親しいイギリス人の夫婦が居る。その夫婦が、アメリカで「ゴジラー1.0」を見た。そして、夫人が私にメールを送って来た。そのメールを読んで、私は、彼女の興奮ぶりに驚かされた。 このイギリス人女性は、非常に知的な人で、日本文化を深く愛し、日本を複数回訪れている。空手と居合道をたしなみ、日本料理を愛し、そして、夏目漱石や三島由紀夫を愛読。黒澤明や宮崎駿の作品をはじめとして、多くの日本映画を観て来た「超」が付く知日派の知識人である。 その人が、「ゴジラー1.0」を見て、長年の友人である私が驚くような興奮のメールを送ってきたのである。 音楽にも詳しいこの人は、「特に音楽が素晴らしい!」とも書いていた。とにかく、大変な興奮ぶりである。 YouTubeで検索すると、このイギリス人女性が「特別」ではない事がわかる。皆さんも検索してみて欲しい。主に、若いアメリカ人が、「ゴジラー1.0」を見て興奮し、熱く語っている。 「How "Godzilla Minus One" estroyed Hollywood」(いかにして『ゴジラー1.0』はハリウッドを破壊したか) 「Godzilla Minus One Proves Hollywood is Stupid and Awful」(『ゴジラー1.0』は、ハリウッドが愚かで恐ろしいことを証明する) 「Godzillaーwhy Minus One Succeeded Where Hollywood FAILED」(ゴジラーーなぜー1.0はハリウッドが失敗したところで成功するのか) 日本映画が海外で反響を呼ぶ事は、何も新しい事ではない。黒澤明監督の映画『羅生門』(1950年)に始まって、日本映画は世界中で、特に欧米で多くの人々に賞賛され、世界に影響を与え続けてきた。『ゴジラー0.1』もそのひとつだ。だが、今回は特別だというのが、私の印象である。YouTubeで、そうした海外の人々の声、特に強調して言うが、若いアメリカ人たちが「ゴジラー1.0」を絶賛しているのを聞いているうちに、私は今回の『ゴジラー1.0』がアメリカ国民に、特に若い世代に与えている衝撃は、「異次元」のものだと思うようになった。 2016年に『シン・ゴジラ』が世界各国で公開された時とは全く違う、まさしく、「異次元」の反響なのである。これは、「羅生門」(1950年)以来の文化的事件なのではないか?私は、いま、そう思って居る。