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テニプリファンタジー小説コミュの(第31章)(前篇)(テニプリファンタジー)「魂のかけらを探せ」

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テニプリファンタジー

「魂の欠片を探せ」

岳人を心配していた侑士は岳人の側で眠ってしまっていた。

だが、どうもおかしい、点滴はちゃんと注入されているはずなのに、岳人の体が透けているのだ。
「岳人!」
侑士が布団をめくると、やはり全体が透け、更に小さくなっていく。
「岳人、おい!岳人!」
侑士が必死に呼んでも、まったく応答がない。
「どないなっとんや。おい、皆、すぐに医務室に来てくれ、岳人が!」

様子を見たブン太は、意図を察した。
「おそらく、内部から魂が壊れてる。これを修正するには、内部に入って、欠片を元に戻すしかねえ」
「欠片?」
「ああ。言っただろ?魔法の傷は油断できないって。それの症状が、恐らくこれだ。俺はなんとか、ここで進行を抑える。けど、あんまり時間がねえ。急いでくれ!」
「分かった」
「それじゃあ、宍戸さんも呼んできます。確か、芥川先輩とも、仲良かったって聞きましたから、手助けになるかもしれません」
「ああ、頼む。鳳」
「俺も・・・行くよ・・・」
と、隣のベッドから、慈郎が起き上がって来た。
だが、あの時のダメージは、まだ回復しきっていない。
一応ブン太に術はかけてもらったが、疲れまでは取れなかったのだ。
「あ、芥川、お前はまだ寝てなきゃダメだろい!」
「でも、岳人が危ないんでしょ? だから、助けたいんだよ。邪魔はしない。だから、お願い!!」
流石のこれには、跡部も根負けしたのか、ハア〜っとため息を付き、
「わかった。お前も来い」
と言った。
「跡部?」
「おまえと宍戸が、向日の事を一番知っている。同級生だったお前等がいれば、向こうの岳人も警戒を解くはずだ」

そして、宍戸を加え、跡部、侑士、鳳、慈郎、リョーマ、弦一郎が、岳人の中に入る事になった。

岳人の中に直接入る為、リースが先導して、入口を作り、皆はそれに従う。
今回は、宍戸も来る事になったので、フェニックスのカードを移植してやった。
「待ってろ岳人! 必ず助けてやるからな!」
宍戸はそう言って、岳人に誓った。

そして、全員はある場所に出た。

なんとそこは、真夜中の氷帝学園の幼維舎の中だったのだ。
「ここは・・・そうか、ここは、向日先輩の記憶の中。氷帝の幼維舎の中だ」
「幼維舎?なんスか?それ」
「ようするに、小学校の事ですよ。ここ、大学までありますから」
「ふ〜ん。金持ちなんだ、あんたんとこ」
「俺の所も中学から大学までの一貫教育だが?」
「それにしても、なんでこんな真夜中なんでしょうか?」
「さあ?それはわからんけど、早よう岳人を見つけんと」
「そッスね。じゃあ、皆分かれて探した方がいいッスか?」
「そうだな。ここは、案内人として、宍戸や慈郎を付ける」
「あれ? 跡部さん、ここの出身じゃないの?」
「ああ。俺はガキの頃、イギリスにいたからな」
「なんで日本に渡って来たんスか?わざわざ」
「親の都合だ」
「ふ〜ん」
「そんなくだらん話をしている場合か。こうしているうちにも向日岳人を殺すかもしれんぞ」
「そうですね。急ぎましょう」

