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紅い竜と四天王女コミュの覚悟の決断9

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会談から三日後、アンドレはナポレオンの館に着いた。
 シャラントとナポレオンの領ニースは馬で三日掛かる。
「ナポレオン様。ただ今、戻りました」
「首尾はどうだった?」
 屋敷の大広間でナポレオンは大きな窓から景色を一望している。
 大広間は豪勢なシャンデリアが一つ、名門貴族の威厳を示しているかのように、天井から吊り下がっていた。
 壁には歴代のボナパルト家当主の肖像画が並んでいる。
 その顔に共通するのは、威風堂々と顔に覇気を宿している所。
「それより、一大事です!」
 いつになく冷静なアンドレが言葉を急かした。
「どうした?」
「アルヌルフ殿がいないのです」
「いない? どうゆうことだ?」
 背中でアンドレの言葉を受け答えしたナポレオンが振り向いた。
「定かではありませんが、この世にいないかと思います」
「何!?」
 その言葉にナポレオンは驚きを隠せなかったが憤りもあった。
「私はアルヌルフ殿の子息アルシアス殿と会談しましたが、彼の言葉が可笑しく」
「可笑しいとは?」
「私との会談があると事前に知りつつも、公用で出払っている事実に、アルヌルフ殿とアルシアス殿の意見が分かれている事実です」
「一つ目は分るが、二つ目は親子でも意見は分かれるだろう?」
「お考えください。別れているのなら、何故に自身が直接言わず子息であるアルシアス殿に言わせるのですか? アルヌルフ殿は我々の声明に賛同しない。アルシアス殿は賛同する意向でした。もし、アルシアス殿が父の意向を無視して賛同すると言ってしまったらという可能性はあったはず、それなのに、アルシアス殿に自身の意向を伝えるように言った。このような重大な事を言付けだけで済ませることでしょうか?」
 訝しんでいるナポレオンはたしかにと思い始める。
「では、たしかめてみるしかないな」
 ナポレオンの言葉の真意が分かったアンドレだが、すぐに、止めるべきと考えた。
「こちらから攻めるのは、今は無理です。名分がありません」
「誰が俺が行くと言った。おおかた返事を待つよう言われたんだろ? そのような所に攻め込んだら声明の賛同者が離れて行く。どこかの貴族にやらせる」
 ナポレオンはただの武勇強さが売りではない。頭の回転の速さも優れている。
「分りました」
 主君に名分が無い理由を言おうとしたが、先にそのことを言われてしった。
 アンドレは感服するしかなかった。
「ザルム家はどうだ? シャラントの隣だ。攻め入る理由などいくらでもあるだろう?」
「それは良きお考えであります。ザルム家に攻め入るよう書状で伝えます。理由は私が考えておきますので」
「頼む」
「はっ!」
 アンドレは報告と次なる手を打つため退室した。
「アルヌルフが死んでいたら張り合いがない。生きていろ! そのアルシアスという奴、こちらの名分を上手く削いだな。なかなかの者かもしれない」
 ナポレオンはまだ見ぬアルスを頭の片隅にその名を刻んだ。

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