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創作法廷コミュの判例03号「逆転無罪」

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【事 件】 殺人未遂
【被告人】 A(34歳 女性)
【被害者】 Y(27歳 女性)
【求 刑】 懲役5年
【備 考】 AとYは隣人同士。騒音に関する苦情から、いわゆる「隣人戦争」に発展。Aは日頃からYに、いやがらせ行為を続けていた。

※この判例には特別ルールが設定されています。
↓こちらの書き込み「3」をご覧下さい。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=2937462

コメント(6)

【陪審長】

2005年11月16日午前10時。ただ今より審議を開始します。本日は午後5時に終了となります。それまでに評決に至らなかった場合は明日も審議を行うことになります。

では、まず事件について振り返ってみましょう。…と言っても、いたって単純な事件です。被告人Aが被害者Yを殺そうとした。ただ、それだけのことで。Yが死なずに済んだのは、あくまでも運が良かったからであって。それはAにとってもですが。

どう考えても殺人未遂ですね。まあ、刑期を求刑どおり5年にするか、もっと短くして執行猶予をつけるか、そのへんは話し合う余地があるかもしれませんけど。

さて、どうしましょうか。刑期についての話し合いを進めていきましょうか。それとも、何かご意見があれば、どうぞ、みなさん。
【陪審員1号】

陪審長、Aは果たして、本気でYを「殺そう」と思ったのでしょうか。ここに大きな疑問が生じます。

あの状況で、Aが本当に殺意があったとすれば、Yは絶対に死んでいると思いますよ。
【陪審長】

なるほど、殺意の有無ですか。弁護側もそう主張していましたね。殺意があれば死んでいたと。ただし、検察側は違う見解です。被害者Yが死ななかったのは、あくまでも結果論にすぎないと。果たしてどちらの言うことが正しいのでしょう。殺意がなければ当然、殺人未遂にはなりません。

それを考える前に、殺意とは一体どういうものをいうのか、裁判官からも説明がありましたが、念のため私からももう一度。

明らかに殺してやろうという意志がある場合は、間違いなく殺意です。それ以外にも、「未必の故意」というものもあります。相手が死ぬかもしれないと分かっていながら犯行に及んだのであれば、それは「未必の故意」ということになります。

被告人Aは「死ぬかもしれない」とまったく思わなかったのでしょうか。その点について、みなさんはどう考えますか。
そうですね。

「死ぬかもしれない。まぁ、死んでもいいかな」(犯行を続ける)

「死ぬかもしれないから、やめておこう」

今回の状況から判断するに、明らかに後者だと思えてならないんですよね。
【陪審長】

すみません、今の発言はどなたが…ああ、陪審員1号さんですね。失礼しました、書類を見ていたものですから、どなたが発言されたのか分からなくて…

「死ぬかもしれないから、やめておこう」

法廷で弁護側から質問された際に、被告人Aはそのようなことを証言していますね。それを要約すると、こうなります。

弁護人:相手を殺すつもりはなかった。
被告人:そんなつもりはなかった。
弁護人:死ぬかもしれないとは考えなかったか?
被告人:途中でそう考えた。
弁護人:それで怖くなってやめた。
被告人:そうだったと思う。

この証言から分かることは2つ。1つは被告人Aが「相手が死ぬかもしれないと考えて、犯行を途中でやめた」こと。もう1つはAには「相手が死ぬ可能性を考えることができた」ということです。検察側もその点を追究しています。要約すると、こうです。

検察官:死ぬかもしれないと考えたのは、具体的にいつの時点か。
被告人:正確には覚えていない。
検察官:最初にそう考えたのではないか。
被告人:考えなかった。
検察官:では、何故、最初にその可能性を考えてみなかったのか。
被告人:興奮していたので、そこまで頭が回らなかった。
検察官:犯行に及んでから急に冷静になったということか。
被告人:そうだったと思う。
検察官:では、興奮していた時、どんなことを考えていたのか。
被告人:よく覚えていない。
検察官:よく覚えていなのに、何故、断言できるのか。
     最初の時点で相手が死ぬ可能性をまったく考えてもみなかったと。

検察側は被告人Aの記憶が前後しているのではないかと指摘しています。Aは「相手が死ぬかもしれない」と最初の時点ですでに考えていた。実際に犯行に及んでから怖くなり、その時点で改めてもう一度「相手が死んでしまう」と考え、それ以上やるのをやめた。そういうことなのではないかと。

最初の時点で「死ぬかもしれない」と考えていたのなら、未必の故意ということになります。陪審員1号さん、それに他の陪審員のみなさんも、どうぞご意見を。

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