ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

chopstick undergroundコミュのコールナンバー

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


チボマット/デジャブ

http://youtu.be/EmPjwYhORq0




真夜中をすぎたあたりからベルボーイの男はおしゃべりに夢中で、あることないこと、噂話のそのまた噂を、尾ひれたっぷりにしゃべり続けた。背の低いポーターと黒人のタクシードライバー、インフォメーションの痩せた女が聞き役で、人の出入りの少ない平日のホテルのエントランスは、コーヒー7杯と煙草のけむり16本ぶんの、真夜中のにおいがした。
はじめに銃声がして、窓ガラスの一枚が蜘蛛の巣のようにひび割れると、コーヒーを持ったポーターが後ろ向きにそのまま倒れた。不意に動いた空気のなかにこぼれたコーヒーのにおいが混ざった。どうやら、知りすぎてしまったらしい。月の高い夜だったから、ベルボーイのおしゃべりに秘密が混ざったのだ。そんなのよくあることさとおどけた黒人の頭が斜め後ろに吹っ飛んだ。今度は銃声よりも早かった。床にのびてしまったタクシードライバーの褐色の肌が、緑色から黄色に変わって、だれもがイエローキャブだ、そう思った。見えないギャングたちに包囲され、銃で脅され、次はおまえの番だと犬が吠えたてると、ずっと愛してるって叫ぶよりも断然はやく、ベルボーイの心臓に矢が刺さった。そのまままっすぐ、ベージュのソファセットにめり込んだベルボーイは、だけど安らかな寝顔のように満ち足りた表情だった。誰しも、秘密めいた独白に鍵をかけている。ベルボーイの報われない恋は一瞬でも外に出ることで、カタルシスを見たかもしれない。インフォメーションの痩せた女は、昨日見た映画を思い出した。ひと気のない深夜のテレビで、それは誰のためでもなく、痩せた女のためだけにある独白のデジャブだった。女は痩せた指でカウンターの下の受話器を取ると、次のデジャブは始まっていた。
「コールナンバー73を回す、五回コールしたあとにつながる男に要件を言えば、ファット モーとリー カーティスがダイソン最新式で掃除に来る。遺体を袋につめたり、コーヒーを飲んだりして朝まで過ごす。退屈しのぎに煙草を吸って、誰かがカードでもやらないかと言う。そんなことより面白い話があるんだ、ベルボーイがしゃべり始めると背の低いポーターと黒人のタクシードライバーが紙巻きの煙草を吸ってわたしはまたデジャブの中にいる」

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

chopstick underground 更新情報

chopstick undergroundのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング