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chopstick undergroundコミュのリチャード ブローティガン/芝生の復讐

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時に人生は、カップ一杯のコーヒーがもたらす暖かさの問題。



リチャード ブローティガン/芝生の復讐


好きな詩人を五人挙げろ、と言われたらまずブローティガンの名前が思い浮かぶ。
あとの四人は日替わりランチみたいに、お腹のすき具合とコンディションによってオーダーが変わってしまいそう。

わたしの適当さときたらそんなもんだ。


1950年代後半のアメリカは、それまでのアカデミズムから反転して内省の時代にさしかかっていたように思う。
そんな時代の状況下でビートニク、ビート文学はうまれるべくして最初の産声をあげた。

ギンズバーグ、ケルアック、バロウズ。

彼らの詩や小説は、内省の時代の到来を予告しながら、1ページ目の言葉は麻薬で埋め尽くされていた。
それは現実認識の方法論としてしばしば語られる文学となり、1960年にベトナム戦争へと走る当国の政治を批判するヒッピーと呼ばれた革新的な若者の読者を中心に、絶大な支持を受けて文学運動へと発展して行った。
この時代に発表された新しいタイプの小説、ヒッピーたち、そして彼らが愛した詩文学は総称して、「ビートジェネレーション」そう呼ばれた。
後に世界中の文学や音楽や映画に飛び火するビートジェネレーションは、アメリカ発の時代の称号として今もかがやいている。

リチャード ブローティガン。
彼もまたこの時代に愛された、ビートジェネレーションを代表する作家である。

だがブローティガンの詩小説は、前述のビート文学とあきらかに毛色を違えて、ビートの特色である過激さ、先鋭かつ攻撃的な前衛の表情は皆無である。
ブローティガンのライフワーク「アメリカの鱒釣り」とその系譜であり続編の「芝生の復讐」は、孤独な夜に染み入ってくる一杯のコーヒーのように、あたたかく、喉を滑る。

二冊とも小説、というジャンルだが一編が2、3ページで構成される散文詩集に近い味わい。
時に原文以上、とうたわれる藤本和子さんによる名翻訳で、万華鏡のようにひらくイメージとやわらかな筆至の極北を。

時代とともに世を去っていったリチャード ブローティガンのいささか風変わりではあるが、確かな天分を落とし込んだ作品に、愛と敬意と冥福の花を、心に込めてここに記す。



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