ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

テニプリファンタジー小説コミュの(第55章)(前篇)(テニプリファンタジー)「宮からの罠」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
テニプリファンタジー

「宮からの罠」

それは、いつもの夜の事だった。

今日は、少し肌寒く風が葉に当たり、ガサガサと不気味な音をならし、空もなんだがどんよりしていて、薄気味悪い。

そんなさなか、白石蔵ノ介は、1人合宿所の中を歩いていた。

今は、同室だった幸村精市が一軍に行ってしまい、今は不二周助と2人だ。

その不二とのポーカーに負け、2人分の飲み物を買おうと、階段を下り、ジュースを買った辺りで、異変が起こった。

なにやら白くキラキラ光る霧の様な物が立ち込め、彼の意識はそこで途絶えた。

彼はその場にジュースを落とし、フラフラとどこかへ歩きだした。

そして、その先には、牛車があり、数人の平安時代の役人らしき者達がおり、白石に触る。
「お〜姫よ。彼です。彼こそが、悪魔を鎮めた、伝説の民にございます」
「ほー」
と、牛車に乗っていた12色の着物を着た女性がふわりと浮かび、白石のもとに降り立つ。
その背丈はほぼ白石と同じで、その着物から出た白い手が、彼に触れると、突然ぐらりと傾き、彼女に全てを任せているかの様だった。

一方不二の方は、白石を待っていたのだが、妙な胸騒ぎがして、自販機の傍にいくと、2本のジョースが落ちており、白石本人を探すが、どこにも見つからない。

こんな時間に、白石が居なくなるなんて、これまでなかった。

不二は必死で探し、まさかと思い、遠山金太郎の部屋を訪ねたが、来なかったと帰されてしまったが、白石に何かあったのかと聞き、事情を知った金太郎は、探すのを手伝ってくれた。

不二は思い切ってモニタールームを訪ねた。

ここなら、何か分かるかとおもったのだが、突然電源が落ちて、復旧作業中だと言われて帰されてしまい、困った不二は、菊丸に相談しようと部屋を訪ねると、慌てた彼の状態を見て、何か有ったのではとすぐに分かってくれ、念の為、跡部を起こして、まずは居なくなったであろう場所を、リースに調べてもらった結果、驚きの言葉が返ってきた。
「おそらく、白石さんは、ここで誰かに襲われたのでしょう。それも、かなり高等魔術の使い手とする何者かに」
「どうして白石が?」
「そこまではなんとも言えませんんが、ただ、誰でも良かったというわけではないようです。もし、本当に誰でも良いのであれば、もっと広範囲に起きるはずです。それがここだけという事は・・・」
「敵の狙いは、最初から白石に有ったって事か」
「でも、どうして白石が?」
「その辺を調べる必要がありそうやな」
「・・・白石」
「今日は一旦解散だ。それと、一応念のために、不二は忍足の部屋に泊れ」
「・・・分かった」
「え〜なんで俺んとこじゃないの〜?」
「てめえの部屋にはラティエルがいるだろ」
「あ、そっか」
「とにかく戻るぞ」

こうして一行が解散になった後、不二は必要な物を持って、侑士の部屋に泊まりに来た。
「今晩は。お邪魔するね」
と、みんなに挨拶すると、とりあえず、不二は下のベッドで眠るが、まだ白石の事が気になっていた。

一方その頃、白石は、完全な催眠状態となり、パンツと着物を着せられた状態で、ある術を受け、巫女の間に入ると、陣の上に正座させられ、光りが白石から出るたびに、彼は弱っていくが、まったく気付いていない。

そして、役人の1人が言った。
「フム。やはりこの器は邪魔だな」
「確かに。この器を取らねばならぬ。完全体となる、あの方の為に」

そして、役人2人はある者に相談に行った。

その者は、長いローブと、王冠を付けた、髭の長い人物だった。
「いかがでしょうか?リー様」
「フム」
リーと呼ばれたその男は、白石の体や魂を調べる。

彼、リー・シャンユーは、白石を検分し、答えを出した。
「やはり、この者の器は、まだ現世にある。完全に分離させねば、あの方との融合は無理じゃ」
「分かりました。ですが、その者の体はどこへ?」
「現世に捨てておけ。ただし、邪魔が入らぬようにな」
「ハハッ」

