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紅い竜と四天王女コミュの策士の手腕9

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「では、改めて問う。お前は部下になりたいと言ったが、その言葉に偽りはないか?」
「ございません。前にいた家でも見捨てられましたが、あなたにここで拾われました。この命はあなたの物です。あなたのために忠を尽します」
 その眼には一切の躊躇いや嘘偽りがないとアルスは判断した。
「わかった。お前を部下にしてやる。ただ、そんなに重くなるな。俺に不服や不満があったら、いつでも去っていい、それだけは覚えておいてくれ」
「離れるつもりはありませんが。承知しました」
「俺はアルス。よろしく」
「私はクレア・バートリと言います」
「よろしくな。クレア」
「よろしくお願いします。アルス様」
 アルスはクレアを買い、その場で部下とした。
 お人好しすぎるアルスだが、そこがアルスの魅力の一つでもある。
アルスは今着ている服は汚なく目立つと思い、彼女のために服を買ってあげた。
「ここまでしてくれて、本当にありがとうございます」
「気にするな。似合ってるぞ」
「そ、そうですか」
 頬を紅潮させクレアは照れる。
「俺はこれからここの領主と大事な話し合いがあるから屋敷に行くぞ」
「わかりました」
 アルスはクレアを連れヴィエンヌ領主ギーゼラ・バーデンベルグとの会談のため、屋敷へと向かった。
道中、クレアにバーデンベルクの屋敷に行く理由を言い、その経緯も話した。
 二人は門前に着き、アルスは門番兵に自身の身元と会談する趣旨を伝えると、門を開け通してくれた。
「いよいよだ。クレアは俺の傍に居れば良いから」
「はい」
 屋敷の造りは質実剛健を体現しているかのように、飾り気が無く堅実な作りである。
 庭を歩き辺りは綺麗な芝と、等間隔に植えられた木が立っている。
 花はまだ蕾の状態だったが、咲けば美しく庭を彩るだろう。
「お待ちしておりました。ギーゼラ様がお待ちしております」
 玄関前に初老の従僕が出迎えてくれた。
「ありがとうございます。この者は私の護衛役の者です。違う部屋に待たせてもらっても良いでしょうか?」
「畏まりました。私がアルシアス様をギーゼラ様の所へご案内します。彼女は他の者に別室へと案内させます」
「ありがとうございます。クレア。会談が終わるまで待っててくれ」
「分りました。ご武運を」
 クレアは頭を下げアルスと別れた。
 アルスは従僕の後ろを歩き、ギーゼラの待つ部屋へと向かう。
 屋敷の中ではなく外の回廊を歩いている。
 庭を見れば侍女たちが洗濯をしたり、咲き誇る花に水を撒いたりと仕事をこなしている。
(リュイも毎日こうして仕事をしているんだな。そう考えると侍女は大変だな)
 アルスは眼に映る侍女たちとリュイを重ねて見る。
 回廊の角を曲がりそのまま歩いて行くと、屋敷とは別に小さな建物が見えてきた。
(屋敷とはあそこの建物は廊下で繋がっているのか)
 アルスと従僕は離れの建物の方へと足を向けた。
 扉の前にたち従僕が扉を軽く叩いた。
「ギーゼラ様、アルシアス様をお連れしました」
「おおー。お通ししてくれ」
 扉越しから聞こえる声に従僕は扉を開け、アルスを中へと通す。
 部屋は落ち着きのある印象の部屋で、壁には綺麗な色彩と画風で描かれた海の絵が飾られている。
 その下に暖炉があるが今は季節ではないので焚かれていない。
「お忙しい中、このような場を設けて頂きありがとうございます」
「いやいや、アルヌルフ殿には世話になった。その息子アルスのためだ。当然じゃ」

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