ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

テニプリファンタジー小説コミュの(第58章)(後編)(テニプリファンタジー)「精霊」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
雨が降っているのだが、嵐の割には雨量が多く風も強い。

以前嵐を経験した堀尾ではあるが、この降り方異常だ。

その時、ついに異常が現れた。
警報と共に、黒部の声が響く。
「緊急連絡!選手諸君並びに雑用係の3名は、至急避難してください!繰り返します!」

この事には、既にオルガや皆も気付いたらしく、皆がそれぞれの夢に帰って起きてみると、外は冠水し、水が扉の中にまで入ってきていた。
「み、水が〜!」
堀尾は急いで逃げようとするが、水かさは増すばかりで、一向に収まらない。そればかりか、風は窓を突き破り、そこからも水が流れ込む。

この異常事態には、皆は2階へ避難し、1軍の選手は、なんとか水を止めようとしていた。

跡部達はかけつけると、すぐに指示を出した。
「鳳は風を止めて、忍足は水を誘導。慈郎はこの天気を」
「はい!」
皆はそれぞれ散り、侑士は水の精霊に願って水をせき止めようとした。

だが、なかなか止まらず、必死に願っていると、半漁人が現れ、水を逆流させて外へ追い出した。
「お前、こんなパワーもっとたんか」
「オレ、モトモトセイレイサマ、ニチカラモラッタ。イマハ、コノミズクイトメルノガサキ、オマエニコレヲワタス」
と、出してきたのは、三又の槍のようなものだった。
「なんやこれ?」
「ソレ、セイレイサマガツクッタモノ。ソレデミズノナガレ、カエルコト、デキル」
「分かった」
侑士が、三又のやりをその水に突き刺さすと、付いていた宝石が反応し、動きを止めた。
「なるほど。こういう事かいな」
彼は次に槍を、合宿所の外に向けて振るうと、水が逆にながれだし、暴れていた水が、一気に外に流れ出た。

風を制御しようとした鳳も、かなり苦戦をしいられた。
「グウ〜!・・・風の勢いが強すぎる、・・・俺の魔力が通用しないなんて」
「鳳さん。これを」
リースが出したのは、てっぺんが輪っかの様な形をした杖で、中心部に緑色の宝石と、金や様々な装飾が施された、かなり高価な物だった。
「リース。これは?」
「風の精霊を操る者が持つ者です。本来なら、もう少し早くお渡しすべきだったですが、今は致し方ありませんそれで、風の力を操るのです」
「分かりました。風よ、怒れる風を押し戻せ!」

彼が杖を振るってそう言うと、暴風雨は凄まじい勢いで合宿所から出て行った。
「よし、残りは慈郎か」
「こっちは終わりました。俺、手伝いに行きます!」
「待ちや鳳。俺もいくで」
侑士と鳳が飛び出すと、皆はそれを黙って見ていた。

宿舎内の水と風はなくなり、皆は後片付けをしていた。

一方慈郎の方は、天空の杖を使い、全ての暴風を停止させ、雲を祓いのけた。

だが、どうもおかしい。慈郎の目から、光が失われていた。

今にも地面に落ちそうな彼を見つけた鳳と、侑士が慈郎を捕まえた。
「慈郎、慈郎! しっかりするんや!」
「まさか、越前君の時みたいに・・・」
「アホ。くだらん事いうなや。まず丸井とオルガに様子みてもらおう」
「そうですね」

2人が慈郎を連れ帰ると、すぐさまブン太が治療した。
「これでしばらくは動かさない方がいいだろい」
「確かに。天の力は、俺達の中でも、かなり強力ですから、その分、負担も大きかったのでしょう。今は、ゆっくり休んでください」
鳳はそう言いながら、慈郎の自室の部屋のベッドで休ませた。

その後彼等は片づけの手伝いに行き、慈郎はリースとマティーヌに任せた。

そして、念の為、マティーヌがコアに近づいてみると、やはり、彼女がいた。
「いけない。また彼女がいます」
「リョーマさんを怪物化させた、あの彼女ですね。私、鳳さんに知らせて来ます」

彼女が、鳳達に事情を話すと、すぐさま慈郎の部屋に行くが、既に姿がなかった。
「大変だ。もしも芥川先輩があんな事になったら」
「ああ。あんな惨事ではすまへんで!」

この時、2人は気づいていなかった、跡部と弦一郎がいない事に。

慈郎は、目の光を失ったまま、空を飛び、合宿所の上空で、巨大な雷雲を発生させていた。
「あれってまさか」
「プラズマブレイカーを使う気じゃ〜」
「・・・えーい!」
「菊丸。どこ行くの?」
ラティエルが下から呼ぶと、彼は答えた。
「あの技は、雷を使って行う技。だとしたら、俺なら受け止められる。雷の精霊の俺なら、きっと止められる。」

プラズマブレイカーはかなりの高密度の雷の塊になる。

このまま発射すれば、どうなるか、分からない。

それを止められるのはh、雷の力を持つ自分だけ。

彼はそう考え、プラズマブレイカーの元まで飛ぶと、その力を自分の中に吸収させた。
「・・・・・」
「グウウウウ」
超高密度の雷を、一気に体の中に取り込むのには骨が折れる。

だが、彼は慈郎を救うため、必死で頑張った。

一方彼の体内でも戦いが起きていた。

やはり先日のグレイニティがそこにいた。
「越前の次は慈郎か。お前、よっぽど趣味が悪いとみた」
「あ〜ら。いつもキングだキングだってえばってるわりには、あの子に負けたのは誰だったかしら?」
「テメエ。相当昔の事でうるさい奴だな。そういうのをババアっていうんだよ」
「さっさと彼の体から出て行ってもらおうか?」
「い・や・よ」
「なに?」
「だってこの子、天空の精霊にしては、力を使いこなせていないじゃない。だから、私が彼をヘルプしてあげたいの」
「ヘルプだと?」
「これだけ大きな力を持ったのに、彼ってばめったに戦わないじゃない。だから、私がその力を使えるようにしてあげるの。すっごい事になるわよ〜」
「そんなもん。慈郎は望んじゃいねえ。大体、あいつがこの力を得たのは、本当に偶然だ。それを選ばれたとか、そういう風に解釈するのはやめてもらいたいな」
「偶然にしては、ちょっと出来すぎじゃない?」
「それが偶然って奴だろ?さっさとこの体から外に出ろ。このままここに居座るってんなら、容赦はしねえぞ」
「無論だ。行けるな?クオー」
「クオー!!」

2人のやる気を見た彼女はニヤリと笑う。
「面白い。なら、今回は、100%で行かせてもらう」
と、彼女の魔力が一気に上がり、周りに負のオーラをまき散らす。
「来るぜ!真田!」
「言われずとも分かっている。ただ、この状況を、奴等が知ってくれればいいのだが。
「気付くだろう」

跡部の言うとおり、やはり、鳳達は気づいていた。マティーヌを使って、慈郎の体に入った事を。

だが、当の慈郎は操られ、雷を降らせようとするが、それを菊丸が、ボロボロになりながらも受け止めていた。
「ハア、ハア、ハア・・・・う・・・・な、何とかしなくちゃ・・・・あ、芥川・・・目を覚まして・・・・君の力は・・・・こんな事に・・・・使っちゃいけないんだ・・・・」
菊丸は必死に慈郎に呼びかけ続けた。

一方内部でも、すさまじい戦いが続いていた。100%の力を解放した彼女のスピードは半端なく早く、追いつけない。

2人がかりなのに、彼女のスピードを目で追う事しかできないのだ。

これを見た跡部は覚悟を決めた。
「あれをやるしかねえな!跡部キングダム」
彼のその技は、たとえ早く動いていても、すぐに場所が特定でき、先回りする事も可能になった。

この突然の攻撃に、彼女は驚いた。

まさか自分のスピードに付いてこられるとは思わなかったのだ。
「まさかこの私の場所を特定する眼力を持つとは。さすが氷の精霊に選ばれただけの事はある。けど、どんなに攻撃したって、この子の前では・・・あう!」
コアの前に周り、攻撃出来ないようにしたと思ったのだが、いきなりダメージを受けた。
「な、何!?」
「俺の存在を、忘れてもらっては困るな。マティーヌ聞こえているか?今から元凶を外へ出す。陣を用意しろ!」
「はい!」

マティーヌがすぐさま陣を形成すると、そこから、グレイニティを連れた弦一郎と跡部が出てきた。
「もう逃さんぞ!」
「私は人の中に入り込める。アンタなんか・・・に!」
と、いきなり跡部がアブソリュートを使い、彼女を凍らせた。

そして、ボロボロになった彼女が消えると、魔法が解除されたのか、慈郎の目が正常にもどり、雷が止んだ。
「止まった?」
「成功したんでしょうか?」
「ようわからんけど、慈郎が心配や。行くで、鳳」
「はい!」
地面に落ちそうになる慈郎は侑士が。
菊丸は鳳がそれぞれ捕まえ、二人はすぐに医務室に運ばれた。

2人とも、かなり悪く、命を削っている為、予断を許されない状態にあった。

しかも菊丸は、ずっと地上に落ちようとしていた雷を受け止めていた為、慈郎以上に悪く、ところどころ服が避け、皮膚が焦げていた。

慈郎の方は、内部を傷つけられ、無理やり力をひっぱりだされた事によるダメージで、こちらもかなりひどかったが、ブン太がすぐに治癒魔法で治してやり、鳳も手伝う。。

そして、そんなバタバタした状態の中で、雲は去り、美しい夜の夜景が広がってきた。
「ああ、もうそんな時間かいな」
「それじゃ、俺は戻らせてもらうぜ、なんだかさっきから目が疲れてる・・・インサイトを使いすぎた・・・」
「俺も、クオーを休ませてやらんとな」
「ク〜」
「疲れたか?クオー」
「ク〜ク〜」
「俺の心配をいてくれているのか。優しい奴だな」
「ク〜」
と、クオーは弦一郎の中に消え、彼も少しふらつきながら、部屋に戻った。

こうして、どうにか事件は解決された。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

テニプリファンタジー小説 更新情報

テニプリファンタジー小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング