西岡の雑誌図書館コミュの大西康之（取材・文）「ＮＴＴ廃止／大物官僚が目をつけた『巨大利権』・『原発』がだめなら『通信』があるじゃないか」（週刊現代／２０２４年３月１６日・２３日号）その１

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　「ＮＴＴはＧＡＦＡＭ＜グーグル、アップル、メタ（旧フェイスブック）、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト＞やアクセンチュアと肩を並べるＩＴサービス事業のグローバルトップ５を目指すべきなんですよ」
　自民党内でＮＴＴ法廃止への動きが始まった昨年夏、それに呼応するように自民党の有力議員を訪ね、熱心にこう説いて回る男がいた。
　ＮＴＴの柳瀬唯夫副社長。
　ついこの間まで、彼は経産省の官僚だった。しかも普通の官僚ではない。中央官庁で事務次官に次ぐポストである審議官まで詰めた大物だ。
　柳瀬氏は１９８４年に通商産業省（現経済産業省）に入賞。早くから次官候補の一人と言われ、麻生内閣では首相秘書官を務めた。
　’１８年、経済産業省審議官を最後に退官し、東芝クライアントソリューションの非常勤取締役に就任。’１９年にＮＴＴの非常勤取締役に移り、’２２年からは副社長執行役員（事業企画室長、経済安全保障担当、ＣＢＤＯ＝チーフ・ビジネス・デベロップメント・オフィサー）の重責を担っている。
　柳瀬氏は、経産省時代はバリバリの「原発推進派」で知られた。原子力政策課長だった’０６年８月に、政府の原子力政策の基本方針「原子力立国計画」を書いた人物だ。この時期、経産大臣だったのが、現在ＮＴＴ法廃止の急先鋒に立つ甘利明・前気民党幹事長である。柳瀬氏が「原子力立国計画」をまとめたこの年、その方針に呼応するように、東芝が米老舗原発メーカーのウェスチングハウスを約６０００億円で買収した。
　しかし’１１年の東電福島第一原発事故で「原子力立国計画」は白紙になり、そのシナリオで躍った東芝は後に海外原発事業で１.４兆円の巨額損失を計上するが、「日経ビジネス」にスクープされるまで東芝は粉飾でこの損失を隠し続けた。粉飾が発覚すると半導体事業の売却などの「解体」で債務超過を回避し、昨年９月にはついに投資ファンドに買収されて上場廃止になった。

（大西康之（取材・文）「ＮＴＴ廃止／大物官僚が目をつけた『巨大利権』・『原発』がだめなら『通信』があるじゃないか」（週刊現代／２０２４年３月１６日・２３日号）１０６~１０９ページ）１０６ページ）
https://www.amazon.co.jp/%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3-%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%92%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%96%E6%97%A5%E3%83%BB%EF%BC%92%EF%BC%93%E6%97%A5%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8-ebook/dp/B0CV79RWMY/ref=sr_1_1?crid=BH3QFLRW060H&dib=eyJ2IjoiMSJ9.Wlrh9g5AaAJyMGURhgcXwRhyL9b1TrE73D_4WpIuDRHZXFpfahcCqrqZpvVzQFvCtJON7h4B7ub4ioyWE7OZQftxBerYb7OhENS7VJeWRGI_kONmkhnqFFhv1dXn4C2uwsTrIQmBKO1Eh5j3VPyvnualH1arbFgds9GB1h4wg9md1rpiRSy5ocnXBL4X693jQgpfAYo0XN5RfAdQmdxG_I_tw4SySpbZHVSGMQmF08A.B84FvVvcbuuBrSHZ7TZUUa4VV4SeJoZdiXhmTn6E3TU&dib_tag=se&keywords=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3+2024%E5%B9%B4&qid=1710789591&s=books&sprefix=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3%2Cstripbooks%2C234&sr=1-1
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　「ＮＴＴはＧＡＦＡＭ＜グーグル、アップル、メタ（旧フェイスブック）、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト＞やアクセンチュアと肩を並べるＩＴサービス事業のグローバルトップ５を目指すべきなんですよ」
　自民党内でＮＴＴ法廃止への動きが始まった昨年夏、それに呼応するように自民党の有力議員を訪ね、熱心にこう説いて回る男がいた。
　ＮＴＴの柳瀬唯夫副社長。
　ついこの間まで、彼は経産省の官僚だった。しかも普通の官僚ではない。中央官庁で事務次官に次ぐポストである審議官まで詰めた大物だ。
　柳瀬氏は１９８４年に通商産業省（現経済産業省）に入賞。早くから次官候補の一人と言われ、麻生内閣では首相秘書官を務めた。
　’１８年、経済産業省審議官を最後に退官し、東芝クライアントソリューションの非常勤取締役に就任。’１９年にＮＴＴの非常勤取締役に移り、’２２年からは副社長執行役員（事業企画室長、経済安全保障担当、ＣＢＤＯ＝チーフ・ビジネス・デベロップメント・オフィサー）の重責を担っている。
　柳瀬氏は、経産省時代はバリバリの「原発推進派」で知られた。原子力政策課長だった’０６年８月に、政府の原子力政策の基本方針「原子力立国計画」を書いた人物だ。この時期、経産大臣だったのが、現在ＮＴＴ法廃止の急先鋒に立つ甘利明・前気民党幹事長である。柳瀬氏が「原子力立国計画」をまとめたこの年、その方針に呼応するように、東芝が米老舗原発メーカーのウェスチングハウスを約６０００億円で買収した。
　しかし’１１年の東電福島第一原発事故で「原子力立国計画」は白紙になり、そのシナリオで躍った東芝は後に海外原発事業で１.４兆円の巨額損失を計上するが、「日経ビジネス」にスクープされるまで東芝は粉飾でこの損失を隠し続けた。粉飾が発覚すると半導体事業の売却などの「解体」で債務超過を回避し、昨年９月にはついに投資ファンドに買収されて上場廃止になった。
　柳瀬氏は「東芝解体」のきっかけを作った一人と目されていただけに、経産官僚を退官した直後の東芝グループ会社への「天下り」は驚きをもって受け止められた。
　さらにそれからわずか１年後、今度はＮＴＴへと華麗な転身を果たした。　
　意地悪な見方をすれば、それまで経産省にとって「利権の源」だった東京電力などの電力会社と、東芝などの重電メーカーは東電福島第一原発事故で使い物にならなくなった。現状ＮＴＴは総務省の管轄だが、ＮＴＴ法を廃止して「普通の会社」にしてしまえば、経産省の縄張りに取り込むことができる。
　原発の次は通信ーーー柳瀬氏の転身にはそんな経産省の野心が込められているようにも見える。
　ＮＴＴ副社長になった柳瀬氏は冒頭のシーンのように、経産官僚時代と同じ様に自民党の議員を訪ね、懸命に「ＮＴＴ法廃止」の必要性を説いているという。

（大西康之（取材・文）「ＮＴＴ廃止／大物官僚が目をつけた『巨大利権』・『原発』がだめなら『通信』があるじゃないか」（週刊現代／２０２４年３月１６日・２３日号）１０６~１０９ページ）１０６〜１０７ページ）
https://www.amazon.co.jp/%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3-%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%92%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%96%E6%97%A5%E3%83%BB%EF%BC%92%EF%BC%93%E6%97%A5%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C-%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8-ebook/dp/B0CV79RWMY/ref=sr_1_1?crid=BH3QFLRW060H&dib=eyJ2IjoiMSJ9.Wlrh9g5AaAJyMGURhgcXwRhyL9b1TrE73D_4WpIuDRHZXFpfahcCqrqZpvVzQFvCtJON7h4B7ub4ioyWE7OZQftxBerYb7OhENS7VJeWRGI_kONmkhnqFFhv1dXn4C2uwsTrIQmBKO1Eh5j3VPyvnualH1arbFgds9GB1h4wg9md1rpiRSy5ocnXBL4X693jQgpfAYo0XN5RfAdQmdxG_I_tw4SySpbZHVSGMQmF08A.B84FvVvcbuuBrSHZ7TZUUa4VV4SeJoZdiXhmTn6E3TU&dib_tag=se&keywords=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3+2024%E5%B9%B4&qid=1710789591&s=books&sprefix=%E9%80%B1%E5%88%8A%E7%8F%BE%E4%BB%A3%2Cstripbooks%2C234&sr=1-1
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