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悪夢の書架コミュの詩編集「Noir et Blanc」

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切り出した過去と未来、あるいは妄想と狂気
刻まれた言葉はさまざまだが
狂おしい意識の崩壊と
夢のような幸福と
潰えた希望を託した渇望だ

砕けた硝子のようなその韻律に
その身を委ね給え

コメント(16)

 
不可能な詩編
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具体的なこうもり傘の悪夢

へんぴな田舎の交差点を飾る薔薇

水晶の中で発見された錆びた捻子

正直な神様を愚問で穢した13人の時計

モダンな作りの浸水したキャベツ

救われたアーキテクチャで作らせた靴下

変態的で増殖した四頭馬車に乗る乞食

蝕まれたカーテンをドレスにした麒麟

怒り心頭に達した毘沙門天のサングラス

自殺に恋した偶蹄目のプロローグ

呆れるほど大胆な段ボールを抱えた婦人

ポケットに入れた防風ランプのちいさな囁き

オレガノの断片を浮かべた異国の通せんぼ

映らない鏡に隠された欺瞞的な搾取

ぶしつけで爽やかな微笑みを浮かべる懐中電灯

あからさまな金属がプロポーズする言葉の破片

大地を跨ぐ大げさなピンク色のひよこ

限りなく暗黒に近い超新星の髭

肋骨のレントゲン写真を踏みつけた大仏

可憐な牙を美しく実らせる電子的な葡萄

命を絶つ前に忘れた遺書を取りに走る20W電球

不細工な障子紙と口論することになった小さな虹

あり得ない攻撃を交わす17インチの車輪

優雅にタイプライターを操るソクラテスの妻

豚小屋に小便を漏らす可憐なビデオテープ

錯乱した人間とそれ以外の獣の歌声

21種類の文書に署名する31人の被告

仏の宿の前で灯油を浴びて焼身自殺をする花瓶

明らかになった苦笑する地質学者の妹

貼り付いた影に嫉妬するガスレンジ

奇妙な法律に仇なす天空の死者

階段から落ちてくるはずの嫁を待ち続ける詩人

昭和84年の祝い事をする胡瓜とマッチ棒

決壊したダムに連れ添う膀胱の悲劇

壊れ物のコンクリートが保証する賞味期限

カーペットの下で暮らす家族の仮説

グレープフルーツが神殿で奉られた至福

物理学者が歌う原子物理表に加えられた侮辱

輝かしい汚濁を精製する図書館員

不可能な買い物に困窮するプテラノドン

気の触れたカクテルに夢を見る古い新聞紙

辛うじて優勝したトルマリンの人生観

叶わない恋人は風を孕んだ小さな帆の影

ボスポラス海峡を黒海に向かう天邪鬼

生きることより死ぬことより苦痛を選んだ聖者

化け物の誠実な告白に頬を染める哺乳類

砕けた天空を滑降するクリムソン・グローリー

負けず嫌いの祝福されたトースター

神なる者へつばを吐きかける紳士淑女

水のない世界で水を運ぶ者

光無い世界で灯りを灯す者

大地を知らないいるかのように

深海の海を知らない鳥のように
 
名前のないソネット
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漆黒の雲がその月を隠すとき

囁く歌声が静かに鳴り響く

砕けたコンクリートの、鉄筋の折れ曲がった壁の裏側で

君は何を数えているのだろう



心燃やすなにかに夢中になって

銀の天板のような金属製の月は

鳴り響くギタアの弦となって金の粒となり

君に間違いだらけの歌を歌わせる



黒板のチョークの音に似たたまらない悲劇のエチュードを

かつてありしもの失うなど考えもしなかったもののために

かつてそこにあって幸福を形作ったもののために

ただ死んだ鳩の暖かさを抱きしめている



取り残された絶望は容赦なく強い雨となって降り注ぐ

いつまでもいつまでも絶えることのない悲しみとなって

君の心を粉にして掴めないほどの砕けた砂に変えるのだ
 
孤独を愛する者への祝福
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世界で一番孤独になりたかった君

出来るだけ大きな都会へ住むといい

孤独という悪夢に

腰まで浸かる泥のように



世界中で一番大事にされたかった君

小さな都会に住むといい

孤独という悦楽に

ささやかな祝福を与えてくれるだろう



世界中で一番愛されようとした君

ひとつの部屋でシュガーを回そう

溶けて流れてひとつになる

そんな幸福を保証しよう



最後に雨を防ぐ術を持たぬ君

大地を抱きしめておもうさま泣くといい

君を知っている者はもう誰もいないから
 
道化の呪文
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飛行する悪夢を若い草で編み込んだ舟の中で彼は目覚める

