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夢野台高校18回生コミュの当津先生のエッセー16

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巳の刻

昔、老中たちの登城は巳の刻と決まっていた。今の午前十時である。積み重ねた
経験によるものであろうが精神的にも生理学的にも叶っているのだ。現在でも重
要なことを決める時刻は午前十時を選ぶ。入学式、入社式をはじめ式典のほとん
どは午前十時開始と決めている。巳の刻を重要視する習慣はとくに宮中の行事に
残っている。国の外交上の交渉屋調印式も巷の結婚式も午前十時を期してという
のが普通であった。

太陽の一番美しく輝くのは巳の刻であるという生活の知恵によるものだが、リズ
ミカルな生活の中で、精神活動の能率のピークが午前十時前後であるというのが
巳の刻の伝統を支えているのである。

我々の自律神経は仕事向きの神経と急速向きの神経のバランスを調整しているの
である。DNAに組み込まれたている体内時計に支配されているといっても良い。
夜は休息向きの神経の世界、昼は仕事向きの神経の世界であって、朝起きて暫く
は、休息向きの神経と仕事向きの神経の攻防が続く、寝とぼけることもあろうう。

巳の刻になって仕事向きの神経がシャープになってくる。午後になると疲れ始め、
夕刻になるほどに休息向きの神経の世界に近づいてゆく。
このリズムの崩れのひどい例に時差ボケがある。時差のある海外に出かけると現
地の生活時間と体内時計との間にズレが起こるのだ。

とくに日本から東行きのアメリカ旅行での時差ボケは、ヨーロッパへ行く西回り
より強い症状が起こる。東回りのアンカレッジ経由でロンドンへ行ったとき、頭
がぼんやりして集中して考えられなくなったり、食欲が落ちたことがあった。
時差ボケとは医学的に言う睡眠覚醒障害の事である。

昼間に睡眠をとり、深夜にハチマキを締めて受験勉強をする受験生が本番で実力
を出しきれない原因の一つは入学試験の時間との時差ボケであろう。
やる気だけでは自律神経には勝てないのだ。現代化、国際化による体内時計の狂
いはますます自然のリズムを乱してゆくことだろう。

太平洋戦争の時、ジャングルに逃げ込んだり、迷い込んだ日本兵が水辺の樹上に
ねぐらを定めて、鳥や獣のやってこない時刻を調べ上げ、ジャングルないの秩序
を乱さない隙間の時間を人間にもらって水を汲みに降りたという。

生物の体内時計を無視してはペットを飼う資格もないだろう。鳥や獣の体内時計
の研究は進んでいるが、植物にも体内時計のあることは経験上誰でも知っている。
早朝に花を開くアサガオ、昼間のヒルガオ、ウリ科のユウガオは夕方に咲く。
睡蓮の一種のヒツジグサは未の刻、今の午後二時ごろに開花する。ツキミソウは
英語では、夕暮れの桜草、ドイツ語では、夜の蝋燭という。

当津 隆

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