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こみや'S創作長編物語集コミュのありがた迷惑な恋心

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「じゃあな〜!」
泥んこまみれの公園からの帰り道。
ん?
走っていると道端にハンカチが落ちている。
プリキュアのハンカチだった。
プリキュアかぁ…ニンニンジャーだったら良かったのに。
どうしよう…
たかがハンカチを交番に届けるのも面倒だ。
そーうだ。
美保にあげよう。
美保はお向かいさんの幼なじみ。
プリキュアが大好きだ。

「え!これを私に⁈」
「あぁ。し、知り合いにもらったんだ」
子ども心に拾ったと言えなかった。
「ありがとう!大事にするね!」

次の日
遊んでいつもの道を帰っていると…
おばあさんがキョロキョロしている。
「おばあちゃん、道に迷ったの?」
声をかけてみた。
「ぼく、この辺りで女の子の好きな…あれはなんと言ったかねぇ。ほら、その…」
「プリキュア?」
「そう!それそれ!そのハンカチを見なかったかい?」
ギクリとした。
「昨日うっかり落としてしまってねぇ。今日ずっと探しているんだよ…」
今日1日…
暑いのに…
「そ…そんなに大切なハンカチだったの?

「そりゃ、もう!」
俺は…
全てを話した。
「ごめんなさい。明日美保連れてくる。」
おばあちゃんは大変喜んだ。
「拾ってくれたんだねぇ、ぼく。ありがとう…ありがとう…」

次の日。
俺は美保を連れておばあちゃんの待つ家へと向かった。
「っつー訳でさ!返してくれよ、あのハンカチ」
「嫌!私がもらったんだもん!もう私のだもん!」
「お、お前…」
開いた口がふさがらない。
「美保ちゃん、じゃあこうしよう。」
おばあちゃんだった。
「おんなじハンカチをおばあちゃんが美保ちゃんにプレゼントするよ。だからあのハンカチを返してくれないかい?」
「嫌!あのハンカチだから意味があるんだもん!ひかるが…初めてくれたプレゼントなんだもん!」
ウワァと美保は泣き出した…
「プレゼントて…拾ったのあげただけじゃねぇか…」
ハァと俺はため息をつく。
おばあちゃんは席を立ち、しばらくして戻ってきた。
写真を持っている。
「おばあちゃんの孫だよ。ちょうど美保ちゃんとひかる君と同じ一年生だよ。」
可愛い女の子が…
病院のベットに横たわりピースをしていた。
「あのハンカチはねぇ、由香が初めてくれたプレゼントなんだ。おばあちゃんこれ流行ってるんだよ。由香だと思って大切にしてねってね」
そうだったんだ…
ん?
由香だと思って?
「あの…由香ちゃんは…」
「来月大きな手術があってね…気弱になっているんだよ…」
おばあちゃんは涙ぐんだ。
「美保…返してやれよ…」
「…分かった」
「その代わり!」

「由香ちゃんに会いたい」
おばあちゃんは一瞬困った顔をしたが
すぐに笑顔を見せた。
「喜んで!由香も喜ぶよ。次の日曜日なんてどうだい?ご両親には私から話をしておくからね」

そして迎えた日曜日。
美保は短いスカートに手にはマニキュアを塗りたくっていた。
「お前よくそれでかーちゃん外出してくれたな…」
「だぁ〜ってひかるとの初デートなんだもの!」
おばあちゃんは笑っていた。
「今の子は進んでいるねぇ」
バスと電車を乗り継ぎ着いた総合病院。
個室のドアを開けると…
「おばあちゃん!」
由香というその子は写真なんかよりずっと可愛かった。
見とれている俺の足を思い切り踏みつけた美保はツカツカと由香ちゃんに近づく。
「あんた…」
美保はハンカチを取り出し由香ちゃんに差し出した。
「バカじゃないの?お年寄りがプリキュアのハンカチなんて喜ぶ訳ないじゃないの!これはあんたが元気になってから使いなさい!おばあちゃんはね!こんなもんよりもあんたが元気に走り回ってくれた方がよっぽど嬉しいんだよ!こんな優しさ、寂しいだけなんだよ!」
おばあちゃんが泣きそうになったのを見て
「ほらね、図星じゃないの。弱気になんてなってないで絶対元気になってみせるって言ってやりなさいよ!」

帰り道
「美保ちゃん、ありがとうねぇ。あの子、元気をもらったと思うんだ。美保ちゃんとひかる君のおかげだねぇ。ハンカチ落として良かったよ。そうそう、もし無事に退院出来たら…」

数ヶ月後
「え〜本日よりこのクラスのお友達となる村田由香さんだ!みんな、よろしく!」
同じ学校区域だったのだ。
男共が色めき立つ。
「美保ちゃんとひかる君のおかげだよ」
由香ちゃんは笑ってハンカチを見せてくれた。
むらたゆかと刺繍がしてある。
「おばあちゃんがね、おばあちゃんみたいに落としても返ってくるようにって縫ってくれたんだ」
「そりゃ良かった!」
デレっとした俺の腹を美保が思い切りどついた。
「退院はおめでとう。でも!負けないからね!」

しばしの沈黙が流れたあと

「こっちこそ!」


色恋よりダチと遊んでいたいんだけどなぁ

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