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六命+一揆 営業日誌コミュの《Melntese》68日目

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【Eno.1149 九】

「おまえも相変わらず気が短いね。」

契約の悪魔は苦笑する。

「それにしても、この展開はなんだかつまらないなぁ。」
「はぁ?!何言って……」
「ふみゃ?!」

見えない腕によって、ねこっぱちが九から強引に引き離される。
契約の悪魔に首根っこを掴まれ、ねこっぱちはもがくがどうにもならない。
九も九で見えない腕に押さえつけられ身動きが取れない。

「だって、私はずっと楽しみにしてきたんだ、おまえたちが無様に足掻く様を。それなのにこんなあっさりとした結果になるなんてつまらない。」
「ふざけるなっ!ハチさんを離せ!」
「記憶が戻ったからって、現実を受け入れられないって言いかけてたじゃないか?」
「あ、あれは……あの時は、まだ混乱してたから……いまは違う!」
「……イチジク……」
「オレはハチさんの事が」
「おまえのハチへの気持ちは、まっすぐすぎて本当につまらないよ。」

契約の悪魔のため息に中断されて、九は情景反射的に食ってかかる。

「気持ちにつまるもつまらないもあるかっ!」
「愚かだねぇ。何のために私がおまえと賭けをしたのか……忘れてしまったのかい?」
「それは……」

ーーー退屈しのぎのためだ。

背筋が寒くなるほどの優しい声に、九は舌打ちする。

契約の悪魔の判断基準は、退屈を紛らわす事ができるかどうかーーー九の言うところの『つまるかつまらないか』なのだ。
九は小さく舌打ちをする。

「……オレがハチさんを嫌いとでも言えば『つまる』のかよ。」
「ダメだよイチジク!そんな事したら賭けに負けるよっ!」
「ふふ、私はそれはそれで面白いと思うなぁ……ねぇ?」
「こらっ!イチジクに変な圧力かけるなって言ってるでしょっ!」

ねこっぱちは珍しく敵意をむき出しにして契約の悪魔を睨む。

「賭けはイチジクとボクの勝ちだ。さっさと契約を果たさないと、詐欺だって監査部に内部告発するよ?」
「それは困るね。私は一線から退いたとはいえ『相談役』という会社での立場を気に入ってるんだ。」

でも、と小首を傾げる。

「ハチは一族の中でも異端だから、魂のコレクションにはうってつけなんだよねぇ……『相談役』と、どちらに価値があるかねぇ?」

うっとりと見つめられ、ねこっぱちは唸る。

「……ボクが元の姿に戻ったら、八つ裂きにしてやるからねっ!」
「それも困るね。おまえは生かしておくと私を困らせてることしか考えなくて、非常に面白い。」

契約の悪魔が底意地の悪そうな笑みを浮かべるのを見て、九は慌てる。

「おい、何を……」
「だけど、おまえがいなくなった時の小鳥の反応の方が、もっと面白そうだよ?」

契約の悪魔はしっかりと九を見つめながら、ねこっぱちの体にずぶずぶと手を差し入れる。
ねこっぱちの水色の瞳が大きく揺らぐ。

「今のままより、絶望に綺麗に染まった小鳥の魂の方が価値も上がるだろう。どうせなら収集し甲斐のある魂のほうがいいしね?」
「ハチさ……やめ、やめて!」
「……イチジ、ク…大丈…だから……心ぱ……」
「さぁ、私を楽しませて……可哀想な小鳥。」
「ハチさん!!!!」

手が引き抜かれると同時に、糸の途切れた操り人形のように契約の悪魔の足元に崩れ落ちる。

「ハチさん!ハチさんっ!!」

見えない腕の拘束が解けて駆け寄った九はねこっぱちの小さな体を揺さぶるが、その体にはもう何も宿っていないのだとすぐわかる。



「どうして……どうして…………オレのハチさんを還してよ!!」

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