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TRPG シナリオ公開コミュのソードワールドのシナリオです

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ソードワールドのシナリオですが公開します
あらすじ程度しか載せませんので細部はご自分でなんとか改良するなり何なりお願いします。

推奨Lv2〜4
人数3〜6(多いときは敵を増やすなりお願いします)
導入:シナリオ開始は好きな町でどうぞ、オリジナルでもOK
その町の裏路地をだれかPC(2人はほしいかも)が歩いていると女性の悲鳴が聞こえてきます。たぶん恐らくはPCは助けに向かうでしょう。(どうしても逃げられたりとか気になるようでしたらプリースト技能のPCをチョイスw)
すると路地の角から女性が助けを求めてきます。震える声できたほうを指差し・・・「ク・・・ク・・・・」と声を詰まらせます。
女性が来た方向からはドスン!ドスン!と何かが来る足音が聞こえます・・・PCが身構えたらそれは姿を現します。
その正体は・・・・クローゼットですw女性は「クローゼットが襲ってきたんです!!」と叫びます。

これで掴みはOKですw

クローゼットの正体はイミテーションモンスターです。
戦って倒すか、逃げることも可能です。
不利な様子でしたら騒ぎを聞きつけた官憲を遣して下さい。

その後、官憲から最近家具に襲われる事件が多発してることを聞きます。

続きます

コメント(26)

なぜイミテーションモンスター(以下イミモンw)が町でうろつくのかというのを先に明かすと
イミモンの研究をしていた魔術師がいて、古代のイミモンの作り方を発見します。
彼は自宅の研究室でイミモンを作るのですが(魔晶石などを使って作られる)過剰に作りすぎ、彼のいた部屋そのものがイミモン(フロアミテーションモンスター)になってしまい食われてしまったのです。
後に、作られた椅子やドア、クローゼットやベット(その他いいものがありましたらオリジナルをどうぞ)などが逃げ出し、町で人を襲います。

PCは襲われた人の情報などを頼りにいろんなイミモン(椅子なら家具屋さん、ドアは普通ならドアのないところとかベットなら宿屋w)を探して退治してもらいます。
その中でマジックギルドの情報で魔術師の家がわかればフロアイミテーターがラスボスになります。
部屋の中には今までの資料と作ったイミモンの情報があります
(倒し損ねがありましたら、その後に倒すも良し、デザインなどがわかったんだから簡単に見つかるので、倒した、で終わらせてもいいです)
あと魔晶石等適当に報酬を出してあげてください。
イミモンの作り方はフロアイミテーターに解かされて不完全なものとしてください。

以上、適当なシナリオ紹介ですみませんが、ネタにでもなりましたら幸いです。
イミテーションモンスターはたいていのファンタジーシステムで扱ってるので、ほかのシステムでも使えるネタですね^^

酔っ払いなどに、「街のはずれのほう(魔術師の住処がある方角)から家具の行列が歩いてくるのをみただよ〜」などと百鬼夜行のような情報を流すのも面白いかもw
>ドワさん

ありがとうございます。
そうですね、ほかのゲームにもアレンジすれば使えると思います。
PLを変えて2回ほどこのシナリオをしたことがありますがおおむね好評でした。最初のつかみがやはりいいみたいw

情報は虚実織り交ぜて面白おかしく出すのはいい感じです。
ドワさんのネタもいいですね。今後もしこれをすることがあったら参考にしますねw
もうひとつ公開しますね

このシナリオはPCを最初に引き合わせるのによく使います、ですので推奨Lvは低めで、推奨人数は3〜5でしょうか、すでにPTを組んでるようなすこし中堅のPCにする場合は敵等は調整してください。
PCたちはとある町の人気のある市場にいることにしてください。市場ですからいろんな人が露天をだしています。
林檎売りのおばあちゃんとか、アクセサリー売りの女性とか、似顔絵書きの少年とか、花売りの少女とか、その他好きに設定してください、それらの露天をPCと絡ませておいてください。

そうしているとチンピラ風の男たちが3人ほど現れます。男たちは肩で風を切る風に横に並んで歩き、花売りの少女にぶつかります。少女は転んで花を落とし、男に謝ると必死に花を拾います。
男「オウ!どこ見て歩いてやがんだ!」といいながら花篭を蹴飛ばし笑いながら歩き去ろうとします。

PCたちが自発的にチンピラたちに行動を起こせばよし、もしPCが少女を助け起こす、等以外の行動はしない様子でしたら、絵描きの少年がチンピラたちに
「お前ら!!この子に謝れ!」と発言します。その後はチンピラに向かっていきますが軽くいなされ小突かれます。
これでもPCたちが何もしない様子でしたら林檎売りのおばあちゃん、アクセ売りの女性当のNPCがPCになんとかするように促してください。それでもだめならマスターがお前らふざけるな〜とちゃぶ台を返してシナリオ終了ですw

