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TRPG シナリオ公開コミュの【V;tM】シナリオ公開

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このトピックでは、「ヴァンパイア ザ マスカレード」に対応したシナリオを公開してください。

コメント(4)

V:tM

PCは、ヴェントルー、トレアドール、トレメールのいずれかの氏族の第11世代。


夕暮れのプラハの石畳を、一台のタクシーが走っていく。
サングラスに少し古めかしいスーツといった身なりの紳士(または淑女)が、無言で窓の外を眺めている。


PCは、呼び出しを受けた。
プラハの町の片隅で私立探偵を名乗る「クドウ」という日系の人間からである。

PCたちは人間の探偵を使ったことがある。
昼間に動けない運命のわが身に代わり、血を提供してくれる獲物の調査や、友とは呼べない同僚のヴァンパイアたちの様子を影から見守るために、探偵という人種は往々にして便利である。

何より、金で情報を探り出すことを生業としているため、情報収集の方法に卒がなく、しかも支払いさえきっちりすればこちらの素性を(必要以上に)詮索することはあまりない。もっとも、詮索好きの探偵も居るが、そういう探偵はどのみち長く商売はできないのだ。。。。。人生そのものも、だが。


クドウは、PCを個別に呼び出している。
「やっかいなことになりましてね・・・・いえ、ちょっと事務所までご足労いただけないでしょうかね?ああ、つまり以前に受けた依頼に関することで、ちょいとばかりオモテザタになる危険ができた、とでもいいますか・・・・」

ヴァンパイアにとって、少なくとも、プラハのカマリリャにとって、「オモテザタ」は好ましい事態ではない。
ともあれ、PCはクドウの事務所に向かうことになる。


■ クドウの事務所
「連続殺人なんですよ」
PCたちがここ半年の間にクドウに依頼した人物が二人連続で殺されている。

一人はユダヤ人の古物商:フランツ・ヴェルトハイマー

もう一人は、銀行の支店長:ミクラーシュ・ムンツェル

銀行の支店長のほうは警察ではまだ行方不明扱いになっており、古物商も「交通事故」の線と他殺の線の両方で捜査されている。

厄介なことに、二人を調べていたことは警察が調べるとすぐにわかるので、捜査線上にクドウが浮かんでくるのは時間の問題。

「いや、別にアナタが犯罪にかかわっている、といってるわけじゃないんですがね。近々、警察からお呼びがかかるかもしれませんよ、ということで。ええ、つまりあなたを含む何人かが、って意味ですが。それを皆さんにお知らせしてるんです。もちろん、ほかの方の名前はいえませんが。」

・クドウは、自分が情報を持っていることで自分が消されることを恐れ、情報を公開している、ということ。この時点でクドウを消しても、犯人を含む何名かがすでにクドウの情報を握っているのでクドウを消すのは無駄ですよ、という犯人へのアピールとともに、積極的には警察に出ないので、そちらで処理ができるなら処理してくれ、という意思表示でもある。
・依頼人同士が共犯である可能性はほぼないと見ている(重複して依頼する意味がないから。ダミーの線も薄い)。

フランツは夜、取引先から帰る最中にひき逃げにあっている。ひき逃げした犯人は捕まっていない。
ミクラーシュは、銀行から帰る最中に行方不明になっているが、クドウはミクラーシュの自宅近くで、かすかな血痕とミクラーシュの万年筆を見つけており、拉致されたとにらんでいる。誘拐犯からの声明がないため、殺されたと推測している。


■ PCの選択
フランツは、古物商のほかに古美術の保険の調査員でもある。
フランツはそれとは知らないが、ヴァンパイアの顧客も何名かいて、PCは古物を買うにあたり、「敵対するヴァンパイア」が顧客に含まれて居ないかを調査した。

ミクラーシュは、外資系の銀行の支店長。血と金の両方を得るための行員または融資先企業の従業員を従僕や奴隷とするための身辺調査の一環で調べてた。

このあたりの調査はそれほど特殊ではない。

PCの選択肢としては以下のものがある。

・親や氏族の上層部に現状を報告する。
→ 漠然とした事実のみを伝えると自分が消されるというリスクもある(切捨て)。

・クドウを殺す/クドウに訓えを使う
→ PCが何かをする前に、クドウは事務所の応接室の隅を指差す。監視カメラがあり、赤いLEDが点灯している。
→ 自分の消息が不明になったり、クドウが知っている方法である場所に定時に連絡がない場合は、ほかの依頼者と警察に情報が渡ることになっている。
→ クドウは便利に使っているため、できれば無傷で残しておきたい存在である。


・ほかの依頼者を探す

・放置する


■ 情報
寝床に戻り、クドウからの報告書を読み返す(思い出す)と、ミクラーシュが、毎月初めの金曜日に会員制のクラブに通っていたことがわかる。

クラブの名は「セドゥム・オタースカ(7つの質問:チェコ語)」。

情報の枝:
クラブの従業員(男:25):ラドヴァン
実直で気の弱そうなバーテンダー。内部の事情には一通り通じているが、マフィアの詳細などは知らない。

客(男:48):バウロスクフ
クラブの常連。証券会社の重役。女好き。

シンガー(女:22):セシリナ
1年ほど前からクラブで歌っている。ブロンド美人。
16歳の妹(または弟):モニカ(またはオスカー)がいて、高校に通わせている。

ピアニスト(女:23):ニナ
セシリナの半年ほど前からクラブで演奏している。ソロでもよく演奏するが、セシリナの伴奏をしている。セシリナほどではないがブルネットのそこそこの美形。

チェリスト(男:24):ミブロスキー
ほかのクラブやパブでも弾いている。ニナやセシリナの代理や、チェロの伴奏が必要な演目の時に、週に1度程度出演する。


情報:
・ミクラーシュは、ここでドイツ、フランスからロシア、北朝鮮に流れるマフィアがらみのマネーロンダリングの密談を行っていた。マフィアからの指示を受け、状況を報告するための定例の打ち合わせがこのクラブで行われている。

・クラブは国内銀行OBの名義になっているが、バックにはマフィアが居る。

・フランツも以前はこのクラブに出入りしていたが、国内の顧客が安定したため、マフィアとの接触を嫌って近づいていない。ただ、クラブの会員からの顧客も複数居る。



■ 父
行き詰るか助力を求めるなら父が居る。

・ヴェントルー
困ったことになった。まずはほかの氏族の仕業か人間の仕業か。それで対処が違ってくる。いずれにしてもお前の無実は氏族に対しても人間社会に対しても証明せねばならん。


・トレアドール
ああ、なんてことだろう。悲劇だな。しかし、喜劇でもある。わかっているのはこのことは早急に片付けねばならんということだ。よろしい、私なりに調べてみよう。いとしいわが子のためだからね。


・トレメール
わが息子(娘)よ。お前がやったかどうかはどちらでもいいことだ。問題は、どうやって「ほかの誰かがやった」ことを立証するか、ということだ。

いずれも、つてを使って、クラブの会員にしてくれる。
この時点で、最近になって続けて会員が・・・という話が聞ける(店で)


■ 情報をたどる
クラブに出入りするマフィアは西世界と東世界のはざまでさまざまなビジネスを行っている。クラブを使っているのは、その中のヤロレキニフという男の一団で、西側からのマネー、東からの麻薬の仲買をしている。

ヤロレキニフには、クリンツマン・ホルガーという貿易商の代理人、と名乗る男が顧客に居る。
クリンツマンは、ドイツで犯罪がばれそうになっている。そのため、プラハでの証拠を早く消したい。
クリンツマンは、プラハで証拠隠滅を図るために、マネーロンダリングを行ったミクラーシュを消した。

フランツは、ミクラーシュを紹介した知人で、ここから足がつくことを恐れた。


クリンツマンは手下の数名を引き連れてきている。


▼ ツィミーシィの従僕
ヤロレキニフの交渉相手にはツィミーシィの従僕で、やはりマネーロンダリングなどを行っている弁護士のロクトフスキーがいる。
クラブの客でヤロレキニフの仕事にかかわっているものは、ミクラーシュの失踪を知っている。

PCがクラブの会員になったことでPCの後を付けさせる。
後をつけるのはロフトフスキーに雇われたチンピラで、詳しいことは知らないが、どこに帰るか、どんな様子かだけを探るようにいわれている。

このタイミングでクラブ会員になったPCたちの報告を受けて、ヴァンパイアであることに疑いを持ったツィミーシィの エルンスト・ムハ は、PCを調査してくる。
ロクトフスキーもクドウから呼び出された一人である。


■ 各キャラの動向

▼ ヤロレキニフ
ミクラーシュの失踪は、足を洗うためと消されたの両面で疑っている。消されたとすれば大して問題ではない。失踪していた場合はなんとしても捕まえて、消してしまうことを考えている。
PCに対しては、事件との関連性は疑っていないが、もし自分に接触してくれば、なんらかの疑いは持つ(仕事の依頼ならそれほど疑わない)。

