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藤原肇コミュの【原発】30年前の予見 ── 藤原 肇『虚妄からの脱出』(東明社 1980年)

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【原発】30年前の予見 ── 藤原 肇『虚妄からの脱出』1980年(2012-05-03)



学生時代に友人たちに連れられ、とある勉強会に潜り込ませてもらった記憶がある。
そこに招かれていたのが藤原 肇氏。藤原氏のことはまったく存じ上げていなかったが、その場の語りの内容と雰囲気で、単なる「文化人」でもなく、かといって単なる「現場のヒト」でもないことはすぐに了解できた。

その後、無為に時間が過ぎ去ってしまい、このときの記憶は頭の隅に埋もれてしまっていたが、先日、部屋の整理をしていたら藤原氏の『虚妄からの脱出』(東明社, 1980年)が出てきた。

内容は、フランスで構造地質学を修め、米国の石油開発にも携わったことのある独特のマクロなフレームで日本の政治・経済のウラの構造を読み解くもの。

そのなかで日本のエネルギー政策に触れた個所があり、ちょっと驚いてしまった。

「ところが日本ではどういう訳か、電力会社や政府が核分裂型のエネルギー源にのめり込んでしまっているので、これが主役になるという誤った宣伝がマスコミなどにあらゆる機会を通じて流され、それが氾濫しているが、これは非常に危険だと思う」(p.138)
── と切り出し、

「彼らは石油の枯渇を盛んに強調するが、実はウラン235のほうが石油よりも早く枯渇するあやふやな資源だということを、議論の中で抜いているのである」(同上)
── と続ける。

3.11後の今でこそ、政・官・財・マスコミの核エネルギー=原子力発電への異常なバイアスであるとか、実はウランが非常に貧弱な資源であることが浮き彫りにされてはいるが、そのことが30年以上前に明言されていたわけである。
この本の中では、もう少し踏み込んだ発言がされている。
「日本の政界や政府は核分裂を『あすのエネルギー』と言っているが、実は『今晩のエネルギー』であり、これはその後に続く高速増殖炉や核融合が生まれるための“つなぎ役”にすぎない。原子力エネルギーということばが意味する本当のものは、実は核融合であり、核分裂を原子力エネルギーの主役であるように言いくるめることは、宣伝にほかならないのである。」(pp.138-9)

高速増殖炉は、、、以前取り上げたように、もんじゅ・常陽とも成功など夢のまた夢、現在も莫大な電力と財力が望みのない夢に費やされている状態。

核融合は? よくわからない。

「こういう日本の原子力政策の歪みは、果たして日本のエネルギー問題の運命を狂わすことにならないであろうか。このことは『これから暫くの間は、石油エネルギーが日本のエネルギーにとって重要である』という考え方を発展させずに、『これからは原子力にとびこみさえすれば、すべての問題が解決する』という神話をまき散らす、政府や電力会社の広報のあり方とともに検討し直す必要があると思われる。」(p.140)

先日、大友克洋GENGA展に関連して"Think the Earth Paper"の表紙に約20年前の廃墟のイラストが、まるで東北震災を予見していたかのようにそのまま使われていることにショックを受けたことを書いたが、今回も同様の感慨を抱く。

ところで、高木仁三郎氏は、1975年から原子力資料情報室の専従として活動していた。
広瀬 隆氏は、1981年に『原子力発電とはなにか……そのわかりやすい説明』を発表していた。

引用した藤原氏の着眼点は、彼らと同時期に発信されていたことからも、もっと注目されてもよいのではないか。


http://d.hatena.ne.jp/mmmmaolin/20120503/1336908194


まえがき・目次・あとがき
http://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/books/kyomou.html



『虚妄からの脱出―経済大国の没落と日本文化』藤原 肇(東明社 1980年6月25日)
http://mixi.jp/view_item.pl?id=2762141
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4809500012/
単行本 ¥ 11,733 より 中古品の出品


コメント(1)

古本屋の殴り書き 2015-07-19


『虚妄からの脱出 経済大国の没落と日本文化』藤原肇(東明社、1980年)

読みにくい文章である。
「石油開発の弁証法」と「富国強兵と経済大国のソフトウェア」までしか読めず。
小室直樹が説くところの「アノミー」(無連帯)を藤原は「ヤマトニズメーション」(空洞化から発狂へのプロセス)と表現したが、ネーミングが悪いと思う。

http://sessendo.blogspot.jp/2015/07/aj.html

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