PCたちが仲裁や謝罪を求める等の行動をした場合には、チンピラが、「なんだ〜〜お前らは?」「うるせえ!聞いた風なことを抜かしやがって」「兄貴、やっちまいましょう」となりますが、その兄貴風のガタイのいい男はPCに「まさか往来でそんなものは使わんよな?これで勝負しようや」と拳を見せます。常識のないPCが武器を抜くようなら「こんな場所で無駄な勝負なんかできるか」と立ち去り官憲がやってきます(以下は#と同じで)
PCが勝負を受けるなら拳で戦ってもらいます、ただそのままでは時間がかかりすぎると思うので、5回勝負の殴り合いで生命点がより減ったほうの負けで進めてください。
勝負が終われば結果にかかわらず官憲が駆けつけます。(野次馬の中から「喧嘩をしてるのはここか〜と声が聞こえてくる」)
チンピラは逃げます、PCも逃げようとするか、チンピラを捕まえようとしたときは、野次馬が邪魔で上手くいかなかったことにしてください。(逃げようとするのは周りのNPCが大丈夫と止めてもいいです)
#官憲が駆けつけ、「喧嘩をしていたのはお前らか!」と捕縛を試みますが、絵描きの少年等NPCが事情を説明し、「ここは喧嘩両成敗だ、今回は許すが以後注意しろ」と立ち去ろうとします・・・が足元から小さな袋を発見し拾います。中にあるものを確かめると「これは・・・麻薬だ」と言います。
麻薬を発見した官憲はPCたちに一応の詰め所までの同行を申し出ます、PCが拒否すれば強制になります。詰め所では官憲は「状況から判断して君たちとは思わないが一応は持ち物を調べさせてもらうことになる」として持ち物検査をしますが、怪しいものが無ければ、疑ったことを謝罪し、ここのところ町に麻薬が出回っていること、そのチンピラが怪しいので捜査への協力を求めます。
PCは似顔絵を描くなどするといいでしょう(その際にこっそり後をつけてきていた絵描きの少年と似顔絵勝負します)
そして官憲は、チンピラを捕縛して連れて来てくれれば1000Gを出すことを約束してくれます。

先に真相を明かしますが、勘のいいPLは気づくとは思いますが、麻薬を持っていたのはチンピラではなく花売りの少女です。花を売る姿に偽装して麻薬を持ち込み、売人に渡していたのです。
PCが似顔絵をもとにチンピラを探すと、その男は地下カジノの賭けボクシングをしていた男とわかります。(まだまだ下のほうですが今連勝中くらいで羽振りがよかったくらいで)
男の住所を調べてその家に行くとすでに荒らされた後のようで誰もいません。その下っ端の住所も調べておくなら裏路地で死体となって発見されます。
そのころ絵描きの少年をPCたちに会わせてください。少年は「花売りの少女をこのごろ見ない、やっぱりショックだったのかな?」等心配している話をしていきます。
もう一人の下っ端は住所不定のようです、シーフG等で調べればよく行く酒場などがいくつかわかり、(死体発見後)そこに行くといます。
話をすると「ほかの仲間とはあれ以来会っていない・・・最近なんだか誰かに見張られている気がする」「麻薬などしていない」等の情報が得られます、官憲に突き出すのならリーダー格ではないので500Gの報酬をもらえますが・・・PCは釈然としないままでしょう。

ここまできてもまだ真相に気がつかない様子でしたらその官憲への帰り道で追われている絵描きの少年に助けを求められます。
追っていたのは黒フードの小柄な人間と、3人の武装した男です。少年を引き渡すことをPCが拒んだなら襲ってきます。
戦闘の途中で顔が見れれば少女であることがわかります。シーフ3Lvダークプリースト2Lvくらいがいいかとおもいますが、PCに合わせて調整してください。

途中でPLが真相に気がついたのなら、追われているのを傷だらけのチンピラリーダーにして適当なところで出してもいいでしょう。

こんなところです、どこか荒があるようなら修正してお願いします。またSW以外でも調整してできると思います。
麻薬は「麦核」(LSD)なんかが中世のフランスにあって、けっこう被害が出たみたいなのでファンタジーでも扱える題材ですね。

SWでも毒物として似たようなデータがあったので、そのあたりが使えそうですね。

麻薬組織の規模や街での流通の設定を作っておけば、市場や官憲の引きでPCがひっかからなかったときにもシナリオに導入しやすいのではないかと思います。

例)
→ 被害規模:労働者階級で何人もの「廃人」が出ていて問題になっている(労働力の低下、都市経済への影響)
→ 目的:暗躍する邪教/犯罪集団の資金源になっている
→ 組織:郊外の森で栽培/魔法使いが生成した麻薬を女が運び、数人の売人が売っている

こうすれば、前後3回分くらいのシナリオフックにもなりますね^^

このコミュの「【D&D3e】シナリオ公開」トピの 6 に書いた「働く乗り物 大集合」などは、詳細には設定しなかったものの“悪の組織”の方向性や目的をある程度つくって織り込んだものです(手前味噌で恐縮ですが^^; )
またシナリオをひとつ公開します。幽霊船のシナリオです、

推奨Lv3〜4 人数は4〜6人

とある漁村の漁場に不気味な船が流れ着きます、ぼろぼろの船はなぜか沈まず、近づくと不気味な声が聞こえる、人影を見たなどのうわさが流れ村としては冒険者を雇い調査、なにかいれば退治を依頼します。報酬はGMが調節してください。

船の設定もお任せします。
船の中にはモンスター(シーワームとかがいいかも)やゾンビ、スケルトンなどがいますのでそれを退治しつつ進むことになるでしょう。
船はできればなるべく船長室が最後に探索されるようなつくりにしてください。
船長室にいくと船長のゴーストがいます。
体を壊した場合はPCを乗っ取りにかかります。(失敗すればファントムになります)乗っ取られたPCは残りのPCを攻撃するよりも話し合いを求めだします
「この船は渡さん!そうだ!この宝をやろう、だから出て行け!」
などと、船長室の机から宝石等を出します。
冒険者が船はすでに使い物にならないことを告げても聞き届けません
「うるさい!船は渡さん!!積荷は渡さん!!」
と言い張ります。PCが積荷を聞いても答えません。

