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夢野台高校18回生コミュの当津先生のエッセー29

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生みの親・育ての親

毎年決まって、何人かのお母さんが私を訪ねてきて、「私の娘は今の今まで、私を
実の母親と思っている」「私もそういう気持ちで育ててきたが、実は・・・」と言
葉途絶えてオロオロしながら、事の顛末をポツリポツリと語りだす。そして、「な
んとかうまい具合に義理の関係を打ち明ける方法はないものか」「願わくば真相を
隠したまま結婚をさせる訳にはいかないものか」と、訴えるのである。

私は今までに何人ものこういうお母さんの話を聞き、また、ショックを受けた子供
の嘆きや悲しみや怒りに触れてきたが、ズバリ解決する手立ては見当たっていない。
が、その度に私の考えを繰り返し、述べてきた。
昔から伝えられいる諺、「生みの親より育ての親」の説明である。生みの親が生ん
だその子を育てられない事情には、聞くも涙、語るも涙の物語が多いに違いない。

一概に生みの親をないがしろにするすることもできまいが、生みの親が育ての親より
も優先される考えは理屈に合わない。
昔、大岡越前守の名判決と言われる、生みの親に子供を引き渡すくだりがあるが、私
は疑問を持っている。もっと育ての親の言い分を聞くべきではなかったか。産むとい
うことと育てるということを区別して考えなければならない。
育てるという行為の方が、価値高く尊いものなのである。

生物の卵は、それ自身に分裂し、ふえて、成長してゆく力がある。つまり、発生を始
める生命力が備わっているのである。ひとをふくめて哺乳類がお腹の中で発生するの
は、卵を返す場所より安全なところへと進化させてきた結果に過ぎないとも言える。
魚からかえる、カエルから蛇やトカゲの類、そして、そういう爬虫類から鳥へと、発
生する場所を危険なところから安全地帯へと移してきたのである。どの動物の卵にせ
よ、卵自身の中に、発生運命を定める力を備えているわけで、親の力によって卵がか
えり、発生するのではないのである。

生みの親を、産みっぱなしの魚やカエルと同じように考えるつもりはさらさらないが、
少なくとも育て育んでくれた育ての親の前では一歩下がらざるを得まい。産みっぱなし
で育てなければ本当の親とは言えない。義母であろうと継母であろうと育ての親は育て
てきたことに自信を持ち、育てられた子は育ててもらったことに感謝してこそ人間らし
い考え方というべきである。

義理の親と子がもっと高い次元で触れ合って欲しいと思うのである。血のつながりより
も価値高いものを求め合って欲しいと思うのである。社会の人々も浪花節的な調子をす
てて、育ての親の立場をより支持して欲しい。どういうふうに育てたか、育ったかとい
うことに関心を寄せてもらいたい。生まれてくる子には、何の責任もないのである。

当津 隆

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