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夢野台高校18回生コミュの当津先生のエッセー32

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教師なれば・・・3

校長になれなかった原因はいろいろあるが、校長にならないと決めた理由もいくつかある。

あれは、八鹿事件があってまもない頃であった。社町にある教育研修所で幹部教員向けの
研修会があって、その中に私もいた。県教育委の作成したスケジュールに従って、泊まり
込んでの現職教育である。

 教育問題についての解説を聞いたり、討論をするのだが、何故か燃える雰囲気がない。
管理職への一つのステップを義務的にこなしているに過ぎない。
教育の本質も、生徒の動向についても、己の考えは表に出さない、教育学の原理を繰り返
しているだけである。顔見知りのAという教師が妙にハッスルしている。

 教育理念もいい加減で、まともな情熱もなく、仕事のできない奴であるが、いかにも熱心そ
うなゼスチャーたっぷりでしゃしゃり出ては、県教委への忠誠心を振りまいている。かねがね
そういう男だとは知ってはいたが、何のためらいもなく本領を発揮できる才能には感心したも
のだ。

 このAはその後、いわゆる栄転を果たして校長になった。悪い奴ではないが、ほんものの
教育者としての資質はないと思っている。

 幹部教育のフィナーレは教育委員会の訓話である。講師は、教育界の大物の呼び声高い
人物だという。私もノートを広げて期待を持って聞いていたが、すぐにバカバカしくて聞く気に
なれなくなった。研修中の者への配慮もなければ、教育へのポリシーのかけらもない話であ
る。思いついきのたわごとだから筋道もない雑談なのである。
われわれの肩をほぐしにやってきたのであれば、仰々しい看板を上げることもなかろうと思う
と腹が立ってきた。

 それでも、教育委員会の連中はコチコチ、幹部候補もひきつれた顔で聞いている。
そういう雰囲気をからかうつもりの雑談と考えるには、話題がお粗末である上面倒くさそ
うな態度が許せない。

 八鹿事件というのは、この当時の最大の関心を寄せる問題である。しかも、八鹿からの
帰りに社町へ来ての講演なのだから、この大物の見解を期待していたのは当然である。
余りにも不真面目な肩透かしに終わる。

 その講演についての感想文を提出せよという指示がでる。下記ようのない事を知っての
ことなのか、スケジュール通りに進めるところは、やはり役所仕事だ。その情けなさより
も情けなかったのは、もっともらしい感想文を書き綴っている幹部候の不甲斐なさである。

 私は冒頭から講演の内容、態度をなじりはじめた。ペンを限りに不満の意を書きなぐった。
同じ半の連中が、私の分を見てびっくり仰天、本気で提出するのかと聞く。本気もくそもある
ものか、あなたもそう思わんのかと問うと、その通りだという。それでは何故本当のことを書
いて出さないのかと詰問すると、そんなことは出来ないと言葉を濁す。私一人だけが正義感
に燃えた青臭い世間知らずということでこの研修会は終わった。

 たとえ三日間とはいえ、同じ釜の飯を食ったものに芽生えるであろう友情のかけらもない
まま別れた。この研修会をしおに、私は校長にはなってやらない、こういう連中の仲間に入
るのはごめんだと心に強く誓ったのである。

当津 隆

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