・手下多数


▼ クリンツマン・ホルガー
ドイツからの追っ手を恐れている。また、国際警察に追われている可能性もあるので、外国人であれば一様に警戒する。
クリンツマンはプラハでの証拠隠滅にしばらく滞在している。実はセシリナと半年ほど前に関係していたことがあり、セシリナの様子を探っている。クリンツマンの正体を半ば知っているためである。
セシリナがほかの人間にクリンツマンのことをしゃべっていないか、誰に話したかを特定したいと思っているが、1週間くらいでわからなければセシリナを殺して高飛びする予定である。

・手下A:ヴィルヘルム・ブッフバルト

・手下B:ハンス・ヴント


▼ ロクトフスキー
エルンストのために動く従者。しかし、先走り、PCを攻撃することはいとわない。
ヴァンパイアの存在を知っている。

・手下:用心棒

・秘書:アンゼリカ(女:26)
ロクトフスキーの表の顔の秘書。ロクトフスキーが悪事にかかわっていることは知らないが、ときどきあまりよくない連中と話しているのは知っている。


▼ エルンスト・ムハ
カマリリャに対しての敵対心があり、クラブに近寄るカマリリャの氏族は許せない。しかし、ロクトフスキーの活動を阻害されるのは好ましくないので、PCをクラブから遠ざけられれば、当面はそれでよい。
本件については、ことを構えるより騒ぎを起こした大もとを絶って、「平穏」を取り戻したい。


■ シチュエーション

▼ ロクトフスキー
PCが「主人」に敵対する者、と認識した場合、PCを消そう試みる。
手下を使ってPCをおびき出すか呼び出し、強襲する。PCの知人を人質にしたり、「重要な情報を教えてやる」などという。

郊外の川沿いにある桟橋にモーターボートが留めてあり、そこにおびき出して船を出し、手下を使って川の上で始末しようとする。自分は出て行かない。


▼ クリンツマン
セシリナとPCが親しくなった場合、PCを消すかどこまで知っているかを問いただそうとする。
セシリナとPCが一緒のところを手下と襲い、古い石造りの工場跡に連れてくる。19世紀に鉄工所として使われていた場所で、クリンツマンの知り合いの工芸家がアトリエとして使っているが、クリンツマンが一時的に借りた。
クレーン、チェーン、炉などがある。炉には火が入っており、この炉やクレーンでPCとセシリナを脅かして、可能であればここで始末してしまうつもり。
炉の火はヴァンパイアに対して恐怖を与える。


▼ 父
ロクトフスキーを倒したとき、または、ロクトフスキーに襲われたあと。アンゼリカを殺すように命じる。消してしまわないと何を知っているかわからない。


▼ ヤロレキニフ
クラブの従業員、顧客に危害や不愉快を与えた場合。用心棒を連れて店内でPCのもとにやってきて、PCをつまみ出そうとする。用心棒は素手だが、かなわない場合は警棒を持ち出す。


▼ エルンスト
PCがロクトフスキーと自分を探り始めた場合。1回目は警告として店や街中で接触してくる。何が狙いなのか、自分のことをわかっててやってるのか。
2回目は、グールが襲ってくる。
ただし、ロクトフスキーが単独で襲撃を行った場合でかつエルンストを知っている場合は「こっちも手ごまを失ったのでここで終わりにしないか?」と提案。ロクトフスキーの代わりは居るが、クラブでの経済活動自体は手放せない事情がある(少なくとも当面は)。クリンツマンの処理を買って出てもいい。

データ:
人間(非戦闘)


手下(腕の立つ人間)
【能力】
筋力 3
敏捷 2
体力 3
魅力 2
交渉 3
容姿 2
知覚 3
知性 3
機知 3

【技能】
運動 2
回避 3
格闘 3
警戒 3
運転 3
隠密 3
近接武器 3
銃器 3
調査 4

<人間性> 8
<意志力> 7

拳銃 dam5:range30:rate3:mag7+1:hide J
ナイフ dam4:hide N
警棒 dam5:hide N(打撃)


グール(エルンストのグール)
【能力】
筋力 4
敏捷 4
体力 4
魅力 2
交渉 2
容姿 3
知覚 4
知性 2
機知 3

【技能】
運動 2
回避 3
格闘 4
警戒 3
運転 2
隠密 3
近接武器 3
銃器 4
調査 2

<人間性> 5
<意志力> 5

拳銃 dam5:range30:rate3:mag7+1:hide J
ナイフ dam4:hide N
警棒 dam5:hide N(打撃)



