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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第90回『チェリーの受難(シナリオ)』チャーリー作(三題噺)

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【登場人物】
●ともき(19・男性)
主人公。大学1年生。お人好しで優柔不断。色白でほっそりして見た目は悪くないが、服装がダサい。
同級生の瑛心(えいしん)から『美咲(みく)ちゃん』を紹介され、付き合っていたが、いざこざがあった様子。美咲とのことがトラウマになっているようで……。

●瑛心(えいしん・19・男性)
ともきの同級生。大学1年生。無愛想でマイペースだが、冷静で肝が据わっている。ウルフカットのパーマにいつもボストンのサングラスを身に着けるなど、ファッションにこだわりあり。
高校時代のクラスメイト美咲から、男を紹介されるよう言われ、ともきを紹介。順調に付き合っていると思っていたが……。

●せしる(20・女性)
ともきと瑛心のサークルの先輩。大学2年生。快活で困った人間を放っておけない正義漢だが、頑固。小柄で童顔、見た目はかわいらしいが、口は悪く関西弁でまくしたてる。

●美咲(みく・19・女性)
ともきの彼女。大学1年生(ともきたちとは別の大学)。メガネの地味女子だが、その本性は――。
瑛心の高校時代のクラスメイトで、瑛心仲介でともきを紹介され、付き合うようになるが、美咲のある行動が原因でともきの関係がこじれてしまい……。


〇駅(都内)・改札口/夕方

 西日の差す改札口。
 家族連れやカップル、若い学生らしいグループなど人通りが多い。
 切符売り場の隅でイチャイチャしている大学生らしい男女のカップル。
少し離れた場所で、その後ろ姿を死んだ魚のような目でぼうっと見ている主人公・ともき(19)。朝、ゴミ出しに出かけるような部屋着+上はジャンパー姿。坊ちゃん刈りの髪が寝ぐせのせいで、キノコのよう。
 人目もはばからずキスするカップル。女が男の背中に回していた手を下に滑らせ、男の股に手を差し入れる。男、驚いて少しビクッとし、笑って腰を引く。
 ともき、あわてて目をそらす。そこへ改札から駆けてくる小柄な人影。
せしるの声「ともきぃ〜!」
ともき「……先輩?」
 カカカッとニーハイブーツを鳴らし、駆けてきたせしる。小柄で童顔なため、大学生というより垢ぬけた中学生のよう。
 と、せしるはいきなり、ともきをパァン――とビンタする。
 改札口にいた全員の目が2人にくぎ付け。
ともき「……!!」
せしる「なんで黙ってたん」
ともき「……えっ」
せしる「なんで早よ言わんねん」
ともき「(ぶたれた頬をさすりながら)……」
ともきの胸ぐらをつかむせしる。頭一つ低い位置から、キッとともきをにらみつける。
せしる「ウチら、他人ちゃうやろ? 他人ちゃうんなら、つらいとき支え合うのが普通やろ?」
ともき「……は、はい」
せしる「そうやろ? じゃ、なんで相談せえへんねん、水臭い。恋の悩みやったら、ウチがなんぼでも話聞くやん」
ともき「す、すみません……」
 にらんでいたせしる、つかんでいた胸ぐらを離し、次第に泣く子供をあやす母親のような表情になって、
せしる「なんやジブン、さらに白なったな。舞妓さんみたいやで。ちゃんとご飯食べてるか」
ともき「いや、あの……。先輩はどうして、その……美咲ちゃんとのことを……?」
 きょとんとするせしる。
せしる「どうしてもこうしても、この子に聞いたからに決まってるやん」
 せしる、後ろを振り返る。
 そこには、せしるの専属ボディガードのように仁王立ちの長身男性・瑛心(19)。ウルフカットにパーマをかけ、ラウンドの薄いカラーレンズのサングラス(オリバーピープルズ)をかけている。
 ともき、初めて瑛心の存在に気づき、足が宙に浮くかというほど驚く。
せしる「今日サークルのミーティングあったやん。来年度の活動方針決めなー言うて。(ともきを見て)ジブン、体調不良やー言うて休んでたけど。そいで終わた思うたら、なんや瑛心がお先ですーって焦った顔して出ていくやん。で、ウチ、ピピキーンきて、ともきンとこ行くんかー、あいつ今日どないしたんやー、ウチも連れてけー言うて。(瑛心に)なっ?」
 無表情のまま、うなずく瑛心。
 瑛心はともきを見て、「何があった?」と言うように、わずかに首を傾ける。
 ともき、申し訳なさそうに肩をすくめ、
ともき「ごめん。実を言うと、」
せしる「(割って入り)まあまあ。ここじゃなんやし、どっか入ろう。ちぃと酒でも飲めるとこがええな」
 先陣を切って歩き出すせしる。
 自動追尾するドローンのように、無表情に後をついていく瑛心。
 2人の後姿を見ながら、困ったような顔で寝癖の頭をかくともき。
せしる「ともきっ。なんしてん、はよ」
 せしるの声に駆け出すともき。


〇駅前のカフェバー/夕方

 駅前にある個人経営らしいカフェバーに入るせしる、瑛心、ともき。
 カウンター席5席とテーブル席×3のこじんまりした店内。
 カウンター向かいのキッチンで、アコースティックギターを弾いているダンディーな男性店主(流行りの邦楽曲のコードを練習しているよう)。
 カウンター席には、プラダの春物ジャケットを羽織った女性が、酔って真っ赤な顔に頬杖をついてジンの入ったグラスの氷をカラコロといわせている。2人以外に客の姿はない。
 先頭のせしる、扉を開け、大人っぽい雰囲気にやや気圧され、入店をためらうように立ち止まる。
 店主、観察するように目を細めてせしるの姿を頭からつま先まで眺め、
店主「いらっしゃい」
せしる「空いてます?」
店主「君は……親御さんと待ち合わせかな。ここには中学生向きのメニューはないよ」
 せしる、むっとした様子で、
せしる「大丈夫ですぅ二十歳ですぅ。免許証見せまっか?」
店主「失礼。その必要はないよ」
せしる「(店内を見渡し)なに、貸し切り?」
店主「いいや。空いてるよ。どうぞ」
せしる「(振り返って瑛心とともきに)ここでええな」
 せしる、2人の同意を確認せず、ツカツカと入り、カウンター席とキッチンから一番離れた、壁際のテーブル席に腰掛ける。
 瑛心は特に感想もないような無表情で、淡々とダウンジャケットを脱いで壁のハンガーにかけ、せしるの隣に。
 挙動不審に店内をキョロキョロと見まわすともき、おずおずと2人の向かいに座る。
 店主、抱いていたギターを壁にかけ、地獄の黙示録のサントラをかける。
 店主、お盆にお冷を3つ載せ、3人のテーブルに運ぶ。
 メニューを眺めているせしる、店主の顔を見ないまま、
せしる「生中一つ、フライドポテト。それから(瑛心を見て)」
瑛心「……マンデリン」
店主「砂糖やミルクはつけますか」
瑛心「ブラックで」
せしる「ともきは?」
ともき「えっ。あ、えーっと……」
メニューの裏表を繰り返し眺めていたともき、慌てたようにメニューをまた見つめ、
ともき「この、ハーブティーを……」
店主「かしこまりました」
 キッチンに下がる店主。
 ともき、2人に頭を下げ、
ともき「……なんか、ほんとすみません。わざわざ家の近くまで来てもらって……」
せしる、店主がキッチンに引っ込むのを確認してから、ともきに向き直り、
せしる「ええて、謝らんでも。ウチはこのあと、この近所で家庭教師やらさしてもろてる子のとこにご飯呼ばれてるからな。全然かまへんわ。頭下げるんやったら、隣にしたって」
 せしる、隣の瑛心を見る。
ともき「(瑛心に)ごめんね」
 瑛心、答えず無表情のまま、それには及ぼないと手で制し、
瑛心「昨日美咲からLINEが来た」
ともき「……(罪悪感があるように申し訳なさそうに縮こまる)」
瑛心「美咲がお前に謝りたいと言ってた。不快な思いをさせて申し訳ないと」
ともき「いや、僕のほうこそ謝らないと」
瑛心「?」
せしる「何があったん?」
ともき「……」
せしる「ウチは瑛心から聞いただけやけど、昨日その、美咲ちゃんと会うてたんよな、ジブン」
ともき「はい……」
せしる「で、夜、花見してたときに、なんやわからんけど、美咲に何かされた、ちゅうまでは聞いたけど?」
ともき「いやあの、僕が悪いんです。僕が美咲ちゃんを夜の公園に置いてけぼりにしちゃったんで……」
せしる「らしいな」
 ともき、2人の顔を交互に見つめ、𠮟られた子供のようにうなだれる。
 せしると瑛心、困ったように顔を見合わせる。
