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もっと日本語を知りたいコミュの夏目漱石の日本語

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夏目漱石の小説、評論などから、気になる日本語を抜書きしていきます。

コメント(5)

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。

住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。


(『草枕』冒頭より)
前を見ては、後(しり)えを見ては、物欲しと、あこがるるかなわれ。
腹からの、笑といえど、苦しみの、そこにあるべし。
うつくしき、極みの歌に、悲しさの、極みの想(おもい)、籠るとぞ知れ


シェレーの雲雀の詩

(『草枕』新潮文庫、9頁)
茫々たる薄墨色の世界を、幾条の銀箭(ぎんせん)が斜めに走るなかを、ひたぶるに濡れて行くわれを、われならぬ人の姿と思えば、詩にもなる、句にも咏まれる。有体(ありてい)なる己れを尽して純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と美しき調和を保つ。

(『草枕』16頁)


雨を銀箭と表現するのは、銀色の矢のようだから。
景色を美しく描くことで自分を客観的に見た漱石の表現は、普段の生活の悩みから距離を置いて考えたいときに有効な手段となる。
枝繁き山桜の葉も花も、深い空から落ちたままなる雨の塊まりを、しっぽりと宿していたが、この時わたる風に足をすくわれて、居たたまれずに、仮りの住居(すまい)を、さらさらと転げ落ちる。

(『草枕』24頁)
鏡に対うときのみ、わが頭の白きを喞つものは幸の部に属する人である。指を折って始めて、五年の流光に、転輪の疾き趣を解し得たる婆さんは、人間としては寧ろ仙に近づける方だろう。(『草枕』26頁)

対う(むかう)
喞つ(かこつ)・・・不平を言う。この場合は、白髪になったことを嘆く。
幸(さいわい)
流光(りゅうこう)・・・月日の流れ。
転輪(てんりん)・・・月日の経過
疾き(とき)・・・速い

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