エルンスト
【能力】
筋力 3
敏捷 2
体力 3
魅力 2
交渉 3
容姿 2
知覚 3
知性 3
機知 3

【技能】
運動 2
回避 3
格闘 3
警戒 3
運転 3
隠密 3
近接武器 3
銃器 3
調査 4

<人間性> 9
<意志力> 7

拳銃
ナイフ
警棒
V:tM
第10世代
資産3レベルまで
コネ+1
名声/地位1レベルまで

PCは、ヴェントルーとブルハー(またはトレアドール以外のカマリリャ)から。
ヴェントルーは1名が望ましい。PCは同胞としてゆるい協調関係を持っている。

コネ、影響力をしっかり設定しておくこと。
このシナリオを使った際に設定されていたコネと影響力は下記。

影響力:
社民党(CSSD)の市議会議員:市長派
市民民主党(ODS)の市議会議員:反市長派
※ 市の南に建設が検討されている養護施設を巡って、市長派と反市長派の意見が対立している。与党(市長派)は福祉の予算を使って国からの補助金を引き出したいが、野党は予定地の地主と住民の票を取りたい(地主が民主党支持者)。この市政の設定はシナリオには直接関係しない。PCの影響力同士をうまく使いすぎる場合は、反対側が妨害に出る、という伏線のために対立する影響力を設定した。

協力者
国立劇場の支配人:
イタリア資本のホテルチェーンの支配人:

コネ
カレル橋の芸人:手品師の老人(人外の存在であることはうすうす感づいている)
探偵:プラハで私立探偵をしている日系人(34)。独身。ベスパ乗り。
「ブレスコー」というギャングファミリーの幹部。

また、「器」の属性として、文化人の社交サロンと投資家サークル(?)を設定した。どちらも週に何度か集まってメンバーが情報交換などを行なう場となっている、とした。


■ 概要
プラハのトレアドールがエリュシオンで継嗣の許可を求めたが、PCの父であるヴェントルーの参議が血族が飽和した狩場の現状を理由に反対を唱え、公子はトレアドールの継嗣を許可しなかった。
後日、トレアドールからヴェントルーに、版図を広げるためにプラハ西側のサバトを駆逐することへの協力体制の提案がなされる。
しかし、ヴェントルーの参議は、公子の許可なくサバトとの衝突を起こすことは好ましくないと、これを拒否する。
その会見の夜、ヴェントルーの参議の寝床が放火される。その場に居合わせたPCは、ケイティフの少年が何者かに追われているところに遭遇する。
ヴェントルーの参議は辛くもその場を逃れるが、深い傷を負い、姿を隠す。
残されたPCは、ヴェントルーの血族の体面と、父と自らの血族内での地位を守るために犯人を捜す。
PCたちは、ケイティフの少年、少年を襲った血族、放火犯、放火犯を指示した人物、そしてトレアドールとこの事件との関連を追う。



■ 背景
プラハの公式設定を確認していないので、オリジナル設定を使用。
199X年と想定しており、ギャンレルはまだカマリリャに属している。
経済破綻等で、プラハの経済界は動乱の時代を迎え、百塔の都の裏通りには、失業者とストリートチルドレンが溢れている。

主なNPCは以下

ディアーナ(女):8世代トレアドールの公子
レオシュ・チャペック(男):ヴェントルーの参議。PCの父。9世代。
カレル・カフカ(男):ヴェントルーの長老の一人。レオシュとは対立している。9世代。
ハナ・ムリターシ(女):トレアドールの参議。9世代。
ノルベルト・ヤノヴィッツ(男):ハナの継嗣。10世代。今シナリオでの「犯人」。
ヤン・レンドル(女):トレアドールの幼童。11世代。今シナリオでの「実行犯」。
グスタフ(男):(ラソンブラによる)ケイティフの少年。13世代。今シナリオでの「目撃者」。
エドムンド・フューリヒ(男):ブルハーの参議。ブルハーPCの父。PCが他の血族を選んだ場合はその血族の参議とする。
セオドア・ドライサー(女):アサマイトの刺客。ノルベルトに雇われて事件を捜査するPCに差し向けられる。PCの戦闘能力が低い場合は登場しなくてもよい(原則として依頼者を吐かないので彼女からは情報は得られない)。


■ 導入
・ヴェントルーの集会場
『血族の集会場となっているプラハ市内の高級クラブ「紫の宮廷」。フロアには人間たちがくつろいでおり、それを見下ろす吹き抜けの二階にあるボックス席に気だるげに、数人の血族がいる。
PCは長老で、公子の参議である父の脇に立ち、サイドテーブルに置かれたワインのデキャンタに写る灯りを見るともなしに見ている。
時間がゆっくりと流れていき、その中で、長老がぽつぽつと口を開き、物憂げにつないで会話が進んでいく』

