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テニプリファンタジー小説コミュの(第22章)(後篇)(テニプリファンタジー)「メガネ呪い」

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その空間は、かなり不気味な空間で、空は真っ黒で、生き物がいるかどうかも怪しい世界だった。
だが、ところどころに落ちている骨が、この世界のゆがみを象徴していた。
「ここは・・・」
「どうやら、これが通路の正体みたいだな」
「これが、僕を引き込もうとしていたのか」
「でも、なんで見た時は、鏡の様だったんでしょうね?」
「そりゃ、いきなりあんな世界が見えたら、誰だって引くからだろい?」
「お、俺、こういう所怖いC〜」
「確かに、趣味がいいとは、いいがたいッスね」
「とにかく、この世界を調べてみましょう。どこかに、眼鏡をなくして、困っている人もいるでしょうから」
「だな。急ごうぜ」
と、ブン太が走り出そうとすると、皆がこけた。
「うわっとっと丸井君これじゃ、動けないC〜」
「ああ、ワリィワリィ。みんな繋がったまんまなの忘れてた」
それぞれの紐をはずし、皆は早速捜索を開始する。

だが、こんな広い世界では、全員を見つける事は骨が折れる。
「よし、こうなったら、手当たり次第にあたっていくしかねえ。まず、ペアを決めようぜ」
ブン太の言葉に跡部が、
そうだな。慈郎は丸井と、忍足は鳳、んで、俺は越前と探す」
と言った。
「あの、僕は?」
「入江は適当に探してろ。第一、てめえは今、眼鏡をかけた状態だ。という事は、また狙われる危険性があるという事になる」
「な、なら、僕もどこかのチームに入れてもらえないかな?」
「じゃあ、俺と一緒に探しますか?」
「そうかい。助かるよ。鳳君」
と、こうして、入江は、鳳と忍足のチームに入れてもらえた。

だが、その中で広がっているのは、壊れた世界。
何もかもが壊れ、骨も一部分が欠けていたり、家族の記念写真らしきものが壊されていた。
「これ、家族写真ですよね? なんでこんな物が」
「思いっきり、家族っちゅもんが、嫌いやったんとちゃうんか?」
「そうとしか思えませんが、でも、どうして家族を?」
「さあ?なにかしらの理由があったんちゃうか?」
「あれ?そう言えば、入江さんは?」
「さっきまでおったけど」
「探しましょう! 何かあったのかもしれない」
「そやな」
2人は、入江の捜索を開始した。

だが、何所にもいない。
「入江〜!」
「入江さ〜ん!」
2人が呼び続けていると、ある壊された洋風の城のような場所にでた。
すると、そこには入江の眼鏡が落ちていた。
「これは、入江さんの眼鏡」
「せやけど、フレームが曲がってもてる。
「! もしかしたら・・・ルシア、この眼鏡の先をたどってくれないか?」
鳳に呼び出されたルシアは、さっそく眼鏡の匂いを頼りに、入江を探し始めた。

だが、犬ほど鼻は良くないが、耳は良い。

さっき入江の声を聞いていたため、そっちの方面で探しだす。
「こっちや」
ルシアが案内しようとしたその時、突然

ガガガガガ

と、マシンガンの様な音が聞こえ、2人は慌てて身を隠す。
開いた穴から中を覗くと、そこには、消えたはずの、眼鏡をつけていた全員が、そこにいた。
しかも彼らは、ゴーグルらしき物を付けられていた。
「あ、あれって・・・」
「ああ。恐らく、眼鏡をかけとった奴等や。まさか、こないな所で、ゴーグル付けられとったとはな〜」
「とりあえず、跡部さんにも連絡しましょう」
「せやな。一旦離れるで」
「はい」

2人がその場を離れようとした時、縮地法で、木手が2人に迫ったその時、どこからともなくテニスボールが、彼の前を通りすぎ、なんとか撃たれずに済んだ。

その方向を見てみると、慈郎がこちらに来ていた。
「慈郎!」
「芥川先輩」
2人がそちらへ走ると、また木手が追って来る。
しかも今度は、テニスラケットと同時に、手榴弾を持っていた。
「おいちょ〜待て、あれ打つ気ちゃうやろな」
「木手さん。目を覚ましてください!!」
鳳の必死の叫びも、ゴーグルからは見えていいないらしく、彼はピンを外し、
打ってきた。
「風よ。手榴弾の軌道を変えよ!」
彼がそういうと、手榴弾は、どこかへ行き、遠くで爆音だけが聞こえた。
「何とか、皆を元に戻さないと」
「とにかく、一旦こっから離れるで!」
「はい」

一方跡部達の方は、高校生の大群に追いまわされていた。
テニスでは負けはしないが、相手はマシンガンを持ち、なおかつ手榴弾を打ってくるのでは、対処のしようが
なかったのだ。
「なんなんすか?あの高校生!!」
「くそ〜テニスでやりゃ〜はやいんだが、マシンガンで来られちゃ、対処のしようがないぜ」
「10球打てれば、なんとでもなるんですけど、相手がマシンガンやら手榴弾だと、意味がないですよ」
「くそ、こうなりゃあれをつかうっきゃねえ」
と、跡部はいきなり越前を小脇に抱え、氷を地面に大量に発生させ、その一体を凍らせた。

すると、読み通り、高校生達は全員すっ転び、追って来なくなった。
「へっ思った通りだぜ」
「へえ〜。ああいう使い方もできるんだ」
「俺の属性は、氷だからな」

その時、同じような状況にあると、鳳達から連絡が入った。
「・・・そっちもか。忍足、お前鳳と組んでたな。なら、水と風で、全員を押し流せ」
「水か風・・・。なるほど。たしかにその手もあるけど。こっちには、木手が、縮地法で追いかけて来よるンや」
「木手の奴、そっちにいやがった」
「こいつをなんとかせんと、うかつに逃げられへん」
「風だ。風を使って上に逃げろ」
「上?・・・なるほどそいう事かいな。おおきにな。なんとかなりそうや。鳳、風を上に向かって吹きあげるんや
奴等を蹴散らすで」
「はい」
「暴風よ。我を守りし山となれ!」
すると、暴風が吹き荒れ、あっという間に全員は風にのまれて、飛ばされた。
「やった!」
「これで、なんとかなるやろ」
「あれ? 丸井さん達は?」
「さっきまでそこおったはずやけど」
と、2人は探すが、見つからなくて当然だ。

なぜなら2人とも、裏口を発見し、そこから屋敷内に侵入していたからだ。
「暗いね〜」
「それに、さっきから呼びかけているんだが、ここじゃ、その力も使えないらしい。なんとか、俺たちだけで、
調べるしかなさそうだ」
「大丈夫なの?」
「ま、なんとかなるだろい。それに、柳生が心配だしな」
「ロックオーン! ここまでこれちゃうなんて、2人ともス・テ・キ。でも、私の一番は神尾君神尾君はどこ〜?
 あら?なにか頭に聞こえるわ〜。あ〜らやだ私ってばうっかりしちゃったわ。この2人をロックオンしたのに」
「やっべ〜!逃げろぞ芥川!」
「え、なんで!?」
「ロックオンしたって事は、こっちに襲ってくるって事だろうが」
「ええ〜そうなの〜!?」
「状況見て気付けっての!!」
「ああ〜ん待って〜せっかくロックオンしたんだから、一回ぐらい、や・ら・せ・て」
と、小春はバズカー砲をこちらに向けて発射した。
それは角を曲がり、正確に追いかけて来る。
「ロックオンってこういう事〜!?」
「だからい言ったじゃねえかよ!!」
「どうしよ〜!?」
「とにかく、角まで行って、ギリギリまでひきつけてよけるんだ!いいな?」
「う、うん」
2人は息を合わせ、角に差し掛かると、ギリギリでかわす。
すると、バズーカーは見事に爆発し、穴が開いた。
「よっしゃ〜」
「この奥へ行くぜ」
「え?」
「こいつらを操ってる奴がいる場所だよ。たぶん、俺の直感だとこの先だ」
「跡部、聞こえる?」
「慈郎か。ああ、よく聞こえるが、今はそれどころじゃねえ。よりによって、四天宝寺の変態に見つかった」
「あ、俺もさっき見つかったよ。それ、バズーカーでしょ?」
「よく知ってやがるな」
「俺達もさっき襲われたとこだもん」
「角の曲がりで、ギリギリにひきつけてよけて。そしたら絶対うまくいくから」
「わかった。聞こえたな、越前」
「ウィッス」
そして、2人は見事にかわす事に成功した。
「この奥か。後は柳生だけだが、あの野郎一体どこに・・・」
「ドーン!!」
と、凄まじい爆音が聞こえた。
「なんだ?」
跡部が見に行ってみると、そこには鳳と侑士、そして、柳生がいた。
「ハア、ハア、ハア。こいつ、レーザービームのパワーが増しとる」
「当然です。私のレーザーの前では、あなたのシールドは通用しませんよ。ましてや、この狭い通路なら、
あなた方2人を片づけるなど、造作もない事です。おや?はい。はい。わかりました。どうやら状況が、少し変化したようですね。我々の主が、あなた方にお会いしたいそうです」
「なんやと?」
彼らが不思議に思っていると、突然右側に、両開きの扉が現れた。

