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陰陽師@二次創作小説コミュの【天狗・三十二】

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【精霊風】(ショウロウカゼ)
災厄をもたらす風を起こす妖怪。
その風を浴びると、病にかかり、倒れてしまう。



【天狗三十二】
柴天狗を封じ、第四の神器を取り戻した我々は対にそびえ立つ西塔を目指し、討伐を進めていくところでありました。

赤目「ご主人が解放した死霊風だけど、あの陰陽師達をちゃんとふもとまでもどしたかな」

私「大丈夫ですよ。捕らえてみればなんと肝の小さい奴であったことか。
もし命令に背けば依闇神を向かわせて取り憑かせますと念を押しておきましたからね」

天空「まったく。野に帰さずに捕らえたままにしておけば良かったものを。
おい、その柴天狗は勝手に解放するんじゃないぞ陰陽師」

私「ええ。そのつもりです。まったくこの柴天狗と錫杖には苦戦いたしました」

シャンと音の鳴る錫杖を取り出せば、式神達も思わず表情が険しくなります。

火男「…さわっても大丈夫なのか?」

私「ええ。中に入っていた妖気はすべて抜き取りましたから。
そのかわり光、闇、幻と無双依神が三種もできてしまいましたよ。それより薬師殿、本当に大丈夫ですか」

薬師「ええ…なんとか。死霊に取り憑かれている間は子を想う母親の思念が余りに強く、なんだか記憶が渦を巻いているようでありました」

そう応え、また額に手を当てる薬師の様子はまだ疲労をかなり残しているようでありました。
次の天狗がいるであろう西塔はもう目の前にあるのに、この様子ではどうなることかと顔を上げると、道の先に一人の少女がたたずんでおりました。

私「あれは…まさか精霊風!?」

精霊風「あら、旅の陰陽師様方。随分とお疲れのご様子ですね。
どうぞこちらへ。私の風で癒やしてさしあげましょう」

にっこりと微笑む可憐な姿はまるで天女のようでありました。
しかし、私の足はぴたりとそこで止まります。

赤目「どうしたご主人」

私「まずい…。まずいですよ。ここで精霊風にでくわすなんて。
薬師殿の目的が達成されてしまうではないですか!」
ここまで精霊風に出くわさなかったことも幸いといえば幸いですが、この状況下で薬師を失うのは危険だと薬師のほうを見てみると、既に薬師の姿はなく、精霊風の前に跪いておりました。

薬師「疲れているなどと、とんでもない。貴女の愛らしいお姿を見るだけでもう身体を蝕む邪気などは風のように飛び去ってしまいましたよ。
あぁ、年の頃は十六、七。清楚で穏やか。その姿と鈴を転がすようなお声はまさに天女のごとし。そのうえ癒しの風まで操るとは。
まさに理想の女性。遥々ここまで歩んできたかいがありました」

精霊風「あら嫌だ、天女だなんて…。邪気は祓えてもお疲れはまだまだお残りでしょう薬師様。どうぞ私の風をお受けになって」

そう、袖で照れたように口元を隠す様などはまたさらに可愛らしい精霊風でありました。

赤目「危ない、ご主人!」

と、足元で赤目が叫んだかと思えば精霊風からこちらの辺りまで一陣の風が吹き抜けました。

私「な、いま…のは!?」

突然に身体を激しい悪寒が襲い、その場にたっていられなくなりました。
がくりとその場に伏せれば身体の筋という筋がキリキリと痛み、喉は枯れ、鼻は激しい乾燥感に包まれます。
隣には天空と火男も地へと倒れておりました。皆酷い高熱を発しているようでありました。

精霊風「…あら?さすがは薬師様。あの至近距離でよくぞ私の風を防がれましたね」

精霊風の前に立つ薬師はあの一瞬で目、鼻、口を蝋を塗った布で押さえ、病の風を防いでいたようでありました。

薬師「…貴女は…」

精霊風「ふふ。薬師様。いかがでしょう、私の風は」

そう微笑む精霊風の頭上から聞き覚えのある声が響きます。

姫「さすがだね精霊風」

精霊風「あら、姫様。でもまだもう少し残ってしまっているのよ」

姫「十分だよ。あんまり精霊風の力ばっかり借りてたら柴天狗みたいで癪に障るからね。
それにこの薬師はあたし直々に潰したいと思っていたのさ。お役目ありがとう精霊風」

精霊風「そう。じゃぁお言葉に甘えてここまでにするわ」

姫天狗の声にふわりと枝の上に移った精霊風。
その隣に飛び降りたのは銀の髪に真紅の瞳をした姫天狗でありました。

姫天狗「ここまでこれたんだ。褒めてあげるよ陰陽師。
でも、神器は渡さない。あんた達が持つ神器はこの姫天狗が全て奪い返してやるからね」

薬師「姫…天狗?貴女が」

姫「この姿になるのは久しぶりだね。これが真のあたしの姿だよ。
さぁて、しぶとい薬師はどうやっていたぶってやろうかねぇ」

にぃっと笑う姫天狗に私はまた一段と寒気を感じたのでありました。

コメント(1)

【天狗・三十三】
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