街のヴェントルーの狩場で、ほかの血族の狩りが行なわれている。
ツィミーシィ、ケイティフやトレアドールが見かけられていることが問題視されている。
『詮無い話がつきかけたころ、父がそっと耳打ちをする。「明日の夜、公子と参議による集会が召集されている。お前も今回エリュシオンに連れて行こうと思うので時間を空けておきなさい。公子にお会いするのは初めてだろう?見知りおきいただくほうがよい。まぁ、緊張しなくても行儀よく黙って立っていればいいのだ。今回はな」』

狩場の重複についてはブルハーPCの耳にもなんらかの形で入ってくる。また、ブルハーPCも明日のエリュシオンに初めて出席することになっている。

■ エリュシオン

『市内の夜中の図書館が、この街のエリュシオンである。
すっかりと夜の帳が降りた深夜に、誰もいない図書館の扉が開けられる。公子のディアーナ嬢は、真っ先に図書館に入り、古ぼけた本を何冊も積み重ねて読み漁っている。
図書館の席が血族たちで埋まり、ディアーナ嬢がパタンと本を閉じたとき、それとなく会話が開始されるのが慣例である。
今宵のエリュシオンも同様にして見目麗しい乙女の手で本が閉じられた。それぞれの血族が、手にしていた書籍や雑誌の類から顔を上げ、一同をお互いに見渡し出席者を確認する。』
『ディアーナ嬢と一同の目が、PCの上で留まり、ディアーナ嬢の片眉が上がって父を見る。父が軽く頭を下げ、PCを紹介し、一同が黙ってうなずいて、PCがエリュシオンに受け入れられたことが示される。
おめでとう、君もこれで一人前の血族としてカマリリャに足を踏み入れたのだ。』

トレアドールの長老がエリュシオンで、公子に継嗣をつくる許可を願い出る
→ 古い時代のサバトとの戦いでの功績や、そのときに戦って滅んでしまったトレアドールの人数などをもっともらしく挙げる。
→ ヴァントルーの参議が、狩場の重複の件から反対。全体的に反対ムードの中、公子も保留を言い渡す。

『トレアドールの長老の脇には、重々しい顔つきの男性が立っている。一見して年齢に大きな違いはなさそうに思えるがその男には長老ほどのの凄みはない。とはいえ、明らかに冷めた威厳は、若い血族をひとにらみで震え上がらせることができるのは疑いはない』

『トレアドールの長老の優雅な物腰に隠された苛立ちははっきりと見て取れるが、公子はそれを見なかったように次の議題に話題を移した』

エリュシオンはその後大きな混乱もなく淡々と終了する。それぞれの方法で帰っていく血族たち。
PCたちの父も、PCに見送られて図書館を後にする。

■ トレアドールからの提案
ヴェントルーのPC
『目覚めると、1通の手紙が届いていた。父からの血族の主要メンバーへの招集である。窓の外では満員のバスや帰宅の車の群れが、一日の仕事を終えて市外に向かう流れを作っている。この流れがひと段落してから集合しても十分に間に合うだろう。食事を済ませる時間は十分にはありそうだ。』

『集合場所に着くと、すでにほかの長老は集まっていた。クラブは大入りで、人間たちが次々とアルコールを消費していく。こうして入った収入は父や血族の財産として蓄えられていくのだ。
父は君の姿を認めると軽くうなずいて、君をそばに呼び寄せた。』
『「召集が終わったらストックムビルのねぐらに来なさい。話がある」。父は無表情で耳打ちし、会議を始めた』

・父の話
トレアドールから提案があった。プラハの西側の開拓(サバト勢力の駆逐)の協力。
版図が広がれば狩場も広がり、お互いに子を増やすこともでき、勢力も伸ばせる。
他の血族に先んじて西側を開拓すれば、それだけ狩場の優先を主張できる。

『父が片手を挙げると、下のフロアからこちらを眺めていた男性が階段を使って2階に上がってきた。あのときのトレアドールの長老の子ノルベルトである。
トレアドールは大仰に一礼し、場に踏み込んで同じ話を繰り返した。』

『カレルが言う「今、西側のツィミーシィたちを抑えて版図を広げておかなければ、次の世紀でわれわれがいる場所がなくなるかもしれない。ジハドを生き抜くためにも必要な話だ」』

『「トレアドールの使者よ。結果から言おう。申し出は丁重にお断りしよう。私たちもツィミーシィは憎んでいるし、ジハドには勝ち残りたい。だが、公子の判断なしで川の向こうに手を伸ばすわけにはいかぬ」』

