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西岡の図書館(近現代史)コミュの山崎豊子(著)『白い巨塔』(新潮文庫・2002年))その1

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 五郎は、思わず、言葉に詰った。
「ともかく、わしが見込んだあんたや、わしがなれなかった国立大学の教授に、何がなんでもなってほしい。開業医というものは、どない患者が集まって、金が唸る(うな)るほど出来ても、寂(さび)しいもんや、わしみたいに自ら大阪の町人医者と割り切って、それに徹している者でも心寂しい、人間は金が出来たら、次に名誉が欲しなる。人間の究極の欲望は名誉や、名誉ができたら自然に、金も人も随(つ)いて来るけど、金はどこまでもただの金に過ぎん。わしの出来んかった名誉欲を、女婿のあんたに是が非でも果して貰(84ぺーじ)いたい、わしの金儲(かねもう)けはみんなそのためや」
 化物のような凄(すさ)まじい執念とも、毒気ともつかぬ熱気が、財前五郎の首筋に這(は)い込み、そのまま、体内に吹き込むようであった。俺(おれ)は才能で財前家の財力を得、財前又一は金で名誉を得ようとしている。財前五郎は、自分の周囲を凄まじい人間の欲望の渦(うず)が、音をたてて渦巻いているのを覚えた。

(山崎豊子(著)『白い巨塔』(新潮文庫・2002年))84〜85ページ)
https://www.amazon.co.jp/dp/4101104336?ref=emc_s_m_5_i_atc
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