幾多の書物がそれぞれの扉を覗かせたまま

幾多の映像が散らばった画素を雨にして降らせている

身勝手な原地に描いた星間の言語

羅列した記号に宿る甘い甘い夢が誘惑する

言葉を失った少年の口唇が戦慄いてブレスを吐くときに

君はその石灰岩の細かな砂の上に立ち上がるだろう

孔雀の帽子を手に白豹のチョッキを着た絶望のピエロ

心なく涙を持たず影を持たない軽妙な愚者として

君は傷だらけの狭い舞台の中で肘を折ってお辞儀をする

幾晩もの宵闇を照らす橙色の光りとなって

小さな舟のマストに掲げる灯りとなるために



吼える野獣は小さな猫のように暖炉で眠り

振り上げたナイフは台所の小さな玉葱を刻み

廻天するハンドルは幽かな風を孕む風車として

輪胴式の銃把は玄関先の置物に変わる

回転する砲塔は遊園地の紅茶の乗り物に

一斉攻撃の命令はありふれた街頭演説に

檻に閉じこめられた人々は自分のベッドで目覚め

冷酷な条約は寂しい恋文に変わるだろう



幕が開いている限り演じられる君の無様な舞踏

舞台を蹴り身を躍らせてへまをやらかす達人

進まない木馬を罵倒して観客に肩をすくめ

折れたステッキで俳優の惨めな模倣をする

幕が下りたら君は孔雀の帽子を手にして

澱み泡立つ河を超えて五月の風を友にする

幾億もの星雲の下で流れた汗は揮発して

彼の肌に甘くて辛い塩の粒を残すだろう

飛行する悪夢を若い草で編み込んだ舟の中に彼は横たわり

幾多の書物がそれぞれの扉を閉じたまま

幾多の映像が散らばった画素を風にして揺らし

太陽の祝福を知らない彼は微睡んで眠る

幾晩もの宵闇を照らす橙色の光りとなって

小さな舟のマストに掲げる灯りとなるために
 
樅の木の下で
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この緑滴る樅の下で君を待とう

いつか出会えるまでパイプに明かりを灯し 

その温もりを手の平に包みながら

僕は君を待っている



囁かな恫喝とささやかな歌にのせて

僕はring ring bellの小川に足を浸している

きゃらきゃら水の声音

ひぐらしのオーケストラ



夜はカンテラ僅かな暖かい風が僕を包んでいる

僕は君を待ったんだもうずっと前から

波に揺れる海のようなこの原野で

風に吹かれながら



一番失っていけない掛け替えのないものを

暖かい光の中でこの樅の木の下で待って居るんだ

あの素晴らしい野原で誰より早く受け止めてあげるから
 
鳥の歌
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たくさんの贈り物を僕は誰にでも与えた

自分が生きている証のために

自分が生きている手がかりとして

人の幸福は僕の幸福だった



かけがいのない人たちのために僕はいつでも本気だった

自分が生きている血の滲むような実感

自分が生きている陽炎のような虚無

人の幸いは僕の幸いだった



崖に落ちようとした人を僕はたくさん救った

自分が生きている手応えのために

自分が生きているという不確かな眉唾のために

人の悲しみは僕の悲しみだった



与えられた物は倍にして返した

自分じゃなくちゃ出来ないかたちで

自分という特別な存在を知るために

人の失望は僕の失望だった



鳥となって見下ろすこの時空を超えた大地で

いま、僕は高らかに笑おう

誰もを心から愛せたことを誇るために
 
なみだ
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それがあれば許されるもの

あれとかこれとか難しいことが

きれいさっぱりなくなるもの

それを我慢しないで流してしまえるもの



止めようとすると促進される

無理をするほど零れでるもの

大事な思い出や優しかった時が

蒸発してしまうから



埃の舞う長い道のりや

冷たく寒い明け方近くの森

踏めば砕ける木の葉をよけて

一緒に歩いたものを



ぜんぶなかったことにしてくれる魔法の水滴

誰もいなかったことにしてくれる一粒

最初からひとりぼっちだって教えてくれるもの
 
彷徨える愚者の詩
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六分儀も海図も羅針盤も持たない

六フィートディンギーは平滑な海を走る

ただ懸命にあてのない未来をめざし

継ぎ接ぎだらけの帆を膨らませて



ああ鋼板のように藍色に澱む海よ

その文様に何かの意味や言葉を記せ

ただがむしゃらに進むためではなく

確かな未来への約束を示せ



防風燈も防水シートも松明さえ持たない

六フィートディンギーは闇を泳ぐ

行き先のない約束のない未来へ

腐りかけた竜骨を剥き出しにして



ああ宝石のように透明な翠の海よ

その水底へ古代の文字を刻め

無骨な時間軸の向こう側に

辿り着ける運命を与えてくれ



波の谷間に揉まれて節くれだった指は

盲いた己れを掻き毟る

知らされない不毛と自覚した徒労と

視えない鏡の中にある希望を知るために
 
Ten years gone
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僕はテレピン油とリンシードやポピーオイル

イエローウォーカーとマルスレッドに

酸化亜鉛の白亜を豚の毛の筆に溶け込ませ

刻み流し彫り込むように

麻のカンヴァスに描いてゆく

カブスカウトの誓いを十字架の前で宣誓し

深い森を駆け岩を登り清流を蹴散らして

僕の髪の毛は野草の樹液と油絵の具で飾られた

I'm never gonna leave you,I never gonna leave.

Holdin' on, Ten years gone.




ギターのスリーフィンガーは蝶のように

レスポールの弦を爪弾く指は蜜蜂の羽となる

ピアノを叩きオルガンの音で紫の雲を裂く

火花を散らす喧騒と混沌のステージで

誰よりも高く誰よりも力強く叫び歌う

僕の髪の毛は灼熱の焔に輝き

恋人の心と躰を灼き尽くす

陶酔と絶望と高揚と失望と裏切りの海の中で

I'm never gonna leave you,I never gonna leave.

Holdin' on, Ten years gone.




エアブラシの霧が虹を描き

羨望の美女をクレッセントボードに滲ませる

数えきれない製図道具は魔術のように舞い

暴かれるための言葉を選び織りなして

巧妙な美しい嘘を積み上げる

友と語り明かす長い夜を疾走して

数えきれない名声と愚昧と伝説と謀略に

僕の身体は煙草の紫煙と焔の酒で飾られる

I'm never gonna leave you,I never gonna leave.

Holdin' on, Ten years gone.




8桁の0と1は16777216色をディスプレイ

あるいは漆黒の中に踊る9801のテキストに

酔うほどに夢中呆れるほど無謀な時間軸を

季節のない部屋で享楽に身を任せる

ドラムパターンを打ち込みながらメロディーを

シンセサイザーをエディットしながら歌詞を

8トラックのMTRのトラックジャンプ

僕は電子の神に愛され万能の祝福に酩酊する

I'm never gonna leave you,I never gonna leave.

Holdin' on, Ten years gone.




僕は牢獄に閉じ込められた獣となって

鉈や長い枝の付いた鎌

精細な赤外線スコープの付いた無反動銃を

小悪魔どもに手配する自在師

餌付けされた犬として懸命な鼠として

相応しい場所を持つ事もなく

壊れた心と身体をさらに歪ませて

僕は灰色の衣を纏う死神として生きた

I'm never gonna leave you,I never gonna leave.

Holdin' on, Ten years gone.




刃は収めるべき鞘を持たず

瞳はまだ戦場を見つめている

ほむらの髪は黒い炎となって

この歌の残り全てを抱きしめよう

Ten years gone. Holdin' on, Ten years gone.
 
五分間の想像と思考の内容とその羅列
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篆刻文字が刻まれた粘菌の舞踏