せしる「ともきな。ウチは責めてんのとちゃうん。ウチら、ともきのことはよう知ってんねん。気遣いしーやし、マジメやし。キレたとこ見たことないしな。そんなともきがやな、女に愛想尽かしてほかす言うのはよっぽどのことやと思うねん。(瑛心に)な、そうやろ?」
瑛心「(うなずく)」
せしる「なにあったん?」
 ともき、顔を上げて2人の顔を交互に見て、口を開きかける、が、
店主「お待たせしました」
 店主、お盆に注文の品を持って割って入る。
 黙り込む3人。
 店主、察したように手早く注文の品を置いて身を引きキッチンに戻る。
 せしる、おしぼりをともきに渡して、ハーブティーを見ながら
せしる「ほら。冷めんうちに飲み」
瑛心「冷ましてから飲むのが適温なんです」
せしる「(少しキレ気味に)誰もお前に言うてへんわ」
ともき「す、すいませんっ」
せしる「あーちゃうちゃう。今のは隣のこいつに言うたんや。気にせんと飲み」
ともき「……あ、は、はい」
 ハーブティーを飲むともき。
 間。
 また黙り込む3人。
 せしる、気づまりな沈黙に耐えられなくなったように、
せしる「しかし、あれやな」
ともき「?」
 せしる、ニッと笑ってみせて、
せしる「ともきが女振る、なんてあるんやな」
ともき「……すみません(また申し訳なさそうにうなだれる)」
せしる「(あわてて)いや、悪いことちゃうって。謝んなや。ただ、ジブン優しいからな、嫌な女でも無理して付き合うのか思うてたんや。ともきも嫌言うときはちゃんとNO言えるんやなーって。ウチ見直したで」
 嬉しそうなせしる。
 しかし、せしるの言葉にも浮かない表情のともき。
 せしる、ふうっと溜息をつく。ともきの顔を覗き込んで、
せしる「な。言うてしまいたいことあったら、ここでぜーんぶ吐き出し。ウチらなんぼでも聞くで」
瑛心「終電には帰りたいですが」
せしる「(がっくりして)アホ。空気読め。友達苦しんでんのに見捨てるんか」
瑛心「……大げさな」
せしる「大げさなことあるか。だいいち、美咲とかいう子、ジブンが紹介した女やろ。そのせいで友達がふさいでる言うのに、すまんとか思わんのか」
 親子のような体格差の2人。子供のように小さなせしるから説教される大柄な瑛心。
瑛心「はい、すみません」
 2人のやり取りにも、うつむいたままのともき。
 せしる、向き直って
せしる「気にすんな。話し」
ともき「……(口ごもる)」
せしる「ウチは、その子のこと写真でしか知らんよ。知らんけど、見る感じ、その美咲って子、地味やけど、そんなヤバい女に見えへんかったけどな」
ともき「……」
せしる「ほかに男いたんか」
ともき「……いえ」
せしる「あれか、シューキョーかネットワークビジネスか」
ともき「そういうのじゃないんです」
せしる「性格やなっ。そいつ実はメンヘラやった」
ともき「メン……なんですか、それ」
せしる「なんやこう、うっとうしい奴のことや。かまってちゃんいうか」
瑛心「厳密には違うかと」
せしる「(キレ気味に)だいたい合うてたらええんや。いちいち細かいやっちゃな」
ともき「……うーん」
せしる「じゃあ、いったいなんやの?」
ともき「……」
 ため息をつくせしる。顔を見合わせるせしると瑛心。困ったな、という表情。
瑛心「昨日会ったんだよな」
ともき「うん」
瑛心「水族館に行って、夜に御苑で花見したな」
ともき「うん」
瑛心「何時ごろ」
せしる「お前、それ聞いてどないすんねや。警察の尋問とちゃうねんから」
瑛心「……」
 せしる、首を横に振って、
せしる「あーっとそれで、花見してそれからどうしたん」
ともき「花見して、公園のベンチに座って、」
せしる「ベンチ座って、それから」
ともき「はああああ――」
 突然、声を上げ乙女のように両手で顔を覆うともき。恥ずかしそう。