そして翌朝、不二はなかなか寝付く事が出来なかったのか、大きな欠伸をしながら起きてきた。
「フア〜」
「やっぱり心配やったんか?」
「あ、うん。なんだか、大石を思う、英二の気持ちだよ」
と、彼がジャージに着替え、部屋を出ようとしたその時、
「大変だよ〜!」
と、菊丸が飛び込んで来た。
「朝の早ようからうるさいな〜。どないしてん?」
「し、白石が・・・コートに」
「え?」
「何やと?」

2人が行ってみると、確かにシャッフルマッチが行われるコートに白石があおむけに寝かされ、その下には不気味な水色の陣があり、
さらにはそれにバリアが貼られ、その先には空しかないが、明らかに別の空間に繋がっていた。
「白石!」
「アカン不二」

慌てて謙也が止めたが、それもそのはず、バリアにはじき飛ばされてしまったのだった。
「うわ!白石! 白石!僕だ不二だよ。気付いてくれ!」

不二は必死に叫ぶが、白石からは何の返事もなく、ただそこに寝ているかのようだった。
「一球入魂!」
鳳が放ったネオスカッドサーブでも、そのバリアには傷一つ付かなかった。
「やっぱり、テニスじゃ、ダメみたいですね」
「となりゃ、こっからは俺達の領域だ」
「え?」
不二がどういう事と聞こうとした時、皆の服装が変わる。
「リース、バリアに穴を!」
「はい!ですが、あまり時間は持ちません」
「分かりました!」
「みなさん。繋がっていきましょう。そうすれば、少しは短縮されるはずです」
「了解だ!」

こうして、鳳、侑士、跡部、慈郎、ブン太、菊丸、ラティエル、リョーマ、弦一郎は、白石を奪還する為、その世界に乗り込んだ。

一方残され、見ているしかない状態の切原赤也と遠山金太郎は、何もできない自分が悔しかった。

自分もあんな力が欲しいと願いながらも、今日も練習がある。

皆はそれぞれ練習に向かいながらも、いつも以上に気合の入る金太郎に、鬼十次郎が話しかけてきた。
「おい、そんなに焦って、何をしている」
「決まってるやん!練習や練習!こんなとこで立ちどまっとるわけにはいかへんやろ」
「だが、お前のその練習は、あせりを感じる」
「え?」
「もしかして、白石の事が心配か?」
「当たり前や。白石の事、心配ないわけないやろ!」
「そんなに白石が心配なら、なぜ傍にいてやらない」
「ワイかて、白石の傍におりたい。けど、なんやバリアが貼られてて近づく事さえできひんのや」
半分涙ながらに言う金太郎に、鬼は何も言ってやれなかった。

テニスでどうこうできる問題でないのは聞いている。

鬼は無言で、天に伸びるそれを見つめた。

後は、跡部達の帰りを待つしかないのだ。

そして、跡部達の方は、ようやく白石が囚われている世界に着いたが、あの光りは白石本体を繋ぐというより、白石本体から、何かを抜き取る為の物だった。
「あれ?おっかしいな〜? 白石から来たのに、白石居ないよ〜」
「どうやらあいつは、単に、現世の白石と、こっちの白石を繋げる為の物でしかなかったって事か」
「それじゃあ、白石さんは、どこに?」
「とにかく、手分けして探すしかねえだろ。何しろ。ここは相当でかい屋敷の様だ。面倒だが、ばらばらになって捜すしかねえ」
と、周りを見ながら言う跡部に、弦一郎は、
「では、チームを組むと言うのはどうだ?」
と言った。
「なるほど、下手な奴に出くわすと、対処ができねえからな。よし、ではまず、グル―プを決める。俺とは、鳳、ラティエル。
真田は、慈郎と丸井、そして、越前とは、菊丸と、忍足と組め。何かあったら、すぐに知らせる様に。以上だ」
「なんかしきってますね。跡部さん」
「ま、一応部長やからな」
「よし、とにかく人選は決まった。それぞれ別れるぞ」
と、跡部は、屋敷の中を見て回る。

