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陰陽師@二次創作小説コミュのなんだか甘い話1

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二度目まして、こんにちは
またもや一つお話を載せてもらいにやって参りました。
次は天狗の〜と以前立てたお話トピに書きましたが、違うものになりましたw
いえ、実は天狗の話もあるにはあるのですが、そちらは加筆修正したくなりまして…
それもこれもピク○ブにもあげているものなので、見たことある方もいるかもしれません。
少々長いので、分割して載せさせてもらいたいと貰います。

注意事項
※禍天の歌姫第一部の黄昏&白夜の話です。
※捏造設定有りです(陰陽師とのやり取りとか)
※ツンデレにしたかったのに…


では、暇つぶしにもなれば幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーー

『なんだか甘い話1』



黄昏が楽しそうに女子と話している。
随分と親密そうに、肩が触れ合う程寄り添いながら。
そこに甘い雰囲気を感じないものなどいないだろう。
白夜はその光景を目の端に止め、そしてすぐにそらした。


 私は苛々していたのだ、と気づいたのは陰陽師の屋敷にある長い廊下をせかせかと歩いていた時だった。
 それまであの事件で知り合った陰陽師と、被害を受けた都の復興について何度目かになる打ち合わせをしていた。町並みは元の姿をとりもどしつつあったものの、まだ傷跡は残っている。原因の一端は自身にもあった為、出来うる限りの助力をすることを彼女は誤解を解いてくれた陰陽師と約束していた。
 その打ち合わせで、随分と刺々しい発言をしてしまったのだ。付き従っていた黄昏があからさまに不機嫌になる程に。ただ、彼は私の従者然として結局何も口だしはしてこなかった。それは陰陽師に咎める様子がなかったせいかもしれない。この常よりも酷い物言いに陰陽師は理由を聞かず、苦笑いを浮かべるだけだったのだ。
 この苛々の原因は陰陽師ではないだろう。あの者は何時も笑みを絶やさず物腰も柔らかいし、妖を人と同等に扱うのも気に入っている。今日だって、自身の態度はそれとして、話し合いの内容自体は不満を感じるところはなかった。それなのに、おおよそ八つ当たりのような態度をとってしまったのである。心地の悪さが増すというものだ。

「今日は酷かったですね」

 顔をしかめ思考を巡らしながら歩いていると、後ろから黄昏が咎めるように言った。陰陽師の前では口を挟めなかった分、部屋を出て早速小言を言い始めるつもりなのだろう。自分の顔が更にしかめっ面になるのが判るようだった。

「いうな」
「自覚があるのですか?でしたらもう少し言葉遣いに気をつけなさい」
「うるさい」

 立ち止まり、改めて向き合って拒絶すると、判りやすいほど大きな溜め息をつく。最近は、こいつの不機嫌そうな顔しか見ていない気がする。元々の造作は良い方出ある故に、それは妙にすごみがあるのだ。凛々しい眉にすっと通った鼻筋、なにより黒曜石のような両目は魅了される女が多いことだろう。その顔が最後に自分の前で笑っていたのはいつであったか。

「うるさく感じても結構。私は貴女の為を思っていっているのです」

 その黄昏が、やや呆れたように言い返す。この『貴女の為を思って』が、黄昏が私を諌めるときの常套句であった。しかし、今日はそれが一層白々しく響いて聞こえる。ちらりと脳内に今朝の光景が横切った。笑顔を向ける女に、柔らかく笑む黄昏。暖かいまなざし。近ごろ自身の前では見せることもなかった穏やかな黄昏の姿だ。それを思い出したとたん、じりりと胸が灼けるような痛みを感じた気がしたが、意識的にすぐ頭の隅へ追いやった。今それを認めるわけにはいかないと何故か思ったのだ。かわりに、原因のわからないふつふつとした怒りが湧いてきて、意地の悪いことを突きつけてやりたくなった。

「なにをいうか」

 突然、氷のように冷えきった声に、黄昏が一瞬口ごもったのが見えた。

「私は判っておるのだぞ、お前の思惑など。ずっと前からな」
「どういうことです」

 黄昏が困惑した表情で問い返して来るので、にやりと笑う。

「耳障りの良い言葉を選んでいれば、私が聞き入れると思っているのか。そのような虚実、私が気づいていないとでも思っているのか」
「嘘など私はついておりませんが」

 戸惑ったような声に、更に目を細めて私は笑む。おそらく端から見れば随分と意地の悪そうな笑みであるに違いない。

「いや、嘘よ。お前は嘘をついておる。お前が私を気にかけるのは役目の為だろう?私の目付を命じられているからこそ、もしも私に何かあっては自分の責となる。故に、私に口出し構うのだろう?」

