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Yua's factoryコミュのFinal Destiny4-6

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「私に手を貸せと」
「御意」

サスケは頭(こうべ)を垂れ、恭しく膝を付き答える。

「理(ことわり)は決まっている。世の中はなるようにしかなりません」
「…」

すぅっ――――と、透明度の高い男の声がサスケの耳に通る。

「森羅万象。この世に定められた形態(かたち)を人がどうこうしようなど無知蒙昧、傲岸不遜だと思いませんか?」
「…しかし」
「この世の終わりが来るというのであれば、それはそれまでのこと。そうではありませんか?」
「…」

諭すように男は言う。
いつものサスケであればここで退くところである。しかし、今回はシェリルの依頼ということもあるが、何より人界の危機である。
そうなれば主であるティグリスも死ぬことになる。自らが死ぬことは別段怖れてはいないが、主が死ぬとなると別である。

「五右衛門さんもいらっしゃいましたけどね」
「五右衛門殿が?」
「ええ。何やら大慌てで名のある者の手助けを懇願してるとか」
「五右衛門殿……」
「敵はそこまで巨大なのですか?」
「御意」

男は懐から扇子を取り出し扇ぐ。涼やかな風がサスケにも届く。

「私の得意とする“口寄せ”、“転生”は諸刃の剱(もろはのつるぎ)……それを御承知で?」
「……御意」
「混沌の世界となってもいいのでしょうか」
「…御意」
「今以上に危険なことになりかねませんが?」
「……拙者が、命を賭しても」
「それほどですか…」

男は扇子をパタンと閉じる。

「場所は?」
「遥か西の大陸、レキアス国」
「確かに……禍々しき大気の流れがありますね」
「御意」
「……いいでしょう」

男は音も無く立ち上がる。

「これより祈祷に入ります」
「では――――」
「ええ、この安倍晴明。全身全霊を持って力を貸しましょう」

晴明は袴(はかま)を靡かせ(なびかせ)、祈祷所へ颯爽と歩いて行った。



※※※※※※※※※※※



『くくく……』

防戦一方の筈のドニスは嗤い(わらい)を溢した。

「こぉのっ!何笑ってやがんだよ!」

ニコルはドニスの腹に槍の柄を突き立てる。が、嗤いは一向に止まない。

「ニコル!攻撃の手を止めないで!」

シェリルが言うと同時にドニスの身体がまたも変化する。
背から大きな角が生え、ず太い尾が伸びる。
腕や脚には貝のような硬質の殻が纏われ、頭が全体的に伸びる。
眼はより吊り上がり邪悪な貌(かお)になっていく。

「ニコル!離脱!」
「お、おう!」

同時に脱出を謀ろう(はかろう)とするも、ニコルは足首を掴まれた。

「ニコル!」
「やっべ――――」
『これが……これが戦闘の“愉しみ”か!悪くない…悪くないぞぉおおおおお!』

ドニスは足首を掴んだ手に力を込める。
ぐしゃり――――と、嫌な音がした。
ニコルの左足首から先が……ぼとりと地面に落ちる。

「ぐっあああああああっ!」
「ニコルー!」
『もっとだ!もっと余を愉しませよ!』

落ちるニコルをシェリルが抱きとめると、その二人もろともドニスは蹴り飛ばす。

「ぐぅっ!」

地面に強く叩きつけられ、その上から直径10メートルはある火球が飛んできた。

「はぁああっ!」

シェリルが火球を一刀両断すると、割れた先からドニスが間近まで迫っていた。
ドニスは片手でシェリルの顔面を掴むと、空いた手で腹を思い切り殴る、殴る、殴る。

「ぐはっ!がっ!」
「シェリル……っ!」

ニコルの槍の一閃――――も、ドニスは片足で止める。

『くくく、どうした?このままでは未来の花嫁が死ぬるぞ?』
「てめえ……っ!」
『勇者とはいえ所詮は人か。否、人としては良くやったと言うべきか。褒めてつかわす』
「偉っそうに……上からもの言ってんじゃねぇえ!」

片足で立ち上がるとニコルは槍を地面に刺し、闘気を込める。

「シェリル!雷を槍へ!」
「ぐ……!」

シェリルは顔を掴まれたままにニコルの声のする方へ手を伸ばす。

「…く、サンダ!」

微力ながらも雷が槍へ落ちる。

「っしゃあああっ!烈風風雷陣!」

電気を帯びた風がドニスを襲う。

『馬鹿め』

手を引き寄せ、ドニスはそのままシェリルを盾にする。
シェリルの背中へ電気を帯びた風が直撃した。

「あっ…ああああああっ!」
「し、シェリルーー!」

風によりズタズタに鎧や服、皮膚をも引き裂かれ、電流は身体を這い回り、シェリルは至るところから血を噴出させて痙攣する。
それはやがて止み、シェリルの身体はぐにゃりと力を無くした。

『ん?死んだか?』
「シェリル!シェリルーー!」

ドニスはゴミのようにシェリルを放り投げる。ニコルの前でどさりと音を立ててシェリルは転がる。

「お、おい…シェリル?起きろよ、シェリル!」

シェリルを抱き抱えてぴしゃりぴしゃりと頬を軽く打つ。
瞳は閉じている。鼻や口からは血が流れている。

『ふむ、一番愉しめる奴から消えたか…』
「う、うっせぇ!シェリルが死んでたまるか!死んでなんかいねぇぞ!おら、シェリル!起きろ!おっぱい揉むぞコラ!」

ガクガクと揺さぶられるも、シェリルに反応は無い。ニコルはシェリルの首筋に指を当てる。脈は――――

『死んでおろう?』
「うるせえ…うるせえ!」
『貴様が殺したのだ』
「なんだと!?」
『シェリルは“貴様の技で死んだ”のだ』

ニコルはここで、初めて力が抜けた。腕の中で眠るシェリルの体温が徐々に失われていく。

『なんだ?自覚が無いのか?“殺した”んだよ。貴様の手で、己が愛する女を手に掛けたのだ…くくく、魔物以下だな、貴様は』
「だ、黙れ…!お前が、お前がシェリルを盾にしなければ――――」
『それを責任転嫁というのだ』
「なにっ!?」
『余を悪者にしても貴様の技でシェリルが死んだという事実は変わらぬ。余を悪者にして己を正当化させているだけであろう?』

ドニスの言葉はニコルにとってのとどめになった。

「う、うう…シェリル…ごめんっ!シェリル……っ」
『興も冷めた。一思いに死ね』

ドニスは手を高く上げ、気を練り上げる。


「――――このヤロウ」


声はドニスの懐から聞こえた。
ドニスは気配を感じることなく、それを近付かせていた。

「お前マジで死ね」

ドスッとドニスの腹を拳が突き破る。

『ぐあああああっ!!』

腹を突き破った主はソニアであった。
装備を新たにしている。
そして、シェリルが討たれたことで文字通り“ぶちキレ”た。
ソニアの細腕が一回り大きくなり、筋肉が隆々としている。

『そ、ソニアかぁっ!』
「気安く呼ぶなよゴミ野郎。5回は殺すかんなてめー」

言葉使いが乱暴になっている。
そしてソニアは闘気を全解放した。
貫いた腕からも闘気が溢れ、ドニスの内側からもダメージを与える。

『ぎゃあああああっ!』
「ニコルだっけ?あんたがそんなんでどうすんの?」
「…でも、俺が」
「あんた何惑わされてんの?そもそもコイツが居なきゃシェリル様はそうならなかったんだろがぁああ!!」

言いながらドニスの腹から腕を抜き取り、強烈な蹴りを側頭部に放つ。

『ぐっはぁ!?』

地面に叩きつけられ、巨躯となったドニスは数十メートルは地面を跳ねて吹き飛ぶ。

「…お前は」
「ソニア。西の国、ラーマの勇者」
「ラーマの勇者か…」
「……シェリル様の“追っかけ”は私の方が先だから」
「へ?」
「…ふんっ。それよりあんた、片足無くなったくらいで戦えないの?それで勇者名乗るわけ?」
「違う、俺は……」
「俺はーとか俺がーとか、いちいち男らしくないわね。そんなウジウジしてるなら足と一緒にちんこも取ってもらえば?ちょっとはスッキリするんじゃない?」
「ち、ちん!?」
「どうせ汚らわしいもんでしょ。そんなことよりシェリル様がさっき私に言った言葉をヘタレたあんたに送るわ」
「な、何を」
「勇者ってのはね――――」

トンッと地面を蹴り、ソニアはドニスへ視線を向ける。

「諦めたら駄目なのよ!」
『グォオオオオオオオ!』

巨大な力に巨大な力をぶつける。
ソニアの小さな拳とドニスの大きな拳がぶつかる。
――――負けていない。

「おおおおおおおおおっ!」
『ガァアアアアアアアッ!』

打ち勝つはソニア。
体ごと弾かれたドニスの顎を蹴り上げる。
更に後方へ弾け飛ぶ。顔面に岩をも砕き、鉄をもひしゃげる拳を何度も何度も叩き込む。

「ぁあああっ!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」
『ぐぶっ!ばっ!ぶはっ!』

ニコルはその様を見て、シェリルの酷い(むごい)姿を見やる。

「……シェリル…ごめんな」

シェリルは何も答えない。

「お前がさ、魔王城で俺の仇取ってくれたって知った時は嬉しかったよ」

シェリルの体温はまだ温かい。

「今度は、俺の番だよな」

すっと、シェリルを寝かせると、鼻や口から流れる血を指で拭ってやる。

「仇を取る。そして、お前が好きなこの世界を救う!」

片足で立ち上がるとニコルは全身に力を込め、ドニスへ向かった。

「俺は勇者ニコル!退かぬ媚びぬ省みぬ!」
「どっかで聞いたな、それ!」

ソニアは笑ってドニスを殴り続ける。

「俺の名言!」
「パクリでしょ!?」
「さぁ――――ねっ!」

二人の拳はドニスの顔面へ同時にめり込んだ。







Final Destiny 4-7 http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=5718354&id=76677215

コメント(5)

何と言うか、歴史上の著名人勢揃いだな。まさか安倍晴明まで出るとは……((((;゚Д゚)))))))

よし!俺も諦めないぞ〜!この戦いが終わったらゆあとデートす……y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
聞いて驚け
あのフリーザ様も変身型の宇宙人だっ

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