PCが机を調べると日誌が出てきます。
日誌には嵐に遭遇し舵も帆も壊れて漂流したことの経緯が書かれていますが徐々に狂気に取り付かれた内容になり(かゆ・・・うま・・・w)
積荷についてはこの積荷さえ届ければ100万ガメルにはなるというようなことが書かれています。
しかし同じく見つかる積荷の預かり証明書は綿や酒などそれほど高価なものではありません。
PCがもう一度船を調べると船長室に隠し扉を見つけます。その中には樽がたくさん入っています。
中身は芥子の実です、すでに腐って炭化しています。
そのことをPCが船長に上手に告げると船長は成仏します。

こんな感じです。細部はやる人にお任せします。
それでは。
最近やったシナリオです、武装したゴブリンとでも名づけます。
推奨Lv3〜4くらい、人数も4〜6人で。(ソーサラー必須)

依頼主は冒険者の店の店主です、店主曰く「2週間ほど前、近くの村からゴブリン退治の以来が着たので、まあそれに見合う手合いの冒険者を紹介したのだが帰ってこない・・・君たちちょっと行って見てきてくれないだろうか?」
報酬は何もなかった場合店から一人200Gほど(路銀込みで)もしその冒険者たちが失敗していたようならその依頼をそのまま受けてもらってその報酬もそちらで、ということで依頼されます。

村に着くと門が閉まっていて(村は木の柵などで囲まれていて外に畑が点在みたいな感じで)中で村人は武装しつつ立て篭もっています。
話を聞くとゴブリンが畑を荒らしていること、ゴブリンは近くの枯れた遺跡に住んでいること、依頼を受けた冒険者が行ったが帰ってこないこと、ゴブリンは妙なものを投げつけてきたりしてることを聞けます。
投げつけているものはセージ+知力で15以上ならファイヤークリスタルかエクスプロージブブリットであることがわかります。(わからない場合でも詳しく言うとPL知識でどうしてもわかるので説明は適当にw)
夕方になれば数匹のゴブリンが堂々と現れ畑を荒らし始めます。戦闘が始まると彼らはいろいろと投げつけてきます。
(エクス〜ブリット、ファイヤークリスタル等以外にもいろいろ設定お願いします、ランダム表を作り、たまに魔晶石や地晶石、暗晶石なども投げつけてくるようにするのも面白いです)
彼らを倒し、どこで手に入れたのかを聞いても「ボスがくれた」としか知りません、冒険者については「捕まえた」と教えてくれます。(もっと尋問すると一人は食べ・・・)
遺跡に行くと同じく武装したゴブリンやホブゴブリンがいていろいろと投げつけてきます、遺跡の設定はお任せします。
罠もそれらの石などを使ったものが作られていますし(例:木をばねにして扉が開くとエクス〜ブリットが先につけられた木が跳ね返って爆発する罠)ゴブリンは柵などの後ろからそれらを投げてくるようにすれば攻略を楽しめるでしょう。
捕まった冒険者の生き残りを途中の部屋で救出してボスを倒すとボスかその手下から話を聞けます。
「遺跡の地下室を偶然発見して降りるとホニャララな奴がいて石をくれた」「人間を連れて来いというので一人(冒険者を)を連れて行ったが他にもつれてこいと言っている」
ホニャララ〜wをセージチェックに成功すればグルネルであることがわかります。
教えてもらった場所から遺跡の地下に降りると鉄格子の窓がある扉の前に来ます、近くには石版があり手形のようなものがついていて、上位古代語で合言葉を言って手を乗せれば扉が開くことが書いています。
PC達がどうすべきか悩んでいると鉄格子の窓から女性が顔を出して「助けてください」と懇願します(シェイプチェンジしたグルネルです)
女性は悪い奴に閉じ込められているなどと言います。合言葉を教えて、ここから出してほしいと懇願します。

PC達が扉を開ければ礼を言いむやみに戦闘などはしません「そのままなんとか脱出の機会をうかがう事でしょう。PC達が疑って正体がばれるようなら戦闘になります。
PC達がグルネル、又は正体のわからない敵との戦闘を嫌がりそのままマジックギルドなどへの報告で済ます場合もあるかも知れませんが、それもまたよしですw

扉から先の設定はお任せします、少数の部屋と研究施設のようなところで、エクスプロジブブリットや炎晶石等、それ以上の爆発物の研究施設などとしておいてください、それに見合う宝物等も設定して出してください。
グルネルは門番、警備番として使役されてましたが契約期間が過ぎても外に出れず閉じ込められていたとしてください。(ちょっと可哀想w)
グルネルの武器も報酬として出してあげてもいいです。
すべて終わりましたらシナリオ終了です。

シナリオ的には、ひとつ何千Gもするエクス〜や炎晶石などをPC達が何とかして投げられないように手に入れようとゴブリンを攻略しようとするが、投げられて嘆く様を見るのが一興ですw(やなマスターだなw)
ホークワールド。
剣の世界があったら斧の世界もあるよねぇ。

PCは滅ぼされたホークワールド出身。
ある日族長から迷宮に入って斧を取ってくるよう
命令される。
その斧は神の斧、神秘の力を与えてくれます。

隠れ里に軍隊が現れる。
他の世界からやって来た者がこの世界の
国家に取り入り、剣の世界を滅ぼす働きを
すると共に、邪魔となる他の世界の生き残りを
抹殺していたのでした。