 一息入れて続ける。

「貴女の為を思って?はっ、笑わせる。自身の為であることを、恰も私の為であるかのように言いよって。さすれば私が情けをかけると?」

 卑怯者め、と最後に言い切って同時に胸のすくような感じを味わう。少し胸に抱えた蟠りが軽減された気がした。原因はいずれにしろわかっていないのだが、それでも陰陽師に八つ当たりした時よりかは後悔がない。しかし、ちらりと黄昏の顔を見上げ、私は一瞬息を詰まらせた。
 傷ついたような顔をしていたのだ。あの黄昏が。何時も余裕然としているあの黄昏が。

「あ」
「…白夜」

 驚いて思わず声を漏らした私の名を、黄昏はすぐに何時もと変わらぬ雰囲気に戻って呼んだ。しかし、その裏に先ほどの辛そうな感情が隠れているのではないかと考えてしまい、思わず私は目を逸らした。見たくなかった、そんなものは。いつもならば、この程度の嫌味やなじりなど彼は軽く言い返してくるのに。それなのに今回に限って、なぜあんな顔を。

「寄るな。お前の顔など見たくもないわ」
「白夜」

 再び私の名を呼ぶが、振り切るように私は廊下の先に向き直って先を進もうとした。はっきり言って、動揺していたのだ。今の黄昏と顔を合わせていたくない。辛そうな黄昏にかける言葉など、私には思いつかなかったのだ。いつも彼はのらりくらりとしていて、時々姑のように叱ってきて。そう、泣きそうな顔の彼なんて私は見たことも無かった。しかし、その逃亡は、すぐにその腕を掴まれてしまう。

「離せ」
「離しません」

 手を離そうと力の限り腕を振ってみせるが、がっちりと握られ離れそうにない。こんなに力強いものだったか、この男は。

「離せ!」
「お断りします」

 力強く言い切られ、振り返った両目に常になく真剣な顔の黄昏が映る。真摯な眼差しに思わず怯むが、それに揺らぐ自分をも振り切ろうと更にもがいた。

「えぇい!離せ、離せ!!そして、愛しいものの側にでも行ってやればよかろ!」
「白夜…」

 言うつもりもなかったことまで叫び、勢いに任せて空いている片手を振り上げたのだが、それさえ黄昏に受け止められてしまう。そして、なんとそのままぐいっと手前にひっぱられ、つられてぐらりと上体が傾いだ。

「…暴れないでください。怪我をするでしょう?少し落ち着きなさい」

 思ったよりも低い声が、私の耳元で響く。
包まれるような暖かさを感じて、私はやっと、自分が抱きとめられているのだと気づいた。

「ほら、落ちついて下さい」
「…離せ」
「嫌です」

 またもやきっぱりと断られ、更にぎゅっと抱きしめられる。
 とたん香の匂いが鼻をくすぐる。いつも、すれ違う時に微かに香る程度で気にも留めなかった香りが、今は胸を占めており、否応なく密着していることを自覚させる。この額に当たる、やや早い鼓動を打つ暖かいものが黄昏の胸なのだろうということも。
 本気で暴れれば、開放されたかもしれなかった。しかし、すっかり身動きが取れなくなってしまっていた。どうすれば良いのか、まったくわからなくなっていたのだ。疑問符だけが頭の中を占める。そういえば、抱きしめられるなど初めてのことだ。どうして、こうなっているんだ。混乱のただ中にある私を無視して、黄昏は構わず話し始めた。

「白夜、貴女が何を勘違いしているのかわかりませんが…」
「…勘違い、だと?」

 そうです、と黄昏は噛んで含めるようにゆっくりと続ける。

「貴女を想って…その言葉に一分も嘘はありません」

 いかにも大事そうに、そう告げたのだった。

コメント(4)

うわぁぁ!白夜様だexclamation ×2
シスイさんすごい!
読んでるだけで胸の奥がじりじりします(≧∀≦)


私はどうしてもこういうツンの強めなツンデレが書けないんですよ。

まさかの『白夜が書けない』という理由で禍天イベ小話断念したくらい苦手なんですよ。
そうか。こう書けばいいのか…!
このツンデレ具合がたまりませんね。
勉強になりました。
ありがとうございますハート達(複数ハート)
>チャックさん

コメントありがとうございます♪
白夜と黄昏の話はいつか書いてみたいと思っていたので形に出来て良かったです〜

白夜はツンデレですよね!そしてツンデレ難しいです…
私が書くと、逆にまったくデレないツンデレ(それはツンデレだろうか…?)
になりがちですので、相手が強気に出てくれないと先に進まなくなったり…厄介です。
なので、黄昏が主に苦労する感じに… ただし、それさえも彼は楽しみそうですがw

何はともあれ、楽しんで頂けたようでなによりです〜
続き→ なんだか甘い話2

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=67648948&comm_id=5786901

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