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モンハン!つわもの!!コミュの姫と狩り

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第2章 姫の憂鬱

ほんの少しの絆?を深めた二人は、それぞれの役目を果たす為にちりぢりに行動することになる。
アスカは、ナハトの知人のハンターと狩りを共にし、

ナハトは自分を力不足を補う為に、ブーと砂漠地帯にいるムスカを尋ねに行くのであった。

慣れない面子に恐縮してしまうアスカ!!

ナハト宅に帰れば、じいやこそいるものの!じいやの手前余り弱音を吐けず!心沈むばかりであった。

サチコフをはじめ、沢山のハンターが一生懸命、素材集めやランク上げを手伝ってくれればくれるほど、自分の弱さを痛感してしまう。

アスカは気晴らしに村を散歩する!!

アスカの内情も知った村人達も、姫、姫と接してくれるのが余計に痛い!

今に思えば、ナハトの質素で簡略な会話の方が気が楽だったとアスカは思う。


そんなアスカを先ほどから見つめる人影が…


村から少し外れた丘に腰を降ろす。

『何ですか?さっきから?』

後ろに向かって話だすアスカ!


木陰から姿を見せたのはフードを被ったマリアンと名乗る青年だった。



続く

コメント(73)

ナハトがアルバに止めを刺すべく、バーストのモーションに入る直前にレウスの咆哮が響く。

『ぐっ!』

高級耳栓をつけてないナハトが硬直する。

その咆哮に刺激され、アルバが力を振り絞り、立ち上がる。

無防備なナハトを目の前に、アルバば奮起、レウスに続け、咆哮を上げた!!

地表より吹き出す火柱がナハトを襲う。

避けれないナハト!!

デビル、ベガ共にナハトのフォローに回ろうとするが、レウスがそれを遮るように、低空で火球による牽制をしてくる。

さすがに二人も無視出来ないとレウスに立ち向かう。


ナハトは回復薬グレートを飲み干し、再度バーストモードに入る!

アルバもさせまいとナハトに突進していく!!

レウスは、後ろのナハトとアルバを気にするのを止め、目の前のハンターに意識を集中し始めた。
デビルがニヤリと笑う。

『てめぇ、勝負する気になりやがったな!!』

デビルもバーストを発動する!!

レウスは足で地面を掻きむしり!デビルを挑発する。

デビルもランスを構え直し、腰を落とす!!

ベガが狙いを絞り矢を放った瞬間!

両者は猛然と走り出す!
ぶつかり合い重く鈍い音が辺りに響く!

レウスは堪らず後ろに後退りした。
デビルは盾を吹き飛ばされたものの一歩も下がっていない!!
ランスはしっかりとレウスの首元を抉っていた。
しかし、デビルは目を回していながらも、

『うははっ!俺の勝ちだな!』

と浮かれながらふらついていた!!

そんなデビルに呆れながらもベガの追撃が続く!
レウスを目を回してながらもベガの矢を額の固い部分で弾き飛ばす。

『なっ!固い頭だね!!』

ベガが舌打ちする!!


一方、アルバの渾身の突進は、ナハトを巻き込み断崖の絶壁にぶち当たって止まった。

続く
断崖に激突したアルバが瓦礫を振り払い、ナハトを探す。
足元にいないことに気付き振り返るアルバ!!

刹那!ナハトのジャンプ斬りが炸裂する。
すんでの所、バーストモードに入りアルバの突進をかわしていたようだ。続けて足元を2、3度斬りつけて横に転がる。

嫌がるアルバは前脚でそれを振り払うが、その時、ナハトはそこにいない。右と思えば左!
左と思えば後ろ!
後ろと思えば左!
メチャクチャに暴れるアルバの動きは弱まり、徐々に力を失っていく。

次第にアルバの動きは止まり、静かに崩れ倒れていった。


ナハトがアスカ達の無事を確認し、シルソルの様子に目をやり、足を向けた瞬間!!


血だらけのアルバが倒れたまま渾身の力で尻尾を振りかざす!


『ナハトっ!』
アスカが叫ぶ!!

気付かないまま直撃を受けるナハト!!

小石のように転がり飛ばされる。

アルバはゆっくり立ち上がり、ナハトに詰め寄る。

ピクリともしないナハト!
アスカは辺りを見渡す。
『誰か?』


デビルとベガはかなり離れた場所でレウスと交戦中、なのはは重症で意識がない。
ブーとマリアンもかなりの火傷をおっている。


パニクるアスカ!

『こ、こ…れ…を!』

ブーがかすれるような声で、アスカに訴える。
手には、強壮薬グレート!!

首を振るアスカ!!

『君な…ら、で…きる…』

と言い残し、気を失うブー!!

アスカは涙を流し震えながらも、ブーの手の強壮薬グレートを掴む!

息を吸い、一瞬止まり、ゆっくりと息を吐き出したアスカは覚悟を決める。

空の瓶を投げ棄てて、
イッキに走り出す。

ナハトの元へ!!


続く
アルバがゆっくりと歩き出す。だがその足取りは重くだいぶへたっているようだった。

×の標の火竜に唆され、ハンターのいない地で好き勝手できるとついて来てみれば、ハンターいるし、なに!この竜人まがいまで後からくるし!!向こうにも、角竜みたいのいるし、火竜は遊んでるし!?

とでも思っているかのように体を奮わせ、力を溜めている。

口から、業火が溢れもれている。

大きく振りかぶり、一気に吐き出そうとしたとほぼ同時に…

アスカが立ちはだかる。
すでにに鬼人斬りのモーションに入っていた。

しかし、アスカの実戦で上手くいった試しは数少なかった。

《この人!いや、子供達!いや、この国は私が護る!!》

紅く透き通ったオーラのようなものがアスカの全身を覆い尽くす!!

“鬼人斬り”

無数の斬撃がアルバに叩きつけられていく。

血飛沫とともにその斬撃は徐々にアルバに深く刻まれいく!!

強壮薬グレートによりアスカの攻勢は止まらない!!

どれぐらいの時間がたったであろう?

呼吸も忘れ、無心で振り抜いたアスカが息が途切れ、膝に手をあててなければ立っていられない程にまでなっていた。

その体勢のまま、アルバを見上げ、アスカはそう思った。

アルバは、振りかぶったまま硬直し、口元の業火も次第に火を弱めていった。

すでに白目を向いたアルバの硬直が解け、グニャリと静かに崩れ倒れていった。

アスカは呼吸が乱れ、膝をつき、咳き込む!!

ナハトは起き上がり、武器を構える。

『大丈夫?アスカ?』

アスカが咳き込みながら笑う。

『それは、私のセリフ!!』

『??アルバを仕留めたのか?君が??』

『どう?やるもんになったでしょ?』

アスカがいう!!
そこに意識を取り戻したブーとマリアンが駆け寄る。

『アスカ!凄いや!』
とマリアン!!

ブーが、
『ナハト!俺達は、もう戦える状態じゃない!!
足手まといになる前に撤退する。
これ残りのアイテム!
すまん!
後を頼んでいいか?』

『任せろ!なのが心配だ!急いだ方がいい!!
それとアスカも連れて行ってくれ!!
レウスを倒せても姫が戻らないじゃ話にならん!』

ナハトがブーからアイテムを受け取りながら言う。

『えっ!でも!!』
とアスカ!

『デビルもベガもいる!
大丈夫!
俺を信じろ!!
俺は1人じゃないんだ!』

ナハトがアスカの手を握る!!

頷くアスカ!

ブーが、
『行こう!姫!!
レウスが此方に来る前に』

腕を引かれながらアスカは振り返った。

ナハトはすでにレウスに立ち向かう為に、走り去っていた。

その時、アスカはナハトが帰ってくることに何の疑いも持っていなかった。


続く
撤退を余儀なく、
アスカ達一向は、足手纏いにならないように、場を離れた!!


何度も振り返るアスカに、その都度!ブーが

『大丈夫!奴らならやってくれるよ!!』

と、諭す。

それでも、不安を拭いきれないアスカの元に、メイドのせぃなと華燐が駆け付けてきた。

『姫!大変です!!』とせぃな!
『街中に突然モンスターが!!』
と華燐!


『えっ!!』

驚くアスカ!

『大きさは?』

ブーが割り込む!!

『う〜んと人より大きい位!?』
『うん!兵士の皆が戦っているけど!分が悪そう!』

『うん!押されてる感じだったよね!』
『うん!でも、街の皆はなんとか城に避難させてるみたい!』
『うん!手一杯みたいだけど』
『うん!だから私達、姫に伝えに来たんだよね。』

とせぃなと華燐!!

『ブーさん!?』
アスカがブーの顔を覗く!!
『んー!なら我々だけでも…マリアン?どうだい?』

『雑魚ならいくらでも!』

とマリアン!
『分かったわ!私達3人は、先に城にもどるわ!二人共!なのはを頼める?』
とアスカ!
『はい!』
『はい!』

『でも!大丈夫なの?二人?』

『はい!来るときも、この棒で追い払ってやりました。』
とせぃな!
棒を剣のように構える華燐!
『んー!二人共!ハンターの資質あるのかもですね!でも無理はしないで下さいね』
とブー!
『城に着いたら!兵士を回します。それまでお願いね!』
とアスカとブー、マリアンは走り出す。

『これもレウスの策なの?』
とアスカ!
『んー!考えずらいですが、タイミングを考えると…!』

ブーは理解し難い顔で言う!!

『シルソルって頭いいんだね!』
とマリアン。

『バカ!急ぐわよ!』

3人は、更に速度を上げて行った。

続く
デビル、ベガの元へ合流したナハトであったが、巨大で狡猾なシルバーリオレウスに苦戦を強いられていた。

G級ハンターといえど、このレウスの攻撃をまともに喰らえばひとたまりもない。

故に、果てしない地味な攻防が続く。

痺れを切らしたのはデビル!!

『ちっ!しゃあねえな!』

武器をしまい、後方に下がる。
懐をあさり、徐に投げ付ける。

閃光玉だ。

強烈な光に、レウスも目を廻す!

それに合わせてナハトが一気に駆け出した。
詠唱を唱えながら!!

『我は雷也!
雷鳴の閃光の如く、如何なる物も穿ち、斬り伏せる!
我は無敵也!!』

うっすらと蒼白いオーラを纏いナハトが飛び上がる。
その斬撃は、雷のように閃き、歪な軌道を疾らせていた。

『おいっ!!かくし球あるんじゃん?見切り?』
とデビルは罠を仕掛けながら呟いた。

レウスは堪らず後ろによろけながら下がり、怒りの咆哮を上げる。

ナハトも距離をとり、それをやり過ごす!!

『まだ未完だ!長く持たないし、まだ出来ないのもある!!だが、試す価値はありそうだな!?』とナハト!
『ったくよ!ムスカの奴!!俺にはそんなの教えてくれなかったよな!!後で文句言ってやる!』デビルはぶてくさと呟いた。

そんな二人を見てるベガが、
『アタシも魅せてやるよ!!バーストっ!!』
と弓の引きしろをさらに絞る!

限界ギリギリに張り詰めた糸が凄まじい勢いで矢を弾く!!

ベガの元を離れて矢達は、レウス、デビル、ナハトに容赦なく降り注ぐ!
逃げまどう二人!!
レウスもいやがり上空へと一旦逃げ、旋回する。
『こらー!ベガ!!
お前のそれは、バーストじゃないぞ!!
やめろー!!』

『いや、マジで勘弁して下さいよ!姐さん!』

『うるせー!真面目にやってんだよ!!アタシは!!』

『あい!すいません』
とデビルは直立不動に固まった。!
『逆ギレかよ!』
とナハト。

『あんだって!?』
ナハトに狙いをつけるベガ!!
『あい!すいません!』とナハトも固まる。

そうこうしてるうちにレウスが仕切り直しと低空飛行で突っ込んできた。
『来たよ!フザケテないでシャンとしなー!』
とベガが二人を捲し立てる!!
《どっちがだよ!》
二人は、同時に心の中でツッコミを入れていた。

続く
城にたどり着いたアスカ達一向は、城を囲む、おびただしい数のジャギィ、バギィ、フロギィに驚愕する。

中にはドスクラスも混じっている。

次々と倒される兵士を目前にし、3人は直ぐ様!討伐を始める。

雑魚といえど、先ほどの痛手の為か、二人の動きが鈍く感じるアスカであったが、兵に後退の指示を出しながら、せぃな、華燐の元にも兵を送る指示をだす!!


