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夢野台高校18回生コミュの当津先生のエッセー17

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エンピツ一本

14世紀のイタリアで発明されたと言われるエンピツが、イギリス、フランス、
ドイツ、アメリカで改良を加えられて日本に伝来したのは江戸時代の初期である。
ご多分に洩れずオランダから幕府に献上されたのが始めであった。
今も宝物として、静岡県久能山の徳川家霊廟に保存されている。
16世紀中頃のイギリスではエリザベス女王も宝石のように貴重品扱いをしていた
ようである。
新しい技術から作り出された便利な道具は、科学の発展を進め、文明、文化に影
響を与える。発展した科学の力や、文明、文化はさらに新しい技術を作り出す。

エンピツの新製品の開発もフィードバックしながら進んできた。エンピツの芯、
軸材、接着剤、塗装など、それぞれの研究分野の集大成として今のエンピツがあ
り、エンピツによって発展した科学があり、文明、文化が栄えた。

15世紀の中頃に発明されたグーテンベルグの活版印刷術が文明、文化もやはり、
新しい技術や、道具にほかならない。

新しい技術や道具が生まれると、新しい研究者が未知の領域への挑戦を始め出す。
新しい産業も起こる。いつの時代にも、パイオニアスピリットに燃える研究者や
ベンチャービジネスに情熱を注ぐ企業家が現れて時代を進めてきた。

17世紀の中頃に活躍した顕微鏡学派は、オランダの眼鏡屋父子が発明したという
ことになっている顕微鏡に魅せられて自家製のものを組み立ててはミクロの世界
を覗き込んだ。当時のイタリアには、ミクロの世界を探る顕微鏡学派が競い合っ
ていた。なかでも、顕微鏡作りに優れていたイギリス人、ロバートフックは手製
の顕微鏡でミクロの世界に熱中して「ミクログラフィア」という本を刊行した。

彼の観察したものの中に、後世の学者によって「細胞」の発見者の栄誉を
与えられることになったコルクの切片のスケッチがあったのである。

全ての生物は細胞からできているという、ドイツのシュライデンやシュワンによ
って唱えられる細胞説は「ミクログラフィア」刊行から百七十年も後のことであ
る。

細胞の学問的価値を知らなかったロバートフックは天国で驚いている事であろう。
彼はぶどう酒の詰栓にするコルクをミクロのレベルで調べていて、たまたまスケ
ッチをしていたのであった。葡萄酒産業に役立つ技術や道具の開発の研究が目的
であった。

科学の粋、優れた技術に支えられるとき、未知の世界を拓き、文明文化を高め、
人類の生存のために、より豊かに、より便利に、より楽しく、よりダイナミック
にしてくれる。科学、技術を進めるのは、例えばエンピツ一本からである。

当津 隆

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