意味がわかると怖い話。コミュの報復(自作)

ポストに入っていた切手も差出人もない封筒。今それと対峙して何時間になるだろう。
達筆―あるいはそんなフォントがあるのかもしれない―で私の名前が朱書されている。
事件を起こしてから毎日批判や抗議、時には脅迫めいたものなど多くの差出人不明の手紙や人並みに自動車保険の勧誘が投函されている。一週間前に判断を誤らなければこんな事態にはならなかったのかもしれないが…

一週間前…私は社員の忠告を無視して安全軽視のコストカッとをした。いつもやってるから。妙な慢心があったのかもしれない。

時計を見ると3時間近く経っていた。いよいよ開封する踏ん切りがついて封筒を開ける。
中身は光る円盤だった。CDなのかDVDなのかをみただけで判別する術を私は知らない。PCに入れて起動する。動画が再生された。

覆面―ひょっとこのお面など今時売っているのか―を被った低い声の男が私を―彼にとってはカメラだが―を見据えて語りだす。
(作者注:以下「」内はすべて男の言葉を表します。)
「社長さん、あなたのせいで息子は死んだ。」
やはり、事件の復讐か。今までの脅迫が紙媒体だっただけに今回は身構える。
何気ない雑談が延々続く。ただそれだけなのに妙な気になる。ついに私は二階の窓から飛び出した。

警察の検証では、ビデオの中に0.1秒単位での細工が何度も施されていたそうだ。