ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

テニプリファンタジー小説コミュの(第16章)(後編)(テニプリファンタジー)「デビル赤也」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
すると、白石の声が聞こえたのか、扉がゆっくりと内側に向って開いた。
「開いたC〜白石すげ〜」
と、滋郎が興奮していると、そこから凄まじい勢いの風が吹き荒れ、皆は中に吸い込まれるが、とっさに侑士がシールドを貼ったので、離れ離れになる事はなかった。

そして、その内部には、巨大な繭があり、あちらこちらに白骨化した死体まで有った。
「なんちゅうでかさや」
「あれは、推定でも40mは超えてやがるぜ」
「まさか、デビル化したんは、こいつが中に入って、切原くんを」
「ああ。おそらくこいつのせいで、自分自身を制御できなくなっちまったんだろう」
「急がねば、あやつが羽化をすれば、赤也がただでは済まぬぞ」
「恐らく、その辺にころがっとる、骨から見て、何千何万もの命を吸ってきたんやろうな」」
「だが、ここまで大きなろおもたら、ごっつい力が必要や」
「考えていても仕方ありません。とりあえず、切原君を探しましょう」
「ああ。あいつと融合でもされたら、やっかいだからな」
「まずは人選だが、俺は跡部と、忍足は白石、鳳と例の女性、丸井は芥川でどうだ?」
「構わねえぜ。ただし、見つけても、変に手出しはするな。いいな?」
「了解!」
「忍足、フェニックスの代わりになる奴はあるか?」
「ドラゴンがあるけど、それでええなら」
「構わねえな。真田」
「無論だ。この前のような事にはならぬ」
「ほな、決まりやな」

侑士は、ドラゴンの力を真田に入れてやり、早速ドラゴンの羽を出して、飛んだ。

そして、それぞれが散り、赤也を探す。すると、繭をたどっていた、侑士達が、捕まり、栄養を吸い取られかけている赤也を見つけた。
「あ、いました」
「切原君!」
「跡部おったで」
「ごくろうだったな。だが、こっちにも、お客さんが来たようだぜ」
「なんやと?」
「こいつをここまで育てた、言わば母親代わりの奴を見つけたって事だ。とにかく、お前は切原を、そっから引っ張り出せ」
「わかった。そっちも気ぃつけてな」
「跡部君は?」
「この世界の魔導師に会ったらしいわ」

そして、跡部達の方は、魔導師と対峙していた。

その魔導師は2人いて、片方は、赤で、目は赤と青のオッドアイに赤いワンピース
もう一人は青で、赤のオッドアイとは逆向きになり、青いワンピースを着ていた。
「てめえらか。切原にこんな巣を作りやがったのは」
「あら、感謝すべきなのはあなた方ではなくて?」
赤の魔導師がそういうと、青の魔導師が続ける。
「そうですわ。私たちは、あのデビル化した子から、エネルギーを取って差し上げているのですのよ」
「御託はいい。幸いここにもテニスコートがある」
「お互い、テニスで決着を付けよう」
「あら、その隙に、あの赤也という坊やを助けるつもりなんでしょうけど、残念でした」
「何?」
「あの子の命は、もうすぐ消えますわ。いくら回復魔法を当てたところで、デビル化した状態からの回復は不可能ですわ。それに、もうすぐ、私達の願いが叶う。
私達の思いを受けづいだ、この子が完全体となる時、私達は、それに御使えする巫女になる」
「大げさな事だ」
「とっととはじめようぜ、貴様、名前は?」
赤の方が先に言った。
「私はキララ」
「私は妹のミルル」
姉妹ってわけか。
「あなた方のいう世界ではそうなりますわね」
「始めよう。お前たちにサーブをやる」
「では私が先ですわね」
と、キララがサーブを打つと、それはとてつもないスピードで、跡部と真田の後ろを駆け抜けた。
「何!?」
「かなりできるようだな」
「もう一つ。レッドトルネードサーブ」
と、キララから放たれたボールは、まるでトルネードスネイクのように動き、それに何個もの玉が繋がっているように見え、またも後ろにかけぬけて行った。
「あ〜ら御姉さま、私にも弄ばせてくださらない?」
「あらやだ、私ったら、すっかり忘れていましたわ」
ミルルがコートに立つと、今度は蛇のように上下に動き、これまた数個のボールが一度にかけぬけて行った。
「それならこっちも容赦なしだな。ほ〜ら。凍れ」
跡部は氷の世界で、2人の死角を探した。