で、神の斧の力で武装したPCが
百人近い部隊とガチバトルを繰り広げ
最終的にはモーニングスターワールドから来た
ボスとバトル、ってな2.0シナリオを製作中。

厨設定だなぁ。
どこら辺がSWなんだかわかんない。
でも、それがひゅーじクオリティ。

PCには『邪悪の嵐を吹き飛ばして
王者の刃を打ち下ろ』して欲しいものです。
『天国の残骸』 1

長期キャンペーンシナリオ
PL数三人から〜
 PLの内最低2人が幼馴染同士、その片割れの幼少期からの設定を幾つか付加出来るのなら既存のキャラでもプレイ可。
 舞台は幼少期の故郷からスタート
PL(仮にA)は片親で妹がおり、父は元冒険者。父は幼少期から御伽噺代わりに曽祖父の代から捜し求めているひとつの伝説をAに話している。
 伝説の内容:かつて古からこの地を配する神の理に絶望した王国があった。王国は彼方から新たな『神』を呼び寄せる。『神』は願いを聞き入れ人々は苦しみから解放された。舞い降りた『天使』は憎きを裂く剣となり都を守護する盾となった。そして総ての心が一つになった時、王国に、『天国』が降りてきた。
 物語はそこで終わるが父は「誰も知らない、だがその国は確かにあったはずだ」と、そう言って物語を締めくくる。GMはこの際物語りをポジティブなムードで話してください。
 その頃長期滞在していた一人の冒険者が幼馴染PL Bの(またはAも)師匠となる。
 故郷には探索され尽くした遺跡がある。(精神抵抗目標21、万が一抵抗に成功した場合、遺跡の雰囲気が張り詰めたものに変化し、崩落した通路の奥に塗り固められた比較的新しい壁が見える)
 上記の場合、遺跡から出て最初に出会うのは師匠にしてください。翌日遺跡の空気は元に戻っています。
 
 やがて成長した彼等は冒険者となります。この際幼馴染以外のPL(仮にC〜)が加わればればこの『天国』伝説を客観的に見る立ち居地が確保出来、後のイベントがスムーズになるかもしれません。(GMはこの際、AとBが盲目的になりがちな師匠や身内関係での疑問のアドバンテージをC〜に上げて下さい)
 幾つかクエストを重ねる内に彼等は朧気ながらも確かに『天国』があったという情報を得ていきます。
 例:「狂気の王国」「歴史から消えた都」「天国の跡地」など
 父の物語の続きと思われる情報:
 「全てが狂い始めたのは、本当に、天国を見つけてしまったからだ」「巫女は天国に鍵を掛け、常闇の蓋をした」「王は失われた鍵を求め彷徨う」「今も遠くから、天使達の歌声が聴こえる」
 また立ち寄った(或いは拠点にしている)王都で地獄から還ったという一人の狂人を見かける。「○○○(仮にジョン)・・・閉じ込められて何日になる、ああ大丈夫だ・・・歌・・・まだ聞こえない・・・腹減った・・・ジョン?よせよ、それは食い物じゃない・・・冗談だろ・・・やめろ!?それは食うな!!ジョンダメだ!?それは違うチガウちがうあああああああああああ!?ジョン!じょん!jhsふぉあ:!?・・・君は、君なのか?フヒ」的な事を泣き喚きます。

 PLのLVが5以上になった頃、何らかの理由で帰郷して下さい。
 数年ぶりの故郷では村に腰を下ろした師匠と再会します。
 しかしAの父は約1年前に何者かに自宅で殺害され、妹は攫われており、物色された形跡が無い事から強盗の類では無いかもしれない事を師匠から伝えられます。この際PLの強さに不安がある場合は幾つかのマジックアイテムを遺品として渡して下さい。(細部はお好みですが、保険としてAには武器を残して置くと後にイベントがスムーズになるかもしれません)
 父の書斎から『天国』に関するより深い情報が得られます。
 情報:「それは一見何一つ求めていない、しかし確かに欲している」「天使は自らが裁きの焔に焼かれる事のみを畏れる」「契約とは、それを願い、それを食らうことだ」
 新たな『神』とは異界から召還された一種の魔法生物の可能性がある。
 『巫女』とはその生物と交信出来る唯一の存在。特異体質のシャーマン、或いはソーサラーかもしれない。しかし詳細は不明。
 『王』は時折『神』と同一視される傾向にある。
 『天国』の門は王国の跡地の他に幾つか存在している。その一つがあの遺跡だという事は間違いないがめぼしい物は見つからなかった。
 ・それに加え村ではおかしな連中がここ最近遺跡に住み着いたという情報が得られます。
 

 2へ
『天国の残骸』2

 その晩、PL一行は謎の黒尽くめの集団に寝込みを襲われます。
 撃退すると追跡、或いは口を割らせる等の方法で遺跡へと導かれます。この際PLによっては師匠に救援を求めるかもしれませんが出すか否かはGMがアグレッシブに対応して下さい。
 遺跡では複数の黒尽くめが待ち構えていますがAに対して「おお巫女様!」「次こそは我等も」「どうか扉を!」と懇願します。
 彼等は『天国』の狂信者ですが先の戦闘であまり腕っ節がない事が分かっており、PLは元とは言え冒険者だった父を奴等が倒せるものかと疑問を抱きます。(その際C〜だけは腕利きの冒険者の師匠の存在になにか引っかかるものを感じてもいいかも知れません。例:何もない村に腰を下ろす訳。しかし現時点では予感以外の何物にもなり得ません)
 遺跡は以前来た時とは空気を変えて、行き止まりだった通路の壁には朽ち掛けた扉があります。
 「妹君がお待ちです」
 Aだけが扉を開く事が出来ます。その扉の向こうは広大な都が赤紫の夕焼けに照らされており、あらゆる方向から生臭い強風が吹きつけています。周囲を見渡せば都がこの空間に地面ごと浮遊していることがわかります。一行が出た扉は白い蔦の様な何かが根を張った宮殿の上空に、あまり広くはない足場を残して浮遊しています。(この景色を例えるなら、生理的嫌悪感を禁じえないラピュタといった所でしょうか。余談ですが従兄弟はこのシナリオを黒ラピュタと呼んでいました)その宮殿のテラスから見えるのは、幾ばくか背が伸び、飢えか心労か或いはその両方か蒼白な顔色をした、しかし美しく成長したAとBが見紛う事なき妹が驚愕の表情でこちらを見上げています。
 「ああ、これは夢なのかしら」「兄さん!Bさん!」などと妹は顔を綻ばせます。強風の中でしばらく対話したらキリの良い所で風が止みます。そして都の至る所から美しい下位古代語の歌が聴こえてきます。
 妹の危険を告げる警告と共に危険感知をし失敗したPLは扉の向こうに吹き飛ばされます。(この際、何だかんだで踏ん張っているのもドラマですが、最終的にGMは相撲とかを参考に気合の押し出しをお願いします)
 最悪PLが宮殿に降りた場合、師匠を同行させておいて無理やりテレポートさせるのも保険です。
 さて、この後『天使』との初対決となりますが妹と別れる直前に妹に「待ってるよ」とか「信じてる」等の台詞を言わせることがこのシナリオの重大なキーポイントになります。違和感なく組み込む事が出来たのならGMとして頭が下がります。職人です。
 
