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六命+一揆 営業日誌コミュの《Melntese》67日目

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【Eno.1149 九】

いつでも、ボクを選んで。
ボクを選んで……

夢の中で彼は祈るよう言った。


それに対する自分の答えは?


「目、覚めた?」

彼の声。

「長いこと意識なかったね。心配したよ。気分はどーお?」
「……なんかまだ、ぼんやりする。」

九は寝転がったまま目頭を抑える。

「夕方になっちゃったから、もうそのまま横になってればいいよ〜。」
「そうする……なんか幻覚が見えるし。」
「え、幻覚??」

目頭を抑えたまま九はゆっくり上体を起こす。

「……だって、あなたがねこっぱちに見える。」

ねこっぱちは困ったように頬をかく。

「まあ、そりゃそうだ。ボクはねこっぱちだからねぇ。」
「……オレは何か勘違いしてんのかな?」
「ん?なんで?全部思い出したんじゃないの?」
「そう思ったけど……まだ夢見てるのかも。やっぱもっかい寝……」
「んもう、現実だってばー!」

もう一度横になろうとする九を押し留める。

「確かに今のボクはキュートな姿だけどさ。ボクはボクだよ〜?」
「……オレの知ってる『あなた』と、『ねこっぱち』とのギャップが激し過ぎて……」

九は深いため息をつく。

「現実を受け入れられない、というか、ぶっちゃ無理な気がし……むぐ」

ストーップ!と慌ててねこっぱちはイチジクの口を塞ぐ。

「ちょっ、発言にはくれぐれも注意してよっ!あいつが聞いてるんだからっ!」

口を塞がれたまま九がモゴモゴ謝る。

「イチジクはさ、記憶が戻ったばかりで混乱してるんだよね。わかるよ…わかるけどさっ!そんなに簡単に答えを出さないでよね〜。」

ねこっぱちは口を尖らす。

「今までボク我慢して待ってたんだ。なのにボクとのコトを思い出したイチジクから、ボクを否定されたらさ……」

さすがのボクだって傷つくんだよ、と耳をへにゃりと伏せる。

「……イチジク、ボクを選んでよ。」

塞いだ手を外す水色の満月の瞳が揺らぐ。

ーーそれに対する自分の答えは?


「盛り上がってるところのようだが、私を抜きに話を進めないでくれないか?」

九は夢で聞く声に、一瞬自分が夢を見ているのではないかと錯覚する。

『……おまえと、愛する者の魂を貰うよ。』

禍々しい紅い瞳に愉悦を浮かべた契約の悪魔が姿をあらわす。

「この瞬間を私だって楽しみに待っていたんだよ。そうだろう、小鳥?」

口の端を少し釣り上げるようにして、契約の悪魔は微笑むと、九は魅入られたかのように竦んでしまう。

「……あのさぁ〜。」

場の雰囲気を読まない盛大なため息。

「あまりイチジクに圧力かけないで欲しいんだけど〜。」
「……それは私への『願い』かな?」
「そんなわけないでしょ〜。ちょっと会わない間に、ずいぶん耄碌したみたいだね?」

長く生きすぎるのも考えものだねぇ、とねこっぱちはわざとらしいため息。

「……相変わらずだねぇ。おまえの心をへし折るのは、きっとすごく楽しいんだろうね?」

慈しまれているのではと錯覚してしまいそうな穏やかな声で、物騒な発言をする契約の悪魔に、ねこっぱちは肩をすくめるだけだ。

「ボクがかわいいからって絡まないでよね〜?イチジクは今は本調子じゃないけど、いつもなら契約の悪魔なんかジャイアント・スイングされちゃうよ?」

意外と飛距離でて危険なんだから!と、なぜか胸を張るねこっぱち。
そんなねこっぱちにつられて呪縛が解けたように、九は契約の悪魔から目をそらし俯く。

ーーー自分の気持ちを一瞬でも疑うなんて、バカみたいだ!

九はふわふわの髪をくしゃくしゃにかき混ぜて、苦笑。

「イチジク?」
「……大丈夫、まだ混乱してただけだから。ちょっとビビっちゃったオレが恥ずかしいぜ。」

大きく深呼吸。

「でも、しょうがないよな!恋する乙女なんて大抵そんなものだろ?」
「……恋する乙女、ねぇ。」

契約の悪魔は目を細める。

「イチジク!!」

感極まったねこっぱちに抱きつかれて若干バランスを崩しながら、九は契約の悪魔にビシッと指を指す!

「勿体ぶらないで早くハチさんの姿を戻せ、バカ!」

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