ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

神奈川【市民と野党と労組】連帯コミュの外務省「将来の国際情勢と日本の外交ー20年程度未来のシナリオ・プラニングー」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「将来の国際情勢と日本の外交ー20年程度未来のシナリオ・プラニングー」

報告書名・発行所「平成22年度外務省国際問題調査研究・提言事業報告書/平成23年3月/財団法人 日本国際問題研究所」

119ページにも及ぶので、「目次」を紹介し、次に「日米関係」を取り上げます。

《 目 次 》

〔第1部  20年程度未来の国際情勢(総論)〕
なぜ20年後の世界を展望しなければならないのか?
――「将来の国際情勢と日本の外交」研究会を支えた問題意識――
山内昌之・中山俊宏

〔第2部  20年程度未来の国際情勢(各論)〕

第1章 国際秩序の展望―「共通の利益と価値」は可能か―
細谷雄一

第2章 日本の地域秩序構想
宮城大蔵

第3章
20年後のアメリカと日米関係―同盟を漂流させないために―
中山俊宏

第4章 伝統的安全保障
道下徳成

第5章 日本と環境
亀山康子

第6章 途上国開発をとりまく戦略的環境と日本の開発協力
――グローバル・シビリアン・パワーをめざして――
大野泉

第7章 資源エネルギーから見る戦略的日本外交
前田匡史

第8章 日本の科学技術政策
鈴木一人

〔第3部 日本外交への提言  将来の国際情勢と日本外交−展望と提言 〕
山内昌之


日米関係に直接関係するのは、はしがき、第2部の第3・4章です。
日本は今後、どのようなアイデンティティと外交戦略をもって、アメリカおよび国際社会に向き合っていくべきなのかということが、各方面からじっくりと考察されていました。
極論に走らず、慎重に論が進められています。じっくり読まなければ、正確なニュアンスが分かりづらいのですが、勝手に要約することは憚られますので、特に重要だと思われる箇所を引用しながら、私が捉えた要旨をお伝えしたいと思います。


はしがき「日本が位置する東アジアにおいては、中国の台頭が軍事・経済バランスに一層大きな変動をもたらす中で、安定的な地域秩序をいかに構築し、いかに我が国の安全を保障するかが重要であります。日本の安全保障の基盤である日米同盟についても、大きなパワーシフトに対応した、より有効なあり方を模索することが求められています。」 ここにすべてが要約されています。

これをさらに端的にまとめると第2部第3章「日米両国が台頭する中国をどのような存在として認知・受容していくかということに帰着するだろう。」となります。

第3章からの引用をしばらく続けます。

「アメリカにとって、日米同盟は広範にひろがる安全保障政策の重要ではあるが一端に過ぎないが、日本にとっては、安全保障問題の入り口でもあり出口でもある。この非対称性も日米同盟のハンドリングを難しくしている。」

「米側のコンセンサス・レポートに対応する日本からの本格的な返答はいまだない。無論、同盟マネージメントの現場では、エキスパートたちによって粛々と同盟のヴァージョン・アップの取り組みに向けた議論、作業がすすんでいることは確かだろう。しかし、新しい時代に向けた新しい日米同盟のかたちをめぐる国民的議論は不在といわざるをえないだろう。」

これらの箇所も、なるほど、と思わずにはいられませんでした。つまり、 アメリカは日本を国益に利する(利用価値がある)ものとして遇するのであり、ひとたび足手まといになろうものなら、即刻切り捨てることもあり得るのです。一方日本は現状のままでは、アメリカなしで国際社会を渡っていけません。。その現実を直視することもなく、平和憲法の効力で戦争を回避してきたなどというおめでたい錯覚がまかり通っています。現状維持が不可能であるという自覚が、国民に浸透しないまま、世界情勢は刻々と変わっていっているのです。取り残された日本は、どのような将来を突きつけられるのでしょうか。

「従来の同盟、さらに同盟のネットワーク化(日米韓、日米豪、日米印など)、そして特定の問題解決・紛争予防を目的とする地域枠組み(六者協議や上海協力機構)、アドホックな協力(対テロ対策や海賊対策などの問題領域別の協力)など、新たに多様な安全保障の枠組みが多層的に構築されていく中で、日米関係を基調としつつ、異なる層を結ぶ最適結節点を素早く見出し、柔軟かつシームレスに様々なツールを用いていく発想が今後ますます必要となってくるだろう。」

「しかし、20年後のアメリカがこのような自己イメージを持ち続けているアメリカであるとは限らない。」

「アメリカは域外大国として、アジアにおける中国、ヨーロッパにおけるロシアの台頭を防ぎ、それぞれの地域において、力の空白を不信感が埋めるということがないよう、ある種の『オフショア・バランシング〔自らは「沖合」(オフショア)から、バランサーとして立ち回り、ユーラシア大陸の勢力均衡を図るということ〕』を行う。」

「より公平な責任の負担というかたちでアメリカからの日本に対する要求は高くなってくるだろう。それは財政的なコミットメントと軍事的コミットメントの双方に及ぶだろう。またその過程で、日本側の日米安保への信頼が揺らぎ、その結果として東アジアにおいて、心理的なレベルで力の空白が生じ、不安定化する。」

「それは、おそらくアメリカが歴史上初めて、自らの相対的没落を潜在的に予感していることと無関係ではない。」

「鳩山総理は、事実上退任の挨拶となった2010年6月2日の民主党両院議員総会において、『いつかは日本の平和を日本人自身でつくりあげていくときを、求めないといけない。米国に依存を続けて良いとは思いません』とはっきりと述べている。
この『日本の米国に対する不健全な依存』という発想は、政権発足前に発表されたVo i c e論文(2009年9月号)でも明らかだった。」

「安全保障政策の具体的なマネージメントは高度に専門的な知識を伴い、その細部にいたるまで国民的な議論を行うことは現実的ではない。よってある種の知的エリート集団の構築は不可欠であろう。エリートという言葉が不適切であるならば、『外交安保エスタブリッシュメント』という言葉に置き換えてもいいかもしれない。

しかし、このエリート集団は、開かれたものでなければならず、いままでのように『密教の番人』的な存在であってはならない。彼らは国民にもわかる言葉でこのコンセンサスについて語ることができなければならない。

そのエスタブリッシュメントは、政党の枠を超えた安全保障コンシャスな政治家や専門家によって構成されるべきであり、このような『安全保障文化』を構築していかない限り、同盟の持続可能性も危うくなっていくだろう。」

「このように考えると、同盟にとっての最大の挑戦は、中国の台頭や米国の自意識の変化以上に、実は内在的なものであり、日本自身が同盟にどう向き合ってくかということが最大の課題であることが見えてくるだろう。」

第4章では、より具体的に「日本の役割の拡大」について述べられています。

「日本が自主防衛力を強化し、より自律的な安全保障体制を構築する必要がある。具体的には、自衛隊の各種機能をよりバランスよく保持するよう強化することが必要である。また同時に今後10年程度の短中期的期間において、憲法9条(集団的自衛権の不行使を含む)や非核三原則等、戦後に作られた様々な制約を検証する包括的な議論を行う必要があるだろう。

また、危機に際して自衛隊を迅速に海外に派遣するための一般法を整備していく必要がある。その上で、特に朝鮮半島有事や台湾海峡危機におけるあり得べきいくつかのシナリオを想定し、各々における日米韓の連携と役割分担を十分確認しておく必要がある。なお、中国の脅威に対して日米で対処するという観点からは、冷戦期に日本が強化した対潜水艦(ASW)、洋上防空、機雷戦などに関する能力を維持・強化することも同時に必要となる。」

アメリカの衰退、中国の台頭、に備えて、日本は今こそ対米追従を見直し、地域パートナーとの連携のもと、自主防衛へと路線を変更せねばなりません。このような公の研究物にも、このことが明記されているのです。国民が一刻も早く目覚めなければ、今が限度か、手遅れか、というぎりぎりの所に来ています。




コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

神奈川【市民と野党と労組】連帯 更新情報

神奈川【市民と野党と労組】連帯のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング