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意味がわかると怖い話。コミュの謎のサンタ、陳 3 前編(超長文・自作)

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(^^)
お久しぶりです、俺です。


季節柄、な話を…。


※長文作品故、長文嫌いな方は読まないでね…。


★★★★★★★★★★★★★★★


一面の黒いキャンバスに煌めく星々。
時折、天使の涙の如く一瞬の煌めきを見せる流星。

雲一つ無い寒空の下、喧騒絶え間無い都会の街から逃げ出すように、俺は小高い丘の上に来て煙草を吹かしながら、そんな夜空を眺めていた。


12月14日

街では毎年恒例のX'masソングが何処もかしこも流れており、早くもX'masムード一色だ。


鬱陶しい…。

お祭り騒ぎが好きな日本人、またカップル達にとっては一大イベントであることには違いない。

が、恋人も居ない俺からしてみたら、くだらない馬鹿騒ぎのようだ、と見下していた。


カノジョと呼べる恋人でも居たら、そんな冷めた感情も持ち合わせてはいなかっただろう。


何本目になるか忘れた煙草をポケットから取り出し、口にくわえ再び静かな満天の星空へと目を向ける。

そして目をつむる。


こうして静かな自然に囲まれた空間で目をつむっていると、今にも首に鈴をぶら下げながら白い口髭を豊かに蓄えさせた割腹の良い赤服を着た老人を乗せたトナカイが空からやってきそうな雰囲気さえ感じる。


ふ…。

サンタクロース、か。


そんな空想上の人間、居る訳が無


…ン、シャン、シャンシャンシャンシャンシャン…


ん?
何だ、この音…。
遠くの方からそんな音が聞こえてきた。

トナカイの鈴の音…か…?

…まさか、あまりにも寂し過ぎる俺を見ていられなくなったサンタクロースが、俺の元に早めのX'masプレゼントを渡しに来てくれた、とでも言うのだろうか……。


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン……



音は徐々に近付いて来ていた。

俺はつむっていた目を開け、音のする方へと振り向いた。



男性『シャンシャンシャンシャンシャンシャン』

俺『口で言ってたのかよっ!!』


…そこに居たのは、

黒のスーツ、黒のサングラス、黒のネクタイ、赤色のニット帽を被りながら肩に白い大きな袋を担いだ黒髭を生やした男性だった。


その風貌からは、まるで

今夜の寝床を探してさ迷っている最近なったばかりのホームレスの人間のようだと俺は思

男性『アン・ハッピーニューイヤーネッ!!』

俺『早いよっ!!アン、だと縁起悪いよっ!』


…なんだ、このオヤジは………。

せっかく満天の星空の下で静寂な空間の雰囲気に酔いしれていたというのに…。


…まさかとは思うが、このオヤジが…サンタクロース、なのか…?


男性『ワタシ、サンタクロースと違うネッ!!』


っ!?


…俺の内心を見透かしたかのように、オヤジはまくし立てた。


男性『オヤジでも無いネッ!!失礼極まり無いネッ!!』

俺『見透かしてんじゃねぇかっ!!』


…なんなんだ、このオヤジは……


男性『ワタシ、陳タクロース、ネッ。』

俺『は?…チンタクロース?』

陳『もしくはローストビーフでもイイネ。』

俺『全然関係ねぇっ!!』

陳『ワタシ、悩める寂しい引きこもりニートの強い味方ネッ!』

俺『引きこもりでもニートでもねぇけどなっ!!』


チンタクロース、と名乗る男性は唾を飛ばしながらまくし立てた。


陳『ふむ…。見たところ、アナタ……、雲一つ無い寒空の下、喧騒絶え間無い都会の街から逃げ出すように、ココで流れ星見ながら煙草を吹かしていたように思うのダガ、どうかしたアルカ?』

