未来は決まっており、自分の意志など存在しない。』（妹尾武治）
『感染症は実在しない』（岩田健太郎）
『死は存在しない』（田坂広志）
etc.

[64] mixiユーザー 12月26日 15:15

さて、一度話の始まりを確認するために戻ってみます。

　劈頭で永井均は《心は、心の中でも特に「意識」と呼ばれるものは、じつは存在しません。》
と書き出している。

心という大きな概念の中に意識という概念を位置付けている。
　じゃ、「精神(作用)」はどこに位置するんだろうか？　とオイラは考えてしまう。

[65] mixiユーザー 01月08日 12:30

この、オイラが疑問点として挙げる「精神」と「心」の概念の相違や包摂関係は、この永井本では解決されなさそうだけれど、とりあえず、先へ進もう。

[66] mixiユーザー 01月19日 13:14

さて、先へ進む前に、自分のモチベーションを上げるためにも、一度立ち止まった場所へ戻り、ここまでの概要を確認しておこう。

チャーマーズの二次元的意味論をベースに、永井の補足を加論して新たなる哲学的探究の道を広げているところである。
「現実」と「論理（言語）」という別次元のことがらを、精神作用を介して行き来していると、
「必然－偶然」関係や「アプリオリ－アポステオリ」関係の構造に言及することとなり、その理解の上に成り立つ論理としては、“言葉が生み出される時に伴う願望という現実の食い込み” が、「意識」のひとつの本質的なものである。という解釈がオイラの認識なのです。

[67] mixiユーザー 01月21日 11:35

ちょっとめんどくさいことをしておきますが。
P.72 P.73 の図解を永井の意図通りに理解することができれば、この本の骨子が掴めると思います。　オイラなりに言葉を換えて説明を加えるならば、あの図の最上段の［今・今以外］と［私・他者］が、『まさにこの』という接頭語をつけて言うことができる端的な現実（現在）を、表現していて。二段目以下の［今・今以外］と［私・他者］は、「現実」の物理的（時空間などの様相としての）観念の関与無しには成立しない概念であるということだろう。

[69] mixiユーザー 01月28日 11:56

P.76 ー　「私秘性という性質を実体化したものが意識なのです。」

「主観的なもの」「精神作用一般」「クオリアに代表される、当人にしか感知されない経験とその把持」ーーーパーソナルなレベルでの思考活動及び知覚の“ないまぜ” を人間理性の私秘性であるとするならば、その『私秘性』の現実顕在が『意識』である、という永井の見解である。

ここには二重三重の捏造（あるいは模造）が入り組んでいるので、大変デリケートな概念分析が伴うが、大まかな把握としては、オイラも同意する。

「他者のこころ」問題が新次元に発展するまでは、我々は、主観と客観の混合論理を立てるわけにはいかない。　テレパシー存在の不可能が否定されるまでは、『我々は他者のこころとインタラクションを持てない』と言うことは出来ない。その文章の主語は「我々」ではなくてあくまでも「私」なのである。

[70] mixiユーザー 02月04日 11:36

「他者の心」問題に連なって、本書p.81からの「第〇次内包」へと深まる、意識の分析的理解の論理は、実にそのプラットフォームが狭くて、ちょっと気を抜くと論理から足を踏み外すので注意が必要です。
　さらに、肝心の“哲学的ゾンビ” を本書で理解するにあたっては、何度も何度もp.29の「心の働き」と「意識の事実」などの分類を完璧に納得しておく必要があり、それも骨が折れます。

めげずに頑張りましょう。

[71] mixiユーザー 02月07日 00:36

哲学の思索は、意外や意外、光の速度で進歩していて、ネットでその進み具合を垣間見るに、もはや、ドゥルーズもデリダもヴィトゲンシュタインもある部分越えているのは当たり前だけど、『哲学』そのものの領域が、もうオイラには追随出来ない広がりを持つということに気付かされる。
それだけにまた面白いのだ。

[72] mixiユーザー 02月08日 12:19

永井均の哲学はというと、形式的には論理分析であり、根底にある理念的ベクトルは、人生の道徳へと向いている。人間（にとって）の真理を、科学は答えないし、宗教はその物語に現実性を持たない。だからこそ「哲学」がその責任を受け持つのだという使命感に溢れている。
　徹頭徹尾論理的であろうとする永井の哲学を、読者は、自分の哲学の言葉に翻訳して、自分の世界の哲学をつくってゆく。いや、逆かもしれない。自分の哲学の世界をつくってゆくのかもしれない。

そういう哲学は言葉（概念）や論理で構成する。そこに関与する意識や精神作用。その「意識」というものが、現実には存在しないということの理由を説明する試みが、この本である。

[73] mixiユーザー 02月11日 11:12

P.76 ー　「私秘性という性質を実体化したものが意識なのです。」この永井によるひとつの結論をよく読んでみると分かるのは、「私秘性」という性質そのものが、実体的ではない観念だが、それを感覚的（経験的）に客観化したならば、例えば「意識」という概念を当てることが出来る。という主張である。
　であるから、「意識」は現実には存在しない、という論理的帰結になるのは当然だろう。

さて振り返りはこれくらいにして、永井の本文に戻ろう。

[75] mixiユーザー 02月11日 12:11

本書では、「クリプキ-チャーマーズの二次元的意味論」への永井アプローチであった。
｛「概念」の内包｝という耳慣れない分析手段は、オイラの理解では、現実次元と概念（言葉）次元を接続する捏造（模造）の解剖図であると言える。

一次内包・二次内包・ゼロ次内包という区分けは、それぞれに深度の異なる解剖図を示す。

[76] mixiユーザー 02月15日 12:27

加えてチャーマーズの「論理的付随」という観念の導入が話の流れに加わり、ますます我々は理解の迷宮へと分け入ることになる。

[77] mixiユーザー 02月22日 12:22

ここではとりあえず、オイラとしては、「付随性」を、論理領域（あるいは論理空間）の内包的概念群というくらいの把握で仮定しておく。
*論理領域や論理空間という概念も、思索の足を伸ばしておかなければならない。

[78] mixiユーザー 02月25日 13:07

チャーマーズのこの付随（スーパーヴィーニエンス）概念は、“ゾンビ” の論理的存在可能性の根拠として主張されるので、後から触れよう。
おさらいしておくべきは、

一次内包

現実ー論理（言葉）系　と

二次内包

現実ー論理（言葉）連関とは別に系統たてられる、原理ー（可能）現実連関の論理系。

[79] mixiユーザー 03月03日 13:15

０次内包　を理解するためには、「意識」概念の整理が必要になる。　とは言え、本書の中心課題である「意識」の非在性を論理立てるための“外堀埋め立て工事” であればこそ、「現実意識」と「概念意識」の観念的区別はしっかり“意識” しておくべきだ。

[80] mixiユーザー 03月10日 11:02

さて実はここで再び、「現象的」と「心理的」の観念をもう少し明確に理解しておかなければならない。
I’ll be back to p,54….
永井均によれば、「心的現象を語る概念の中には、現象的側面が本質的なものと心理的側面が本質的なものとの区別があります。」　という。

[81] mixiユーザー 03月10日 13:28

『現象』という言葉に緊張が走る。カントか？フッサールか？？大森荘蔵か？？

メタ意識。主観的主観。ことがらの同一性の浮かび上がり。想念。ザックリと言って、想念。
（そやねん）？
『心理』という言葉の方が、より精神作用の中心的位置を占める概念であるように、オイラの固定観念は指差すのだが、ここの「心理的」という概念は、意識の（あるいは精神作用の）ハードウェア的な意味をすると考えるべきだろうか。　であれば、「現象的」は、意識のソフトウェアである。

[82] mixiユーザー 03月15日 11:58

さて。　このまま疑問点に引っ掛かり続けても混迷が深まるばかりなので、一旦先へ進み、サラッと全体的にこの本のあらすじを追いかけてみてから、諸所の疑問点に戻るという趣向で書き進めよう。
何しろ参加者オイラひとりという条件は最後までいきそうなので。

[83] mixiユーザー 03月15日 15:50

p.84から。
このあたりの議論は、専らチャーマーズの“ゾンビ論” への直接、間接的な批判と言い直しである。

核心的な記述としては、p.88. 《しかし、定義上わからないことがわかっているような問題は、疑似問題ではないでしょうか？そもそも「他者」に「このような」ものがあるとかないということ自体が、経験的な事実言明のふりをした論理的な同語反復か
矛盾言明なのではないでしょうか？　そうです。他者に「このような」ものは“ない”のです。
だからこそ他者なのです。》

[84] mixiユーザー 03月17日 11:23

とは言え、なぜこのような“概念の無限累進構造” があるのか。
これは紛れもなく、「現実」という次元の事象（抽象も含めて？）の同一性の捏造、模造、模倣であるという「言葉（概念）」の本質そのものであると思う。
「言葉（概念）」は、永久に、「現実」との同化を夢見てその同一性を捏造、模造、模倣しようとし続ける。その連続性が原動力となって累進構造が形成される。
「言葉（概念）」は現実事象に附与した属性だが、その源泉は観念（群）である。
観念上に浮かび上がった「言葉（概念）」“A” は、公的に表出（explain ）されることによって初めて複数の観念間で共有され、本来的に機能する「言葉（概念）」となるわけだが、このときすでに、「言葉（概念）」“A” は、「言葉（概念）」“Ａ’ ” に変異している。

[85] mixiユーザー 03月23日 10:48

さてさて。　
永井哲学の核心、論理と現実の関係的分析を検討するにあたって、どうにもこうにも理解できない概念領域がある。　ここを無視してその先に進もうにも、足元の覚束ない薄っぺらな文章把握に終わってしまう。　無意味さを感じるところが多いと感じる。
ここで、一旦、永井から離れることをオイラは決心した。
入不二先生の『問いを問う』へと戦場を移すことにする。

see you again!

[86] mixiユーザー 11月01日 17:55

なぜ、＂問いを問う＂のか？
それは、哲学の本質であり言語・論理の本質でもあるからだ。

[87] mixiユーザー 11月29日 09:57

『意識、、、』を離れて一年ちょっと。論理的外堀は少し埋まっては来たが、まだまだ永井哲学の定義論を読みきれない部分がある。
もう少し。

[88] mixiユーザー 11月29日 15:54

「意識問題」の議論は「自他問題」を透かして見ることによって、それは “定義”の地平の問題である、という理解が通るということに納得する。

[89] mixiユーザー 11月30日 12:08

「意識」は閉じている。「現実」は開いている。

[90] mixiユーザー 11月30日 13:13

現実はそれを現実であるとすることにおいて「実現実」である。
実現実は全てを懐胎していてその全てが産み出される。そこに矛盾は含まれない。この矛盾の無さがAny-ness。

[91] mixiユーザー 12月02日 14:52

まず、全く別な切り口から入るとすれば、「意識」の立ち上がりは自己制御が効かない、というところを確認しておきたい。　意識のある無し、意識を起こす失くすについては、その主体の自主的な意思決定によるものではない、ということ。意識の立ち上がりは、オートマチックスタートである。そこに選択の余地はない。というよりは選択肢そのものが無い。では、それを自然発生というべきか?いやなにか違う。(神も含めた)他者から与えられたものというべきか?それもおかしい。意識の発生とはなにか？という問いが生まれる。

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