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紅い竜と四天王女コミュの策士の手腕11

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「ありがとうございます。ギーゼラ様にそのように評価されるとは、このアルシアス、何よりの賞賛の言葉より嬉しく思います」
 深々と頭を下げアルスはギーゼラの言葉に熱くなった。
「ギーゼラ様、互いに気持ちが分かったところで、一つお願いしたいことがございます」
「儂に出来ることなれば言ってくれ」
「では、単刀直入に申し上げます。兵一千をお貸し下さい」
「それは何故じゃ?」
「シャラントはすぐにでも戦が起こります。我が兵力ではザルム家には勝てないからであります」
 さすがに、この頼みにはギーゼラは渋面した。
 自身も多くの兵を所有している訳でもなく、易々と貸せるわけにもいかない。
 もし、大半が失ったり壊滅になってしまったら、自分が危ない状況になる。
 今は王がいなく混乱している。
 この機に乗じて攻めてくる貴族はいることは、考えなくともギーゼラには分かっている。
 渋るのはアルスにさえ分かっているが、それをあえて言うのは賭けでもあった。
「そのように弱腰なら、もう勝機は失ってはいるとは思うが?」
 ギーゼラは強きに出た。
 ここで甘く出たらアルスのためでもないと考えたからだ。
「勝てないからと思っているから、兵を借りようと言っている訳でもありません。勝ちたいから、兵を借りようとお願いしているのです。それに、シャラントを奪われれば次はヴィエンヌが狙われるのが必定。このヴィエンヌが天然要害な地であることは分りますが、兵法には兵勢と言う言葉があります。これは、勢いに乗った兵の力です。これがシャラントを奪った時に高まり、一気にその勢いのままヴィエンヌに攻め入ったらどうなります?」
「ここは守り抜けると儂は思う」
 ギーゼラは意地を見せた。
「たしかに、ギーゼラ様のお力とこの天然要害を利用すれば守れない訳でもありません。ですが、同時に守れると言う訳でもありません。兵勢とは文字通り兵の勢いです。シャラントを手にしたザルム軍が勢いと士気は高いです。守勢はその勢いに呑まれてしまうことがあります。そのような事態に陥ればギーゼラ様とて危機的な状況になるかと」
言葉を切り、アルスは一瞬だけ俯く素振りを見せた。
「儂とヴィエンヌを愚弄するのか?」
 さらに、ギーゼラは鋭い眼光をアルスに見せつけ圧を掛けて来た。
「ギーゼラ様やヴィエンヌの兵を愚弄しているのではありません。最悪、ヴィエンヌもシャラントの二の舞になる可能性もあると言いたいのです」
 アルスはギーゼラの眼光に負けじと、言葉一つ一つに誠意と威勢を含め話した。
(儂の言葉と眼に動じもしないとは。やはり、アルスは大きくなるな)
 ギーゼラの心が決まった。
「あっはっはっは。ここまで言われるとは思わなかったぞ。よう言った。アルス。お主に兵一千を貸そう。思う存分使ってくれ!」
 ギーゼラの高笑い部屋中に響き、快くアルスに兵を貸すと承諾した。
「あ、ありがとうございます。この恩は忘れません。ヴィエンヌの危機には必ず助けに参ります」
 アルスは頭を下げたまま礼を述べ、必ずヴィエンヌの危機には助けに行くと約束した。

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