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意味がわかると怖い話。コミュの謎の便利屋、陳 (自作・長文)

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(^▽^)
どうも、俺です。


暑いですね。
まるで、夏みたいです…



★★★★★★★★★★★★★★★



暑い……。



休日に部屋でくつろいでいた俺の額からは、絶え間無く汗が流れ落ちている。



ミーンミンミンミン…
ツクツクホーシ、ツクツクホーシ…



外からは、苛立ちを倍増させる余命一週間の虫達が精一杯に鳴き声を上げていた。


連日の猛暑に、既に俺の体は限界に達していた。

冷房をかければいいのでは?


そうしたいのは山々だが、クーラーの冷房機能の調子が悪く、今年の夏は冷房無しで乗り切ろうと考えていた所だ。


…が、もう無理だ……。


俺は仕方なく、近所に最近出来た便利屋に電話をすることにした。

家電工事業者だと、工賃が高いから、というのは言うまでもない。


電話に出たのは、片言?の日本語を喋る中国人だった。


?(どうしたネ?)

俺『クーラーを直して欲しいんですが。』

?(かしこまたアル。これから急いで向かうネ。だいたい5時間後には着く予定だが、宜しいカ?)

俺『宜しくねぇよっ!近所なんだから、すぐ来て下さいよっ!!』

?(分かてるネ。今から店出るから、だいたい6時間後には着く予定ネ。)

俺『分かってねぇじゃん!時間、更に延びてるよっ!!』



急いで来い、と伝え、俺は電話を切った。




――――4時間後――――


コンコンッ


玄関の扉を叩く音がし、俺は玄関に向かい扉を開けた。


男『お待たせネ。便利屋の、エスパー陳ネ。』

俺『…遅過ぎやしないか…?エキスパート、なっ!!』


そこに現れたのは、作業着では無く、黒のスーツに黒のサングラス、黒の鞄という出で立ちの、とても便利屋と呼ぶには相応しく無い格好をした中年男性だった。


その風貌からは、まるで


あからさまに、いかがわしい物品を売り付ける訪問販売の人間を俺に連想さ

陳『アイヤーッ、それは申し訳なかたナァ。電車が渋滞してたネ。』

俺『電車は渋滞しねぇよっ!!』

陳『うるさい客ネッ!夏の暑さに加えて苛立ち倍増ネッ!!』

俺『俺の台詞だよっ!いいからとっととクーラー直してくれよっ!!』


なんなんだ、このオッサンは……。

便利屋どころか、苛立たせ屋の間違いじゃねぇか?


陳『その前に、キンキンに冷えたウーロン茶飲ませるヨロシ。喉渇いて死にそうネ。』

俺『死んじゃえばいいじゃん。』

陳『そうも出来ないのが世の常ネ。さ、とっとと用意するヨロシ。』

俺『偉そうだなっ!!』


俺は仕方なく、冷蔵庫に入れていた麦茶をコップに注ぐと、既にリビングであぐらをかきながらくつろいでいる陳の前に差し出した。

っとに、なんなんだ、このふてぶてしい野郎は…


俺『それ飲んだら、さっさと工事に取り掛かってくれよ。』

陳『任せるネ。では、遠慮は一切せずに頂くとするネ。』

俺『少しは遠慮しろよっ!!』


陳と名乗る業者は、冷えた麦茶を手に取ると、一気に飲み干した。


陳『むむっ…コレは…』

俺『ん?麦茶だけど、どうかしたか?』

陳『くそマズいネッ!飲めたもんじゃ無いネッ!!』

俺『飲み干してから言うんじゃねぇよっ!!さっさと工事に取り掛かれよっ!』

陳『それが業者サンに向かってモノ頼む態度アルカッ!? なんたる客ネッ!人間のクズネッ!』

俺『それが依頼した客に対する態度かっ!!早くやれよっ!』

陳『まったく、夏は変な人間が多いネ。困ったモノネ。』

俺『お前が言うなよ。』


重たい腰を持ち上げた陳は、クーラーの下に立つと、黒の鞄からビニールシートを取り出した。


俺『じゃあ、頼みましたよ。俺、出掛けて来るんで。工事が終わったら電話下さい。』

陳『え?矢口真理が何アルカ?』

俺『言ってねぇよっ!ちょっと古い話題だなっ!!工事が終わったら電話して下さいって言ったの。』

陳『分かてるネ。同じこと何度も言う、ただの馬鹿ネ。』

俺『………』


夏の暑さも相まって、ケツを向けて作業に取り掛かっている陳に対し、一瞬だけ殺意が芽生えた……。

いや、会った当初から殺意は芽生えていたのだが…


俺『じゃ、お願いしますね。』

陳『かしこまたアル。』


俺は陳に声を掛けると、家から出て近所のパチンコ屋へと向かった。





―――4時間後―――



いやぁ、まさか確変の連チャンで10箱以上出るとは思わなかったな。


俺は厚みを増した財布をポケットにしまうと、家へと向かった。

そういえば、工事が終わったら連絡するように頼んだはずだけど、奴から電話は無かったな。

でも、さすがに4時間も経てば工事も終わってるだろう。


俺は自宅のアパートに着くと、玄関の鍵を開けて中に入った。


……そこには………


陳『なんたることネッ!またゲッツー取られたネッ!!何してるネッ!!』


テレビでプロ野球観戦をしながら麦茶を飲んでいる陳の姿が、そこにあった…。


俺『何してるネッ、じゃねぇよっ!!そりゃ、お前だよっ!!』

陳『あぁ、ただいまなさいアル。』

俺『おかえなさい、なっ!何で同棲してるカップルみたいなんだよっ!くつろぐなっ!!』


このオヤジは……

俺の握った拳は、震えが止まらなかった。


陳『パチンコで10箱以上も出たんだから、そんな小さなことで怒る、人間小さいネ。何センチ、アルカ?』

俺『身長の話かよっ!何で工事終わってんのに電話しねぇんだよっ!』

陳『ケタイ電話、持て来るの忘れたネ。』

俺『近所なんだから、取りに戻れよっ!』

陳『空き巣に入られたらどーするネッ!!』

俺『お前が空き巣みたいなもんだろがっ!!勝手に麦茶飲んでくつろぎやがって!!』


俺は怒りが収まらず、陳に対して罵声を飛ばしていた。


陳『…それは、すまなかたナ……。』


急に、陳の態度がシュンとした。

あ、…言い過ぎたかな……


俺『いや、まぁ、分かってくれたらいいんですよ…』

陳『お菓子も食べたネ…。』

俺『ま、まぁ、お菓子くらいなら、かまいませんよ…。茶菓子用意しなかった俺も悪かったんで…。』

陳『…残ってたご飯と冷蔵庫に入れてあったステーキ肉も、焼いて食べたネ…。』

俺『完全に空き巣じゃねぇかっ!!さっさと帰れよっ!』


少しでも陳に対して悪いと思ってしまった俺が馬鹿だったようだ。


陳『では、お言葉に甘えて帰るとするネ。1万3千円になるネ。早く出すヨロシ。』

俺『ちったぁ悪びれろよっ!! ホラよっ!』


厚みを増した財布から札を出して陳に手渡した。


陳『毎度アリ、ネッ!今日も仕事頑張たネッ。』

俺『はいはい。さっさと帰れよ。』

陳『では、ツァイツェン、ネ。』


そう言うと、陳は右手を顔の位置に掲げ、玄関へと向かった。


プルル、プルル


ん?何の音だ?
こんな音のする物、家の中にあっ

陳『もしもしネ。ああ、今さっき丁度終わた所ネ。油なんか売って無いネッ!どういう意味ネ?』

俺『ケータイあるじゃねぇかよっ!!とっとと出てけっ!!』


俺は、玄関の扉を開けたまま電話中の陳の背中を蹴ると、扉を閉めて鍵をかけた。


陳(人を足蹴にするとは、なんたることネッ!犯罪ネッ!!)


扉の向こうから陳の声が聞こえて来たが、その声を無視し、俺はリビングへと向かった。

ソファーに腰掛け、クーラーのリモコンを手に取る。


ともあれ、やっとこの蒸し暑さから解放される…。


俺は、設定温度が21度と表示されてあるリモコンのスイッチを入れた。





クーラーから流れて来る暖かい風が、俺の顔に当たっていた






陳『お腹も懐も、満腹、満腹ネ。』



お腹をさすりながら、謎の男性は暗闇へと消えて行った。



コメント(11)

なんで陳さんは「俺」がパチンコで当てたことを知ってるんだろう…

クーラー直してないですよね(゚∀゚)
陳さん、流石だなぁ〜(笑)
陳さん、帰ってくるまでくつろいでたんですか?
陳さん読んで満腹、満腹ネ
>>[001]
(^^)
奴がまともに仕事するとは、思えませんねw

鋭いですね。

お察しの通り、修理工事は終わっていません。
そもそも始めてもいません………。←

>>[002] BIG WESTさん
(^^)
気付かれたようですねw

何故分かったのか……。


陳と俺が初めて出会った場面の陳の台詞を思い出して下さいw

つまり、…そういうことです…?

>>[003] 寇雅さん

(´Д`)
『人を犯罪者呼ばわりとは、なんたることネッ!!ワタシ、犯罪者と違うネッ!心外ネッ!』


(^^)
間違いなく、犯罪者ですね。
>>[004]
(^^)
直して無いですね。

正解ですw


流石、でしょうか…?

>>[005] ♯ωakky☆♪さん
(^^)
暖房になったワケではありません。
そもそも……

>>[006] くみさん
(^^)
商品入荷待ちとのことです。
入荷待ちの時は、このように副業で生計を立てている……らしいです。

細かい所までは謎なので、俺にも分かりません。
m(__)m

>>[007] あきらさん
(^^)
正解です。
満腹…ですか…?

それは良かったですw
(*^^*)

ちゃんとした食べ物で満腹になって下さいねw←
>>[008]

なるほど笑

エスパーですね( ̄∀ ̄)
Σ(・ω・ノ)ノ

ムダ毛処理してる間に、新しいのがUPされてたあせあせ(飛び散る汗)



さすが陳さん、一筋縄ではいかないですねるんるん

…エアコン、壊さないようにしよ
(; ̄∀ ̄)

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