そして、道が3つに分断している所が有った。
「ここからだな」
「何かあったら、すぐに知らせる様にするんだ」
「ほな、皆気いつけてな」

3方向へ別れると、何のための屋敷なのか、さっぱり分からなくなってしまった。
「でも、この屋敷って、一体何のために・・・」
「跡部さん?」
「何か居やがる」
「え?・・・あ、ホントだ。私達の他に、誰かいる、地面が、そう伝えてるもん」
「そっか。ラティエルは大地の精霊だから、音や気配を感じやすいんだね」
「うん。いるのは4人。こっちに向かって来てる」
「鳳、奴等を確認したら、風でそいつらを捕まえろ」
「捕まえるってどうして?」
「白石の居場所を聞き出すんだ」
「でも、相手が白石さんの事、知ってるんでしょうか?」
「知らなくても、ここに連れてこられた人間と言えば、わかるだろう」
「知っていれば、ですけどね」

そして、例の足音の主が現れた、皆ハンニャの面をかぶって槍を持ち、こちらに突撃してきた。
「鳳!」
「はい! 風よ。悪しき者たちを捕えよ」
すぐさま風が反応し、其の4人に風がまとわりつき、拘束した。
「うおおお!」
「な、なんだこれは!」
「う、うごけぬ!」
「何かが、体に巻きついて・・・」
「なんでしょう?この人たち、なんか服装が、平安・・・戦国時代の役人の様な」
「フン。そんな事はどうでもいい」
と、1人の面を外すと、意外な事に頭蓋骨が出てきた。
「キャー」
「な」
「なるほど。ここの奴等は、みな人間じゃねえって事か」
「カカカカカカカ」
何か言う骸骨に、跡部は面を戻してやると、
「よくも我らの秘密を!生かしてはおけぬ」
「フン。拘束されたその状態で、何ができると?」
「!跡部さん!離れて!」
「ア〜ン?」
「鳳が叫ぶと、何やら青い剣が突然飛び出し、危うく跡部に刺さる寸前で、彼は避けた。
「こいつら!」
なんと彼等は、鳳の技を壊し、青い剣を持って襲いかかってきた。
「皆凍んな! アブソリュート!」
この技には、さしもの相手も、みんな真っ白になり、ボロボロと崩れた。
「今度の相手は、一筋縄じゃいかねえ様だな」
「ええ。まさか、俺の技を破るなんて・・・」
「鳳の技って破られた事無かったもんね〜」
「とにかく今は、白石さんを捜しましょう」
「結局、聞きそびれちまったからな」
「菊丸、大丈夫かな?」
「あっちには、忍足と越前が居る。大丈夫だ」
「ほら、先を急ごう」
「うん」
ラティエルは菊丸を案じながらも、跡部達に続いた。

一方菊丸達は、本だらけの部屋に来ていた。

一応一通り目を通すが、元からこういうのが苦手な2人にとっては、眠くなるような作業だった。
「フア〜」
「おいおチビ、こんな所で寝るなよ」
「俺、こういう作業めちゃめちゃ苦手なんスけど」
「なんや自分等、もう根〜あげとるんかいな」
「そういう忍足さんは平気何すか?」
「まあ、得意とはようよわんけど、なんかおもろい事が書いてあるんみつけたんや」
「面白い事?」