せしる・瑛心「??」
 ともき、涙目になって、
ともき「あの、先輩は聞かないほうが……」
せしる「(険しい顔になって)なんで?」
ともき「いや、その……ちょっと話しにくいんです」
せしる「(ともきの肩をたたき)大丈夫やて。なに言われても驚かんわ。話し」
ともき、まだ迷うような表情を見せるが、ようやく腹をくくって話し出す。
×××
 回想、昨日の夜。新宿御苑のベンチ。
 きれいにライトアップされた夜桜。
 ベンチに座っているともき。隣に座るのは美咲(19)、メガネをかけ、ボブカットに、上から下まですべてユニクロかGUで揃えたようなコーデの地味な雰囲気の子。
 寒いと言いつつ、美咲、ともきの肩に頭を乗せ、ともきの手をぎゅっと握る。
 ともき、顔が赤くなる。
 寝返りを打つように姿勢を変える美咲、ともきに顔を近づけ、軽くキス。
 ともき、おどおど。
 美咲、うっとりした表情になってまたキス。何度か繰り返す。
 ともき、最初は驚いていたが、次第に応えていく。
 美咲、ともきの肩から顔を上げ、両手でともきの顔を包むようにしてまたキス。強引に舌を入れ、ともきの舌に絡ませる。
 ともき、目を丸くしつつ、されるがまま。しばらく、美咲はともきの舌を吸う。
 と、いきなり美咲、ともきに抱きつき、
美咲「もう我慢できない」
ともき「??」
 何を思ったか、立ち上がる美咲、ともきの前に仁王立ちになるなり、ダッフルコートの前を開ける。コートの下は――なんと、全裸。
ともき「!!!!!」
 驚くともき、美咲の痩せた体に釘付けになるが、すぐに顔を背けて、
ともき「えっ、ちょ。ちょっと、美咲ちゃん!」
 両手で顔をガードするように目を背けながら、なんで裸?? さっき食事したときはたしかコート脱いで下に何か来てたはずなのに……あれ、いやあのときコート脱いでなかったっけ。いやそうじゃなくてなんで裸……と混乱。
 おとなしそうに見えた美咲、頬から耳の先まで赤くしながら、いやに艶っぽい視線でともきを見つめ、はあと息を漏らし、
美咲「もっと見てぇ」
ともき「えっ」
 硬直するともきにまたキスし、ベンチに深くもたれると、股をぱっくり開けて、
美咲「もっと見て。見て見て見て!」
美咲、触られてもいないのに美咲の下はぬらぬらと濡れ、街灯の光を反射。
ともき「えっ、ええっ」
 お化けに驚く子供のように、ともき、おたおた。後ずさりしてベンチから地面にどしん。尻もちをつく。
美咲「は〜あたし、ともくんに見られてるぅ。見られて感じちゃってるよぉ」
ともき「ちょ、ちょっと……! 美咲ちゃん声大きいよっ」
 ともき、頭が沸騰しそうに熱くなりながら周囲を見渡す。幸い人影はいないが、遠くのほうから人の話し声。美咲の喘ぎ声にまぎれて、声はだんだん近づいてくる。
美咲「やらしい美咲を見て! ヘンタイって言って!」
ともき「み、みみみ、美咲ちゃんっ。しーっ、ね。ちょっと、服着てよっ」
 ちょっと泣きそうなともき。あわてて自分のダウンジャケットを脱ぎ、股を広げて喜ぶ美咲に頭からかぶせる。
 美咲、ホラー映画の幽霊のようにダウンジャケットを被ったまま、四つん這いでベンチから降り、はいはいしてともきに迫る。美咲、ともきの両足にしがみつき、にへらと笑いながら
美咲「ねえ、ここでしよう」
 ともきの股間をまさぐる。ともき、美咲の手を掴み、
ともき「だ、だだだめだよっ。誰か来ちゃうって」
美咲「いっぱい見てもらお。あたし、いっぱい感じちゃう」
 美咲、とろんとした目でともきのジーパンのジッパーを下ろし、中に手を入れる。器用に手をもぐりこませ、ともきの性器を握る。ともき、美咲のひやっとした手の感触を感じ、
ともき「うわあああああああああああっ」
 美咲を突き飛ばすと、叫びながら遁走。方向の見当もつかず御苑の中を走り走り、走りまくり、木陰のすみに逃げ込む。震えながら木の影からそっと後ろをうかがう。が、美咲が追いかけてきている様子はない。
 汗なのか涙なのか、よくわからない水滴を袖でぬぐい、ふと股間がスースー涼しいことに気づくともき。下を見ると、ジッパー全開でトランクスが見えている。
ともき「!!!!!!!」
 あわててジッパーを閉めるともき。驚きと恥ずかしさで両手で顔を覆ったまま、しばらくその場にうずくまり、動けず……。
 自分でもどれほど時間が経ったかわからず。しばらくうずくまっていたともき。
ようやく立ち上がり、木陰から出て美咲の姿を探そうと、先ほどいたベンチに戻るが、美咲の姿はなく……。
×××
せしる「……」
瑛心「……」
 2人とも絶句し、呆然としている。
 せしるは顔をほのかに赤らめ、普段無表情の瑛心も口をあんぐり開けて。
ともき「……」
 ともきは乙女のように恥ずかしがり、両手を顔を覆う。
せしる「それ、冗談やろ」
 せしる、乾いた笑い声を漏らす。
 首を横に振るともき。
せしる「……」
 ずーんとお通夜のように黙り込む3人。気まずい。
せしる「……マジなら、ともきが逃げるのも当然やな」
瑛心「(神妙な顔でうなずく)」
せしる「(少し瑛心を疑うような目で)ジブン。知ってたんか」
瑛心「何をです」
せしる「(舌打ちし)言わすなや。……女のヘンタイ趣味や」
瑛心「いえ」
せしる「そりゃそうやろな。なんぼ我が道を行く瑛心でも、露出狂の女を友達に紹介するほど、アホちゃうよな」
 せしる、どっと疲れたように深い深いため息を吐いて、すっかりしょんぼりしているともきを見て、
せしる「大丈夫か……?」
ともき「ぼくはいいんです、そもそもぼくが、そういうの初めてで驚いちゃったが悪いんで……」
せしる「んなことあるか。なんぼ経験ない言うて、ヘンタイ趣味に付き合える奴なんて、同じヘンタイしかおらんわ。ぜんぶ向こうが悪いんや。ともきに逃げられるんも自業自得や。ざまあや」
ともき「……」
せしる「(ともきの肩に手を置き)もう、終わったことや。気にすんな。そのまま別れるんが正解や。な」
ともき「……(うなずく)」
 せしる、ビールをあおる。隣でコーヒーを飲んでいる瑛心に、
せしる「瑛心。ちゃんと謝らんかい。ヘンタイ紹介してすまんって」
 隣の瑛心をどつくせしる。
 瑛心、ともきを見て
瑛心「悪かった」
せしる「誠意こもってたか? ちゃんと謝っとき」
瑛心「はい、すみません」
 せしる、ビールをごくり飲みほし、
せしる「なんか頼むか、お腹減ったか」
ともき「大丈夫です、ありがとうございます」
 せしる、うなずき、ちょっとトイレ、と席を立つ。
 ともき、せしるが席を離れたのを見て、
ともき「……瑛心。あの、あとでちょっと相談したいんだけど」
瑛心「?」
ともき「……(口ごもる)」
瑛心「美咲なら、お前には二度と連絡しないよう言っておく」
ともき「違うんだ。ちょっと別でさ……」
瑛心「?」
 顔を突き合わせる2人。小声で何かしら話すともき。
 トイレに入ろうと扉に手をかけたせしる、そんなともきを心配そうに見ている。
――本編につづく

コメント(1)

もときの瑛心に「相談したいこと」の内容がとても気になります。にしても、御苑でデート中に、相手の女の子を突き飛ばして叫びながら遁走とは、男の風上にも置けない最低の馬鹿ですね。

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