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テニプリファンタジー小説コミュの(第46章)(前編)(テニプリファンタジー)「有志の災難」

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テニプリファンタジー

「侑士の災難」

その夜は、少し肌寒く、誰も部屋の外に出ようとせず、皆はすぐさま布団にくるまった。

だが、この時、誰も気づいていなかった。

ある者を狙って、侵入してきた物に。

それは、スライムのようだが、ウネウネをしながら、何かを捜していた。

そして、ある部屋の前で止まると、それは形を変え、扉の隙間から中に入って行く。

中に入ったスライムは、キョロキョロと見まわし、ついに見つけたとばかりに、光を出し、それを当てると、消えてしまった。

その光を当てられたのが、忍足侑士だった。

彼は夢を見ていた。

それは、ある空間の階段だった。底を下りようとするのだが、高い所がきらいな彼にとっては、ちょっとだけ怖く感じた。

もし、ここで落ちたら・・・
と考えてしまう。

彼はポーカーフェイスであるが、こういう時には弱い。
しかもさっきから、登ったり降りたりの繰り返しだ。
「な、なんやねん!?ここ。大体、俺の夢にしちゃホラーすぎるやろ」

そして、階段を降りようとした次の瞬間、彼の胸に激痛が走った。
「ウ!・・・ウ、ウウ・・・な、なんや・・・・ウグ!」
彼はそこで膝をつき、なんとか傷みをこらえようとするが、痛みは増すばかりだ。
「ハア、ハア、ハア・・・ウウ」
彼が前を見ると、もうぼやけて降りれそうにない。
「あ、アカン・・・お、下り、られへん・・・フ〜、フ〜、フ〜・・・ア、アア・・・」
彼が気を失いそうになる寸前、嫌な音が聞こえて来た。
「ガラガラガラ・・・ズズズズズ」
「な、なんや?・・・!」
侑士は我が目を疑った。

だが、もう遅い。
侑士が逃げようとした時には、既にそこも崩れ、彼がいる場所も何時崩れてもおかしくない状態だった。
そして、その物が、彼を襲った瞬間、目を覚ました。
「ハア、ハア、ハア・・・ウ・・・こ、この痛み・・・夢やない・・・」
彼が胸を見ると、丁度心臓付近の色が変わり、激しい痛みが彼を襲っていた。
「ウ!・・・ウア・・・・ア・・・ハア、ハア、ハア・・・ウア・・・」
再び意識を失い、しばらくすると、目が覚め、ようやく痛みが消え、彼は落ち着いた。

だがどこかおかしい。自分は確かに布団の中にいたはずなのに、全てが自分より大きいのだ。
「な、なんや・・・なんかえらい大きい・・・夢・・・にしては・・・」
と、胸を見るとやはり、あの痣がくっきりとある。つまり夢ではない。
「まさか・・・」
彼は、まさかだと思い、布団を一周してみようとした・・・

その結果、やはり的中してしまった。

彼は小さくなってしまっていたのだ。
「な、な、な・・・なんじゃこりゃ〜!!!」
と、彼が叫ぶと、黒部のいつものモーニングコールがスピーカーから大きく聞こえ、耳をふさぐ。
「音がでかあてうるさいわ〜」
と彼が言うと、神尾達がのそのそと起き出した。
「フア〜もう朝かよ。あれ?忍足さ・・・ああ、侑士さんだっけ。もう朝ですよ〜」
神尾の声に、侑士は迷った。このままでは、まずい。
明らかに、自分がおかしい事がばれてしまう。
「くそ〜こんなとこ皆に見られたら・・・」
「侑士さ・・・え〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「うわ、神尾。耳元ででかい声だしなやも〜」
「だ、だってだっていっくらなんだってあり得ないでしょ?なんでそんな人形みたいにちっちゃくなってるんですか?」
「なったんとちゃうわ!こうされてしもたんや。とにかく、跡部達に伝えてくれ!あ、言っとくけどな、謙也には言うなや」
「は、はい・・・ちょっと遅くなりますけど、伝えておきます」
神尾はそれだけ言うと出て行った。
明らかにベッドより高く感じ、侑士は一歩下がってしまう。しかし、今の素っ裸な状態では、何をするにも不便だ。
彼はまず服を着ようと、技を使ってみた。
「なんとか服は着る事ができたが、かなりの体力を消耗してしまい、飛ぶのはムリだ。
「ハア、ハア、ハアあかん。技も使えん・・・服は着れたけど、このままやったら、いつまでもつか解らん」
彼は諦めて術を時、裸になってしまった。
「とにかく、着るもんを確保せんと。まさか、着てる物まで脱げてまうなんて考えて無かったからな〜」
と、彼が困っていると、
「どないしたんや?」
と、ルシアの声が聞こえた。
「!ルシアか。実は・・・」
彼はこれまで起きた事を彼に話した。
「それ、術かけられて縮められてしもたんや」
「やっぱりな。今は収まってるけど、いつ起こるかわからんようじゃ、こっちもろくに動けんのや」
「そら困ったな〜」
「そこで頼みがあるんやけど、なんとか、人形の服、調達してきてくれへんか?この体じゃ、技が使えんでな〜」
「それやったら、今の状況見せた方がええんとちゃうか?」
「やっぱり、俺から動くしかないか・・ウ!・・・ま、またや・・・ウ・・・ウグ!」
「侑士はん!」
ルシアが侑士のそばによると、彼は胸を抑えて、必死に痛みをこらえようとするが、このままでは、彼の命が危ない。
「こらあかん!」
ルシアは彼を背中に乗せ、床に降ろした。
「ドクン、ドクン、ドクン」
「ウ・・・ウウ・・・ア・・・ウア・・・ウ!ゴホ!ゴホ!ゴホ!」
彼は咳と共に、大量の血を吐いた。
「侑士ハン。大丈夫か?」
「ウ・・・アウ・・・・」
「!」
ルシアは気付いた。彼が苦しむ一方で、体がドンドン小さくなっていくのだ。
「このままやったら、侑士ハンが消えてまう・・・なんとかせんと・・・」
ルシアが困っていると、ノック音が聞こえた。
「ヤバ!」
と、ルシアはぬいぐるみのふりをした。
「ルシア、そこにいますか?鳳です」
「鳳ハン!ええとこに着たわ。はよ入り」