《ここは、私が踏ん張らないと…》

アスカの奮起にまた、ブー、マリアンも力を振り絞り、モンスターを撃墜していく!

モンスターの数が減ると共に、3人の体力も削られていく。

回復薬はない。

残りの全てをナハトに渡していたからだ!


ブーが片膝をつく!

『ん〜!さすがにしんどい数ですな!!』

『それでも狩り続けないと!!』
マリアンが半べそで叫ぶ。

不意にアスカが重い防具を脱ぎ捨てる。

身軽になったアスカの鬼人斬りが冴え渡る!!

『このまま!一気に!』
その姿に、ブーも立ち上がり!モンスターに駆け込んでいく。

マリアンもまた、死力を尽くした!!

その甲斐あってか、全てのモンスターの屍が城前に無数に横たわる。


アスカも膝をつき、四つん這いで、苦しそうに肩で息をしていた。


その時、背後からアスカを狙う、ドスフロギィが…

ブー、マリアンが気付くが、その距離は遠い!

声にならない声で二人が叫ぶ!!

その様子に振り向くアスカ!!

その目の前には、フロギィの毒霧が…

アスカはその毒を喰らってしまう。
一旦距離を置こうと背を向けた途端!!

フロギィの鍵爪がアスカの背中を深く抉る!!

その場に倒れてるアスカ!

ブー、マリアン共に立ち上がることも儘ならないまま!
フロギィの追撃が…


続く
毒が回り、途切れ途切れの意識の中!

アスカは、踞ったまま、剣を振り回す!

フロギィはアスカの牽制の隙を伺っていた。

モンスターの死体の山からドスジャギィまで起き上がってきた!

ブー、マリアン共に、立ち上がり、アスカの援護へ向かうが足どりが重い!
3人ともすでに限界を越えていた。

アスカもついに力尽きかけていた。


『ちっくしょう〜』
力ないブーの言葉が無情に響く!!



『…』

その時だった。

どこからともなく飛んできた矢がフロギィの急所を一撃で仕留める!!


その刹那!
ドスジャギィに向かうブーを人影が追い抜き、スライディングのまま、横一閃!

ジャギィをこれまた一撃で仕留める!!


せぃなと華燐だった!!
『ひめっ!』
『姫っ!』

そのまた遥か後方から2発の銃弾がアスカに当たる。

アスカは、腹にもらった銃弾を見て意識を失った。
ブーが遥か後方を睨む!

『あ、あなたは?』
その先にいたのは、えらく若い女の子ハンターを連れたムスカであった!

『ブー!お待たせしました。

よくここまで、踏み留まりましたね!
しかし、驚きです。
この後ろの山脈にディアブロが掘ったと思われる坑道があり、そこを種族の違うモンスター達が行軍するとは…

なに!後方はすでに討伐を済ましてあります。
後一匹だけですよ!』

『えっ!』
とブー!
防具をつけてないせぃなと華燐は、解毒弾と回復弾を受けたアスカを直ぐ様、避難させる。

『ブー!君も下がってなさい!
いや、しかしその二人はハンターの素質ありますね!武器を与えただけなのに…
いやはや、この子といい!若さとはいいですな!』

『師匠!?』
後ろの幼いハンターがムスカの肩を掴む!

その瞬間!

モンスターの死体の山が盛り上がる!!

そこからディアブロスが勢いよく飛び出してきた!!

『さぁ、ブー!向こうにいきましょう!
あぁ、そうだ!

なのはの処置はすんでますよ!
いや、危なかったよ!
あの子!』

とペラペラしゃべるムスカ!!

『師匠?ディアブロは?』

と、ブー!
『うん!大丈夫!

知ってるでしょ?
僕の弟子は、装備万全なら一匹のモンスターなんかに遅れは取らないよ!』

『いや、しかし!』

『ブー!?
僕が念のためにボウガンなんか背負っちゃってるんだから、間違いはないよ!』

『はぁ!』

ブーも気が抜けたのか、足が痙攣し、その場に座り込んだ!!


マリアンもアスカと共に、城へ避難していた。

ムスカ、ブーの視線の先には、ディアブロスと対峙する幼いハンターの双剣がひどく煌めいて光を放っていた。


続く
彼女の名前はいおり!!
ムスカ曰く

《最後の弟子!もうこれ以上の原石はない!》
と言わせた程のセンスの持ち主!!

おのん、なのは、マリアンといった次世代ハンターに名を連ねること間違いなし!と言われた少女!!

突進してくるディアブロをヒラヒラとかわし、剣の舞いが冴え渡る。

『ちょっとだけ援護しますね』
そう言ってムスカは、ヘビーボウガンで痺れ弾を撃ち出した。

あっという間に、ディアブロは痺れ状態に陥り、
いおりは、鬼人斬りのモーションに入る!!

無限の剣筋がディアブロの体を侵食していく!

ムスカの脇でブーが、
『彼女には?』

『はい!殆ど何も教えていません!全て実戦で少しフォローしてるだけ!彼女は勝手に成長してくのです。』

『んー!なるほどね』

ブーは、自分の出る幕はないと、地面に仰向けになる。

『あれ!もう見ないのですか?彼女!可愛いですよ!フィギュアに出したら儲かると思ってるんですけど』

『その為に弟子にしたのですか?』
とブー!

『駄目ですかね?』
ムスカはサラリと言う!『お好きにどうぞ!』
ブーは、ムスカにそんな気もない癖に…
と思いながら口に出すのを止め、目を閉じた。


そうこうしてるうちにいおりは、剣を納めムスカの元に歩みよっていた。
『師匠っ!』

『上出来ですよ!!
可愛いかったし!!』
とムスカ!

『えー!誉めるとこそこですか?』
いおりは不満げな顔をする。

『技を誉めれば、ソコで止まってしまうだろう』
とムスカは言う。

『そっか〜』
いおりは半分納得といった表情で、
『あ、剥ぎ取りしてないや!!』
とあわてて、倒したディアブロに走っていった。

『やれやれ、しかしこちらは間に合ったが、デビル達は上手くいってるのかな?』

ムスカは、デビル達がいるであろう方向を険しい顔で見据えて佇んだ。

『大丈夫ですよ!
先生の言う5指のうち二人がいるんですよ!』
ブーが目を瞑りながら言う。

『はい、でもそれは通常のモンスターの話!作戦を立て、他のモンスターを誘導したりする奴、すでにモンスターの域を越えています。なにもなければいいのですが…』


幾人ものハンターの活躍により城、街の脅威は終わった。しかし、元凶を倒せなければ、真の平和を迎えることは出来ない。
それは、誰もが理解してることであった。
ナハト達一向が無事に戻ることを解毒の済んだアスカは、それだけを願った。魘されながら…

続く。
一方、ナハト達とレウスの闘いは泥沼化していた。

凹凸だらけの地面!
焼き爛れた岩肌!
燃え盛る木々!

ズタボロで血だらけのナハト、デビル、ベガとレウス!!
だがお互いの目はまだギラギラとしていた。

アイテムも底を尽き始めていた。


執拗にナハトを狙うレウス!

ナハトもデビルは何度もバーストを用い、善戦していた矢先!

ナハトの体に衝撃が疾る。

『ガッ!!』

全身を痙攣させ倒れる。
その隙を見逃さないレウス!
一気に火球を吐き出し、続けざまに猛突進!!
デビルが援護に回り、盾をそれを迎える討つ。

一発!
二発!!
三発!!!と、
更に、巨大なレウスのぶちかましがデビルを襲う!!

さすがのデビルも力負けし、ナハト共々、天高く放り投げ出される!!
バーストも解けてしまう。

『ちっ!』

大したダメージはなかったデビルだが、これはカチンときたようだ。

槍を構え直し、一気に突貫していく。

レウスもこれには堪らす、転げ倒れてしまう。

『はっ!どうだっ!』

膝をつくデビル!追撃まではいかない代わりに悪態をつく!!

『デビル!ヤバいよ!もうビンないわ!!』

ベガが言う!

『うるせぇ!なんでもいいから射ちまくれぇ!』
『やってるよむかっ(怒り)

ナハトは悶えながらもなんとか立ち上がろうとしている。

レウスの怒気が膨れ上がり、二度三度と咆哮をあげる。

その都度、体を硬直させられ、痛手の三人の体に酷く響く!


デビルが先陣を切る!!再びバースト発動!

突貫からのサイドステップを混じえてレウスを翻弄していく!!

ベガも血だらけの指で矢を射ちまくる!

レウスも応戦する。
頭を振り上げ!火球を吐き出し、尾を振り回し!
誰が倒れてもおかしくない状況だった!

ナハトも死力を振り絞り、バースト発動!!
『我は静かなる流水也、水は全てを受け流し、全てを飲み込む、故に型なし!我、無敵也!!』
ナハトを透き通るオーラが体を包む!!

滑るようにレウスに近ずき斬り始める。

流れるような攻防!レウスの尾を流し、火球をかわし、噛み付きを紙一重て避け、まとわりつくように斬り込んでいく。
ナハトの避けた所からデビルの槍が突きだし、ナハトが屈んだ上からベガの矢が飛んで来る。

ヨダレをたらし、弱ったレウスに止めを刺すべき、三人が一気に詰め寄る!!
その刹那!尾を振り上げながら火球を吐き出し、そのまま噛み付き、突進してきた。

どこにそんな力が残っていたのか?

レウスの火事場の力が発揮した!!

ナハトは振り上げられ、ベガは焼かれ、デビルは圧しきられ吹き飛ばされた。

もう回復する術もない!三人は、一瞬思った。

《殺られる!!》

しかし、レウスも限界を超えていた。

数秒、白眼を向いたまま立ち呆ける!!

ナハトは口から血を吐き出し、悶えていた。
ベガも肩を脱臼していた。
さすがのデビルも立ち上がったが足元がおぼつかない!!

我に帰ったレウスは、残った力を振り絞り、翼を広げ羽ばたき始めた。

これを逃せば次はない!
レウスはこの場から逃げようとしていた。

次がないのはこちらも一緒!
ナハトは、デビル、ベガを呼び寄せる。

『ら、ラスト…チャンスだ!…もう…これしかない…………』
デビル、ベガにある提案をする。


既にレウスは空へと飛び立とうとしていた。

続く
『オモシレーな!!それ』

とデビルがニタつく!!
『本気?』
ベガは、半信半疑で答える。


ズタボロな三人の策は、常軌を脱していた。

足を痛めたデビルが膝をつき、ベガの弓の弦に自分のランスを掛ける。
力いっぱい弓を引く!
脱臼したベガがデビルの肩に掴まり狙いをつける。
デビルの槍先にしがみつくナハト!

『も少し右上っ!』
とベガ!

『早くしろっ!』
デビルが苦しそうに言う!!

ナハトはしがみつきながら詠唱を呟く!!
『我が身に宿る幾多の力よ!全てを吐き出し、我が身に力を……………』

『いくよっ!打て!!』ベガが叫ぶ!!
『ウガー』

デビルは弦を弾く!!
鋭く光るランスは、ナハトを連れて天高く飛び出していった。

その反動でベガの弓は、粉々に弾け飛んだ!!

デビル、ベガ共に地面に叩き付けられる!!

『行けー!ナハト!!』倒れてたままデビルが叫ぶ!!

勢いよく飛び出したランスと共に打ち上げられたナハトは槍先に立ち上がりバランスをとりながら集中した。

天高く飛び立つレウスにみるみる近づいていった。

それに気付き旋回しようとするレウス!!

その刹那!ナハトが槍から飛び上がる!!

『フルバーストっ!!』
レウスの翼の付け根にしがみつくナハト!!

振り落とそうとレウスはキリモミしながら振り払おうとする!

一瞬、片手が外れ、落ちそうになるナハト!!

しかしナハトの体から虹色のオーラが溢れだす!

レウスの背中から首をよじ登り、何とかレウスの後頭部まで登り詰めた!
『これで終わりだ!!』

レウスは飛行中にも関わらず、頭を振り回す!!
レウスも態勢を崩し、二度三度キリモミしながら落ちていく!!

これではナハトも狙いが定まらない!
必死にしがみつき、これに堪える。

レウスは仕方なく態勢を立て直すべく首を伸ばし上昇しようとする。

ナハトはこの機を逃さない!

片手剣を鍔元まで深く、レウスの後頭部に突き刺した。

レウスの眼の色が沈んでいく。
降下しながら…

ナハトも力が抜けていきながら、レウスの頭部に立ち上がる。


飛び下りる機会を伺っていた!!

突然息絶えたはずのレウスが頭を振り上げる。

ナハトはさすがに振り払われてしまう。

気がつけば、レウスの鋭い牙に半身を噛みつかれていた。

『ぐうっ!』

鎧ごしにレウスの牙が突き刺さる。その顎の力に成す術もない!!

共に闘いの場からかなり離れた場所にキリモミしながら落ちていく!

その速度は増していくばかり!!

レウスにもう意識はない!!さすがに息絶えたようだ!!

ナハトも意識が薄れていく!!

最後にもう一度叫んだ!『フルバースト!!!』




一匹と一人は、人も未開の森の中に消えていった…!!

轟音と共に!!

続く
第4章 ライフ イズ …


それから3年の月日がたった。


アスカの国は大きく変わった。

ハンターギルドへの加入!!
それに加え、城下町の設備の充実!!

国境の防壁、竜撃槍、見張り台、集会所、

ハンター他、人の出入りも変わり、街並みは随分と変わっていった。

あの日よりアスカの周りも急変していった。


じいやの引退、メイドのせぃなと華燐は、ハンターに成る為、ギルドの養成所へ!

ムスカは、この国にいおりを置き、自分の研究所へと帰っていった。
ブーにこの国への復旧を任せて!
しかし、全ての物質の配給、プラン、手続きを請け負ってくれた。まるで最初から分かっていたかのように…

最初の一年は、レウスの策略でこの国に侵攻してきたモンスターはあれだけでなく、その数々のモンスターの撃退に追われる日々だった。

その中でもいおりの強さは群を抜いていた。

その戦いぶりから
『アンタッチャブル』という通り名がつくぐらいであった。

マリアンとなのはも復帰に時間を要したが、いおりと共にこの国に留まった!!

2年目からは国内外の工事に追われた。

アスカは、狩りから離れ、女王として、内政、外交に力を注いだ!!

周りのギルドに参加してない諸国にも参加を促した。

アスカの毅然な対応とその美しい背中に残る大きな傷痕は、モンスターの脅威を伝えるのに申し分なく、異を唱える諸国はなかった!!

あっという間に3年が経ってしまった。

命がけで守ろうとした子供達も、無事に育ち、長男の王子もまたハンターになるべく、この国を旅立つ日を迎えた。

アスカの部屋の扉を叩く音が鳴り響く。

『お入りなさい。』


『失礼します。母上!』
15才になった息子、アリオスだった。

旅支度を終え、別れの挨拶にきたようだ。

『そんな顔しないで下さい。母上、大丈夫です。俺は王になる為、G級ハンターになって帰って来ますから!』

アスカは、そっとアリオスを抱き締めた。

『心配はしてないわ、滞在場所のナハト宅にはじいやがいるわ!向こうには知り合いのハンターがいっぱいいるし…』


じいやは空き家になったナハト宅を面倒みる為に引退し、ナハト宅で余生を過ごしていた。


『ナハトさんは生きてますよ、母上!デビルさんも言ってたじゃないですか!!』

『そうね…きっと…』

アスカは息子の前で優しく微笑んだ!!

国中は、王子の出立の祝いと街の工事の完了でお祭りとなり賑わっていた。

ギルドスーツを来たデビルが2年ぶりにこの国を訪れていた。
ベガと共に…

ナハトの姿はどこにもなかった。


続く!!
『デビルさんっ!!』

アリオスが嬉しいそうにはしゃぐ!

『おう!子王子!
元気にクソしてっか?』
デビルはアリオスの頭をくしゃくしゃと撫でながら、アスカと目をあわし、首を横に振る。

目を潤ませたアスカは、肩を落とした。ベガがそっと寄り添う。


『アリオス!ソッコーで王の防具揃えて来いや!
その間、俺がこの国を守っててやるから!!』

『はい!頼みます!』
アリオスは屈託のない笑顔で笑った!!

ブーといおりもその場にやって来た。
『姫!そろそろ!

??? デビルさん?』
といおり。
『デビルっ!また勝手に部屋まで押し掛けて!!
我々を通してくれっていつも言ってるだろうが』ブーがデビルに詰め寄りながら言う。

『ああっ!わかったわかった!!

サラリとブーをかわすデビル!


一向は、城の広間へと足を向けた!

アスカは公儀用のドレスに着替え、いおりと共に後を追った。


『いおり!今までありがとう!モンスターの侵攻も治まり、もう自由にしてくれていいのよ』

『はい、一度!師匠の元に帰り相談します。ナハトの行方も…』

『デビルからの報告も駄目だったし、もうイイワ!いつまでも引きずっているわけにもいかない。まだやらなきゃいけないこと沢山あるし…』

『しかし、姫も少し体を労り休んでは…』

アスカは静かに首を振る。

皆、広間にて民衆に、にこやかに手を振る!!

それぞれの思いを心に隠しながら…

祭典は、それとは裏腹に盛大に盛り上がった。


そして何日かが過ぎた。
続く
祭典も無事に終わり!

アスカの国は、近隣で一番大きな集会所を持つ、ギルド公式の国となった。

ハンターが我が物顔で歩くことを心持ち良く思わない貴族諸侯もいたが、あのモンスター大侵攻の為か?表立って異を唱える者はいなかった。


物思いにふけるアスカは、虚ろな瞳にほんのり涙を浮かばせていた。


『!!!』
扉を叩く音がする。

アスカは涙を拭い、入室を許可する。

『ひめっ!』
『姫っ!』

『只今戻りました。』

せぃなと華燐だった。

二人共に見事にハンターとなり帰って来たのだった。

『姫っ!大変長い間留守にして』
『すみませぬ』
『私達!!』
『G級ハンターに成れました!』

『ご苦労様!大変だったでしょ?私だって上位にまでしか成れなかったのに…』
アスカは二人を抱き締めた。

『あたた!華燐の防具ちょっと痛いわね!
せぃなは何故メイド服?』

華燐はブラキ一式とブラキ太刀を装備してるのに対し、せぃなは、以前のメイド服だった。
『えっそれは!クエストに出る時以外は防具は来ませんよ!』
焦るせぃな!

『うそっ!せぃなは一式揃ってないからでしょ?』
華燐が横から割って入る。

『言わないで言ったじゃない!』

せぃなが膨れっ面で言い、3人は笑った。

そこに、いおりが入って来た。

『姫!私の後続ハンター!まだつかないのかな?師匠からの返事も来ないし!!』

せぃなと華燐は、いおりに軽く頭を下げ、一歩後ろに下がった。

『あっ!二人ハンターになったんだ!!
やったね!!』
4人は、女子トークに花を咲かせた。



するとやけに激しいノック音がする。

『どうしたの?』
とアスカ!

扉の向こう側で兵が答える。

『はっ!陛下!
お見栄したいと申すハンターが来られているのですが…』

『通しなさい!!』

アスカが答えると、廊下の遥か先からドタバタと走ってくる音が聞こえる。

『誰だろう?』
とせぃな!
『ナハト様では?』
と華燐!
アスカの顔が一瞬赤みだす。

『でも、それなら兵もわかるはずじゃ?』
といおり!
肩を落とす!アスカ!!
『姫!分かりやす過ぎ!』

3人はキャッキャッと笑う。
『もう!からかわないで!!』

とアスカ!

また扉をノックする音がする。

アスカは咳払いをしながら
『お入りなさい!』


アスカは女王らしく立ち直した。
後ろで3人は手を握り合いドキドキしていた。

一番ドキドキしていたのはアスカであることは、明白であった!!

続く
『失礼します。』

扉を勢い良くあけ、体格の良い若者がまた勢い良く部屋に入って来た!!
『へなちょこハンター!いおりに変わり、今日より配属になりました。
アドネインです。
宜しくお願いします。
好きな食べ物はハンバーグ!!
得意なモンスターは、ジンオウガ亜種です。

ん!おうっ!げっ!!
いおり?何で?いるんだお前!?ん!
あっ!すいません失礼しました。』

『声デカっ!』
と華燐。
せわしないこの男にアスカ、せぁな、華燐はクスクス笑う。

アドネインと名乗った男は深々と頭を下げる。

『宜しく頼みますね。』アスカは優しく言った。
『なんだ!私の後続は、アゴドリルか?』
いおりが茶化すように言う。

『アゴドリルじゃねぇよ!!アドネインっ!!
バカ!お前のせいで恥かいただろ!!』

男は真っ赤な顔でいおりに向かっていった。
『なによっ!』
いおりは、胸で男を突き返す。


アドネインという男!
これもまた、新世代ハンターの1人である。防具ガンキンZに身を包み!
スキル・ガード性能1 砲術王 心眼 バイオドクター カナヅチで狼牙銃槍【貪獄】を振り回す。パワーファイターである。

『んんっ!
そろそろいいかな?』


続く
扉に寄りかかったムスカが突然話に割り込んで来た。

『師匠!!』

いおりとアドネインが同時にハモる。
『カブルなよ!』
『そっちこそ!!』
肩で牽制しあう二人!

『はい!喧嘩は外で!!姫と話がある。皆!席を外してくれないか?』

ムスカの真剣な表情に4人は退室した。

『ご無沙汰しております。姫!!弟子の無礼の数々!!お許し下さい。』
ムスカは軽く頭を下げる。
『いえ、それより今までの支援の数々!こちらこそ何とお礼をしたら…』
ムスカは、アスカの話を止める。

『それはもう…
ん!顔色が優れないようですな!
ちゃんと体を休めていないようですね!!
これを飲みなさい。』

ムスカは懐から怪しげな薬を渡す。
飲み干すアスカ!
渋い顔をする。
『いいですか?
これからする話をしっかり受け止めて下さいね!気をしっかりと』

『え!』
冷や汗をかくアスカ!

ムスカが鞄からあるものを取り出した。

『これは?』

火竜の天鱗だった。

『はい!ナハト邸にあった物です。彼からの手紙には、『自分に何かあった時は、これを一番必要としてる者に…』
とだけ書いてありました。
貴方が適任かと』


アスカは大粒の涙をボロボロとこぼし!

『ナハトはまだ死んだと決まっていない!!
なぜっ!!決めつけるの?』

アスカは泣きながらムスカに掴みかかる。

『貴方も、本当は解っているのでしょう。いい加減、受け入れなさい!』ムスカは静かに言った。
『うわあぁぁぁ〜』
膝から崩れ、泣きじゃくるアスカ!!
堪えた年月が一気に吹き出す。

『泣きなさい!!想いっきり!!』

ムスカは上を向きながら、涙を堪えた。

その日、城中には、アスカの泣き声だけが悲しく響き、また多くの者が涙を流した。



デビルだけが見張り台の上から遠くを見つめていた。仁王立ちで…
それから数日後!

幾日も見張り台の上から降りないデビルの鼻がヒクヒクと動く!

『なにか来る!!』
ポツリと呟く!!


デビルは下の兵達に伝達を促す。

自身も見張り台から降りる!!


ここ数日、アスカは床に伏していた。


あの日…

アスカ自身、傷だらけで毒まで喰らい、満身創痍だったにも関わらず、運ばれた病室を飛び出して、ナハト達一向の帰りを待っていた。

見張りをしている、いおりの肩に掴まり何度も意識を失いかけながら…

なのは、マリアン、ブーは、治療を受け、今は安静に寝ていた。

せぃな、華燐はアスカの容態が気になり、後ろでアスカを見守っていた。

『姫っ!お身体に障ります!どうか城内にいて貰えませんか?』

いおりは優しく言う。

アスカは無言のまま、決戦の地の方向を見据え続けていた。

長き時は経ち、朝日が立ち昇ろうとした時、

ケガと疲労のピークを越え、立ちながらに頭を揺らすアスカの視界に人影らしき姿が!!


アスカが迎え入れようと、人影に駆け寄ろうとするが、アスカの足は縺れ、アスカは転んでしまう。

それでも、その姿を見届けようと、必死に起き上がるアスカ!!

朝日を背に近寄る人影は、2つ!!ズタボロになりながら、拙い足取りでこちらに歩みよって来た。

口元が小刻みに震えるアスカ!

いおり、せぃな、華燐が走り、二人を迎えた。


武器もなく、気を失っているベガとそれを担ぐデビルであった。


アスカの瞳孔は開き、一瞬、呼吸も出来なくなるアスカであったが、
少しむせた後、アスカは、口元を噛みしめ、

『怪我人を収容後、交代で見張りをたて、各自、休養、回復を図れ!!
我も少し休む!!

その後、復興活動にはいる!!

各自解散!!』

と言い切り、崩れ倒れる寸前、ムスカが彼女を抱き支えた。


その後、1日と経たずにアスカは、表立って国の建て直しに尽力した。

ナハトの調査隊の案もアッサリ切り捨て、こう言う。

『彼は死んでない。だからいずれ戻ってくる。それよりもやらねばならぬことを優先せよ!
彼なら絶対こう言うわ!』
と…

アスカの迫力に押され、ナハトの名は徐々に上がらなくなり、月日は過ぎた。




アスカは、ベッドにうつ伏せながら、

『ナハト!貴方、約束を破るつもり!!』

小さく呟く!!

『私は、信じない。貴方が死んだなんて…』


と言いながら落ち込んでいるアスカの部屋に、
勢い良く入るデビル。


続く
『おい!おんな〜!ヤベェぞ!!
ん?泣いているのか?』
デビルは面倒臭そうな顔をする。
それに気付くアスカ!

『なによ!って勝手に入って来ないでよ!それにその呼び方なんとかならない?で何?』

アスカは目を擦りながらデビルにきつくアタル。

『あ、あぁ!!モンスターが来るな!
しかも群だな!多分犬っころどもだ!?
ハンターを集めろ!!』

『解りました。直ぐに行きます。先に広間に…』アスカはデビルに返す。

デビルは、アスカに背を向け広間に歩みだして、ふと止まる。

『おぃ!おんな〜!』
『な、なによ?』
とアスカ
『…
ナハトは死んでねぇよ!…』
デビルは、一言だけ呟き、また歩を進めだした。
アスカは、その後ろ姿を見送りながら、その背中にナハトを見た。

『この二人似てるんだ…ありがとう。』
アスカは小さく呟いた。
『似てねーよ!!』
デビルが振り向きもせず答える。

『っええー?』
アスカはその地獄耳に驚き、目を丸くしていた。

その頃、黒き雷を纏う魔犬が共を引き連れ、大きな咆哮を上げる。それに続き、幾つもの咆哮が山々に響く!!

それは、宴を楽しむ歓喜の叫びに聞こえた。


広間に集まったハンターの中からデビルが選んだのは、
アドネイン、いおり、せぃな、華燐が討伐隊、なのは、マリアン、ブー、ムスカで守備隊、デビル、ベガは遊撃隊という編成となった。

それぞれが装備の準備が終わり、討伐隊が出発する。
守備隊も配置につく。

デビルは、広間で大の字で寝転ぶ。

『俺の出番になったら起こしてくれ!!』
ベガにそう言う。
『えっ!あっ、あぁ!』怪訝な顔をするベガ!!

偵察隊と合流した討伐隊の4人は、森の拓けた場所にいるモンスターを発見した。

なんと、ジンオウガ亜種とジンオウガ3頭の群であった。

『ちょっと!多くない?』

といおり!

『殺るしかないだろ!』とアドネイン!!

せぃなの目が光る!!

『素材揃うかも!?』
華燐が続けて
『やったじゃん!
さぁ!往きますか?』

4人は、煙玉を握り、一気に攻め込もうとしていた。

その頃、城に別の偵察隊が勢いよく帰ってきた。『坑道からモンスターらしきうめき声が!!』

『よし!なら見に行きますか?』

ムスカが立ち上がる。
なのは、マリアン、ブーもそれに続く。

デビルだけが大きないびきをかいていた。

続く!
過去の大侵攻でできてしまった坑道にたどり着いたムスカ一向は、入り口で耳をすませる。

確かに、モンスターらしき唸り声がする、

どうやら複数のようだ。
今回、
なのはは笛、
マリアンはボウガン、
ブーは片手、
ムスカはスラアク
のようだ。

なのはの旋律が皆を強化する。

4人は坑道に入る。

そこで見たものは…


ギギネブラの卵が無数に拡がる。

坑道の中も数年前と変わっていた。幾つもの新しい坑道が増えている。
何処に続いているか?
分からない状態だった。
『親玉はいないようですね。今のうち!卵を潰しておきましょう。』
ムスカの指示に従い、個々に散開した。

『酷い数ですね!
どうやら単体じゃなさそうですね!!』
ブーはそう言いながら、気味の悪い坑道を見渡した。

その頃、森の奥で戦う4人は苦戦していた。

『くそっ!』
『コイツら、モンスターのクセに連繋とりやがる。』

3体のジンオウガが、右に左に交差しながらの突進!!加えて、亜種の竜の雷は、ハンターを追尾して追いかけてくる。


四方八方からの攻撃に振り回されていた。

『個別に撃破するよ!
アゴは亜種!私は大きいの!せぃなと華燐は、小柄の2体!いいね!』

といおり!

せぃな、華燐は無言で頷く。
『アゴじゃねぇよ!』
アドネインがガンランスの竜撃砲をぶっぱなす!
『今よ!!』

3人は、自分の標的に一撃を入れ挑発しながら狩場を移動し始めた。
残ったアドネインと亜種が睨みあう。

『タイマンじゃ負けねえぞ!!』
ガンランスの砲弾を装填する。

ジンオウガ亜種は一旦踵を返し距離をおいてからの咆哮!!それから竜の雷を4発打ち出した。
バチバチと音を上げ、雷が一旦、静止する。

アドネインは、ガンランスをしまい、横に走りだす。

一斉にアドネインに向かい飛び出す雷!!

が、アドネインは上手く緩急をつけて、難なく交わしながらジンオウガ亜種の側面に回り込む!!
させずと亜種が尾で牽制する。
これを掻い潜りガンランスの突撃からの砲弾、装填からの叩きつけ!締めにガンランスのフルバーストまでの連繋を決めるアドネイン!!

『どうだっ!!』
亜種は一瞬たじろきはしたが、“まだまだ”というかのように咆哮をあげ、全身に竜の雷をタメ始めた!!

チャンスとばかり、アドネインは一気に距離を詰め、追撃に入ろうとしていた!!

続く
『楽勝だな!』

アドネインは一気にカタ付けるべく攻め込んだ!

早くもジンオウガ亜種の頭部が欠け、角の欠片が弾け飛ぶ!!

亜種が怒りの咆哮を上げる。

盾を構え難なく防ぐアドネイン!チラリといおりが気になり、目を向ける。

『なにっ!?』


その頃、少し場をずらしたせぃなと華燐は、2体のジンオウガに翻弄されていた!!

いくらG級ハンターになったとはいえ、幾分経験不足!!

2対2など初めてであった!!

華燐が太刀を振るえば、距離を取り、せぃなが弓を絞れば、間合いを詰めてくる!!

二人は完全に遊ばれていた!

この2体のジンオウガはまだ若いらしく、まるでオモチャにじゃれるように二人に飛び掛かる!!

『ちょっ!ちょっと!華燐!!空振りばっかりじゃない!!
真面目にやってよ!!』
とせぃな。

『なっ!それをいうならせぃなは、緊急回避ばっかりじゃないの?』
と華燐も言い返す!!

『だって狙いつけようとすると的に華燐が入ってくるから…』

『!!!』
華燐がなにかを思い付いた。

『ちょっ!せぃな!!』
華燐がなにやらせぃなに耳打ちをする。

『ふむふむ…
えー?そんなんでいいの?』
『多分上手くいくわ!』『う、うん!』

二人は構え直し!再びジンオウガに向き合う!

前後に二人を挟んだジンオウガは共に咆哮を上げる!

一方は雷を打ち出し、もう一方は、二人目掛けて駆け出した。


二人は、雷を同じ方向に避け、華燐が迎え撃つ!ジンオウガは寸でのところで突進を止め、くるっと踵を返す!!
華燐の太刀は止まらない!!
が、うち下ろしでなく、切り払いだった!!
下がった背後からせぃなの弓がジンオウガを捉えていた!

『今よ!!』

見事せぃなの放った矢がジンオウガに的中する!
矢を放ち、隙のできたせぃなを背後からもう一体のジンオウガが襲う!

が回り込んだ華燐が低い位置からの突き、そこからのうち下ろし、うち下ろし、突き、切り上げ、切り払い!!
華燐の得意な連繋だった。
堪らす後ろに下がるジンオウガ!!

しかし、振り返ったせぃなが既に弓を絞っていた!!
二人は声を掛け合いジンオウガとの間合いを支配し始めていた。

二人の攻撃が嘘のように当たる!!

雷の打ち出しに気を配り、互いの動きも理解し始めていた!!

メイド時代の阿吽の呼吸が生きる!!

余裕のせいか、二人はチラリといおりに目をやる。

『えっ!』
『うそっ!』
二人は同時に声に出た!

続く
3人の視線がいおりに集まった時!!

武器も出さず立ち尽くすいおり!!

体のデカイジンオウガも咆哮で威嚇するだけで攻撃してこない。
それどころか、2体のジンオウガや亜種の様子をチラチラと気にしてる様子!!


その状況に叫ぶアドネイン!!

『なにやってんだよ!』

その声に反応したのは、ジンオウガ!!

有無を言わさず突進してきた!!
さらり避けるいおり!!しかし、双剣を抜かない!!

いおりには分かっていた!!
このジンオウガが母親であることを…

『ねぇ!引き返すこと出来ないの?』

いおりはジンオウガに諭すように話かける!

首を傾げるジンオウガ!
このジンオウガも躊躇してるようだ!


そんな時!

『ぐはっ!』


アドネインは、目の前の亜種からいおりに気をとられ、隙を見せてしまう。

見逃さない亜種!!

捨て身の上空からのボディーアタック!!

まともに喰らうアドネイン!!

すぐに立ち上がるが、足取りが怪しい!!
尽かさすジンオウガは距離を詰め、アドネインを倒し、押さえ込んでしまう!!

いおりは、それに気付き、アドネインに駆け寄ろうとすると母オウガが回り込み、いおりを牽制する!


亜種は、母オウガに向かい、8発の竜の雷を放つ!!

母オウガは、それをバク宙で避ける。
しかし、それはいおりを狙っていた!!

母オウガが死角となり、全弾喰らってしまういおり!!


『くっ!』

母オウガは亜種に向かい吠える!

亜種も吠える!!
言い合いをしてるようだ!!

アドネインは、その隙を付き、亜種の足をすり抜ける。

しかし、ダメージは相当のものだった!!

せぃなと華燐は手一杯!
いおりはまだ立ち上がれないでいた。

アドネインはポーチに手をのばす!!

掴んだのは、回復薬ではなく、ムスカより授かった怪しげな秘薬!!

ムスカに渡された時を思い出す。

{いいですか?これは試作品!!効果も副作用もまるでわかりません!しかし、デビルやナハトの“バースト”と同等の力を手にできるかも!!
願わくば使わないことを祈ります。
アド!!貴方ならこれに耐えられるかと!
いや、やはり渡すべきじゃない。}

そう言ってたムスカから無理やり貰い受けたもの!!


『お前らの好きにはさせねぇ!!』

アドネインは迷わず、瓶の蓋を開けた!!

続く
せぃな、華燐も焦っていた。

いおり、アドネインのピンチは見えているのに、目の前のジンオウガから手が離せないでいた!!
攻撃が当たるようになったものの、怒りを露にしたジンオウガ2体は、全身に雷を纏い!

傷つきも、全身に殺気をみなぎらせ一心不乱に応戦してくる。

気がつけば、二人もかなり傷を負っていた!!

ダメージと疲労からか、せぃなの動きが鈍くなってきていた。

華燐が激を飛ばすも、返す余力もない様子。

次第にコンビネーションにズレが生じる。

ジンオウガ2体が勝負に出る!!

各4発の雷を同時射出!同時に雷を纏ったまま、一体は上空からのボディープレス、もう一体は突進をしてきた。

高速の連繋に、なす術なく、せぃなと華燐は、攻撃を喰らってしまう。


ジンオウガ2体と亜種は勝鬨の咆哮を上げる!!
母オウガだけがうつ向いていた。

必死に起き上がろうとした、せぃな、華燐、いおりがその時見たものは!

『ぐわぁぁぁぁぁ!!』

足元に瓶を転がして、悶えるアドネインの姿が…
だが、驚いたのは3人だけではなかった!!

ジンオウガ達も、アドネインの様子に気付く!

本能がそう言ったのか、4体のジンオウガは、アドネインに警戒していた!!

『うおぉぉぉぉー!』
雄叫びを上げたのは、アドネイン!!

子オウガ達がさっきと同じ連繋でアドネインに襲い掛かる!!

亜種も竜の雷を為出した!!

が、アドネインは簡単に子オウガ達の雷を盾で弾き返し、ボディープレスに突き上げ、砲弾!!
突進に叩きつけ砲弾で返す。

カウンターを喰らい吹き飛ばされる子オウガ達!
更に、砲弾の反動を生かし、亜種に一気に詰め寄り、3段突きからの砲弾!装填、叩きつけ、フルバーストを見舞う!!

さすがの亜種も溜めていた竜の雷も拡散され、倒される。

亜種の頭に足を掛け、更に装填!!

ジンオウガ顔負けの咆哮を上げるアドネイン!!

母オウガも怒りを露に、雷を溜める!

自分の周りに16発もの雷を放つ!!

それは同時にアドネインに向かい飛び出した!!

アドネインはそれに構わず亜種に竜撃砲を撃つ構えに入る!!

竜撃砲の爆音と雷の閃光はほぼ同時であった!!

竜撃砲を喰らい、舌を出して倒れる亜種と立ちながら雷に焼かれたアドネイン!!

両者はピクリとも動かず、やがてアドネインはその場に倒れた!!

続く
その人間離れの戦闘に、驚愕するいおり!

ナハトの“バースト”はみたことないいおりだが、過去にデビルとは狩りに出た時、デビルの“バースト”はみたことがあり、アドネインのそれは、正に“バースト”だった。

しかし、アドネインは倒れたまま起き上がらない!!

『いけないっ!』

いおりは、まだ雷による痺れが抜けないままアドネインへ駆け寄ろうとした。

母オウガがそれを遮る!目から涙を流しながら!

吹き飛ばされた子オウガ達も立ち上がり、頭と体をプルプルと振るわせ、態勢を整える。

華燐とせぃなも最後と2体に立ちはだかる!

せぃなは、もう片膝をついた状態であった!

力を振り絞り、弓を引く!

2体は雷を体に溜めようとするが、上手く纏わらない様子!!

覚悟を決め!ジグザグに突進してきた!!

せぃなは、弓を動かさず、2体がクロスするところへ狙いをつける!

『後は任すよ!』

とせぃな!

『もちろん!!』
華燐もせぃなの脇で腰を落とし、下段で構える!

子オウガ達は突進しながら雄叫びを上げる!!

せぃなが矢を放つ!
それは一体を確実に捉え、倒れるジンオウガ。

もう一体は、それを避け、上空から飛び掛かってきた!!

華燐の達が真一文字の軌道で光を放つ!!

ブラキの太刀の切り口から爆発が起こり、そのまま崩れるジンオウガ!!
矢を喰らったジンオウガは致命傷でなく、まだ立ち上がる様子!

しかし子オウガが足を引き摺りながらこの場を離れようとしていた!

せぃなの腕は既に限界を越えてるようで、上手く弓を引けないでいた!

今から追いつく程走れないと悟った華燐は、せぃなから弓を取り上げ、太刀を矢に見立て弓を引く!!

『お願い!上手く当たって!!』

華燐は弓を弾いた!!

太刀は真っ直ぐと飛び、見事!ジンオウガの後頭部に突き刺さる!!

精魂尽き果て、座り込む華燐!!

ふとせぃなに目をやると、這いつくばりながら剥ぎ取りをしていた!

『元気あんじゃん!?』と華燐。

『いや、これでジンオウガ装備揃うから!ね!』と苦笑いするせぃな!

溜め息をつきながら、
『もう、動けないっ!』と横たわる華燐だった!


いおりと母オウガの睨み合いはまだ続いていた!
いおりは、華燐とせぃなの無事に胸を撫で下ろす!
アドネインの状態も心配だ!
いおりは再度、母オウガに言葉をかける。

『お願い!貴女だけでも、引き上げてくれない?』

母オウガは涙を流しながら、口元をひきつらせ!牙を剥き出す!!

その姿に、いおりも涙し、
『そうよね!今更、無理だよね!』

いおりは初めて剣を抜く!!

母オウガにそれに答え、咆哮を上げた!!

母オウガは巨大な体に凄まじい雷を纏い、更に32発の雷を打ち出した!
いおりも鬼人斬りの構えをとる!

目を赤く腫らせ、声を振るわせながらいおりは言った!!

『いざ!尋常に勝負!』

続く
自分だけが生き残っても仕方ない!

母オウガはそう思ったのか?

持てる力を全て吐き出し死ぬ気の攻勢が始まる。
しかし、勝負はいとも簡単に終わる!

32発の雷はいおりの周りを囲み、一斉に全方位攻撃を始めるが、1つも当たらない!

それどころ、いおりは大した回避もせず、全て紙一重にいなしているように見えた!

母オウガの突進も尾による振り払いも噛み付きもボディープレスも全ていなしかわしていた!

いおりのリオソウル装備が鈍く光る!!

長引かせる訳にはいかない!

いおりは心を決める!
静かに母オウガに近寄る!!
母オウガは、後ろ足で立ち上がり、一気に襲い掛かる!!

刹那!いおりの鬼人斬りが炸裂する!

いおりの2本の剣が6つ軌道を走らせ1人と一体は交差する!!

剣を納め、母オウガにそっと寄り添った!

母オウガがいおりの膝に頭を置くように倒れていった!!
頭を撫でながら、

『ごめんなさい!ごめんなさい!!』

いおり泣きながら何度も何度も言った!!

最後に母オウガはいおりの手を優しく舐め、息を引き取った!!


アドネインが意識を取り戻し!ズタボロに焼けた装備を見て!

『なんじゃぁ!こりゃ!!』

そう言った後、泣いてるいおりに歩きよっていった!!

『何、泣いてんだよ!
これもハンターの宿命だろ!!生を経ち、生を紡ぐ!!師匠が言ってたろ!』

『うるさい!バカっ!アゴっ!ダメハンターのくせに!』

いおりはアドネインに毒をはく!!

『なっ!てめぇ!』

アドネインは、途中で止めた!!

『あたたた!なんだ!これ!体が痛い!!

オイッ!肩貸せ!!』

いおりは渋々、母オウガの頭をそっと置き、アドネインに肩を貸す!

『副作用ね!まだ研究が必要ね!その薬!』

『あぁ!リスキー過ぎるわ!師匠に報告しなくては!』

二人はヨロヨロと華燐、せぃなの所へ向かう!

華燐は、横たわったまま、手をヒラヒラさせる。
せぃなは剥ぎ取った素材を抱きしめ寝ているようだ!

『ちょっと!変なとこ触らないでよ!!』

といおり!

『ばっ!触ってねぇよ!大体!そんな貧乳!!』アドネインは顔を真っ赤にムキになって答える!
華燐が、

『その子!脱ぐと凄いよ!!ナイスバディ!!』と舌をだす!!

絶句するアドネイン!!
『ちょっと止めてょ!
!!!
アゴ!何見てんのよ!!いやらしい!!
もう!1人で歩きなさい!!』

いおりは肩をすかし、華燐、せぃなに飛び付いた!!

コケそうになるアドネイン!!

『スケベ!』
せぃながボソッと言う。
『違っ!おぃ!コラッ!何言うか?』

アドネインは力一杯否定した。

笑う3人!!

いおりは、母オウガの亡骸に目を向け!
暫し、冥福を祈り目を瞑った!!


続く
一方!!ベテランチームのなのは、マリアン、ブー、ムスカは順調にギギネブラの卵を破壊しまくる!!

なのに、一向に本体が姿を現さない!!

不審に思う4人の前に姿を現したのは!!

全身を蝕まれ、ズタボロの2体のギギネブラだった!!

既に足を引き摺り、やっとの思いで巣に戻ったと思われる。

一体は、帰るや否や!

途端に止まり、息をするのすら止めた!!

息絶えたのである!

もう一体は、振り向きもせず、巣の中心にたどり着き、卵が壊されているのにも、ハンターの姿にも気付かす、回復の為か眠りにつこうとしていた!!

マリアンがライトボウガンで通常弾を趣に撃つ!
その一発でギギネブラは悶絶し、こちらも息絶えてしまった!!

訳の分からない一向は、その訳を直ぐに知ることになる!!

突然、ギギネブラの出てきた坑道が勢いよく土砂を吹き飛ばし、轟音と共にそれは姿を見せた!!

イビルジョーだった!!
狭い坑道をお構い無しで体当りし、あちこちを広げながらこちらに入り込んでくる!!

口からどす黒い息が洩れる!!

ハンター達を見付けると同時に駆け出し、怒涛の突進してくる!!

皆一斉に緊急回避!!

各々に武器を取る!!
なのはは慌てて、笛の旋律を奏でる。
が、咆哮一発でかき消されてしまう!マリアンが至近距離から撃ちまくる!!

ブーは側面に周り込み、足元を狙う!

ムスカは後方より、尾を狙い、スラアクを振り回す!!

マリアンの脇をすり抜け、なのははジョーの頭を狙う!!

さすがはベテラン!!
各々の役目をキッチリこなす!

上々の滑り出しだ!!

しかし、ジョーにとってやりずらいはずの洞窟内の戦闘は、やがてハンター達にも脅威となるのであった!!


城の広間で眠るデビルが目を覚ます!!

『ちっ!やっぱり来ちまったか?』

と舌打ちをする!
その様子にベガも体を伸ばし、何やら準備し始めた!

『オイッ!姫は?』

見張りの兵にきき、呼んでこい!と指図するデビル!!

アスカが飛んできた!!
『なんでしょう!?』

『おんな〜!着替えろ!まだ上位のままだったな?
Gに上がれんぞ!』

『えっ!』
デビルは戸惑うアスカを見て、ニヤリと笑った。
ベガがデビルの頭を叩きソッポを向く!

頭を擦りながらデビルは、ベガを見上げるが!
『目がいやらしいんだよっ!!』
と言うベガに何もいい返せないでいた!!

アスカは久しぶりに防具に身を包み!武器を手にした!

アルバ防具にブラキ双剣!!

作ったまま着ることのなかった防具だった!

デビルは、白のギルバートに、珍しくブラキの槍を手にしていた!

ベガはナルガ亜種ベースの混合防具にヤハリ!ブラキの弓だった!

二人は、デビルの後に続き!港から外れた海岸へとたどり着く!!

どうやら水中戦になるようだ!と二人は目を合わせた!!


続く
アスカは慣れない泳ぎで二人を必死に追い掛ける。沖に入り、潜り出す!デビル、ベガ!

アスカもそれに続く!

暫し、海底の探索か?と思うアスカの眼前にデビルが腕を広げ、妨げる!
“ちょっと!”

アスカはデビルを睨むと、ベガが振り向き下を指さす!

そこにそれはいた!!


ナバルデウス亜種だった!!


静かに渦を巻き、眠っているようだ!?
その姿は、神々しく巨大であった

ベガがハンドサインで正面に行くな!とアスカに指示する!!

デビルは、アスカに振り向くことなく、ランスを 掲げ!

ベガも弓を引き始めた!
アスカは慌てて、ナバルの側面へと向かった!

デビルの突進とベガの矢が同時に当たる!!


ナバルは飛び上がり起きて!!怒りの咆哮を上げる!!

水中にも関わらず、その振動が水中に響く!!

デビルは張り付き攻撃を続けるが、何か違和感を感じていた!

それはベガも気付いていた!!

アスカだけが慣れない水中で双剣を振り回し、無我夢中で空振りばかりしていた。

一方、洞窟内のハンターは思わぬ苦戦を強いたげられていた。
洞窟内でのイビルジョーとの戦いは、ハンター達に回避するスペースを与えてくれなかった!!

岩肌にお構い無しでぶち当たるジョーの攻撃と飛び交う石と崩れ落ちる土砂が戦いの邪魔をする!

『石がいたいよ!』
ライトボウガンの装填をしながら、マリアンが愚痴る!!

なのはも間合いを詰めるのに苦戦していた!

唯一盾を持つブーですら、防戦一方だった。

ムスカは、距離を取り、ジョーの様子を伺っていた!

攻撃のチャンスを待ち、一気に股下に潜り込み、斧モードでスラアクを振り回す!

続けと、両足の外側が攻撃する、なのはとブー!
手数が勝負の二人はここぞとばかりに、斬激を入れていく!!

マリアンも貫通弾を射てるだくぶちかました。

ジョーは、攻撃をものともせず!怒りの咆哮をあげた!!


