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紅い竜と四天王女コミュの策士の手腕7

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広大な平地に川が二つ静寂な奏でを響かして流れている
 そこに広がる街々は、川を挟んで広がっている。
川には大きな橋が設けられており、荷馬車が行き交うほどの大きさ。
 街の交通網として重要な役割を担っている。
 川の周りには水汲みをしている者や、洗濯物を洗っている主婦が目立つ。
 街の街道では店が軒を連ねて商いをしている。
 露店がないのは、ここの領主の定めた法で露店は禁止されているから。
 街道を通っているのは荷馬車や世間話をする婦人、走り回る子どもたち。
 時おり、軍服を着た大柄な男が街を見回り歩いている。
ここでは、遠方から来た商人や奏者、芸団などは商いすることが出来ない。
町の西側には麦畑が広がり、東側は農場がある。
農場で飼われている家畜は牛が多く、牛のミルクで他の領地との交易で財を成している。
南側の奥に舌状に細く伸びた台地。
その台地の形に沿って石垣が周りを囲んでいる。
 高さは成人男性二人分の高さしかない。
 防壁を作るのには費用が掛かるため、そんなに堅固には出来ない。
 防壁の中には、櫓や防柵が設けられ守りを固めている。
櫓の上に守兵が一人、眼を光らせ広がる街と、その奥に広がる平地を睨んでいる。
門には二人の門番兵が槍を手に警備しているが、時折、あくびをかいていた。
台地の頂には土色をした屋敷が堂々と建っている。
 屋根の上には軍旗が風に靡いて翻していた。
 黒地に黄色の馬が躍動感あるように描かれている。
 馬はここ領主の紋章でもあり誇りでもある。
 屋敷は褐色の色彩で華美な所はない。
 回廊には等間隔に柱が立っている。
全部の柱の一部は削られ空洞がある。
その中には蟷螂があり、夜になれば火が付けられ回廊を照らしてくれる。
 ここの領主は屋敷の奥にある大きな部屋で一人、好物の蜂蜜酒を飲んでいた。
 名はフェリス・ザルム。
 肩まである金髪に顎には髭が少しばかりか目立っている。
 彼は今、一通の書状を見て不敵な笑みを浮かべていた。
 その書状はボナパルト家から来た書状であった。
「やっと、シャラントに攻め入る事が出来る」
 フェリスは長らくシャラントに攻め入ったが、悉く敗戦していた。
 名将アルヌルフに追い払われ勝った事がない。
 フェリスが弱い訳ではなく、アルヌルフが強かったのだ。
「ルイスです。入ります」
 扉を開け入って来たのは、ザルム家の軍師ルイス・ブレンカー。
 ルイスはザルム家より小さい貴族をことごとく見下し、逆に大きい貴族にはゴマをするような人物。
 戦略はまずまずだが、観天望気と占いには自身を持っている。
 観天望気とは、空の状況を確認し天気を予測すること。
 天気は戦を左右するほど大きく無視できない。
 彼はそれに長けており、占いでは攻め入る日にちと方角も決めてもいる。
「シャラントに攻め入ることが出来るぞ、やっと、シャラントは我が物になる」
「しかし、アルヌルフが居る限り勝てないですぞ」
「それについて、一つ面白い事が書かれてある。読んでみろ」
 フェリスはルイスに書状を渡した。
 眼を通すルイスの顔にもまた不敵な笑みが零れた。
「アルヌルフがいない事が本当なら勝てますぞ」
「あそこの一人息子は臆病だと噂を耳にしたからな。降伏でも促すのも手だ」
「それは、甘すぎますぞ。今までアルヌルフにやられてきました。ここは女子どもも根絶やしにして、シャラントを奪いましょう。弱く小さな所の民も使えませんから」
 ルイスはシャラントの土地を取る事しか頭になかった。
 人はどうでも良いと考えている。
「いや、使える者は使う。奴隷にでも出来るだろう」
「それなら分りました」
 フェリスの言葉にルイスは頭を垂れ了承した。
「出陣はいつがいい?」
 フェリスはルイスの占いに頼る。
「暫しお待ち下さい」
不思議な絵柄が描かれた紙の札をばらまき、一枚、また、一枚と引いて行く。
 普通に見れば当てずっぽうに引いているようにしか見えない。
 これは、彼が何らかの導きの下で引いている。
 フェリスも何も言わず真剣な顔で見ているだけ。
「出ました」
「いつだ?」
「三日後です。進路はシャラントの森を通っての進軍が良いと」
「あそこの森は迷うから進みたくないが、仕方ない」
 フェリスはシャラントの森の進軍は避けたかった。
 何度も進軍をしているが、フェリスは迷うことがある。
「すぐに戦支度を整えるようにしてくれ。三日後の早朝に出陣する!」
「分りました」
「あと、三日後の天気が予測でき次第、伝えてくれ。あと、スティードにも」
「畏まりました」
 ルイスは頭を下げ退室した。
「アルヌルフがいないシャラントなど弱い。勝てるな」
 部屋のベランダから街を一望するフェリス。
 その方角はシャラントの方角を見ていた。

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