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chopstick undergroundコミュのゆきのはな

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カレンへ


「時間という概念が嫌い」

待ち合わせに遅れるたび
おまえがそんなことを言っていたのを思い出す

あの頃
あまりにもルーズなおれたちは
時間を支配しているように錯覚したが
やはり年月の木枯らしにさらされ
ふしくれ
荒れた指先のような鈍い痛みが
今おれの手のなかにある時間の証明だ


そしてすべては
すべての痛みは
おれの手から離れ 遠ざかっていく

考えたり
あるいは 忘れたりをくりかえしながら
ちょうど陽当たりのよい場所と距離とに
置き去りにされた名のない絵本
ぼんやりとした曖昧なタッチの
形而上学的
わがままな神の描く曲線の途中で
かつて言葉だったものが言葉の
意味や形態を失うように



カレン

時は流れ
時間は書き換えられていく
おまえのいない時間と生活
おれのいない場所と距離
考えたことがあるか?
これは時間でしか癒えない傷のおはなし
名前のない絵本に描かれた
ちいさな暮らし
名前のない
猫のあしあと





相変わらずおれは
詩人みたいに酔いつぶれたり
誰彼かまわず電話をかけたりして
結局
呼吸して 飯を食って
こうして
ふいに立ち止まったりしているよ

あたまに白いやつが混じりはじめて
病気の女みたいに痩せぎすだったあの頃よりも
だいぶ腹もでっぱってきやがったけど
赤いスキニーと鋲のついたライダース ジャケットは
色がさめても まだ着ているよ
だけど時々冗談みたいに死にたくなるのは
寒さのせいかな?
吐く息が白いよ
さみしいって何色だい?




カレン

今年最初のゆきのはなが舞っているよ
見えるかい?
あの頃より
街はちいさく
色がさめて 縮んでしまったようにおれにはうつる
あの駅前のパスタ屋はもう潰れてなくなっちゃって
新しくできたコーヒースタンドから
見知らぬ匂いと音が 毎日毎日溢れてくるんだ
そしてそいつが
ばかみたいな空っぽの夕方を連れてくる

あの頃のおれたちみたいに
大きくずっと 手をふりながら
伸びた影をいくら歩道に並べてみても
ひとつ
おまえが足りない

カレン
会いたい




http://youtu.be/mF5Qq2YheTg



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