柳生がそこを開けると、主の間に、全員を通した。

その部屋もかなり不気味だった。いくつもの壊れた眼鏡が散らばり、それと同時に、壊れた人骨があちこちに
転がっていた。

そして、前を見ると、そこには眼鏡だけが浮いていた。
「てめえが主か。眼鏡しかねえじゃねえか」
「ていうか、玉座に座ってるの、乾じゃない?」
「あ、本当だ。乾さんだ。乾さん。何してるんですか?そんなところで」
「私は彼女の代行者」
「彼女?」
「そう。ここに浮いているのが彼女だ」
「あ〜ん?眼鏡しかねえじゃねえか」
「そう。彼女の実体は、既にない。彼女の意志を受け継ぐべく我々は選ばれた。このゴーグルがその証だ」
「証って、危ないじゃないですか! 人にいきなり銃口を向けるなんて!」
「我々には、人を人としての、認識能力はない」
「どういう理屈やねんそれ」
「我々には、人は見えない。だが、お前たちの体温で、お前達がこの場にいるのはわかる」
「それって、俺達を体温で追ってたって事?」
「乾先輩にしては、なんかどうでもいいような理屈だけど」
「越前には、炎があったな。君だけが高いのか、黄色の部分と赤の部分がはっきりと見える」
「へ〜。じゃあさ。試合やろうよ」
「試合?」
「その為に、俺らをここに呼んだんでしょ?」
越前がいうその後ろで、ブン太と慈郎が同時に球を打った。
それは、まっすぐ飛ばず、途中で上にカーブし、眼鏡を直撃するはずだった。

だが、その打球はそのままカーブして下に落ち、乾を直撃した。
「痛て!」
打球はそのまま慈郎達の元に戻るはずだったが、今度は跡部と侑士が打った。

だが、またしても球は同じコースをたどり、また乾に当たった。
「どうやらやっこさん。バリアを張って守ってるみてえだな」
「そのようやな」
「乾さん大丈夫ですか・・・」
「今は近づかねえほうがいい。まずはあの野郎をなんとかしねえとな」
「でも、実体がないんじゃ、どうやって戦うの?」
「実体の変わりなら、そこにあるじゃねえか」
「え?」
「なるほどな」
「え?丸井君何かわかるの?」
「要するに、実体がないって事は、魂だけって事だろ?気絶しているあいつを」
「え?まさか乗り移っちゃうって事?」
「そういうこった」
ブン太の予想は当たっていた。

