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こみや'S創作長編物語集コミュのおばあちゃんの傘への想い

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「由利子。お誕生日プレゼントだよ」

「ありがとうおばあちゃん!」

それはピンクの傘だった。

嬉しかった。

しかし…それは。

おばあちゃんからの最後の誕生日プレゼントとなった…。

高校生になった今でも私はその傘を大切に使っている。

高校生にしては子供っぽい。
そんなの気にせずに使っていた。

雪島輝は幼馴染み。私の傘の由来を知っている。

周りは輝に色目を使っていたが私は昔からの仲な為全く輝を恋愛対象に見なかった。


「好きなやつ出来ねぇの?」

輝は聞く。

「私は高校時代は勉強するものと思ってる。国公立の大学に入るの」

「かっこいいな。俺も乗った。」

「進路くらい自分で決めなよ!」

「大学でやりたいこと探すよ。家金ねぇしな。一緒に勉強しようぜ?」

そんな私達が…付き合っている風に見られない訳がなかった。

ある日。

女子数人に囲まれた。

この日は朝が雨だった。

「あんた雪島独り占めしてんじゃないわよ!付き合ってもない癖に!」

「そんな気ないよ。輝と話したきゃ話しかければいいじゃない」

すると…

女の子の一人が持っているのは…

ピンクの傘だった。

「なぁにこの幼稚な傘!可愛こぶるのもいい加減にしなさいよ!」

「止めて!」

私の顔色は変わる。

女の子が傘を折ろうとしている…!!

あれは…!あれはもう二度ともらえないおばあちゃんからの誕生日プレゼント…!

「止め…」

「…ぇろお!!!」

え。

ボロボロ泣く私の後ろには輝が居た。

女子は皆固まる。

輝は女の子から傘を奪い返すと……

「こんなこと二度とやってみろ!ただじゃおかねぇぞてめぇら!」

女の子達は逃げるように走り去った。

「ほら」

輝が傘を私に渡し微笑む。

「泣くな。ばぁちゃん見てるぞ」

「うん…うん…」

輝の胸を借りて泣いた…


次の日。

昨日の女の子のうちのリーダー格に話しかけられた。

「昨日はやりすぎた。雪島が好きだったんだ。けど昨日の雪島見て諦めがついたよ。意味わかんでしょ?あんたが好きなんだよ。間違いないよ…。」


本当は…うすうす気付いてた。



台風の日だった。

警報ではなかったので私はおばあちゃんの傘をさして家を出た。

「よ!」

「輝…!?」

「今日天気ヤバイから!」


胸が痛いよ…

輝が好きだから?私は…

何で自分の気持ちも探せないのだろう…。



二人で登校中だった。

ものすごい嵐。

すると…

傘が…おばあちゃんの傘が反対にひっくり返った。

「…キャア!」

「…か!貸してみろ!」

輝に傘を渡そうとした瞬間。

傘はものすごい勢いで飛んでいった。

「やっべ!すまん!絶対とってくる!」

輝は傘の後を走る。

「待って!待って!行かないで!行かないで!」

傘は洪水と化した川へと落ちたのだ。

輝はシャツを脱ぎ飛び込もうとする。

「止めて!いいの!おばあちゃんの傘より…輝の命の方が大事だよ!お願い…行かないで…行かないで…!」


私は輝の足を掴み泣いた…。

「大丈夫だ!絶対とっ…」


「おばあちゃんは」

「え」

「あの傘を取ろうとして亡くなったの」


あれは私が四歳の時だった。大きい傘を自慢げにさしておばあちゃんと歩いていた。

そこに…

突風だった。

私は傘を離した。

傘は川へと落ちたのだ…。

「由利子、大丈夫だよ。すぐに取ってきてあげるからね…」

おばあちゃんは川に入り…

思いの外深かった川底に足をとられた。


救急車と共に駆けつけるやじ馬の中私はひとり呆然と岸に打ち上げられた傘を拾った。

私が手を離さなければ…

あれ以来ずっと自分を責めた。


「おばあちゃんが…もういいよって…言ってくれたんだと思うんだ…だから…もういいの…ありがとう…ありがとう輝…私も」

「え」

「輝が好きみたい!」

照れながら呟くわたしを輝は思いきり抱き締めた。

「やったぁぁ!!」

「アハハ!」

雨でビショビショになりながら二人でいつまでも笑っていた…。


私達は真面目に勉強を重ねた。互いに科は違うものの同じ国公立大学に進学。幸せだった。





結婚式二次会。

「えーそれでは花婿より花嫁にサプライズプレゼントがありまぁす!」

え?

「由利子」

ニコリと笑った輝が差し出したのは…

おばあちゃんの傘だった。

「…え…何で…!」


「やっぱり諦められなくて台風止んでから探したんだよ。一回逆さま向いちまったからもう使えないんだけどな…。いつ渡そういつ渡そうって気が付いたら結婚しちまった!」

思いきり輝に抱き付いてキスをした。


おばあちゃん。

私は幸せになりました。

おばあちゃんの傘のおかげだね。

もう使えないけれどいつまでも大切にするよ…ありがとう。

コメント(6)

初めてコメントさせて頂きます。

「泣ける話」の時からコメントをする事もなく物陰からそっと読ませて頂いてましたあせあせ

そして今回もこっちのコミュにそーっと付いて来ました(笑)

一言だけ言わせて下さいダッシュ(走り出す様)

「この話が一番好きーうれしい顔
クマクマさんへ
初めましてほっとした顔この度は私についてきて下さりありがとうございますほっとした顔そして初コメントぴかぴか(新しい)嬉しいですほっとした顔この話が一番好きでしたか?おばあちゃんに思い入れがあるのかな、ありがとうございますほっとした顔
実は密かに私もこの話大好きで1、2を争う作品です(o^∀^o)ぴかぴか(新しい)

ayakaちゃんへ
ふらふらそうだったんだわーい(嬉しい顔)揺れるハートみんなやっぱりおばあちゃんが好きなんだねほっとした顔恋愛とおばあちゃんの愛をひっくるめて描いたこの話、そんな風に思っていてくれた人がいたのが嬉しいよほっとした顔
> こみちゃん

因みにこっちのコミュに無いんだけど、初期作品のコロ(犬)のお話………あれは本当に泣けましたぴかぴか(新しい)

意外にもそれが1、2を争う作品だったりしますウインク⌒☆
ayakaちゃんへ
ああ!題名間違えて消しちゃったやつだねほっとした顔覚えていてくれてありがとうほっとした顔また乗り気になったら書き直すよわーい(嬉しい顔)揺れるハート

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