口からどす黒い竜のブレスを辺りに撒き散らす!
マリアンは回避するも避けきれずに喰らってしまう!
物凄い勢いで体力を奪われていく!

そのままジョーは、体を左右に揺すり、なのはとブーを壁叩きつけた後、その場から飛び上がり、ムスカを押し潰し押さえつけてしまう。

ムスカは、焦ることなく、ジョーにコヤシ玉を投げつけ、窮地を逃れる!
ジョーはたまらず仰け反り、洞窟の奥へ逃げ込んでいった!

4人は、つかさず回復をし、気を取り直し、追撃に向かう。

奥へと続く坑道に差し掛かった!途端、竜のブレスが4人を襲う!

吹き飛ばされる4人!!

体力は半分以上削られていた!!

ジョーがゆっくりと戻り、更なるブレスの態勢に入る!

4人は、左右の岩影に分かれて難を逃れた!

『くっ、やりずらいな!』

ブーの口から洩れた!

反対側では、なのは、マリアンがいるが様子がおかしい!!

『なの?どうしたの?』とマリアン!

『さっきの攻撃で…』
なのはの背中から大量の血が流れ落ちる!

岩盤に叩きつけられた時のキズがブレスで吹き飛ばされた時に広がってしまったようだ!

回復薬を飲んでも止まらない流血に叫ぶ!マリアン!!

『ムスカさーん!なんとかしてよ!!』


『俺がオトリになります!』

ブーがムスカに言う!

『しかし、1人では!?』

『なんとかしてみますよ』

ブーは、強き意志を目にひそめる。

『ならばこれを!!』

ムスカはブーに怪しげな秘薬を渡す!!

『どうにもならなくなったら使いなさい!しかし、一時的にしか効きませんよ!反動もデカイ!』

ブーは、すぐ様にこれがどんなに危険な薬品ということに気付いていた。

ブーは黙って受け取った!

師弟の二人は合図をだすことなく、自分の役目を果たす為!立ち上がる!

ブーはジョーを挑発し、
ムスカはなのはの元へと走り出した!


『マリアン!なのは任せなさい!ブーの援護を』

『うん!なのをお願い!』

マリアンは答え、岩影から飛び出していった!


なのはの座る場所は血の海と化していた!!

続く
ブーは怒り狂うジョーと対峙しながら、別のことを考えていた!!

ブーといえばこの世界でも指折りのハンター豊富な知識と経験の持ち主!
しかも若き頃に徹底した肉体改造で今も尚20代の肉体を維持している。
武器もオールラウンドに使え、ムスカの後を継ぐであろうと噂されるぐらいである。

しかし、ブーは自分自身!器用貧乏である!と考えていた。

なぜなら、ムスカ、デビル、ナハトを知ってしまったからである。

知力でムスカ!
腕力ではデビル!
脚力ではナハト!
どれもそれに敵わず!と…

総合力では、遥かに3人を上回っているのに…

その気持ちがブーに焦りを生む!

後方からのマリアンの援護に合わせることなく、攻め急ぐブー!

マリアンもやりずらそうに何度も位置を変える。
横目にムスカを伺う。
なのはの治療に余念がない。

“やるしかないのか?”迷うブーにジョーの渾身の体当り!!
盾を構えるも壁ごとぶち抜かれるブー!

洞窟内の横路が繋がる!
吹き飛ばされ、相当の痛手を喰らう!

ふらふらとするブーに、ジョーの追撃が!!

その瞬間、マリアンの投げた閃光玉に目潰しをくらいヨタつくジョー!

『一旦、こっちに…』

マリアンが必死に叫ぶが、ジョーはそのままブーを追いかけてた。


その頃、ムスカはなのはの傷の縫合に尽力していた。

なのはの呼吸が徐々にに弱まっていく。

『このままでは…』

ムスカが唇を噛む!

『なの!君はこのままでは助からない。

だが、ここにある秘薬がなら、助かるかも知れないが助からないかも知れない。
まだ研究中の薬だからね!!
だから、飲む飲まないは、君に任せる。

傷の手当は、これ以上やることはない!
後は、君の気力次第だ!わかるね?』
となのはの手に怪しげな秘薬を手渡す。


『幸運を祈る!!』

ムスカはなのはに激を飛ばし、背を向け、マリアンの元に走っていく。

ムスカの眼鏡のフチが何故か妖しく光る。


『飲めばいいんだろう』
なのはは、迷わす秘薬を飲み干した。

ムスカはマリアンに戦況を伺い、ブーのフォローに向かう!
マリアンには、引き続き後方の援護を指示して!

土煙の中に入るムスカ!
しかし、ジョーのブレスでカウンターを喰らい、押し戻され、吹き飛ばされるムスカ!

『ムスカさーん』

マリアンの声だけが、空しく響く!

突如、マリアンの前後から、悶える声が聞こえてくる!


『ブーさん?なのは?』
マリアンの驚愕するのは、すぐこの後のことだった…
なのはは、薄れていく意識の中、ムスカがなにやら一生懸命話かけていた!!

『…次第だ!分かるな?』

そして何かを渡してきた!

『ひやく?』


『健闘を祈る!』

と言い残し、走り去るムスカ!!

なのはが今回、弓を持たなかったのは理由があった。

なのは!と言えば、若手で1、2を争う一流ハンター!!もちろん自負もある。

しかし、世間の噂では、いおりの存在が急浮上していた。

そんな時、なのはの耳に聞こえてきたのは、オールラウンダーなら、おのんだよな!という噂!

別に気にしてなかったが、こんな声まで!!

なのはは、ビビりで後方支援ばかりだよな!という中傷だった。

なのはからしてみれば、デビル、ナハトといったアタッカー(デビルはオールレンジアタッカー!ナハトはフロントアタッカー)と組むことが多く、バランスを取る為に武器を選んでいるつもりだったので、この中傷には、えらく腹が立った!!
今回、マリアンがボウガンをチョイスしてたのでチャンスと思う所があったのである。

しかし、現実はこの状況!!
古傷が開き、戦闘もままならず、旋律を奏でることすらできずであった。

温厚な、なのはは珍しくキレていた。

『飲めばいいんだろう』

そう言い捨て、ムスカに授かった、怪しげな秘薬を飲み干した。


と、同時に気を失った。

海中の戦闘は、水の抵抗に重さを感じながらも善戦していた。


アスカも徐々に慣れ、だんだん攻撃が決まるようになっていた。

全員が爆破属性の武器というのも、その理由だろう!


ナバルデウスは一旦深海の方に潜り込んでいく。

つられて追撃する3人!
しかし、深海の神の恐ろしさは、これより始まるのであった。


一方、戦いを終えたいおり達にも、変化が訪れる。

城への帰還の道中!先頭を歩くアドネインが、急に立ち止まる。

ついて歩いていた、いおり、華燐、せぃなの順で頭をぶつける。
『ちょっと!アゴ!!
急に止まるな!』

といおり!

答えないアドネイン!

『シカトですか?』
『無視ですか?』
とほぼハモる華燐とせぃな!

アドネインは直立のまま倒れた!

『うそ!何?』

華燐とせぃなが、アドネインの様子を伺う。

『石のように…』

『冷たい!』
『固い!』

いおりは直ぐに薬の副作用と気付く!

『師匠に治し方聞いてくる!!アゴをお願い!』
と走り出すいおり!

『えー!又このシチュエーション?』
華燐とせぃなは、顔を見合せた!!

いおりの胸中には、ただ嫌な思いが留まらなかった。

『師匠!助けて!!』

いおりの走りは人の範疇を遥かに超えた速さだった!!!
マリアンは迷っていた!
散り散りになった仲間を追うか?なのはを守るか?

洞窟内の土煙は、視界を閉ざし、仲間の声も聞こえてこない!

ただ響き渡るのは、ジョーの咆哮だけだった。
突如、咆哮が悲鳴に変わる…!

マリアンの目の前に切断されたジョーの尾が飛んでくる!!

前後から聞こえてくるはうめき声から人の咆哮に聞こえた!

ブーのいる洞窟内の横道から岩盤を打ち砕き現れるジョー!

しかし、それはジョー自身の力ではなかった!

盾で押し返すブーの姿が…

ジョーも負けじと噛みつこうとブーに向かう!

シールドバッシュでそれを受け流し、そのまま上から叩き斬る!!

『ブーさん!!』

しかし、ブーはマリアンに受け答えるわけもなく!
ジョーに向かっていく!
ジョーが一旦逃げ、マリアンの方に向かってきた!

慌ててボウガンを射つマリアンだが、ジョーは頭を揺さぶり致命傷を避け勢いよく突進してくる!

ふとマリアンの脇に立つなのはがいた!

『なの!』

なのはの様子もおかしい!!
口から血泡を吹きながらジョーに向かいだした!
笛を吹かず、勢いよくカチ上げ、そのまま叩きつける。そしてその場で一回転してからのカチ上げ!

ジョーは目を回す!

がジョーも負けじと残された尾で反撃する。

避ける間もなく、なのはは吹き飛ばされるが直ぐに立ち上がり反撃に出る。

後ろからブーがジャンプ斬り!

仰け反りのたうち廻るジョー!!

倒れたところを二人が徹底的に打ちのめす!!

『ブーさん!なの!やめてー!二人とも死んじゃうよ!!』

ありったけの粉塵を使うマリアン!

そんなことはお構い無しでブーとなのはは狂ったようにジョーに襲いかかる!!

血だらけのジョーもまた怒りの咆哮を上げる。

二人に渾身のぶちかまし!!

二人は壁に叩きつけられ押し潰される!

骨が折れる音がマリアンにも届く!!

ジョーは止めと竜のブレスを吹ける吹き吐き出した!!

力出し尽くしたジョーの動きが止まる!安堵したのか?力尽きたのか?脱力するジョー!

刹那!!

竜のブレスを突き破り、上からブー!下からなのはの攻撃が炸裂する!!
ジョーは頭から洞窟内の壁突き破り、仰け反ったまま壁に突き刺さる!

その光景にマリアンの足は震えを止めない!!

二人はらしくない雄叫びを上げ、マリアンの方へ顔を向ける!

薄暗い洞窟の中!目だけが赤く妖しく光る!!

それは正に、デビルやナハトの“バースト”と同じ!いやそれ以上の狂気にマリアンには写った!

ブーとなのはは、目の光を失うと同時に崩れ倒れた!!

マリアンはその恐ろしさに近づけないでいた!

『こんなの人じゃないよ!こんなのハンターじゃないよ!』

マリアンのすすり泣きだけが洞窟の中を淋しくコダマしていた…

崩れ落ちた土砂の中からムスカが顔をだす!

『ぶはっ!死ぬかと思った!!』

マリアンが気付き駆け寄る!

『ムスカさん!大変だよ!!

ブーさんとなのが…』


ムスカは焦ることなく、ブーとなのに近づく!

『おやおや!
秘薬を飲んでしまったのですね?』

『ムスカさん!二人共!大丈夫だよね?
ねぇ!』

マリアンがムスカに泣きすがる。

ムスカは、

『ふむ!その前に、やらなきゃいけないことがありますね!』

と、突然!スラアクを剣モードで展開する!!

スラアクを突き上げ!剣先が振動を始める!

『ムスカさん?』

マリアンは曇った眼鏡のせいか?ムスカに脅威を感じる!

『マリアン!仕方ないのです!!こうするしか!!』


ムスカの属性解放!!

爆破属性の解放音が轟音をたて、洞窟内に響く!

その頃!!

深海に逃げるナバルデウスを追いかける3人は、深海の水圧で思うように動けないでいた!

慣れないアスカは、動くどころか、呼吸を保つので精一杯だった。

デビルの突進も深海では、スローモーションのように遅く!

難なくかわすナバル!!

ベガの矢も当たりはするが威力も半減しているようだ!!

当たらない攻撃にイラつくデビル!!

カウンターを狙い、盾を構える。

ナバルは待っていた!

3人のハンターが一直線に並ぶのを!!

大きく水を吸い込み!!一気に吐き出した!!

『しまった!!』
デビルは、盾をしまい回避しようとするが後ろにベガ、アスカがいることに気付いたのである!!

『クソッタレ!!』

デビルは、そのまま盾を力一杯握り、水のレーザーを受ける!!

瞬く間に強烈な水圧に、押し戻されるデビル!!ベガどころか、アスカまでデビルの背中に張り付かされ後方に吹き飛ばされる。

何トンもの水圧にデビルは耐えきろうとした矢先!!

アスカは呼吸が乱れ、溺れ始めた!

