西岡の雑誌図書館コミュの中西輝政「トランプが日本を覚醒させる」（月刊Ｈａｎａｄａ　２０１７年１０月号２９２～３０５ページ）

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　つまり保守派は、国内の左派をやっつけることに目を奪われ、彼らのような非武装中立派が「なくせ」と唱える日米同盟や在日米軍基地の現状も、条件反射的に「何より大事なものである」と信じ込むようになり、「日本の国益」という視点を放棄し、「アメリカの傘」だけを守ることに汲々（きゅうきゅう）とし、国家としての大局を見失うことが習い性になったのである。
　そしてこれまた言うまでもないことだが、たしかに戦後左派は頭はお花畑状態で見識も判断も根底から誤ってきたが、彼らも同じ日本に生きる同胞である。保守派にとって、左派といえど運命共同体の一員であることは間違いないにもかかわらず、保守派は、いまやはっきりと弱体化しつつある左派や反米派を「不倶戴天の敵」のごとく敵視し、「日本を守ってくれる（はずの）アメリカ」こそが無二の味方だと認識するに至った。
　いつしか、そうした日本の保守派はアメリカを外国と見做（みな）さなくなった。そう言っても過言ではない。国内の左派・護憲派との闘争、思想対決に視野を奪われてしまい、保守派はなべて「アメリカはどこまで行っても外国であり、あくまでアメリカだけの国益で動いている」こと、あるいは「アメリカといえども外国である」ことすらも見失うに至ったのである。
　どの国も、いかに同盟国を利用して自国の利益を確保するかを真っ先に考えて行動しているなかで、保守派のこの視野の欠如はまさしく「日本の不幸」としか言いようがない。しかもこの不幸な構図を作り出し、利用してきた張本人こそ、戦後のアメリカだったことも忘れてはならない。

（中西輝政「トランプが日本を覚醒させる」（月刊Ｈａｎａｄａ　２０１７年１０月号２９２～３０５ページ）２９９ページ）
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