神奈川【市民と野党と労組】連帯コミュの環境社会工学者：安田　八十五の都市問題研究

大都市のごみ問題③：
横浜市のリサイクル：混合収集方式に問題点

ごみから社会を見つめ直す：第４５回

平成１１年　８月１０日
環境社会工学者：安田　八十五

　
　日本における東京に次ぐ巨大都市である横浜市のごみリサイクル問題を考え、政策提案を行ってみたい。横浜は筆者が生まれ育った所であり、今も住み続けている都市なので、筆者も研究者のみではなく一人の市民として発言してみたい。
　横浜市は、米国のペリー提督が黒船四艘を引き連れ、当時の鎖国日本に開国を迫ったことがキッカケになって安政六年（一八五九年）に日本の開港都市の一つとなり、現在の人口が三百三十万人を超える大都市に至っている。筆者は横浜市磯子区の高台に住んでいるが、筆者の寓居から見える根岸湾は、ペリーが世界で最も美しい湾・岬の一つであると黒船来航記の中で激賞し、ミシシッピ湾と名づけた東京湾の内湾である。現在は、高度経済成長時代の昭和三十年代に埋め立てられ重化学工業コンビナート地帯に大変貌をとげている。筆者が子供の頃の昭和三十年代前半までは、自宅から徒歩十五分ぐらいで歩いて根岸湾に海水浴に行けたことを考えると、隔世の感がする。
　昭和三十年代の横浜市と神戸市の人口は、ともに百万人台であったが、現在神戸市は人口一四十万人台と五〇％ぐらいしか増えなかったのに対して、横浜市は人口三百三十万人と三三〇％の異常な人口増加を経験している。人口増加は緑区等の郊外部の東京通勤圏域で顕著である。横浜市のもう一つの顔は東京の｢横山市｣といえる。
　昼夜間人口比が九〇％を切っている横浜市は、市内に雇用の機会を増やすことが至上命題であり、｢みなとみらい２１｣等の巨大都市開発プロジェクトを市内各地で展開している。しかしながら、バブル経済の崩壊とともに新しい企業の進出など望むべくも無く、ほとんどの開発プロジェクトが挫折している。東京のおかげで人口だけは急成長したが、都市の中身としては東京には決して追い着くことの出来ない｢巨大都市横浜の悲劇｣は当分終わりそうもない。横浜市は、大都市の幻想を捨て、市民の生活を重視した都市政策にコペルニクス的大転換することを筆者は提案したい。
　横浜市のごみリサイクル問題における最大の問題点は、混合収集・焼却埋立方式にある。先日、傘立て用に使用していた壷を筆者の不注意で割ってしまった。金槌で割って庭に埋め土に返そうとしたがうまくいかず、やむを得ず横浜市のごみ収集に出した。横浜市の場合、あらゆるごみを焼却し、そのあと埋め立てる方式なので、明らかに燃えない壷の破片を燃えるごみに出すことが悔やまれたのである。横浜市は、混合収集した一般廃棄物を全て焼却し、焼却灰を内陸部（保土ヶ谷区神明台埋立地）及び臨海部（中区南本牧埋立地）の最終処分場に埋め立てている。混合収集方式こそ横浜市の最大の問題点である。