すると、それはあっさりと見破り、跡部は2人の死角にボールをたたきこむ。
そして、真田は先程のサーブを見破る為、ドラゴンの力を目に集中させた。
あの地獄の特訓では、数個のボールを一度に打ち返していたのだ。
見抜けるはずだと自分を信じた。
すると、ボールの中に、一つだけ、明らかに色が違うボールを見つけた。
「そこだ〜!」
と真田はおもいっきりボールを打ち返した。
「うそ。返された!?」

そんな試合をしている中、赤也をなんとか起こそうと、白石は人工呼吸や心臓マッサージを繰り返す。
最初見つかった時、彼は繭の中に閉じ込められており、そこから引っ張り出した時、息をまったくしていなかったのだ、
そんな彼を見た白石は、必死に助けようと、彼に緊急処置を施し、
ブン太が回復魔法をかけ続ける。
「切原君。死んだらあかん。目を開けてくれ!」
「おい切原、いつまで寝てんだ。また真田にどやされるぞ」
「風よ。命尽きかけし者に、安らぎと、生きる力を与えよ」
鳳も、彼を救おうと必死で風を送り込む。

すると、フェニックスが口元まで寄り、涙を流した。
それが、赤也の口に入ると、少しずつではあるが、指がピクリと動いたのだ。
「切原君?」
白石がそっと名前を呼び掛けると、ゆっくりとその目が開いていく。
「切原君。良かった〜!!」
と、白石が抱きつくと、赤也は、まだボーっとしていたが、白石の名を呼んだ。
「白石さん? 丸井先輩。それに、氷帝の・・・」
「鳳です」
「俺、芥川慈郎」
「ありがとうなフェニックス。」
「ファ〜」
と、フェニックスは喜びの声を上げる。

そして、ふと下を見ると、跡部と真田が戦っているのが見えた。
「跡部君と真田君もがんばっとるみたいやけど、あの魔導師、かなり手ごわいみたいや」
「俺達も行きましょう」
「お・・・俺も・・・行く、ス・・・」
「残念やけど、それは無理や。まだ体の方が回復しきっとらん。今の状態で行っても、足手まといになるだけや」
「だって、俺をデビル化させたの、あいつらなんでしょ?。だったら、どっちが、本当のデビルか・・・勝負、したいんスよ」
と、切原の体が赤く輝き出す。
「切原君。こんな状態でデビル化したら・・・?」
「へ、へへへへへ。あいつら調子ぶっこいてるみたいだから、まとめて、潰すよ」
と、目を開いた彼は冷静だった。
「切原君・・・丸井君。彼を回復させたってくれへんか。こうなったらもう、誰も俺らを止められへんで」
「よっしゃ! 暴れて来い赤也」
「ウィっス!」
「フェニックス。2人をあのテニスコートまで乗せたってくれ」
「ファー」
「フェニックスは2人を乗せると、一気に下のテニスコートまで下りた。
残された鳳、滋郎、ブン太、侑士は、巨大繭で今にも出てきそうなそいつをどうにかする事にし、それぞれ固定してあった繋ぎ目を切っていった。

一方試合は跡部と真田が、だんだん追い詰められる格好になってきていた。

跡部キングダムを出したのだが、それでも、魔導師の2人からすれば、どうにでもなる物だ。

元々人間ではないうえに、さまざまな技を使えば、何も見る事ができなくなるからだ。

しかも、真田の風林火陰山雷は、あっさり見抜かれてしまった。
「くそ〜なんなんだこいつら」
「我々では、あの2人を倒す事が出来ぬと言うのか・・・」
「あら〜これでも手加減してあげてるつもりなんだけど?」
「やっぱり、人間と魔導師って、こんなに違いますのね〜」
と、2人が小馬鹿にしていると、いきなり頭上からテニスボールが2人にめがけて飛んできた。
「キャー!」
「な、何!?」
なんとそこには、黒かった翼が白に変わり、天使化した赤也と白石が降りてきた。
「攻守交替や」
「副部長は、せっかくそのドラゴンの力があるんすから、それで、周りの繭燃やしちゃってくださいよ」
「しかし・・・」
「今の俺等なら、負ける気がせえへん」
「跡部君も、丸井君達と合流して、作業手伝ってえな」」
「ず、ずいぶんと大きく出ましたわね。ならば、遊んで差し上げますわ〜」
と、いきなり、キララが必殺技を打つが、あっという間に見切られ、返されてしまった。
「なら、私のはどうかしら?」
「あ〜エクスタシー!」
と、白石も球を見切って返してきた。
そして、白石が見きれなかった球は、素早く走って赤也が打ち返す。
「ナイスフォロー! どんどん調子上がってきてるやないか。俺等なら、絶対こいつを倒せるで」

そして、勝敗は決した。

勝ったのは、白石と赤也のペアだった。
「そ、そんな・・・」
「私達が、テニスで負けるなんて」
「まだよ・・・まだ終わっていないわ。もうすぐ、この方が目覚める。いくらその子を助けたからと言ってももう遅い。この方が姿を変えれば・・・」
と言った瞬間。その者の繭が燃え上がり、氷と炎がミックスし、羽化を完全に止めた。
「いけない。このままでは、あのお方が死んでしまう。
2人の魔導師が飛び立つと、赤也と白石はフェニックスに乗り、後を追った。
すでに固定部はちぎれ落ち、ついに残りの一本もちぎれた。

すると、繭はテニスコートに落ち、燃え広がった。

それを見た、ミルルから涙があふれ出す。
「そ、そんな・・・ここまで来たのに・・・私たちは、何百年もかけて、この方を守って来たのに、それなのにどうして・・・どうして邪魔するの!?」
「あれは悪魔の王にするつもりだったんだろうな。で、最後に赤也に目を付けたのは何故だ?」
「最後は、悪魔にふさわしき力を持つ物と融合させれば、完全な悪魔になると記されていたから」
「それで、お前たちはバカ正直にそれに従い、あいつが羽化したら、どうするつもりだったんだ?」
「もちろん。あの方を守るのが、私達姉妹に与えられた定め。だから・・・」

それを聞いた鳳は、なんだかこの姉妹が可哀そうに思えてきた。
「他に、道はなかったんですか?」
「ないわ。一族は滅び、残ったのは私とミルルだけ」
「なら、なにもこだわる必要なかったんじゃないですか?」
「な、なんですって!」
「鳳の言うとおりだ。そんなもん。お前ら2人だけで、制御しきれると思っていたのか?」
「・・・・・・」
「一緒に行きませんか?」
「え?」
「僕達の世界なら、暮らせると思うんです。テニスもすごくうまかったし、普通に戦う事も出来ると思うんです」
「テニスで?」
「あなた達も得意でしょ?跡部さんや、真田さん相手に、あそこまで追い詰めたのだから」
「そうだな。ま、少なからず、実力は、認めてやろう。だが、基礎がなってねえな。お前達のは所詮、魔導師の力でやっていただけだろう」
「基礎体力を付ければ、我々とさしてかわらんはずだ」
「行きましょう。一緒に!」
鳳が手を伸ばすと、2人の手が、自然と鳳の手に触れた。

と、その時、異変が起こった。

燃えていた繭から、悪魔が復活してしまったのだ!
「生きてる! どうして!?」
「ハデス様。もうやめてください。この世界では、ある者の心が壊れてしまいます。私達と一緒に行きましょう」
「キララ、ミルル!」
「鳳さん。さっきの言葉、忘れません。ですが、私達は定めに従います。この方を、安全な地へお連れします」
「それが、私達姉妹の最後の務め」
そういうと、キララとミルルは赤と青に光り、彼の体を縛るように、飛ぶと、ゆっくりと浮き上がる。

そして、白く輝くと、2人は塊と共に消えてしまった。

それと同時に、この世界の色が戻って来た。本当は、格闘ゲーム機などであふれかえる、いかにも彼らしい夢だったのだ。
「これが切原君の、本当の夢・・・」
「赤也・・・これは一体どういうつもりだ・・・」
「ギク・・・・い、いいじゃないっすか・・・夢の中で遊んだって・・・」
「たわけー!!!」
「貴様がたるんどるから、今回の事態になったのだぞ!」
「いや、あの、それは関係ないと・・・」
鳳は一応フォローに入ろうとするが、真田はもう聞いていない。
「うわ〜!やっぱ副部長こえ〜〜〜〜フェニックス頼む」
と、赤也がフェニックスにまたがって頼むが、フェニックスはジト目で赤也を見た後、
「フォ」
とため息をついて飛び上がった
「逃げるな〜」
とドラゴンの翼を出し、後を追って来る。
「ちょ、ちょい待ちて・・・ハア・・・どないするんや?あの二人・・・」
「仕方ねえな。フォレスト!」
跡部はカードからフォレストを出すと、真田とフェニックスと赤也をがんじがらめにする。
「ちょ、ちょっと、なにするんですか?跡部さん」
「おのれ跡部、邪魔をするつもりか。こんな物・・・」
「少し頭を冷やせ」
と、跡部は氷の技を使い、2人を氷漬けにする。
そして、侑士がフェニックスを元のカードに戻すと、フォレストを解除し、氷の塊になっている真田を持つと、鳳が炎のカードで赤也を溶かした。
「ふえ〜・・・マジで死ぬとこでしたよ跡部さん!」
「だが、頭は冷えただろ?」
「ええ。もうキンキンする程にね!」
「そんだけ元気になってんだ。現実世界のお前も、元気になってるだろうよ」
「え?現実世界の俺って・・・」
「切原君。ここは君の夢の中や。俺等は長い事は、ここにはおられへん。また現実の世界で合おうや」
「ウィッス!また試合やりましょうよ」
「ああ。楽しみにしとるで」
「んじゃ、俺は戻らせてもらうぜ」
と、跡部は真田を置いて、さっさと帰ってしまった。
「またな、切原君」
「はい。あの、こんな時にいうのも照れくさいんですが、その、ありがとうございました」
「!・・・それでええんや。ほな、現実世界でってあ、すまん忍足君。フェニックス頼むわ」
「ああ」
侑士がフェニックスを呼び出すと、白石はその背に乗り、現実世界へと帰り、残りの鳳は真田を持ち、侑士、ブン太、滋郎も、現実世界に帰って来た。

そして、一番の気がかりは、ちゃんと夢と現実とが連動しているかという事だった。。

白石が急いで医務室に行くと、赤也は点滴と輸血を受けながら、すうすうと寝息を立てていた。
「よかった。元に戻っとる。先生」
「もう大丈夫だ。一時は危篤状態だったんだが、今は驚くほど安定している。これなら、明日には元に戻るだろう」
「そうですか。ありがとうございました」
彼の寝顔を見た白石は安堵し、その頭をなでた。
「もう大丈夫やで、切原君。また、一緒にがんばろうな」

だが、1人だけ、怒りが残っている人間がいた。
「おのれ赤也〜!」
「ちょっと真田さん落ち着いて!」
「これが落ち着いて居られるか? 赤也の夢はなんだあの不抜け切った夢は」
「良いじゃないですか? 夢なんて人それぞれなんですから」
「なんだと?」
「夢なんて人それぞれ違う物なんですよ。宍戸さんみたいに、夢にまでテニスにのめりこむ人もいるかもしれませんが、赤也さんみたいな楽しい夢の人もいますよ。今回は大変だったんですから、大目に見てあげてください」
「おのれ〜ならば跡部に制裁を加えてやる! いきなり人を氷漬けにしおって!!」
と、真田は走って行ってしまった。
「困った人だな〜。いつもあんな感じなんですか?」
「ま〜な」
と、ブン太が苦笑し、滋郎も、
「でもでも、ちょっと面白そうな人だC〜」
と言うが、侑士はそうは見えなかった。
「面白そうか〜?あれで」
「まあ、確かに。跡部さんと似た所はあるけど」
「そうやな〜しいてゆうたら負けずぎらいで、仕切りやで、皆を引っ張って行こうちゅう所は一緒やな」
「やり方は違うが、まあそういう所は似てるとは思うけどな」
その時、滋郎が突然倒れた。
「お、おいどうした!? しっかりしろ!おい!」
ブン太が必死に呼びかけると、彼から
「ンガースピーンガースピー」
と、いびきが聞こえ、皆の力が抜けた。
「なんだ・・・寝ただけかよ」
「びっくりさせおってからに」
「そういえば、もう、深夜ですよ」
「俺達も、部屋に戻ろうぜ」
「そうですね。明日も朝早いですから。切原君も、大丈夫みたいですし」
「今回は、ウチの部員が世話になったな」
「いえ。助け合うのは大事な事ですから」
「そうだな。それじゃ、俺は慈郎を部屋に戻して休むよ。どうせ同室だし」
「すいません。芥川先輩。どこでも寝ちゃいますから」
「ホンマ。慈郎の眠り癖には、困ったもんやで」
「でも、この合宿に来てからは、ほとんど起きてましたね」
「そういやそうだな」
「おそらく、強い奴と戦える、ワクワクがあるからちゃうか?」
「ワクワク?」
「そういえば、えらく強い相手になると、途端に元気になりますよね」
「へえ〜そうだったんだ」
「ほな、ぼちぼち戻ろか」
「はい」
「じゃ〜な」

こうして、赤也のデビル化は止まり、翌日は晴れて、さわやかな朝がやって来た

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

テニプリファンタジー小説 更新情報

テニプリファンタジー小説のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング