ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

テニプリファンタジー小説コミュの(第21章)(後篇)(テニプリファンタジー)「鈴からのSOS」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
だが、そこへ行くまでが大変だった。

さまざまな仕掛けが施されたこの屋敷は、色んな人の力が必要だったが、跡部達は協力して、通路を作っていく。
そして、いよいよ最後の難関となった。だが、奇妙な事に、そこだけが洋風で、ピアノが置かれていた。
「ピアノ?なんでこんな所に」
鳳が試しに鍵盤をたたくと、ちゃんと音が出た。そして、譜面もそのままにしてあったので、
彼はその通りに演奏してみたすると、その音に反応し、ついに最後の扉が開かれた。
「この先か」
「鳳さん。開きましたよ」
彼がピアノから離れると、また扉が閉まりそうになる。
「またかよ」
鳳が慌てて曲を弾くと、扉は再び開いた。
「なにかで、押さえとかなきゃいけねえな」
と、跡部達が探しだした時、慈郎が扉に付いてる留め金を見つけた。
「ねえ、これ引っ掻ければいいんじゃない?」
「ズコー」
全員がずっこけた。

そして、奥へ進んで行くと、鳥居がいくつもある。
「な、なんか出んじゃねえか?」
「だだ、だったら言うなよ」
「ていうか、先輩が前に行ってくださいよ」
「こういうのは、後輩が行くもんだろ」
「先輩だろ!」
「いや後輩だ!」
と、後ろで言いあいしている間、皆はすっかり呆れ顔になっていた。
「それにしても、ずいぶん長いね」
「ああ。長すぎだ。鳳、こっちで有ってるか、ちょっと確認してみろ」
「はい」
鳳がクロスに願うと、左の方を指している」
「こっちってなってますけど」
「でも、鳥居では一本道やけど」
「とにかく行ってみましょうよ。これだけ進んでも着かないって事は、射している左に何か有るって事でしょ?」
「なるほど。越前の言い分も確かにあるな。よし、左に行ってみるぞ」
左に行ってみると、鳥居の下の方に、でっぱりの有った。
「なんだろ?これ」
と、慈郎がその出っ張りを押すと、屋敷のカラクリが動き出し、鳥居が回転を始め、それが収まると、
一本の道になった。
「なるほど、こういう仕掛けちゅうわけか」
「やるじゃん芥川先輩」
「エヘヘ」
「つうか、こいつの場合、単に好奇心でやったと思うぞ」
と、向日が呆れながら言い、鳳を除いた氷帝のメンバー全員が頷いた。

そして、ついに、外に出た。ここも先は長いが、既に祭壇までは見えている。後は、この階段を巫女が登り、
そこで鈴の音を鳴らせば、儀式は終了だ。

だが、その終了のし方がよく分かっていない。
「ここで、巫女が神に祈りをささげ、巫女は神と一つになるって言ってたけど、それってつまり・・・」
鳳は、若干この儀式の意味が分かった。
神と一つになると言う事は、その者に、死しか待っていない事に。
「美佐ちゃん。君、怖くないのかい?」
「・・・怖いよ。さっきの、お兄ちゃん達の話で、分かっちゃったから」
「あ、ごめん」
「いいの。あの頃の私は、なんで自分だけがって思ってたけど、今はもう一人じゃないもん。お兄ちゃん達が、
いてくれたもん。生まれ変わっても、また、お兄ちゃん達に、会えるって気がするの」
「美佐ちゃん・・・」
これには全員、沈黙しかなかった。
彼女は、今まで、つらい思いをしてきたのだ。そのため、儀式は失敗し、多くの犠牲者を出してしまった。
そして、巫女の衣装になった彼女は、その通路を進む。
彼女が来た事に反応し、ついにそいつが姿を現した。
「私はもう、逃げたりしない。お兄ちゃん達に近づかないで!!」
彼女の強い意志は、幽霊達を圧倒する。
「私はもう、1人じゃないもん。お兄ちゃん達がいてくれるもん。少しの間だったけど、楽しかった。
私に協力してくれた。だから私は・・・きゃあ!!」
それでも、この世に未練の残した方が強く、跡部達に迫る。そして、実体を得た。

よく見ると、海堂と向日が真っ青になり、殆ど死にかけていた。
「海堂さん!、向日先輩!」
「こいつらの生気を吸い取って、実体化しやがったのか」
「せやけど、なんでそないまでして」
「私は、私は納得できない! 皆は自由でいられたのに、私だけが巫女になると言われ、人々から遠ざけられて、育てられなければい

けなかったの?どうして私だけが、こんな目に!! 皆に、私の寂しさと苦しみを味あわせてやる!!」
彼女の発したオーラを、侑士が咄嗟にシールドで塞ぐ。その間、ブン太は、海堂と向日の回復を進めるが、彼女の力が強すぎて、大し

た威力が発揮できないでいた。
「くそ〜これじゃあ、海堂と向日が死んじまう。なんとかしないと」
皆が彼女に苦戦していた、その時、後ろから凄まじい炎が飛んできた。

それを浴びた彼女は、吹っ飛ぶ。
「な、何!?」
「!?」
皆が後ろを見ると、上空に、クオーに乗った真田弦一郎がいた。
「真田! お前、どうやってここに?」
「呼ばれて来てみれば、異界への門が開きっぱなしなっていたのでな。それで中に入って、クオーを出すと、やたらと興奮していた。

何かあると思い、
2階に上がると、クオーは窓を突き破って外に出た。そして、俺に乗るように指示をだしていたので、乗ってみると、すぐさまここまで飛

んで来たんだ」
「野性の勘って奴か。ま、おかげで助かったぜい」
「グオオオオ〜!!!」
クオーは体を大きく見せ、最大パワーで吠えた。
「な、なんだ!? これは」
ドラゴンを見た事がない彼女は怯えた。
「美佐ちゃん今だ!」
鳳の合図と共に、美佐は実体化していた彼女の体に飛びついた。

すると、未練だった部分が抜け落ち、彼女の体は、美佐となった。

だが、まだ未練の部分は、それでも彼女に憑依しようとしていた。
「たくしつこい奴ッスね」
「俺がやる。未練を残しし魂よ。我、何時に永遠の眠りを望む!」
慈郎から出た光りは、未練をすっぽり包み込みそして、粒子となって、天へ登った。
「美佐ちゃん。大丈夫?」
鳳が、彼女を抱き起すと、彼女はうっすらと目を開けた。
「お兄ちゃん。私・・・」
「成功だよ。未練の部分は、先輩が浄化してくれたから」
「もう大丈夫だよ。悪い霊はやっつけたC〜」
「その少女は?」
「あ・・・」
「大丈夫だよ。見た目怖いけど、悪い人じゃないから・・・って」
「丸井、それはどういう意味だ!」
「だ、だって真田、見た目もする事も怖いじゃんかよ〜」
「クオー」
と、いきなりブン太に炎が浴びせられ、彼は焦げた。
「ブホ! ってクオーまでなにすんだよ!」
「クオークオー」
「もしかして、悪口言ったと思われたんじゃ」
「べ、別に悪く言ってねえって」
「フッこいつもだんだん、真田に似てきたな」
「当然だ。俺が育てたのだからな」
「クオー!」
「ほな、後の事は、美佐、お前次第や」
「うん!」
彼女は力強く頷いた。

そして、祭壇に上がると、魔法陣の中心に立ち、二つに割れていた鈴の中に、ダイヤをいれ、一つに直した。

すると、どこからともなく、宮司達が現れ、言葉を唱え始め、彼女も後に続いて唱えた。
「チリーン」
と、鈴の音が鳴り、月夜が天に昇り、鈴の音が鳴り響く。すると、彼女は、徐々に粒子化し、鈴の中へ吸い込まれて行った。
「成功。したんですね」
「のようだな」
少し悲しげな鳳にブン太がよる。
「鳳。無事成功したみたいだぜ」
「ええ。わかってますけど。本当に、これで良かったのでしょうか」
「良いに決まっているだろい。そうでなければ、ここまで来た意味がない」
「ですよね!」
彼は泣きそうな顔を拭って笑う。