俺『詳し過ぎだろっ!! いいだろっ、俺が一人でいようとあんたに関係無いだろ…。』

陳『恋人も居ない賑やかなクリスマスムードがそんなに嫌いアルカ?』

俺『好きな奴はあまりいないだろうな。』


そうだよ…、恋人が居るからこそクリスマスは楽しいイベントなんだ…。


陳『だったら恋人作るヨロシ。』

俺『簡単に言うけど、恋人出来ないから一人なんだろ?』

陳『語弊があったようネ。失礼したネ。ワタシが言てるの、恋人を一から作る言うことネ。』

俺『え?…より一層よく分からないんだけど…』


恋人なんて、はいそれ、と出来るものでは無い。
交際を繰り返し、告白し、成功してようやく
『恋人』
という肩書を得ることが出来るものだ。

それに、今から交際を始めようにも、到底クリスマス・イヴまでに恋人になるなんて、間に合うはずも無い…。


陳『と、誰もが思うネ?ところがスットコドッコイ、簡単に恋人が出来てしまう画期的な物、ワタシ持てるアルッ!!』

俺『…色々とツッコミたい所はあるけど、…何だよ?』


簡単に恋人が出来る『物』?
俺は若干興味が沸き、チンタクロースに問い掛けた。


陳『陳でイイネ。こちらを見るヨロシ。』


そう言うと、チンは懐から何かを取り出し、俺の眼の前へと差し出した。


俺『近いよっ!! …え、どれ? …暗くてよく分からない…』


手を出して受け取ろうとすると


陳『見るだけネッ!!』

俺『見せただけかよっ!』

陳『焦るよくないネ。ちょと待つヨロシ。』


と言い、担いでいた白い袋を下ろし、中をゴソゴソと漁り始めた。


俺『さっきの何だったんだよっ!!』


陳『コレ、ネ…。』


チンが白い袋から取り出したのは、一体の20cmくらいの大きさの人形だった。


俺『コレ、って……』

陳『見ての通り、陳ネ。』

俺『あんたじゃねぇよっ!!……人形?』

陳『そうネ。ただし、ただの人形とは……違うネ……』

俺『え……』



ゾワ…


それまで吹いていなかった風が背中をなぞり、木々の葉も突然ざわめき立ち始めた。

背筋が泡立つ程、チンの後半のニュアンスからはゾッとするような寒気を俺は感じた。


俺『ただの人形じゃ…ない……?』

陳『そうネ…………。一体2万円……ネ。…タダと違うネ。』

俺『……値段のことかよ………。』


再びピタリと風は止み、静寂が訪れた。


陳『この人形、愛情込めて可愛がるヨロシ。不思議とミラクルな奇跡が起こるネ。』

俺『ミラクルと奇跡、同じだけどねっ!…で、一体何が起こるんだ…?』


俺はチンから渡された人形を手に取り、チンに問い掛けた。


陳『この人形、ガールドール言う名前の物ネ。』

俺『ガールドール…。』

陳『そうネ。道路の脇に設置されている安全な公共物』

俺『ガードレールなっ!! で、コレが何っ!?』


合間にちょこちょこ不要なボケを挟むせいで、中々話が進まない。


陳『合間にちょこちょこツッコミ入れるよくないネッ!話が先に進まないアルッ!!』

俺『ツッコまない方が進まんわっ!!で、何なのっ!?』

陳『この人形、実際に本当に人間の女性になる不思議な人形ネ。』

俺『え……』


…人形が本物の人間の女性になる…?
そんな人智を越えた物が、この地球上にあ

陳『あるんだから仕方ないネッ!コレが現実ネッ!!受け入れるヨロシッ!』

俺『心の声に反応すんなってっ!!』

陳『本日14日ネ。クリスマス・イヴまで10日もあるネ。愛情注ぐには十分過ぎる時間ネ。』


あと10日で十分…?
マジで言ってんのか…?


陳『この人形、このまま何もしなければ普通の人形のままアル。 愛情を注ぐことで、この人形は意志を持つようになる奇跡が起きるネッ。』

俺『マジかよ……』

陳『説明書にそう書いてあたネッ!』

俺『100%の確証じゃないのかよっ!!』


馬鹿馬鹿しい……。
誰がんなもん信じるか……、誰が………



陳『なら今年も寂しいボッチクリスマス過ごせばヨロシッ! 後で後悔する、目に見えるようでクソ笑えるアル。くくくくっ。』


何故だか、コイツに馬鹿にされたと思うと苛立たしさが増幅する。


俺『分かったよ買うよっ!買ってやるよっ!!騙されてやるよっ!!』


俺はカッとした勢いに任せ、ズボンのポケットから財布を取り出した。


陳『よくぞ買て頂けること決めてくれタッ!シェイシェイネッ!!』


俺は財布から2万円を抜き取り、チンへと差し出した。


陳『それでは、こちらネ。』


チンは俺の手を掴むと、何かを握らせてきた。

開いてみる。


俺『何だよ、…種?』

陳『先程見せてあげた物ネ。』

俺『ここで繋がるのか…。 で、コイツをどうすればいいんだ?』

陳『まず、土と鉢植えを用意するネ。何の土でも構わないネ。』

俺『土と鉢植え、ね。それから?』

陳『先程渡した種を植えるヨロシ。』

俺『まるで花を育てるような感じだな。』

陳『そしたら、このガールドール、一緒に布団の中で愛情込めて寝るヨロシ。 愛情が多い程、成長する速度は速まるネ。』

俺『……、種はっ!?』

陳『春頃に咲くはずネ。』

俺『オマケじゃねぇかっ!!』


くそっ、重要な物かと思いきやオマケかよ…。


俺『顔とか髪の毛が描かれて無いけど、これは?』

陳『ガールドール、アナタの望むガールに育つネ。顔も、ヘアスタイルも、ボディの形も望むままネ。アナタの願望のままに、ガールドールは成長するネ。』


マジか……


俺『…分かった、試してみるよ…。ありがとう、チンさん…。』

陳『礼には及ぶネ。もっと感謝されてもイイくらいネッ!! では、ワタシは帰るネ。ツァイツェン、ネ。』

俺『じゃあな。』



シャンシャンシャンシャン口ずさみながら去っていくチンタクロースのオヤジと、手元にある人形とを交互に見比べながら、再び俺は満天の星空へと目を移した。




〜後編へ


――――――――――

謎のサンタ、陳 1
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謎のサンタ、陳 2
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