実体がない眼鏡の物は、乾の体に憑依し、実体を得た。
「男の実体。私はかつて女だったが、これはこれで悪くないか」
「え?女だったの?君」
「そうだ。かつて私は女だった」
「じゃあ、聞くが、なぜ眼鏡をかけている奴等ばかりを狙った」
「私は、眼鏡が憎かった。一時期はコンタクトをしていたが、眼球の成長で落ちるため、眼鏡に戻された。
そして、私は憎しみの塊となり、眼鏡をかけている物、すべてを憎んだ」
「それって、単なる逆恨みじゃないですか!」
「眼鏡はアクセで付けてる奴もいれば、医療用で付けてる奴だって大勢いるぜ。なんでそこまでして嫌うんだ」
「眼鏡に呪い殺されたからだ!!」
「ハア〜!?」
「め、眼鏡に呪い殺されたて」
「眼鏡に何かついてたっていいたいのか?」
「そうとしか思えない事が、これまでに多々あった。私はそれで、多くの眼鏡を壊して来た。でも、
何も変わらなかった。そのうち、私は、死を選ぶようになり、あちこちの柱に頭を叩きつけ、記憶を消そうと
必死になった。
「その記憶て、なんの記憶なんや?」
「・・・あれは、9月の終わり頃だった。私は、精神科に通い、午後から仕事に行くはずだった。なのに、その朝にチャックが壊れ、仕方なく、
買い物用の大きなカバンで行くしかなかった・・・大元をを正せば、あれが
呪いの始まりだったのか、いや、違う。生まれ時から呪われていたのかもしれない。
「ちょ、ちょー待ちって。チャックのカバンが壊れたぐらいでなんでそんな頭を叩きつけるとかそういう話になるんや?」
侑士の言葉に、乾に乗り移った者は、話を続けた。
「問題は、その後で起きた。私は、コーヒーが好き。いや、だったというべきかもしれない」
「あ〜ん? だったって事は、今はそうじゃねえのか?」
「今でも好きでありたかった・・・」
途中から、その者の声が、だんだん泣き声へと変わっていく。
「あの、、それで、何があったんですか? コーヒーが絡んでるのはわかりますが、それでどうして・・・」
「コーヒーの専門店があったのだ。そこでたまたま、試飲会をやっていて、私もそのコップを取った。
事件はその時に起きたのだ。その時、カバンが突然ずりおちてきて、コーヒーがはね、他人を巻き込んで
しまったのだ!」
「え? じゃあ、まさか、それが原因で!?」
「そうだ。私は謝ったが、もう、頭の中は真っ白で、ただひたすら、眼鏡を落とし、蹴り、カバンでゆがむまで
踏みつけた。
私は一応仕事を抱えている身だったので、仕方なく眼鏡屋に行った。
だが、折れるかもしれないと言われ、私は泣いた。
「それで、眼鏡に呪われたと思ったあなたは、死を選ぶしかないと考えたんですね」
「一応眼鏡は直してもらえたが、私はその後気分を悪くし、トイレに駆け込んで下痢を起こし、薬をもう一つ
飲んだ。その後、私は、あのコーヒーショップを避けて、違う通路からでて、仕事に行った。
普通にふるまっていたが、仕事が終わると、あの事が思い浮かび、その記憶を消そうと必死に、柱や電柱などに
頭をぶつけた。だが、それは消える事がなかった。
そして、ようやく死ねたが、あの事がまだ残っている。そんな折、お前たちを見ていると、眼鏡が見えて」
「それでこの惨劇を思いついたってのか?いくらなんでも、私情をはさみ過ぎだろ」
「で?アンタはそこまでして、ホントは何がしたかったの?」
「呪いよ」
「呪い?」
「眼鏡の、本当の恐ろしさを分からせる為のね」
「眼鏡って、そんなに怖いの?」
「怖い? そんな生ぬるい物ではないわ。眼鏡は、下手をすると、魔界への扉を開く力を持っているのよ!!」
そういう彼女に答える様に、ゴーグルを付けられた皆がそこにずらりと並び、一斉に発砲してくる。
そして、乾もまたゴーグルで、巨大なマシンガンを抱えていた。
「やれ!」
全員は一斉に発砲し、跡部達を追い回す。
「まずは、中心核の彼女を説得しないと」
「だが、ちょっとやそっとじゃ、収まりそうにないぜ」
「どうすんのさ? 一応彼女の目的はわかったけど、これじゃ皆を助けられないよ〜」
「鳳。俺達で、なんとか奴等をひきつける。その隙に、お前は彼女を説得しろ」
「え? でも」
「さっきの話の中でヒントを得た。あいつはある物を、完全には嫌えていない。なら、そこから戻す事も出来る
はずだ」
「嫌えていない物・・・あ!そうか。あれを使えば、彼女は・・・」
跡部はうなづいた。自分を信じろと言っているかの様に。
「わかりました。やってみます!」
「よし、忍足、慈郎、越前、丸井、行くぞ!」
「おう!」
皆はそれぞれ分かれ、敵をおびき寄せる。

そして、一人になった彼女の元へ、鳳は1人で乗りこんでいった。

だが、向こうも分かっていたかの様に、銃口を向ける。

これでは、彼女に近づけない。
「まず、乾さんをどうにかしないと」
「テニスで決着付けるしかないやろな〜」
「確かに。一度だけ、宍戸さんとのペアで勝った事はありますが」
と、彼はラケットとテニスボールを握った。
「とにかくやってみるより方法はあらへんで」
「わかった。リース。彼女の方、お願いできますか?」
「わかりました。あなたは、乾さんを」
「はい!」

そして、彼は、ネオスカッドサーブを放った。
それに反応し、乾もラケットとボールを持つ。
そして、ウォーターフォールを打ってきた。

すると、2人の間にテニスコートが現れた。
「リース、今です!」
「何!?」
リースはクロスから飛び出すと、眼鏡の中に飛び込んだ。
やはり、眼鏡と乾は、繋がっているので、うまくプレイができない。
「お、おのれ!! これが目的か!! 私の中から出ていけー!!」
「乾さん!返事をしてください!あなたはテニスを望んでいるはずです。手を貸してはいけません」
彼の声が聞こえたのか、乾の体が反応する。
「お、俺は・・・」
「乾さん。俺はここです。一球入魂!」
「おお・・・と、り・・・俺は・・・どうして・・・これが、君のデータ・・・ウォーターフォール!」
「その感じです。乾さん。戻りましょう。俺たちの世界に」
「俺は、何をしていたんだ。うわ!なんだ、この重いゴーグルは。眼鏡。俺の、眼鏡・・・」
乾が眼鏡を探し出す頃、跡部達を追い回していた、ゴーグルをかけた者達から、次々と正気に戻る。
「お、重い。なんだこりゃ」
「こんなのいやだ。は、外してくれ〜」
「いやん。私、こんなのいやよ〜ユウく〜ん何所〜」
「こっちはOKッスよ」
「こっちもだ。だか、どうやらあいつの呪いのせいだろうな。堅過ぎて、外れねえ」
「こっちもなんとかみんな止まったんやけど、ゴーグルが問題なんや」
「こっちもだC〜みんな元に戻ったけど、やっぱりゴーグル越しじゃ、何がなんだかわからないみたいなんだ」
「こっちはこっちで最悪だ。どうやらそのゴーグル、やべえかもしれねえぜ。タイマーがどうとか言い出してる」