トレアドールは一同を見渡し、なるほどとうなづいて一礼し、帰っていく。
血族の何名かが口を開こうとするのを長老は押しとどめ、会議の解散を告げる。


■ 放火
『父は先にクラブを後にする。フロアにはほかの血族もちょくちょく顔を見せるのだが、今夜はトレアドールは一人もいないようだ。
カレルは父を見送り、何人かと談笑していたが今宵は早めに立ち去ったようだ。ほかの長老たちも場の空気があまりよくないのを読んで早々にクラブをあとにしている』

『ストックムビルは父が君に明かしたいくつかのねぐらのうちのひとつだ。ゆくゆくは君に譲ってもよいと言っていたが、どこまで本気かはわからない。
大通りから少し入った商業地と住宅地の境にある3階建ての小さなビルで、1階は貸し店舗のスペースがあるが、近所の雑貨屋の倉庫として貸し出している。2階と3階は3部屋ずつの事務所スペースだが、2階は父名義の企業の事務所に登録されており、3階は居住スペースになっている。要は、昼夜を通して人気がない父専用の住処だ。』

『ひっそりしたビジネス街を抜けると、ビルが見えてくる。あと1ブロックのところまで来て焦げ臭いにおいに気づく。眉をひそめて角を曲がると、ビルの1階から炎が上がるのが見えた』

【レートショック】判定

『炎は瞬く間に2階を包み、火の手が3階に上ろうとしている。そのころになってようやく消防車のサイレンが近づくのが聞こえた』

↓------------
・ヴェントルー以外のPC
火事現場の近くで戦闘しているケイティフとトレアドールらしき血族に遭遇。

『炎上するビルのほうから路地を伝って少年が駆けてきた。君の姿を認めて、ぎょっとしたように立ち止まるが、はっと後ろを振り向く。
その少年に後ろから来た人影が明らかに人外の膂力を持ってとびかかった。
少年はあやういところで身をかわし、人影は少年の体があった空間を引き裂くように横切る。』

PCの姿が近づくと、血族は「ちっ」と舌を鳴らして逃げ去る。

『君はその血族の残り香に香水の香りを認めることができる。少年は去っていく人影を視野に捕らえ、明らかに安堵した様子だが、君を見てじりじりと暗闇に後退している』

ケイティフは、PCにもおびえて逃げる

『汚い身なりだが、ノフフェラトゥの醜悪さは見受けられない。血の薄いケイティフかと思い当たったときに、少年の姿が闇に溶けて見えなくなった』<<影術>>を使用。

香水に詳しければ(難易度がやや高めの判定で)、香水は最近流行しているものだろうとわかるが、メーカーだけがわかるのみで商品名等の詳細は不明。

---------------
・ヴェントルーの長老は辛くも逃げて生きている
→ PCのところに連絡がある。重症でしばらく動けないが無事。休眠に入る。

・火事は放火
→ トレアドールの仕業じゃないのか?
→ 血族内で、犯人探しの機運。子のPCに期待と重圧。
----------------

・現場
→ 警察によって封鎖
→ 壁の一部が薄くなっており、その部分が壊れている(脱出口)
→ 出火場所はほぼ同時に3箇所。正面入り口、裏口、一方の壁(寝室側)。いずれも外壁を壊して発火剤を入れている。発火剤は油をしみこませた布など。
→ アウトドア用の柄の長いライターが現場付近に落ちていた
→ 現場近くの公衆電話の通話記録を見ることができれば、住宅街に電話していることがわかる。
→ 電話番号から住所が突き止められる。
→ 住所に行くと、結構いいマンションだがもぬけの殻で、「コムレフ・トカーチョフ」という男性が借りていることがわかる。
→ コムレフの近所のうわさからするとどうやら血族らしい。
→ コムレフはノルベルトの偽名。ノルベルドのねぐらだが、いまはここに居ない。

・ケイティフの少年
→ 建物の陰から血族の男が出てきた。その後、すぐに出火。
→ 公衆電話から「終わりました。出口はすべて火が回っています」とか言ってた。
→ 香水の匂いがした。最近、若い女性がつけている流行のヤツ。ミーシャ通りでときどき嗅いだ記憶がある
→ 容姿は大体覚えている。見ればわかると思う。

・香水
→ メーカーとケイティフの少年がミーシャ通りの記憶でたどると、適当なコネや協力者などから、フランス製品の輸入販売をしている「ブラカン」というショップで扱っていることが判明。最新の流行で、先月フランスで発表されたばかりの新作。
→ ブラカン:同じ通りに店を出しているバルチオンという雑貨商がいくつか買っていった。あとはまだほとんど売れていない。

・ノルベルト
→ 放火の夜以来、行方をくらましている
→ ハナの名義で所有しているプラハから離れた都市の別荘に身を隠している


・放火の実行犯 ヤン(トレアドールの幼童)
→ 今のところ、ノムベルトとは別に潜伏している。

・バルチオン
→ バルチオンはバー「NYC」の常連で、ここでトレアドールに香水を売った(最新のモードで自慢したら譲ってくれと言われて高値で売っている)。
→ 最近、「NYC」で(ノムベルトらしき男)と2度ほど会っているのを見た(2度目は放火の前夜)。


・暗殺者
→ 捜査しているPCに暗殺者
→ PCの暗殺が難しい場合はケイティフの少年
→ 証拠になるものは持っていないが、ノムベルトが差し向けた刺客である
→ ノルベルトのコネの1つで、ノルベルトのことは知っている(現在の居場所は知らない)。原則として情報は吐かない。

・ヴェントルー以外のPCの父の助言
→ 犯人の証拠と目処が立ったら、公子に進言し、処罰を待つのがよい

▼ 必要な情報
PCが情報を処理しきれない場合は、ヴェントルーの長老が召集をかけて「明後日(または3日後などタイムリミットを設定)、エリュシオンが開かれるので、そこで調査の進展を報告して一度様子を見よう」と言う。
ヴェントルーではトレアドールのノルベルトが怪しいと睨んでいるので、それを裏付けたい。欲しい情報は以下。

→ 放火犯が血族であることの証明
・ケイティフの目撃者と証言(電話で火を放ったことを言った)
・香水をつけていた

→ 香水をつけた実行犯の身元(ヤンであること)

→ 実行犯と指示者のつながり
・「NYC」での目撃情報
・公衆電話からの通話記録(「コムレフ・トカーチョフ」宛ての電話)

→ 「コムレフ・トカーチョフ」とノルベルトが同一人物である
・アパート周辺の聞き込み情報
・警察、探偵、市政などのコネで、偽名が暴ける

エリュシオンで公子に容疑者を告げる(または調査を報告する)。

■ 終幕

・証拠固め終了後にヴェントルーの年長者(カレル)がケイティフの少年を滅ぼす
→ 【狂乱】判定

--------------------
経験点
自動:1点
学習:0点〜2点
演技:0点〜
行動:1点〜

ミッション点
レートショック判定をした:成否にかかわらず1点
狂乱判定をした:成否にかかわらず1点
アサマイト暗殺者を倒した:1点
ヤンを容疑者としてつきとめた:1点
実行犯とノルベルトのつながりをつきとめた:1点
--------------------
訂正:

ディアーナ(女):8世代トレアドールの公子

ディアーナ(女):8世代トレメールの公子

でした。
V:tM
前回の続き。
NPC名等のデータは前回を参照。

■ 概要
前回の続きになるため、ヴェントルーの反抗派と、反抗派と手を組むトレアドール、ヴェントルーの参議(重傷で休眠中)の3派のそれぞれの意向と行動の指針を示し、それにそって展開した。

セッションの開始時点では明確な目的/目標が設定できないため(各派によって異なる)、シナリオの展開次第でエリュシュオンを開催し、そこでの報告をもってシナリオを終了とする。

各派の意図が明確なため、大きく外れることはないが、細かい部分を即興的に決めなければならないこともあり、膨大な情報量となるので注意。

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ハンドアウト
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V:tM ハンズアウト

■ 舞台説明
ここでは省略。配布したハンズアウトには記載

■ 背景
各キャラクターの影響力、協力者、コネを記載。

■ 概要
プラハのトレアドールがエリュシオンで継嗣の許可を求めたが、ルージェナ(PC)とジュゼッペ(PC)の父であるヴェントルーの参議レオシュ・チャベックが血族が飽和した狩場の現状を理由に反対を唱え、公子はトレアドールの継嗣を許可しなかった。

ルージェナは飽和した狩場を荒らされた形跡を探すが、手がかりを得ることができず、代わりにストリートチルドレンのグスタフと出会う。

後日、トレアドールのノルベルト・ヤノヴィッツからヴェントルーに、版図を広げるためにプラハ西側のサバトを駆逐することへの協力体制の提案がある。

ヴェントルーの長老の一人であるカレルの賛成意見はあったものの、レオシュは、公子の許可なくサバトとの衝突を起こすことは好ましくないと、これを拒否する。

その会見の夜、父に呼ばれたたルージェナとジュゼッペは、レオシュの寝床の火事を目の当たりにする。ジュゼッペはケイティフの少年が何者かに追われているところに遭遇、追っ手によって重傷を負い、ケイティフの少年は姿を消す。