もがき暴れだす!!

ベガは、暴れるアスカの口に酸素玉を押し込むが、アスカは、デビルの腕にしがみついたのだった。
『ばかっ!やめろ!』

バランスを崩し、水圧に耐えきれなくなったデビルは、ベガ、アスカ共に弾き飛ばされる!!

ナバルは、体をとぐろにまき、力を溜める!


デビルは、体制を崩したまま!!

『バーストっ!!』

デビルの肩周りの筋肉が鎧ごしにも膨らむのがわかる!!

片手で水を叩き!バランスを取り戻す!!

と、同時にナバルは、巨大な一本の矢と化し、螺旋を描きデビルを貫こうとしていた!!
巨大な武器と化したナバルにデビルも突進で迎え撃つ!
が、陸地では打ち負けたことのないデビルの突進も水中では同じようにはいかなかった!

片方の角はかろうじておれたが、ナハトの体を貫通するに至らず、ナバルの突進に巻き込まれきりもみしながら吹き飛ばされた。


水中を気を失った3人のハンターが無情に漂う!

アスカはベガに酸素玉を口に押し込まれたお陰で完全に溺れずにすんだのである。

朦朧とした意識の中アスカは思う!

『ワタシ、ココでシヌンダ?…』
水は冷たく体の感覚も鈍くなっていた。

“私、死んだらどうなるの?国は?娘達は?アリオスは?”

“私、まだ何もしてない!ナハト?あなたならどうする?”

ふと、ナハトの言葉が頭をよぎる。


《君が為に死にたもう!!》


“動いて!私の体!!”
フイに誰かがアスカの背中をそっと押した!!

“ナハト?”

振り向くが誰もいない!しかし、狩りの時、必ずナハトはアスカの背中を軽く押してくれてた。

勇気を振り絞る為に!!

“ナハトは死んでいない!!私の中にも彼は行き続けているんだわ!!”

アスカの目に光が戻る!
ナバルに向かい!
力いっぱい鬼人斬りをする、間合いが遠く当たらない。ナバルも警戒し、少し下がる!

そんな時だった!

流れてきた!一本の流木がアスカの足にあたる!
足場となりアスカは、加速した。

鬼人斬りのまま、今度は岩場にアスカの足があたる。

ほとんど無意識でただ振り回しているだけなのに、それが流木にあたり岩場にあたり、ナバルへの起動修正となっていた!

デビルも、なんとか目を覚ます!アスカの奮闘に
『おんな〜!やるじゃねえか?』


アスカの無茶苦茶にナバルの残された角も破壊される。


ナバルは悶絶しのたうち廻る。


アスカは呼吸するのも忘れ、スタミナがきれると共に再び気を失った!

『でかした!後はまかせろ!!』

デビルはアスカからヒントを見いだし!
岩場を足場に力を溜める!!全身の防具が異様に膨らむ!

岩場からのロケットダッシュ!!

更に自ら、きりもみの回転を加えた!!

デビルの槍がナバルの長い胴体を一気に貫通していく!!


その先には竜撃槍!!

スイッチの所にはベガが待ち受けていた!!

『おっしゃー!』

デビルは気合いでナバルを貫いた!!

ベガも同時にスイッチを入れる!!

巨大な3本の槍は綺麗にナバルを串刺しにした!

デビルとベガは、アスカを拾い、一番近くの出口へと向かった!!

水面にあがってみると、そこは洞窟内にある湖へと繋がっていた!!
ムスカの属性解放は、ムスカの頭上で大きく口を開けたジョーの顔に直撃していた!!

マリアンは、咄嗟に振り返ると、さっきまで壁に突き刺さっていたジョーが、ムスカ、マリアンを狙っていたのであった!

スラアクを納めるムスカ!!

『さて!ブー、なのは!帰りましょう!!マリアン!手を貸して下さい!』

『は、はい!』
マリアンはムスカに言われるままムスカを手伝った!!

そこに、汗だくで息を弾ませたいおりの姿が…

『師匠!アゴの奴が…』
『おやおや!どうしました?血相変えて?』

『アゴは師匠の渡した秘薬の副作用で石のように…』

『ふむふむ!そうですか?アドネインなら克服できると思ったのですがね!』

『治せるんですよね?』いおりは泣きそうな面立ちで、ムスカにしがみついた!

『うーん!確証はないのですが、なんとかしないとですね!』
とムスカは、冷静に言った。

『そんな薬をアゴに渡したんですか?
ブーさん?なのくん?
まさか二人にも?』

わけが分からないマリアン!

驚愕するいおりにムスカは更に、

『私は、誰にも強制はしてませんよ!ちゃんと注意もしました!
大丈夫!私は、3人を最後まで見棄てませんよ!
サンプルは多いに越したことはない。
貴重なデータがとれますから!』

いおりは、激情する!!

『あなた!直す手立てのないものを?

見損ないました!』

『うーん!確信はないですが、ナハトの血から血清が作れるやも!
いおりやデビルの血では、強すぎるでしょうから』
とムスカ!!

『言ってる意味がわかりません!』
いおりは、口調強く言った。

『はいはい!秘薬とは、竜の血を調合して作ったもの!そして、ナハトはギルドの実験で体内に竜の血を入れた唯一の生き残り!!あなたとデビルは、天然の竜人族の末裔にあたるのですよ!だいぶ血は薄くなっていますけど!!』

『師匠?何を言ってるのですか?』

いおりは、体を小刻みに震わせていた。

『古文書によると、元々竜人族は、人が竜の力を宿そうとした進化の一つなのです!
血が濃くなりすぎ、人としての形を維持できなくなったり、精神に影響が出たり!そして滅亡していったのです!!

我々ギルドは、それを再興しようと古くから実験を続けているのですよ』とムスカ!!
『なら、この国のモンスターの襲撃もギルドの仕業かよ!?』

後ろからデビルが会話に割って入る!!

『ふふっ!気づかれてしまいましたか?』

『えっ?デビルさんどうして?』

いおり、マリアンは驚いていた!
ムスカだけが、何事もないように冷静だった!!

そして、デビルは半ギレ気味だった。

力尽き、気を失ったアスカを介抱するベガも黙ってデビルを見ていた!!
この国の主だったハンターが洞窟に集う!
重たい空気を漂わしながら…
重たい空気の中!
デビルが口を開く!

『生き残り?じゃあ、ナハトはずっと監視されてたのか?』

『いえ!ギルドは実験体は全て死んだと思ってましたよ!

貴方が私と知り合うまでは…』


とムスカ!

『???』
デビルはムスカの言ってることが理解できなかった。

『貴方!私に自慢してたでしょ!すげぇ弟子がいるって!俺と同じことが出来るって!』

『あ?』
デビルはまだ理解不能だった。

『貴方のことは、昔からギルドはマークしてました!100年に1人の天然素材!!しかも偶然か自分で強化もしている。
しかし、誰にも従わずギルドの思惑にのらない貴方を…
だから、私が近づいたのです!』

『ギルドはデビルでなくナハトに着目したのです覚醒しきってないナハトを…』

デビルの顔は真っ赤に怒張していた!!

『まさか…リオの…時も?』

デビルの声が震える!

『はい!覚醒させる為に!!

しかし、引きこもりになるとは計算外!!

そこで、ある国に内乱を…
まだギルドに属してない大国を選びました!』

ムスカは冷静に饒舌に話す。


『師匠?なんてことを?』

いおりは、既に話が繋がっていた!アスカに聞いてた話と!!

『………』
デビルは無言だった。


『しかし、とんだ失敗作ですよ!ナハトは…

オリジナルを上回る力を手にしたのに、たかが1人の女の為に…』


『しかし、彼からのデータでアドネインが成功しましたし、更に、オリジナルの上をいく天然素材が…』

『アルバとレウスで仕留めようとしたのか?』

デビルの口調は、怒り口調でなく、普通だった。

ベガとマリアンは後ろに下がった!!

『本当は、貴方とナハトをですけどね!!』

ムスカは、不気味に笑う!!

『お前は一体!?』

デビルが問う!

『私は引き継ぐ者!
ムスカはその名誉ある称号!そうやってギルドは大きくなっていくのです!!』


『!!!』


『てめぇ〜!』
デビルがおもいっきり槍を突きだした。

ムスカは難なく避ける!

『ふっ!ナハトのデータをアドに使う前に自分にも試しているのですよ!精度は低いですけどね』
『ムスカさん!ブーさんとなのが…』

マリアンが叫ぶ!

『うむ!デビル!!話は後で!!いおり!城に戻ろう!アドの様子も気になる!!』

ムスカはデビルの怒りを難なくスルーし、皆と戻る手筈を組出した!


後ろめたさに振り返るいおり、マリアンをよそにデビルは立ち尽くしたままだった!!


ベガがデビルに寄ろうとすると!

『先にいけ!姫も治療が必要だ!!』

ベガは黙ってアスカを連れ城に足を向ける!


薄暗い洞窟の中でデビルだけがただ1人佇んでいた!

その姿は、哀しげであった…
城への帰還をすませた一向は、負傷者の手当や被害地の復興に追われた!

アスカのケガはたいしたこともなく人員の手配に尽力する!!

デビルはその日戻って来なかった!

ベガは、1人見張り台に昇りデビルの帰りを待っていた!


いおりはムスカの治療の手伝いをするが終始無言!
ムスカは3人の弟子の治療に全力を注いでいた!
その真剣な横顔は、いつも見る師匠の顔だった!

困惑するいおり!

洞窟内での会話の時のムスカの表情は、とても邪悪に見えた。

今とは別人のようであった!

『師匠?』

『はい。』

『師匠もバーストが使えるのですか?』
いおりは恐る恐る聞いた。

『いえ!あんな実践向きの力は、私にはない!
ハッタリですよ!』

ムスカは冷静に答える。
『確かに、竜の血を体内に入れました!ナハトの血も…
しかしそれはごく少量を少しずつ何度も…』

いおりは気づく!
ムスカの腕には無数の注射の後が…

『しかし、それでも何度も死にそうになりました!ナハトの血は、彼の治療の時に頂いた物で既に手元にはない!だが私が何度も死から逃れられたのは、ナハトの血があったからです。』
ムスカは腕を擦りながら言う。

『副作用が出にくいように調合したつもりでしたがまだまだですね!』

ムスカはため息をつく!
『アドは、竜の血で私が強化しました。本人の希望もあったのです!
現に今も唯一回復に向かってます。自力で…
まだ時間はかかりそうですが!』

『私の血では駄目なんですか?』

いおりは言う!
ムスカは首を横に振る。
『純度でいうと、貴女の血は高過ぎる!デビルですら比べものにならない!!
気を悪くしないで下さい!

人の形を成してるのが不思議な位なんですよ!』

『そんな!』
いおりは肩を落とす。

『考えてごらん!デビル、ナハトですら集中しないと“バースト”にはなりません!

しかし、貴女は無意識に“バーストモード”になってるのですよ!自覚ないでしょうが…』


ムスカも少し気落ちした顔でブーの胸に手をあてる。

『スマナイ!』

ムスカが呟く!

すると意識のないはずのブーが親指を立てる!

『ブー?』
しかし、ブーは答えなかった!!

『どうすれば?』
といおり!

『わかりません!古文書にもこれの治療方法はかいてませんでした。
このままでは、同じ道をたどってしまう!』

ムスカは腕を組み、ため息をついた!

暫し、沈黙が続く!!
いおりは決断する!!

『私、ナハトを探す旅に出ます!!』

驚くムスカ!
『いや、もう何年も行方不明だよ!』

『死体はまだ見つかってないのですよね!』

『確かに、しかし、貴女はナハトを知らないですよね?』


『私、アスカ姫に聞いた二人の合言葉知ってます!』

『しかし、それだけでは?』

『このままじっとしてられません!!』

といおりは拳を握る!

『分かりました!
しかし、約束です。各地のギルドには必ず報告をしなさい!
援護が回るようにしときます!
私はここで3人の治療をします!何かわかれば貴女に連絡できるようにします。』

『はい!』
いおりは最後に!

『師匠?』

『はい!』

『デビルさんにした話本当ですか?』


『私がやらなくても誰かがやらねばならない!
ならば私が完墜させればいいこと!!
……
それが私の存在意義!』
いおりはムスカにも背負ってるものがある!と感じた!!

『すいません!…
私まだ師匠が善か悪かわかりません!
それを見極める為にも…』

いおりに笑顔が戻る!!