皆は向日の名を呼びながら探していると、クオーが何かに気付いた。
「クオークオー」
「どうしたクオー」
「クオー」
「ここか?」
真田がその教室のドアを開けると、そこは理科室だった。
「そして、クオーが鼻をひくひくさせると、1つの机に誰かいる事に気付いた。
「ううう・・・怖いよ・・・・苦しいよ〜・・・・誰か・・・・助けて・・・・う・・・ひっく・・・」
それは、今の服ではなく、幼維舎当時の姿の岳人だった。
「クー」
「え!?うわ〜!!!」
「怖がるな。我々は、お前の味方だ」
「イヤ、イヤ・・・イヤダ・・・あ、う・・・・」
さっきから胸を抑える彼を見て、跡部がインサイトを使ってみると、やはり、呪いの部分は胸に集中していた。
「呪いが集中してやがる。これじゃ、苦しいわけだぜ」
「岳人、俺だよ。慈郎だよ」
「あ、慈郎・・・」
「うん。さ、もう大丈夫。これ、俺の友達が作ってくれた薬。これを飲めば、少しは楽になると思うよ」
「うん。あん・・・う・・・・ハア〜」
「もう大丈夫だよ。苦しくないでしょ」
「ほんとだ。少しだけ、楽になれた気がする」」
「ね。さ、行こう。君の魂の欠片を探さなきゃ」
「魂の欠片?」
「単刀直入に言うと、かなり危険な状態になってしもとるんや。せやから、魂の欠片を集めなアカンねん」
「それって、どこにあるんだ?」
「それは、お前が一番よう知っとる場所や、その場所にあちこちにあるねんや。てつどうてくれへんか?」
「う、うん。あの?お兄さん誰?」
「大阪から来た、忍足侑士や。まあ、未来で会う事になるけどな」
「未来で?」
「まあ、その辺は置いといて、とにかく欠片を探そう」
「うん」
岳人は皆からはぐれぬようにと、慈郎のズボンを掴んで付いていく。
「ちょっと岳人、そんなに怖くないよ。この人達・・・やく一名除いて」
「それは俺だと言いたいのか?」
と、真田がジロリとこちらを睨むと、慈郎はすくみ、岳人は慈郎の後ろに隠れた。
「ま、そりゃ変わんないけど」
と、リョーマが言うと、真田の肘鉄が、越前の頭にヒットした。
「イッテ!」
「こんな先輩でよくやってけたよな〜丸井」
「丸井とは同期だ」
「あ、学年一緒なのか?」
「まあな。まったく、あいつは菓子好きで、隙あらば何か食ってたな」
「そのうち糖尿病になるで?マジで心配やわ」
「忍足、今心配すべきは、他にいるだろう?」
「わかとるって。慈郎にぴったりくっついとるわ」
「あれ?でも、確か芥川さんって、宍戸さんとも同期ですよね?なんで行こうとしないんでしょうか?」
「え?帽子のお兄さん、亮なの?髪の毛切ったから、分からなかった」
「ま、これは中等部の頃に切っちまったからな」
「あ、だから宍戸さんに行こうとしなかったんですね」
「しょうがねえよ。でも、魂の欠片探すっても、何か手掛かりがあればな〜」
「手掛かりとなる物は、向日岳人の記憶に残っている場所を重点的探すしかあるまい。ならば、氷帝組を1人一組にいれて探す
しか、手段はないだろう」
「まあ、真田の言うとおり、その方が話は早い。慈郎。何か岳人の記憶で、思い当る節はないか?」
「え〜と・・・あ、そう言えば、1年の時に上級生に泣かされて、亮が喧嘩で仕返しした事あったよ」
「場所は分かるか?」
「う〜んと確か・・・亮、覚えてる?」
「あ、ああ。一応な。あれはたしか1階の廊下だったぜ」
「そこへ案内しろ」
「わかった。こっちだ」

彼等がついて行くと、そこには、真珠の玉のような物が浮いていた。
「あれは?」
「これが、岳人の魂の欠片か?」
と、跡部はいきなり岳人を抱き、真珠に近付けた。

すると、真珠は岳人の体の中へ消え、それと同時に岳人の過去の記憶が蘇る。
「そうだ。ここで俺と慈郎が、上級生に泣かされて、それを亮が喧嘩で仕返ししてくれたんだった」

どうやら、何なのかまではわかった。後は手分けして、探すしかなさそうだな。
「これだけ広い校舎ですからね〜」
「よし、とりあえず、宍戸は慈郎と組んで、欠片を探せ、見つけたら、このランプに魂を入れるんだ」
「でも、敵が出てきたら、どうするの? いないとは限らないし」
「そこは心配ねえ。真田とクオーが付け」
「なぜだ?」
「慈郎にも力はあるが、この前の事で、その力が使えなくなってる」
「なるほど。それで俺というわけか」
「後は、鳳と俺、忍足は越前と組め」
「了解」
「皆はそれぞれランプを受け取ると、それぞれの方向へ散った。

そして、あちこち探しまわって、徐々に魂が集まり始めた。

だが、あれからかなり時間が立っており、岳人の体も異常をきたし始めた。
体は透け、力が殆どはいらず、いまにも存在が消えそうになっていた。
「岳人・・・しっかりしろ。今、お前の為に走り回ってる」
「・・・ご、めん・・・でも・・・う・・・うご・・・け・・・ない・・・」
そんな岳人の姿を見て、宍戸が背中を出した。
「え?」
「乗れ、その体じゃ、走るのは無理だ」
岳人は力なく頷き、宍戸の背に乗った。
だが、殆ど重さを感じない。
「重さを感じなくなってる。岳人、消えるんじゃねえぞ」
「・・・あり・・・が、とう・・・」
「それを言うのはまだ早い。とにかく、どこか休める場所へ移動しよう」
「ああ、それなら、この下に、保健室がある」
「よし、そこへ移動しよう」
「ほら、慈郎、寝てんじゃねえよ」
「ごめん。俺・・・ちょっと疲れちゃった」
「まだ、疲れが取れきってねえのか。丸井の奴が、外から押さえてくれているけど、進行がここまで進んじまうなんて」
「とにかく行くぞ。案内しろ」
「ああ。こっちだ」
宍戸の案内で、保健室に着くと、岳人をベッドに降ろし、慈郎も寝かせてやった。
岳人は過呼吸を起こし、かなり酷い状態だった。
「ちきちょう! 俺にも何か力があれば・・・」
宍戸は悔しそうに、自分を責めた。
こんなに苦しんでいる友人が側にいるのに、自分は何もできないのかと思った。
その時、ポケットに入れていた、フェアリーのカードが反応した。
「大丈夫よ。亮」
「ワイナー。そうか。そう言えば、お前は妖精だったな」
「私も、小さいけれど、亮の役に立ちたいの」
彼女はそう言って、岳人に術をかけた。

すると、岳人の呼吸は徐々にゆっくりとした、落ち着いた物に変わっていった。
「ありがとうなワイナー。おかげで助かったぜ」
「役に立ててうれしい。こっちの彼は?」
「そいつは寝かせておくだけでいいよ」
「まさか、お前にも、こんな力が」
「これは、俺の力じゃねえ。こいつは、俺の夢に住んでいた奴だ。それを忍足に、カード化してもらったんだ」
「そうか。俺のクオーとは、また違った力をもらったというわけか」
「え? じゃあ、真田も?」
「俺は、越前と共に行った神殿で、卵を授かった。そして、俺はクオーと名付け、育てた。だが、このクオーは、俺の精神状態に合わせて成長する」
「それで、このサイズになったってわけか」
「そう言う事だ」
2人がそんな話をしていると、2人に持たせたトランシーバーから連絡が入った。
「魂の欠片、見つかったで」
「こっちも、順調に集まってます」
「了解した。こっちは今保健室にいる」
「分かった。そっちへ行くわ。場所は?」
「1階の角を曲がった所だ」
「分かった。ほな行くわ」
「こっちも了解しました。今向います」

そして、全員が保健室に揃い、岳人に、集めて来た魂の欠片を注いでやる。

すると、全てが集まったのか、岳人の体が、白く光った。
「これで全部か?」
「詳しい数まではわかんねえが、俺達が見つけたのは、それだけだった。
「こちらも、できるだけ集めてみましたけど」
「いや、これで、全部だよ。みんな、ありがとう」
「だが、いくらなんでも簡単すぎる。そもそもなぜ、お前はあの部屋に隠れていたんだ?」
「・・・俺、追われてたんだ・・・・」
「追われてた?」
「黒い影の様な物に、鎌を持って・・・そいつが、俺の事、追いかけて来て・・・俺、怖くて・・・あ、ああ」
突然彼の体が震えだすが、それを宍戸が抱いてやる。
「大丈夫だ。こっちには、仲間がいる。お前は1人じゃない」
「とにかく、一旦ここを出ましょう」
「そうだな。そいつとも、決着をつけねばならん」
「で、でも・・・こんな真っ暗な」
「大した事はねえよ。月明かりがあれば、十分だ」
「ホント?」
「今日は満月だから、月の明かりは、本当に明るいんだ。だから、怖がらなくても大丈夫だよ」
「・・・・・」
「さあ、ここから出よう。俺達も付いて行ってあげるから」
鳳や皆に励まされ、ようやく岳人は、外に出る勇気を得た。
「俺、外に出る。それで、お兄ちゃん達を安心させる・・・ちょっとまだ、怖いけど」
そう言う彼の手は、何かに怯えるように震えている。
いくら虚勢を張った所で、体に出てしまうのだ。
「そんな虚勢、張らなくていいんだぜ」
「少なくとも、宍戸や慈郎以外は、戦う力を持っているからな」
「ンだと! 俺だってフェニックスの力を持ってるんだぞ!」
「所詮は借りモンだろ?」
「喧嘩してる場合じゃないでしょも〜」
流石の鳳もあきれ顔だ。何かというと、跡部と宍戸は仲が悪いらしく、すぐに喧嘩になってしまうのだ。
「とにかく、外に出てみよ」

侑士の意見で、皆は外に出た。

すると、冷たい風が吹き付ける。
「う〜さび」
「寒いよ〜」
「確かにちょっと寒いですね」
「こりゃ、敵さんは近くにいやがるな」
「グルルルル!!!」
「クオー。どうした?」
クオーは完全に警戒態勢だ。

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