一方リースは、乾に憑依していた、霊の内部に潜入した。
コーヒーが好きだったのはまず間違いないだろうが、それが、薄れ始めている。
本当は、彼女自身が、ここから出たがってると感じた彼女は、霊本体に呼びかけてみた。
「あなたは、本当にコーヒーが好きなのですね。でなければ、これほどコーヒーにこだわったりしません」
「私は、もう死んでいる」
「ですが、生まれ直す事は可能です。私の主人は、その力を持っています」
「生まれ直す?どういう意味だ?」
「直接、会われてはいかがですか?」
「来ているのか? ここに」
「今は仲間達と戦っています。ですが、その人は争いを望んでいません。皆を解放してください」
「解放すれば、私は赦されるのか」
「あなたに何があったのかは聞きました。ですが、それを呪いに変えてはいけません。あなたの本当の望みは、赦してほしい事。
あなたはもう赦されているのですよ」
「もう、赦されている?」
「いつまでもそんな暗い所にいては、気分まで暗くなってしまいます。さあ、出ましょう。光のある世界へ」
「・・・・・・・・・」
そこへ、鳳の願いが届いた。
「もう争いは止めてください。あなたには、なんの罪もないんです。だから、罪のない人間を巻き込まないでください。
あなた自身も、それを望んでいるはずです。
だから、どうか、みんなを元の世界へ返してください!」
「鳳、長太郎・・・」
「ご存じなんですか?」
「見ていた側だから・・・」
徐々に彼女の姿が球に変わる。
「なら、彼の心も分かるはずです。さあ、行きましょう」
球はすんなりリースの元により、彼女はそれを鳳に渡した。
「生まれ直す力を持つ者か・・・」
「はい。リース。手伝ってくれませんか?」
「はい」
2人の力が1つとなり、その光の球は、徐々に形を変え、子猫の姿になった。
「ミーミー」
「これでいいですね。さあ、帰りましょう」

その時、壁だったものが、一枚の鏡に姿を変え、そこからは、合宿所の通路になった。
皆は我先にと、壁に飛び込むと、ゴーグルのタイマーが止まり、自然と外れた。
「やったー!」
「助かったぞー!」
「って、眼鏡、眼鏡はどこだ?」

この様子をモニターで見ていたコーチ達は、現場となっていた場所に眼鏡を持ってきた。
「眼鏡はここですよ」
「お、俺の眼鏡ー」
「あ、あった」
「やったー眼鏡が戻ったー!」

一方、一氏は心配して、小春の帰りを待っていると、消えた小春は、無事に戻ってきた。
「小春〜!」
「その声はユウ君?ユウ君どこなの〜?」
「ここや小春」
「ああ、この感じ。ユウ君ね。でも私、眼鏡がないから」
「眼鏡ならここや」
と、ユウジが小春に眼鏡をかけてやった。
「やった〜戻ったわ〜私の眼鏡〜」

そして、乾、木手も、無事に仲間から眼鏡を受け取った。

そして、鳳を抱えた跡部、侑士、慈郎、ブン太、越前が出てきた。

皆心配げに鳳の顔色を見るが、かなり悪い。
「俺はこいつを、医務室に連れていく。お前らは、先に部屋に戻っていろ」
「一体何があったんや? こないに衰弱して、近くにおったんはこのちっこい猫だけで」
「詳しくは、俺もわからねえ。だが、だいぶ体力と魔力を使ったんだろうな」
「でも、この猫なんだろう? 鳳のそばにいたんでしょ?」
「ああ。そいつもひっくるめて、後で聞くしかねえな」
「俺の回復でも、限度がある。かなり回復はさせたが、後はこいつ次第だ。一体何があったんだ?」
「とにかく、医務室が先だ」
彼が鳳を医務室に連れていくと、既に準備が整えられていた。
「コーチも、察してたみたいだな」
「残る問題は、このちっこい奴。だな」
「なんであんな所にいたんだろう?」
「そいつはわからんけど、このままにしとくっちゅうわけにもいかんやろ」
「とりあえず、こいつの事も、どうするかだな」
「お困りのようだね〜」
「コーチ!」
「おや?今日はまたずいぶんとかわいらしいのがいるね〜」
「鳳のそばにいたんだが、何があったのか、こいつに聞かねえとわからねえ状態でな」
「それまで僕が預かろう
か?」
「え?いいの?」
「まあ、ヒマってわけじゃないけど、子猫の面倒ぐらいは見れるからね」
「じゃあ、よろしく。大事にしてあげてね」
「わかってるよ」
と言って、コーチは出て行った。

こうして、眼鏡の呪いは消えた。

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