『だからこそ!私!必ずナハトさんを探してきます!!』

早速いおりは旅の支度をするために治療室をでた!


扉が閉まる時のムスカの顔は一変した!!


『まだまだ君には、頑張って貰わないとね!!

デビルは、多分!敵にはならないが離反する。

ナハトなき今は、アドネインだけじゃ分が悪い!
急がなくては!!』


ムスカの狂気がうっすらと闇を引き寄せる!!

夜と共に!!


その頃!!
デビルが城に戻る!!

白の装備が血を吸い真っ赤に染まっていた!!
ベガが駆けつける!

武器のないデビルにベガはデビルに詰め寄るが答えなかった!!

『ムスカは?』

とデビル!
『えっ!治療室にいるよ!ずっと!!』

『わかった!』

その横顔にベガは気付く!!

『支度しとくよ』
とベガ!!

デビルはムスカの元へ向かう!!

『よぅ!』
ムスカは、治療しながらちらっデビルを見た!

『なんですか?』

『洞窟内外近辺のモンスターは全部ぶっ殺してやったぜ!』
とドヤ顔で言った。

『まだなんか企んでいるのかょ!』

とデビルが凄む!

『いや、この国の加入も確定したし、目的は達成出来ました!多少問題はありましたけどね!』


『俺みたいのを増やし何がしたいんだ?』
とデビル!
『デビル!何ができるか?知りたいから研究してるのですよ!この世界の為に!
個人の欲ではないのです!』

『ムスカは力だけが全てでないぞ!』

『はははっ!貴女がそんなこと言うとは?
この世は弱肉強食!
その真理はかわりませんよ!』

『だから何をしてもいいのか?』

『なら私を殺しますか?ギルドを破壊しますか?』
とムスカは手を広げる!

デビルの拳に力がみなぎる!!
二人の間に緊張が走る!
しかし、
デビルは、ムスカには攻撃は当たらない!と思い!!
ムスカは、次は避けきれないと思っていた!!


『やめた!』
そう言うとデビルは脱力する!

『お前1人殺しても何も変わらねぇしな!』

『いいんですか?』
とムスカが返す!

『納得はできねぇな!
お前と顔合わし続けるのも我慢ならのかねぇ!
ま、姫さんへの義理は果たした!

暫く姿消さして貰うわ!』


アスカが入り口に立っていた!
『どこか行かれるのですか?』

アスカがそう言うと、デビルは黙って出ていこうとする!

すれ違い様に、
『ムスカを信用するなよ!』
一言だけ呟き、デビルは出ていった!!


『止めないのですか?』ムスカが言うと、
『私に止める権利はありません!
むしろ、今まで国を守って頂きました!有難いことです!

それより3人の容態は?』
アスカは毅然と答えた。

『落ち着いてはいますが…

やはりナハトを探さなければならなくなりました!いおりが出ます!!』
『…』
アスカは、涙をすっすらと浮かべながら、

『その件は、任せます!』

『分かりました!
で何か話があったのでは?』

とムスカ

『マリアンに話を聞きました!ムスカさん!いや、ギルドの目的とは?』
『やれやれ!話が長くなりそうですね!
貴女に聞く覚悟はありますか?

もう引き返せませんよ?』

とムスカ!
『聞きましょう!』


旅支度を済ましたベガにデビルが歩み寄る!

『いいのか?』
とデビル!!

『アタイは狩りと酒があれば何処でも!!』


『俺は、俺のファミリーを作る!!
とりあえず、裏ギルドでもシメテくるか!』


盛大に見送られてもいい筈の歴戦の勇者は、ひっそりと闇に包まれた時間にこの国を出た!!

以降、表の世界でデビルの名が出なくなっていくのであった!!


ムスカの話を聞いたアスカは、顔を青くしながら、ムスカに答える!

『この国の為なら!』

ムスカもまた大きく頷いた!!

その日の夜は、とても静寂でどこか哀しげな夜だった!

それぞれの思惑を闇に包み!夜はふけていった!
翌朝早くから運搬用の馬車が出る!

荷台の端に荷物と共にいおりの姿があった!

昨夜をアスカ、華燐、せぃな、マリアンと共にすごした!

ナハトの容姿、性格!
アスカとの秘話、マリアンとの日常など!探すのに有益な情報等!!

弾む会話に身を委ね!
いおりは一時の至福を味わった!


『さよならじゃない!
必ず帰ってきます!』

いおりは1人そう呟いて、揺れる馬車で眠りについた!!

城の高台にある、アスカの部屋の窓に1人アスカの姿が、後ろで雑魚寝してる3人を尻目に…

『いってらっしゃい!
どうか無事に帰って来てね!』

アスカは手を組み、祈った!!

その日、アスカはムスカに、軍隊の指揮権を持つ将軍に任命する!

と言っても別動隊の一部だけだが、兵士の中からハンターの資質のある者だけを集めた部隊である。

その後、世界でも有数なハンターの登録数を誇るハンター大国となる。


いおりの活躍により、ブー、なのはの治療方を見つけ出し!

ムスカの研究も実を結ぶより安全な神薬とし、狩りでの生存率が上がったことはいうまでもない。
アドネインは、いおりの出立の直後!自力で回復し、いおりを追いかける。

その先々で素晴らしい活躍を見せ!

太陽の戦士アドネイン!と各地で崇められる存在となる!!

月の女神と称されるいおりもまたハンターとして、各地の救済に尽力する
回復したブーは、ムスカの後を継ぎ、ギルドの研究を引き継ぎ、コヤシ玉グレート、超抜砥石等の発明に尽力する!

なのはは回復するもののハンターとしての能力は取り戻せずだったが、
知識経験をいかし、宰相とし、アリオスの手助けをするにまでなる。

マリアンは、アスカの養子となり、妃として、過ごすことになる。幼かった顔も年齢と共に色気がまし、社交会でも有数な美人を称されるようになる!

しかし、性格は、《小悪魔マリアン》のままだったらしい。

ムスカは神薬の完成と共に、体をこわす!
今までの無理が祟ったのだろうか?

アスカ、ブー、その他大勢に看取られ、静かにその役目を果たし、逝去した。


デビルは姿を消した後、一向に姿を見せなくなるが、どうも闇ギルドの新しい長となった!という噂や、突如いなくなる凶悪のモンスターは、デビルが殺ったとか、

狩りの犠牲で孤児となった子達を引き取る児寺院『ガンズ&ローゼス』
を立ち上げた等々、
噂に絶えない!

真偽の程は定かでない。
アスカは、アリオスの帰還と共に引退し、余生を静かに過ごす。

アスカとナハトの再開は果たせず!
アリオスが持ち帰る仮面だけがアスカの元に帰る。
だが彼女は泣かなかった!まるでそうなるとわかっていたかのように

ただ一言

『おかえりなさい』



その仮面を丁重に奉納し、立派な墓石を建て、アスカは生尽きるまで墓守りをする!

その仮面とは、あちこち傷だらけのシルバーリオレウスの兜だった!!

ナハトの壮絶な戦いの日々を最後を看取ったアリオス、アドネインに語り継がれる!


そして、彼は伝説となった!



おわり
男は1人俯き立ち尽くす!

白のギルバート装備に身を包み!

手には爆破属性のランス!!

何か思いにふけているようだった!


誰もいないはずの洞窟に石が転がる音がする!


出てきたのは、ベリオロス、ナルガクルガ、リオレイヤだった!

更にラングロトラが丸まり転がってきた!

『へっ!ちょうど暴れたかったとこよ!!』


男は無造作に丸まったラングロトラの背中に槍を突き刺し、持ち上げる!
ラングロトラの悲鳴にも聞こえる雄叫びに反応し、全てのモンスターが男に敵意を見せる!!

『犬に猫に鳥か?
こいつはアルマジロか?
よくまぁ!集めたもんだ!』


男は、翼を拡げたレイアに赤い玉っころを投げつけた!

投げつけられたラングロトラはとっさに丸まり身を固め、レイアにぶち当たる!

よろつくレイア!


この男の真骨頂は、パーティーにあらず!ソロでこそ発揮する!!

『バースト!!』

全身の筋肉が膨張し、

一気に駆け抜ける!

ベリオロスは、岩壁を使い、頭上から男を襲う!が逆に弾き返され!吹き飛ぶベリオロス!

男はそのまま、力を貯めていたナルガに向かい、突進する!

仰け反りのたうち廻るナルガクルガ!!

そこに弾みをつけてラングロトラが丸まったまま男めがけて飛び掛かってきた!

レイアも火玉を吐き出す!

男は、玉を盾で弾き、火玉にあてて、相殺する。
ベリオロスが氷の竜巻を起こす!

その竜巻に乗り加速をつける!

ナルガも何か狙っているようだ!

男は、一歩後ろに下がる!

そこにベリオロスが飛び掛かってくる!!

盾で受け止めたベリオロスにナルガの尾による叩きつけがきた!


ベリオロスはそれ喰らい、悶絶する!

男は、構わす槍を重なった2匹を連続で突き刺す!
その一撃一撃が重く!

モンスターの外皮を突き破り、爪を折り、牙を砕き、肉を切った!


4匹対1人!!


どちらがモンスターなのかわからない状況だった!

『へっ!面白くなってきたじゃねぇか!コノヤロー!』


幸先のよい所に、ご機嫌の男!

モンスターが一同一歩下がった!!


なんと!モンスターによる連携攻撃だった!

レイアが火玉を吐き出し、ラングロトラが突進!
ベリオロスとナルガが左右から!
レイアが更に距離をつめ、サマーソルト!
交差したベリオロスとナルガが尾を振り払う!


その全てを盾で受け、槍で流し、身でかわす男!

しかし、後方より!ラングロトラのしびれ玉を喰らってしまう!!

全身に電流が走り、自由を奪われる男!

そこに一斉攻撃!!


さすがの男も、覚悟を決める!

仰向けになり大の字に手足を拡げた!

『ちっ!ここまでか!
つまらねぇ〜な!』

モンスター達は、喜びの咆哮をあげた!
男は、目を瞑った。

《悔いなし!》
と思うところに!

《駄目だ!諦めるな!》友の声がした!

『幻聴か?』

男は目を開けた!
目の前にラングロトラが舌を出し、顔を覗き込んでいた!!

咄嗟に槍を突き出した!

その時だった!仰向けの体制だった為か?

手元に妙な回転をかけていた!!

それが幸を呼ぶ!!

ラングロトラの頭を突き刺し吹き飛ばしていた!

頭を無くしたラングロトラは、手をバタバタさせた後に倒れた!


『こ、これは?』

男は立ち上がり、1人ぶつぶつと言い出した!

『へっ!そうか!!これは使えるな!?

ナハトの野郎!!
俺より弱い癖に心配した顔しやがって!!』

そこにベリオロスが壁を使い猛然と襲い掛かる!

盾で受け止める!
足が後方にずり下がるが体制は安定している!

ランスを持つ腕は、膨張しはち切れんばかりだ!

男は一気に解放する!
ひねりを加えた一撃がベリオロスの頭どころか、首、背中まで貫き!弾け飛ぶ!


『くっ!腕に負担かかるな!』



レイアが突進してくるのをさらりとかわし、
ナルガの頭を盾で叩きつけたところに止めの一突き!!

面白い位の強烈さに、男はニヤリと笑う!

レイアは完全に戦意を消失したのか?

襲ってこない!!

近寄らないで!といわんばかりに火玉を吐き出すのみ!


男は、ディアブロスのように、土を蹴り!

一気に突進する!

レイアがサマーソルトで反撃するが半身を捻るだけで避け、槍を力一杯突き上げた!

それは楽にレイアの胴を突き破り、岩壁に突き刺さる!!!


『なんだ!チョロいな!』

男は、槍を抜き戻すと、槍はひしゃげ歪な形にへし曲がってた!


『お前もかよ?』
男は、槍を捨て出口に向かい歩きだした!

『こりゃ体いてぇな!!
あんま使えんな!

へっ!あいつ!
これ真似できねぇだろうな!!
自慢したろ!!』

男は満足したのか!ご機嫌だった!


今からそう遠くない未来!!
男は、友の死を離れた地より感じとる!!

連れの女が、

『どうして泣いてるの?』
と聞く!


男は、子供の様に何度も何度も

『泣いてねぇよ!

あ〜ぁ!いろいろ見せたかったのに!見せたかったのに…』

小さく呟いた!!

その後!
ギルドの追跡の目を逃れ!
ギルドの記述は途切れる!!

そして、噂だけが広まった!!

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