その時、ぐらりと地面が揺れた。
「な、なんだ!?」
突然、屋敷を中心に、白い空間が現れ、全てを呑みこんで行った。

鳳は、真っ暗な中におり、鳥のさえずりと共に、目を開けた。
すると、そこはいつもの合宿所ではなく、あの屋敷の和室の布団の中にいた。
しかも古ぼけておらず、自分達は確かに古い屋敷の中に居たはずなのに、なぜか綺麗な屋敷に居たのだ。周りには、同じように、跡

部や慈郎、ブン太が寝ている。

しばらくすると、全員目を覚ました。
「フア〜おはよう」
「俺達、どうなったんだ?」
「わからねえ。あの光りの後の記憶が、さっぱりなくなっちまってる。確か祭壇の所にいたはずなんだが」
「これ、どう見てもただ事じゃないっスよ」
「どういう事だ?越前」
「俺達、精霊の格好で来ましたよね?なのに、ジャージ姿に戻ってるし」
「あ、そうだ。海堂と向日は?」
「どうなってやがんだ?」
「屋敷の中、殆ど新品みたいになってるぜ?」
幸い、首飾りは無事だった。
「リース。これって」
「おそらく、歴史が変わったのでしょう」
「歴史が?」
「本来なら、あそこで彼女は彷徨い、この屋敷も地図から消えるはずだった。でも、彼女を救った事により、この屋敷は、大きな変化を

遂げたのです」
「俺、ちょっと見てきます」
鳳が走りだすと、それに皆も続く。

彼が窓を開けると、そこから見違えるほど豊かな村になっているのが見えた。
「これ、あの子がやったんでしょうか?」
「おそらくそうだろう。彼女の成功が、こういう変化を遂げたんだ」
「それで、俺達にそれを、見せたかったんだろう」
「丸井さん」
「彼女の、せめてもの恩返しってとこっスね」
「越前君」
「ほな、俺等も帰ろうや。俺等の世界へ」
「そうですね。あ、でも、帰りは・・・」
「私に任せてください」
「リース?」
彼女は魔法陣を描き出すと、元の空間に繋がった。

そして、皆は元の空間に帰った。

すると、そこには、鈴が落ちていた。
「これは」
「あの子からのプレゼント。じゃないっスか?」
「鳳モッテモテだC〜」
「やるじゃん」
「お、俺そんなモテルとかそういうのは」
と、徐々に彼の顔が真っ赤になっていく。
「あ〜そうゆうたら、鳳こないな話苦手やったな」
「もう少し、メンタル面上げた方がいいんじゃねえか?」
「そ、そ、そんな事関係ないでしょ!変な事言わないで下さいよ跡部さん!!!」
と、鳳はそれだけ言って、鈴を持って出て行ってしまった。
「やれやれ。これじゃ3年になっても、心配はぬけねえな」
「ま、そこがあいつのええとこっちゃええとこなんやけどな」
「つうか俺、全然今回出番なかったンスけど」
「俺に至っては、クオーで攻撃しただけなんだが、何があったか、詳細を聞かせてもらうか?丸井」
「いや実はさ〜・・・」
「おはようございます。皆さん起床の時間です。直ちに支度をして、早朝トレーニングを開始してください」
「終わり、みたいっすよ」
「では行こうか」
「あ〜俺また寝れなかったC〜」
「散々寝てたじゃねえか。それもガアガア鼾かいてまで」
「え!?まじで?」
「何をしている。トレーニングに行くぞ!」
「あ〜はいはい」
「つうか、俺等にいたっちゃ死にかけてたんスけど」
「そこは突っ込むな。むなしくなるだけだ」
こうして、事件は解決され、また1つの魂と、歴史が変わった。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

テニプリファンタジー小説 更新情報

テニプリファンタジー小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。