色褪せた案山子が飾られた祭壇

多数決で決められた複眼の多角形

死滅と再生を纏う巫女の小夜曲

区画整理された至高の腸詰と儀式

闇を綴る袈裟に描かれた不埒な文様

オーガニックな機械式時計の恋歌

神宿る朽ちた木製電柱の聖なる挽歌

幾重にも織られた絶望の免罪符

分断されたネオンの分割された道化

旋律のないピアノの饒舌な沈黙

糸のないマリオネットの舞踏会

砲身のない戦車の狂いなき旋回

悲観論者の楽観的な戦略と議論

割れた黒曜石の描く爽やかな夕暮

尽きない壁に塗られた永劫の血潮

インピーダンスの段階的敗北と予感

薔薇に飾られた政治家の洪水

8086の軽く美しい思考と快楽主義

五月人形の啓発された狭間と影

蟋蟀の繊細にして精密な断層思考

皿に美しく盛り付けられた石鹸の輪切り

歩行する高圧電流鉄塔に咲く夢の花弁

埋没する希望と飛翔する絶望の微睡み

崩落する非常階段の上で微笑む少女

琥珀色のカルーアと累積する知能指数

暗黒の谷間に落下する二次関数

情け容赦無き死に到る熱き接吻と抱擁

天使の輪で切り刻んだ人体標本



ここ五分間の僕の頭脳内容は以上。
 
雨が降っている
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心地よい憂鬱が螺旋階段を昇ってくる

爽やかな足音をたててまるで一人前の軍隊のように

ねじ曲がった鉄筋を晒す建物を

薄い化粧で満たしてくれる



風よその水精を踊らせておくれ

光よその透明な身体で雨粒を光らせておくれ

五月の緑をその小さな水晶のように

悲しい白い塩を詰めた手紙のように



雨よ君は自分が舞い降りる天使となって

鈍色のストーブに雫を垂らし

雨よ君は河を壊す悪魔となって

私の小さな舟を揺らしておくれ



誰も見たことのない荒ぶる神として

誰も逢ったことのない悲しい悪魔となって

私の墓標を柔らかく包んでおくれ
 
嘘はかへってゐけませぬ
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ははあ、これは嘘ですなあ

近頃は不躾な輩が多いですから用心に越したことはありませんが

しかし、こんなに訳ありな風情なら逆効果じゃあありませんか

陽射しはますますもって辛ひです



おやおや山猫さんどうもどうも

あなたが颯爽と立ち尽くしているならば店も大概安心ですな

牙や涎じゃ今時はそうそう簡便にはいきません

だうか珈琲でも頂けませんか



山の中でもさらに小道の奥に足踏み入れて

かうして立派に見つけたのですから

まさかこんなところでこんなに立派なトラジャを頂けるとは

実際夢にも思ひませんでした



私はくりゐむは頂きません

どうか山猫さん私の代わりに舐めてください

風は冷たく陽は高いいまのうちに
 
知らない街の、知らない道で
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それは名前のない街

それは思い出すことの出来ない街

陽炎の向こう側で滲んでいる

秘かな憧憬をかたちにして



それは忘れられた街

誰もが歩いたはずなのに誰も覚えていない街

降り注ぐ陽射しの下で

繰り返す後悔の後で



それは地図に記されない街

思い出せないのに忘れられない道と

肌を滑った葉脈と樹液の記憶が

意味もなく交錯している



それは名前のない街

忘れるためには覚えなくてはならないのに

覚えているのに忘れられた街
 
それはとてもとても暖かい夢
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それはとてもとても暖かい夢

ひとつも話にならないのに

断片だけでなぜか懐かしく

失ったのにそれでも幸福な夢



たとえばその小さな階段を上ると暖かい裸電球の淡いオレンジで

こじんまりとした木造の喫茶店であり居酒屋であり

四枚羽根の古い扇風機や金魚の模様の風鈴が鳴る

笑いさざめき話は尽きず僕は穏やかに微笑みとても満たされているんだ



たとえばビルのつづら折りの階段の途中にある小さなライブハウス

気さくな少年の髪の毛を引っ張ってじゃれあっている

拳ほどの玄武岩を木の板の上に並べて針金で巻いて

あいつのオブジェに僕が忌まわしい文章を綴る



たとえば夏の夜に道にはみ出すように作られたテラス

僕は知って居るんだけど名前も顔も思い出せない友人のギターに

僕のギターのソロが絡み合いふたりでその歌のコーラスを歌う

真っ赤なホオズキがいくつも板塀に並んでいるね



君が忘れ物をしたその詩集はチープで過激で大笑いみんなで大笑い

恥ずかしそうに冷や汗をかいて延々と続く言い訳がまた

とても素敵で大笑いで僕たちはホワイト餃子でビールを飲んだ

苦くて甘くて深くて軽くてとてもとてもくすぐったいよ



締めにみんなでくちずさむ知らなくて有名な曲なのに

最後に「NO LOVE」のところで僕だけ「NEED LOVE」ひとりだけ

みんな怒るんだけど僕は笑う文句を聞いて僕は笑う誰かが

けんぴは解って居るんだと言ってくれるからとても嬉しい



夕方の町並み影のような通行人を避けながら僕は戸惑う

もう一度あの店に行っても良い頃だろうか変じゃなかろうか

東の大通りから北へ歩いて左に折れて懐かしい看板を見上げる

みんな僕を忘れないで待っていてくれるだろうか



それはとてもとても暖かい夢

涙を乾かして塩にした封筒を開けて

そんなとき僕は笑う

きっとそんなとき僕は笑う
 
碧のラビリンス
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この迷路は終わらない

この迷路は迷いようがない

背中から襲いかかる夜のように

路地裏に潜む闇のように



この迷路は果てしない

この迷路は戻れない

足元を掬うさざなみの様に

心持たぬ影のように



この迷路は救えない

この迷路はあまりに限りない

言葉を持たない聖者のように

答えのない哲学のように



ビロオドの保証人の一人にも

雲間の月でさえも

慰める術を持つ事はない
 
四季のソネット
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冬に枯れた落ち葉のベッド

永遠の群青をたたえる空の夢

ひび割れた瞳のなかに

壊れた心が堕ちてゆく



迎えられない春を夢み

与えられない恵みを持たず

ひび割れた躯の奥に

痛む心が腐敗する



風のない夏の夜深く輝き

デクレッセンドな水平線の曲線

ひび割れた指を縫って

砕けた心が崩落する



微睡みの秋に無邪気な想いを抱いて眠れ

扉を叩く来訪者に香しい紅茶を

せめて君のために祈りを込めて

無邪気な破滅が君を襲う



四季を司る神々よその傲慢な口唇に

四季を織りなす天使たちよその怠惰に

僕らは全てを委ねよう

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