侑士がそれを見せに行こうとした時、何かに気づいて、その本を抜くと、中から、カギの様な物が出てきた。
「ええもん見つけたわ」
「何かあったんスか?」
「本ひっぱりだしたら、中から鍵が出てきよったんや」
「鍵ってどこの?」
「そらまだ分からん。けど、もっとた方がええやろな」
「それで、面白い事が書いてあったって言ってましたけ、なんなんスか?」
「ああ、この魂の結合ちゅう本や。それによるとな。特別な力を持った魂を取りこむと、その魂を取った人間が、同じ力を手に入れられるっちゅう事なんや」
「それで?」
「それで、白石に思い当たる事が1つあったんや。2人とも知っとるやろ?立海の切原赤也の事」
「切原って確か、デビル化って奴をするあいつですよね?それがなにか?」
「もし、そのデビル化を止めたのを、奴らが知ったらどう思う?」
「あ、もしかして、悪魔を鎮めた特別な人って思って」
「え?デビル化鎮めた事あるの?」
「うん。5番コートと3番コートの、チームシャッフルの時にね。あいつがデビル化した時、白石が、止めたんだ。それで、もう一度デビル化しかけたんだけど、その時、デビル化した状態なのに、冷静に試合して、3番コートに勝っちゃったんだ」
「!て事は、そいつらは白石さんが、悪魔を鎮める力を持った特別な人間って思いこんで」
「そういうこっちゃ。それに、体が現世に有るのに、魂がないっちゅう事は、食われかけてる言う事や」
「こうしちゃいられないよ。急ごう!」
「真田や跡部にも知らせた方がええやろな」
侑士は、先ほどの情報を、跡部と弦一郎に伝えた。
「なるほど。それなら、狙われた理由にも納得がいく。あのデビルを天使に変えた男だからな」
「どういう事?」
「実は、選手の中に、デビル化っていう特殊能力を持った人がいるんだけど、その人それを使うと、理性が本当に無くなっちゃうんだ。でも、白石さんがそれを止めて、天使に変えたんだ。だから、彼らにしてみれば、悪魔を鎮めた、特別な人間に見えたんじゃないかと思うんだ」
「でも、それならどうして私達を狙わなかったの?」
「俺達には、精霊のバリアがある。そのせいだろう。とにかく急ぐぞ!」
「だけど跡部さん急ぐってどうやって・・・」
「リースの力を借りれば良い」
「あ、そうか。リース。白石さんの魂を探してください」

すると、鳳のペンダントから、エメラルドグリーンの光が出て、周りに光りを放った。

その光に、他の皆が気付き、何事かと、そちらを見る。

そして、ようやく白石の魂の場所が分かったのか、ある一点を線の様に照らしだした。
「あそこですね」
「あの光りなら、おそらく忍足達も向かっているはずだ。間にあえばいいが」

一方、慈郎、ブン太、弦一郎の3人もその光の場所に向かっていた。

むろん彼等はそこにいくまで、カギを手にしていた。

あるからくり部屋で、面白おかしく慈郎がいじっていると、隠されていた箱が飛び出し、慈郎の顔面を直撃したのだった。

そして、ブン太は知性の力で、白石の場所を突き止め、向かっている最中だった。
「あっちも気付いてたみたいだぜい」
「まったく、たるどる。あの光りをはっすれば、敵がそちらに向かってしまうではないか」
「でも、跡部が居るから、きっと大丈夫だよ」
「だといいがな」

そして、慈郎の心配は案の定当たり、様々な敵が鳳達を取り囲むが、それらは全て、鳳の風、跡部の氷等で全滅させられた。

その時、役人の1人が鍵らしき物を持っていたので、それも持って行った。

一方、地上では、夜になり、赤也と金太郎が、白石の前に来ていた。

昼間は謙也も来ていたのだが、侑士がいるからと、そうそうに退散してしまった。

今残っているのはこの2人だけだ。

「白石さん・・・」
「白石・・・」
2人はバリアのすぐそばまでよって彼を見ると、かなり弱っており、青ざめているのがはっきりわかった。

なんとかしてやらねば、彼の命が危ない。

そんな彼を見ながら、2人はどうすればいいか考えていた。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

テニプリファンタジー小説 更新情報

テニプリファンタジー小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。