レオシュは辛くもその場を逃れるが、深い傷を負い、後日、二人と血族の長老に、姿を隠すと言い残して連絡を絶った。
残されたルージェナとジュゼッペは、ヴェントルーの血族の体面と、父と自らの血族内での地位を守るために犯人を捜す。

事件の次の夜、ルージェナはケイティフと化したグスタフと再会。グスタフが父の寝床を放火した犯人が放火を指示した人物に電話をする場面を目撃し、放火犯に追われたことを知る。

グスタフを襲った血族と放火を指示した人物とのトレアドールの関連を怪しんだルージェナとジュゼッペは、放火の実行犯ヤンを割り出し、事件の前にヤンと交流のあった「コムレフ」という男を追う。

ヤンが放火の指示者に連絡した公衆電話の記録などから「コムレフ」とノルベルトを同一人物であることを突き止めた二人は、エリュシオンで事件を報告し、ヤンとノルベルトはカマリリャから指名手配された。

一件が落着した夜、ヴェントルーの参議代理となったカレルがジュゼッペに命令し、ケイティフの少年グスタフは滅ぼされた。

■ 背景
主なNPCを記載。

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● ブルハーPCの導入
・ 同胞がちょっとこまったことになっているらしいうわさを耳にする
・ コネのギャングから用心棒の衣頼
→ 小さな店で取り引きの商談をしたい
→ 店が小さく、手下の顔が割れている可能性があるので手下を連れていけない
→ 入り口で、取引相手の用心棒が入ってこないように見張りをしてくれ
→ 初めての相手だが、いけ好かないヤツなので商談は成立しないと思う。

・町のはずれの小さなパブで取り引き
→ 要人の移動を護衛するための武器の入手
→ 高圧的で礼儀もなっていない、と交渉は決裂する
→ 用心棒をたたむとおとなしく帰る

→ プラハから西に40kmほどのところにあるメトレクという山村から郊外の別荘に輸送の仕事があるらしい。要人の護衛とか


## この「要人」とはノルベルトのことで、この件は、ノルベルトの現在の隠れ場所への手がかりになる。


● ヴェントルーの参議代理カレル側の動き

▲ ノルベルトとハナ(カレル側)
PCは、プラハ郊外の別荘地に移動するように呼び出される。
車で移動。とある豪華な別荘につく。だれもいない別荘でくつろぐカレル。
車が止まる音がしてΓお客様がきたようだ」。

トレア親と子、ヤンがあらわれる

「紹介したほうがいいかな?
これからうまくやっていくための仲間だ」

別荘はハナの別宅。カレルは以前にもこの別荘に来たことがある。


▲ 衝突
この会見で、カレルとハナが衝突する。暗殺に失敗し、犯人もカマリリャに判明してしまったので痕跡を消したいカレルと、なんとかこのまま押し通してしまいたいハナ。

「消せ」「ダメ(ヤンはしかたないが)」。カレルが一度引く

ヤンはこの雰囲気を察知して逃亡する。

▲ ノルベルト
ヤンが逃げるとすぐに追手:アサマイト
ヤンを滅ぼしてカレルにアピールする(ハナの意向でもある)
レオシュ側のPCも邪魔なので、アサマイトには可能な限りPCの暗殺も下命している。

● ヤン
保身のためレオシュ側に打診
→ 身の安全とひきかえにノルベルトとハナ、カレルの癒着を証言する
→ ヤンの親はすでにほろんでいる

● 動向/意向
カレル側
・ヤンを殺す
・真相を知っていればPCも消す
・カマリリャにはいいわけして乗り切る
→ 卜レア子は無関係でヤン単独でやったこと
→ トレアドールと手を組んでサバトとの抗争を開始

ハナ(トレアドール)側
・ヤン殺す
・真相を知っていればレオシュ側PCを殺す
・カマリリャには「捜査中」で押し通す
・ヴェントルーと手を組んでサバトとの抗争を開始

ヴェントルー(レオシュ)側
・ヤンとノルベルトを捕らえ、カマリリャに引き渡す
・ノルベルトとトレアドール上層部とのつながりを明らかにしてトレアドールの失墜を狙う

各サイドの意向に沿ってキャラクターを動かし、適当な時期にエリュシオンを召集(少なくとも前日にはわかる)。
エリュシオンでの報告をもって、ひと段落とする。

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