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陰陽師@二次創作小説コミュの妖怪小話其之百七十二【人柱師・九】

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【人柱師・九】 
冬弥「初!こっちだ!」 

数多の怨念により獣に姿を変えた人柱師から逃げる我々でありました。 

冬弥「船着場まで走れ!そこに俺達の舟がある!」 

ドガァッ! 

冬弥と初が踏みだそうとした土が抉られて、二人の前へ立ちはだかったのは、ぶすぶすと黒煙をあげ、焼けただれた人柱師でありました。 

人柱師「逃がさぬ。逃がさぬぞ。さぁ、早く人柱になれ、小娘!」 

冬弥「初、さがれ!」 

崩れた橋の残骸を手に、人柱師に立ち向かう冬弥でありました。 

人柱師「目障りな小僧だ。我が牙で貴様から川の神の供物にしてやろう」 

がぁっ!と開かれた口の端。 
左の頬には、べろり。と焼けただれた皮膚が垂れ下がり、その下より白い頭蓋骨がのぞき、背筋も凍るような醜悪な様はまさに身の毛もよだつものでありました。 

火男「させるかっ!!」 

ドゴォオッ! 

と、人柱師の右頬に、獅子奮迅の右拳が叩き込まれました。 

冬弥「火男…!」 

火男の姿もまた人柱師の猛攻により満身創痍でありました。 

火男「足を止めるな、冬弥!はやくいけ!…っ!!」 

ガシィッ! 

と、気を逸らせた隙をつき、人柱師の前脚が、火男を地へと叩き伏せたのでありました。 

火男「か…はっ!」 

人柱師「邪魔をするなと言ったはずだ」 

そう告げると、人柱師の鋭い歯の並ぶ口が開き、火男の右肩へ思い切り、食らいついたのでありました。 

火男「ぐっ…!あ、ぁぁあああ〜!!」 

肉を裂き、骨に突き刺さる牙の痛みに苦しみ悶える火男の声が響きます。 

人柱師「目障りだ。まずは貴様から、神の供物にしてやろう」 

火男の肩に歯を食い込ませたままで、中空に持ちた人柱師は、ぶん。と、ひとつ激しく首をふり、火男を凍てつく川へと放り投げたのでありました。 

火男「うぁあっ!!」 

私「火男!!」 

しゅぅぅう。と凄まじい蒸気があがり、ざぶり。と岸へと無我夢中でもがく火男の姿がありました。 
火男は火の神。もとより水とは相性がよくないのでございます。 
裂かれた肉から冷たい水が染み入って、容赦なく体内の熱を奪ってゆくのでありました。

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