皆が部屋に入ると、ようやく侑士も落ち着き、自分に起きた事を話した。
「なるほど。何かが忍足に何かして、そのエネルギーと体格をごっそり持って行かれたというわけか」
「早い話が、そういうこっちゃな」
「しっかし、ほーぼすっぽんぽんのぽんじゃ動き辛くねえか?」
ブン太の言葉に、侑士は、
「アカンのや。技が使えんみたいでな〜最初は俺もあの姿になろうとしたんやけど、体力が持たんかったんや」
「う〜ん。なんとか服だけでも確保しねえとな〜」
「リース、なんとかできませんか?」
「やった本人が、侑士さんの体の中にいるなら、いつもの方法で、中に入るしかありませんが」
「なんとか、こいつを元に戻さねえと、このままじゃ、本当に消えちまう」
「ていうか、今の忍足さんじゃ、何もできないんじゃないっスか?」
「でもでも、今の状態を打開しないと、忍足が本当に消えちゃうよ〜」
「とりあえず、俺の回復で、その痛みだけでも取っておかねえとな」
「すまんな、丸井・・・あ〜気もちえ〜」
「少しは落ち着いたか?」
「ク〜?クー」
「のわ、ちょ、ちょっとクオーそんな接近せんといて〜な。食われそうや〜」
侑士が慌てると、クオーはペロペロと彼をなめる。
無論、クオーに悪気がないのはわかってはいるのだが、今の侑士には、ちょっとおっかなかった。
「こら、クオー。その辺にしておけ」
「クー」
クオーがさがると、マジで食べられるんじゃないかと思った侑士はほっとした。
「フ〜。まじで食われるかおもたで〜」
「安心しろ。クオ〜は変な物は食わん」
「真田! 俺の何処が変やねん!」
「その姿は十分変だと思うが?」
「揉めてる場合じゃないでしょ!も〜」
と鳳の言葉に、2人は争いはやめたものの、まだにらみ合っていた。
「とにかくだ。このままじゃ、忍足の力が外にもれる心配が出て来る。そうなる前に、奴の体で暴れて奴を叩きだすぞ」
「おう!」
「人選としては、今回は、菊丸とラティエルには外で待機しててもらう」
「え?なんで?」
「そうか。侑士さんは水の精霊、私は大地で菊丸が雷なんだから、下手したら、彼を痺れさせちゃう」
「あ、なるほど」
「となると、俺と越前も、離れた方がいいな」
「そうッスね。俺と真田さんは、炎の精霊。相性的に悪すぎますしね」
「じゃあ跡部、俺もダメなの?」
「いや、慈郎は居て大丈夫だろう。追い出すだけなら、お前でもできる」
「やった〜!」
「て事は、俺も外れるな。外で忍足を回復させなきゃいけねえから」
「ああ。頼む。それからマティーヌ。お前には来てもらおう」
「私が、ですか?」
「丁度初のバトルだろ?お前の力を見る、良い機会だ」
「分かりました。みなさんのご期待に添えるかどうか分かりませんが、やってみます!」

こうして人選は決まり、侑士は眠りにつかされた。
「リース。いつもの奴を頼む」
「はい!」
リースは陣を形成し、入り口を開いた。
「行くぞ!」
跡部を先頭に、鳳と慈郎が中に入り、念の為、入り口を閉めておいた。
「忍足・・・がんばれよ。今跡部がお前の夢に入った。必ず助けてやるからな」
ブン太は、励ましながら、侑士に回復魔法をかけ、彼の体力をなんとか治そううと必死だ。
「侑士さん。大丈夫よね?」
「心配いらないって、今跡部が行ったから」
「今回の相手が水とくれば、我々では、手の出しようがないからな」
「でも、なんで忍足さんを狙ったんでしょうか?」
「俺に聞くな」

外でそんな言い合いが続く中、内部では、やはり異常が起こっていた。

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