 『天使』の能力の詳細はお好みに任せますが代表的な特徴だけを書いておきます。
 能力:「中距離への触手攻撃」「飛行」「ラウンド毎の再生」「火炎以外の生死判定で必ず生命点が1残る」
 容姿:全長1m前後、しかし最初に目にした人間の体形を真似しそれと同等のサイズになる。肌は体毛が一切なく半透明の乳白色で内臓が透けて見える。背中には触手を絡めて作ったような翼がある。首が異常に伸縮する。知能は人並みですが狂っているので大抵会話は成立しません。また彼等は瀕死の状態になると下位古代語の歌を歌います。これは太古の流行り歌で、この歌は次の扉を探す為の手がかりになります(狂人のいた王都で聞き覚えがあるかもしれません)
 最初の演出としては体形をコピーしたPLに首だけを伸ばして天使のように微笑むと、とても気色悪いです。『天使』は近寄ってきた狂信者達を笑顔で虐殺し、PL達にも襲い掛かります。
 『天使』を退けると扉が壊れている事に気づきます。
 GMは一行にこれまでの情報をまとめ上げ王都へ向かうよう導いて下さい。その際テコ入れとして師匠に「実は○○(父)から預かった手紙があるんだ」などと王都近郊の遺跡の地図を渡してもらっても良いかもしれません。

 3へ
『天国の残骸』 3

 さて王都で情報を集め、一行は次の扉のある遺跡に辿り着きます。ここをモンスターの現れる迷宮にするか故郷のようにするかはGMのお好みでお願いします。迷宮の深部で扉を開いた時背後から一人の男が現れます。師匠です。
 彼はPLに対し少し待てと言い、話し始めます。
 かつて『天国』と呼ばれた戦火と飢饉に見舞われた王国の物語を、その王国が手に入れた『神』という力の事を、『巫女』とはその生き物に意思を伝える事の出来る血筋であり、『王』とはギアスの上位であるロストマジックを操る一族であった事を、そして何らかの術でその呪いを振り払った一人の『巫女』が『神』を都ごと異界に送り返し封印した事。
 「長かった、王の魔術はただの知識だったが巫女の力は血筋だ。その上厄介な封印をしていた。巫女が一人では神と繋がっても、繋がった巫女は異界の門を開く事は出来ない、逆も然り。鍵はその為2つ必要だった」
 あくまで演出ですが師匠は次々と顔を変えていきます、その顔はかつて冒険で『天国』の情報を教わった面々です。*シェイプチェンジ
 「お前の妹と違ってお前らは、実によく、いや理想的な働きを見せた。それに比べてあの娘はひどく手間がかかったよ。巫女は強い欲求と共に神を食らわねばならない。父親を殺された娘にはなんの希望も願望もなくなっていた、誤算だった、あのままでは餓死も時間の問題だったがお前らのおかげで全ては最良の形を手にした。あの子は希望を持った。あの子は希望を求めた。」
 今、その向こうにいるのは妹ではない、神だ。そういうと師匠の姿はエルフの男性に姿を変えます。
 そして師匠との対決になります。
 彼は最低でもソーサラーとファイター技能を7LV以上持ち、押し並べて高い能力値を持った狂ったハイエルフです。
 得意技はブレードネットで、ここではパーティーを圧倒して下さい。ここで彼が倒す事が出来れば物語はまた違った方向に進んでいきますが、ここでは仮にパーティーの敗北という形で進めて行きます。
 身動きのとれない彼等が目にするのは師匠の呪文と共に飛び出す大量の天使と、白い粘体を纏った虚ろな妹の姿です。師匠の呪文を合図に妹は金切り声を上げ、尋常ではない量の粘液が妹から溢れ出すとそれは塔のように迷宮の天井を突き破ります。
 そして一行は扉の向こうに突き落とされ。異界へと取り残されます。
 まもなくキャンペーンは最終局面へと向かって行きますが、ここまででA以外のPLに対しGMが心掛けておくと盛り上がる要素を記して置きます。Bの師匠との信頼関係を強固にしておく事。幾つか小さなイベントを盛ることでBと師匠との間にA以上の宿命が芽生えます。C〜、ともすれば蚊帳の外に成りがちなPLCには逆にAB以上に重大なキーワードを掴ませて置く事、また王都あたりに事前に何か守りたいモノを作らせる事(可愛い宿屋の娘とか、実家とか)
 以上の点を疎かにすると高確率でAの一人舞台になってしまいます。

 では4へ
『天国の残骸』4
 異界に取り残された一行ですが、落とされた場所は都市の路地裏です。相変わらず赤紫色の夕焼けに包まれており、不規則に至る所から風がふきつけてきます。
 また風は一定の周期(6h)毎に数分間の無風状態となり、今は風が無くなっても歌は聴こえません。
 経年に風も加わって都市はだいぶ痛めつけられた様相です。そして建造物の陰にちらほらと白い根のような何がトクントクンと脈打っています。
 街にある目立つ建造物は2つ、2の際に見た宮殿とカラスのシンボルを掲げた建物があります。街の民家などを探索する際は魔晶石などがちらほらと見つかる事があるかも知れません。少なくとも流通している銀貨の類は一切見つかりません。
 宮殿を探索した際: 
 ・最上階にある王の寝室 朽ち果てた巨大なベッドの上にほぼ風化した死体と幾つかの宝石、貴金属、そして黒色の鍵が見つかります。
 本棚と思しき棚の床には朽ちかけた本が散乱しており、幾つかの背表紙にはカラスのシンボルが見てとれます。なんとか読み取れる一冊には下位又は上位の古代語で王の日記が記されています。読み取れる内容の中で王はファリスに絶望しマイリーに絶望しマーファにチャザに果てはファラリス等の邪神にすら絶望した逼迫した国の危機と王の焦燥を感じる事が出来ます。(以下↓日記)
 「流浪の民が安住の地を求めてやって来た、奴等は自分達ならマーファよりも優しくファリスよりも気高くそしてマイリーよりも勇猛な神を呼べるという」
 そうして、その日初めて王は天使を目にする。
 「勇猛な騎士アルサイムは、国中が探し求めていた天使そのものに成りえた」
 宮廷魔術師アグリは天使の種に【エデン】と名を付け、研究を始める
 「巡り来る冬を前に、騎士団は天使の軍団となった」
 天使達は多くの願いを満たした、民を守る盾となり隣国の猛威を払う剣となった。また天使達は親を失った子供達と戯れ、優しい歌を歌った。民衆は天使達を愛している。
 アグリは言う。全ての天使とエデンは繋がっている。その中で移植者達のもっとも理想とするものが並列化され、天使の肉体と精神を構築していく。
 「エデンは要するに、生命を理想的なモノに進化させるのです」
 天使は確かに不死身だったが、この時の天使は[守る]為の天使であり自ら敵へ向かう事はなかった。しかし問題は流民の巫女によってすぐに解決する。
 「この者の血には太古より、白血が混じっております」
 天使は、確かに勇猛な戦士となった。巫女は天使に細かな理想の方向を伝えることが出来た。巫女は生かされた。王の血は傀儡を造る術に長けている。
 「この日より流民は巫女の一族のみとなった」
 ・・・それ以上はほとんど朽ちています。ほんの少し読み取れる部分からは巫女の一族やアグリに対する憤りが感じられ、最後の頁には書き殴るように
 「その日、天国は降りてきた」
 と書かれています。ちなみに王の寝室には【エデン】の蔦は一本も張っていません。
 ・テラス近く 何か妹が残した手紙などがあるかもしれません。
 ・その他にもGMが必要だと思うモノがあればドンドン出して下さい。
 ある程度探索をしていると無風の時間帯中、宮殿の何処からか音が聴こえます。(聞き耳判定 目標値14)それはどうやら歌で、地下から聴こえて来るようです。
 ・地下牢 風化した死体などがちらちらと、牢屋の鍵などが見つかります。
  (隠し部屋 目標値10)その一角に塗り固められた壁があります。壁は隠すというよりも何かを閉じこめる様な雰囲気で急に拵えたような造りをしています。無風中の歌もこの向こうから聞こえます。
 壁はハンマー等で簡単に破壊できるでしょう。破壊すると強烈な黴臭さと空気の腐った匂いがします。そこには鎖で吊された天使と、風化した何かの入った鳥かごが転がっています。
 5へ
 『天国の残骸』5

 地下牢に捕らわれていた天使は、かつての王国の宮廷魔術師アグリです。彼はエデンを移植された天使でありながら自我を失っておらず、冒険者達に自らを殺して欲しいと懇願します。アグリからは冒険者達が望むのなら、王国の全貌と【エデン】に関する彼の知りうる全ての知識を得る事が出来ます。彼は共通語、南方、東方語を除いた大抵の言語を扱います。(基本的に上位古代語)

 王国に関して: 王国の名は【モマ】歴史的に見てカストゥールが全盛期を迎える以前に存在していた小国である。
 【モマ】は比較的に温暖な気候で土地質に恵まれており、また当時としても魔術に関する研究は隣国より一歩先んじていた国家だった。
 遙か西と南にあったはずの2つの大国が領土を広げていくまでは、平和で豊かな国だった。戦乱が活発化していくにつれてモマと同盟を結んでいた小国達は早々にモマに見切りをつけ国は完全に孤立する。モマはその土地柄と両国との位置関係が災いした。モマがどちらかに下ろうにも戦局は最早泥沼化しており、モマに残された道は同盟とは名ばかりの劣悪な植民地化か、滅亡のみとなっていた。
 そんな時【流民】達が訪れた。

 流民に関して: 彼らについてはアグリ自身多くの事は分かっていません。ただその一団は【穢れた土】と呼ばれ、各地で忌み嫌われていた存在であったようです。彼らの多くは呪いや暗殺などを商いにしながら、安住の地を求め大陸を渡り歩く存在だったようで、不可思議な事に本来相反する筈の多種多様な神々をそれぞれが信仰しており。同じ共同体の中でファラリスやカーディス、マーファやファリスを信仰しているのも目撃されています。
 彼らはなんらかの「一つの意思」の下に共存していたようです。

 【エデン】に関して: 流民からもたらされた一種の魔法生物、或いは幻獣魔獣の一部だったのではないかというのが初期の見解でした。しかし研究が進むにつれてエデンは種でありながら、それ自体がエデンそのものではないかという事が分かってきます。
 当初それは他者に移植させる事によって、被験者を意識的に進化させるようなものと考えられており。エデンそれ自体に意思はなく、要因として幾つかの条件(意識の共有、その際並列化された欲求への進化)を人体に付与するだけのものと思われていました。初期の天使達は明確な意思を持ち、それどころかそれぞれが個性をそのままにある種の善良で勇敢な理想的な性格へと変化しました。
 しかし、天使の軍団化が進むにつれその個性は薄まり、当時の民衆の根底意識に根付いた防衛本能に主を置く守護的な傾向が強まります。
 その問題は4で記述されていた通り【巫女】によって解決します。
 しかしこの時点でアグリは一つの違和感を覚えます。
 エデンには、もしかするとそれ自体に意思があるのかもしれない。
 時を同じくして、その頃よりモマの地質の悪化が始まりました。作物の実りが極端に悪化しているのです。
 天使達はその不死性を存分に生かし、その力は次第に両国を退け始めています。
 王が天使の軍団をさらに募り出した頃、アグリは厳重に隔離されていた巫女の一族と対話する機会を得ました。そして、一つの結論を得ます。

 『エデンは何も求めていないのではない、其れの求める事を求めている』

 モマの原因不明の地質悪化は、どうやらエデンが関係している事も分かって来ます。そして、最初の天使「英雄アルサイム」と対話した時アグリの違和感は顕在化した確かな恐怖に変わりました。
 そこにいたのはアルサイムと呼ばれて も 振り向く事以外は、他の天使と全く区別のないモノがいたからです。そして天使達の屈託のない笑顔の意味を、人の願いを積極的に遂行するある種理想的だった性格の意味を理解しました。

 『あれは【エデン】が私達を求めている姿だ』

 と、そして彼等がもう人間ではない事を。
 アグリは王に訴えました。

6へ
 『天国の残骸』6

 アグリの進言は王にとっても国とっても快いものではありませんでした。それほどまでに当時のモマは天使の軍団、引いてはエデンに依存した形が出来上がっていたからです。しかし他国から徴用されて今の地位に召抱えられたアグリにとっては国の危機よりも、この実体の見えない存在が内包する脅威が世界に及ぼす危険性は無視できるものではなかったのです。
 そして、アグリはある計画を実行します。それは国の中枢に据えられた巨大な魔晶柱を全て使い切る大規模な転移魔術の行使です。
 それによりモマは異界へと飛ばされ、幾つかのゲートを残して外界と遮断されました。以前より巫女の一族を不憫に思っていたアグリはこの機に乗じ彼女達を脱出させます。そしてアグリ自身が脱出を図る直前、彼は妻と子を人質に捕られ幽閉されました。彼はゲートの開閉方法を引き出す為に拷問を受けます。
 ありとあらゆる拷問の果て、遂にはエデンによる情報の共有を図る為、彼自身もエデンを移植されました。しかし、不可解な事に天使化は失敗に終わります。
アグリの意識が他の天使達と共有されぬまま彼は自我を保ち続けたのです。
 その理由としてアグリは次のように述べます。

 「事前に自らに強力なギアスを施して自らの精神の自由を束縛した。その故、常に気が狂いそうな激痛が全身を覆っているが、自我は保たれたようだ」

 そして魔晶柱を失ったモマの魔道士達にそのギアスを解除する術はあらず。
 アグリは殺されるでもなく、地下牢に幽閉され現在に至ります。
 彼は冒険者の説得如何によっては自殺を中断し、一行に協力してくれるかもしれません。
 アグリの詳細はお任せしますが、重要なものを挙げておきます。
 :「ソーサラー/セージ Lv10」「飛行」「ラウンド毎の再生」「火炎以外の生死判定で必ず生命点が1残る」 『ただし強力なギアスが常に発動状態にあるのであらゆる行動に−4のペナルティがついています』
 彼が同行するか否かは別として、アグリは3つのゲートの所在地を一行に伝えてくれます。一つは恐らく足場だけが残っていた宮殿の離れ(これは巫女達の住居であったようです)、もう一つは魔術学院の地下の隠し部屋。もう一つは転移した際に地盤が崩れ、巨大な穴となっている街はずれの彼の住居です。

 またこの「異界」についてですが、アグリ自身ここが何処なのかは分かっていません。

 カラスのシンボルを掲げた建物(魔術学院)を探索した際:
各部屋からは夥しい数の魔術関係の書物が見つかるでしょう。その中にはロストスペルと呼ばれるものもあるかもしれません。
 またマジックアイテムも同様に見つかるかもしれません。
 (しかしこの時点でまだアグリと出会っていない状態ならば、冒険者達の心に言い様もない虚無感が訪れるでしょう)
 アグリの研究室:エデンに関する資料が散乱し、地下へと続く隠し扉だったであろう壊れた本棚があります。その扉は恐らくアグリが幽閉された後、施されたであろうハードロック(魔力強度12*非解除)らしき呪文で硬く閉ざされています。アグリが同行しているか、もしくは何らかの方法で扉を突破したのなら長い階段の先にゲートが存在します。
 宿舎区画:散乱し黒い染みが広がる一室では日記が見つかります。
 「学院長が捕らえられてから〜」の出だしから始まるアグリが幽閉された後の、モマの記録です。その内容は克明にモマの至った狂気の行く末を描いています。
 
日記の内容へ
『天国の残骸』 ある魔道士の日記

文面は下位古代語で記されています。

 「学院長のご家族に加護が与えられた。何も知らぬ国民なら狂喜するところだろうが、・・・学院長、アグリ様、私は常に心から貴方の判断を信頼してきました。今回の事も恐らく正しいのでしょう。・・・ですが」

 「投げ出された異界の地、国民の動揺は日増しに残虐性へと変換されていく。王はナピージャの大規模破壊魔道からの一時的避難と弁明しているが、それも長くは続かないだろう」

 「アグリ様へ加護を与えられる。幾ばくか意識の共有による情報入手には不安が残るが最早この方法以外に術はない」

 「食料が問題だ。王は国庫を民へ開放し、大規模な暴動は一時的になりを潜めたが、問題は何も解決していない。満足な食事にありつけているのは、宮殿の人間と、この学院の者だけだろう・・・アグリ様、私は貴方が憎い」

 「暴動が深刻化し始めた、だが堅牢な防壁を張り巡らされた宮殿に民が辿り着く事はないだろう」

 「餓死者が宮殿の周りに山のように重なっている、暴動を起こす気力もなくなった民は、虚ろな目で配給を受け取っている・・・ここが、ここがあのモマなのか?ここは地獄だ。ならばその民の横で微笑んでいるアレはなんなのだろうか」

 「天使達の様子がおかしい」

 「元来食物を口にする事のなかった天使が餓死するというのもおかしな話だ。活動を止めた天使が宮殿の庭に重なっていく」

 「どういう事なのだろうか?天使達の屍骸がまるで根のように変質し宮殿内部にまで伸びてきている。宮殿内部はアレに怯えるばかりだ、アグリ様ならば何が起きているか分かるのだろうか」

 「大変な事が起きた。暴動だ。だが挙兵して来たのは、あの天使達だ。それも夥しい数が空を舞っている。あんな数の天使が何処にいたのか?・・・アルサイムはその光景にただ目を細めている」

 「ああ、全てを理解した!見てしまった!食っていたのだ!民は、飢えた民はあの根を!その臓物に自ら楽園を取り込んでいたのだ!!!正気というものがいったいこの国の何処にあるというのか!?狂気ばかりが羽を広げて微笑んでいる!ああ、アグリ様!やはり貴方の決断は正し・・・」

 それより先は黒い染みが広がっていて読むことは出来ない。

7へ
『天国の残骸』7
 
 アグリが提示した三つのゲートの内、宮殿の上空にあるゲートは2で記された通り既に破壊されています。最後に残ったアグリの自宅ですが、一行がその場所を訪れると、そこは巨大な縦穴が広がっています。穴の大きさは半径10mほどで、一定のリズムで周囲の空気を吞み込んでいます。
 深さに至ってはどこまでこの穴が続いているのか分からない始末です。
 フォーリングコントロールやロープ、登攀を駆使して降下していくと、(壁面は土の為非常に脆く、ロープ無しの登攀は非常に困難です。目標値20)40m下には崩れて落ちてきたであろう家屋の残骸と、朽ちかけた蝶番の壊れた薄い扉が一定のリズムで開閉しながら猛烈な勢いで空気を吸いこんでいます。
 扉の向こうでは毒々しい虹色が渦巻いており、今までの扉と比べて明らかに不安定な様子で、今にも壊れてしまいそうです。
 (GMのみが知りうる真実ですが、王都の狂人はこの穴から脱出しました。)
 脱出するゲートによって物語の進行は多少変化します、まずはこのゲートから脱出した際のパターンから進めていきます。
 ・脱出時にPLはそれぞれ1Dを振って下さい、そのダイス×1m上空から王都近郊の小高い丘の草原に転移します。PL達の脱出後上空に浮かんだ虹色の渦が、バキバキと木がへし折れるような音と共にプツリと消滅します。
 脱出した一行は丘から望む王都の街並みに衝撃を受けます。
 時刻は昼頃、王都の上空の青空に夥しい数の白い何かが浮遊しています。その様子は鳥の群れというよりも虫がたかるような密度です。何より目を引くのは城に根を張った乳白色の白い根と、その頂点に据えられたつぼみのような同じく白く巨大な何かです。
 丘から見えるそう遠くない位置に騎士団の駐屯地らしい場所も見受けられます。駐屯地に向かうと、そこでは疲弊した騎士や傭兵、負傷者の姿が数多く見受けられます。皆一様に目の中に暗い絶望を称えています。
 一行が状況の詳細を求めると、騎士や傭兵はまず「増援か?」などと聞いてきます。嘘言っても違うと言っても特に変わりはありません。彼らは事のあらましを一行に教えてくれます。
 :一週間ほど前に突然羽の生えた魔神のような何かが大量に群れをなして王都を襲撃して来た。騎士団は始め果敢に応戦したが、疲れを知らぬ異形の大群を前に為すすべなく撤退した。その際、多くの住民も脱出したが、だが、まだ街には取り残された多くの市民達がいる。
 王は近隣の要塞都市から他国の騎士団、傭兵団、神官戦士団に救援を要請しているが、状況は火に油を注ぐように犠牲者を増やしているだけだ。
 奴等は不死身だ。幾ら殺しても殺しても目を離した隙に傷を塞いで立ち上がってくる。魔術師ギルドの連中が奴等は火を恐れている傾向にあると言うが、確かに火を見ると多少動きは鈍るもののすぐに取り直して攻撃を再開してくる。まったく、カストゥールの残党も役に立たないもんだ。
 なんでも奴等の弱点を見つけた奴には王から莫大な褒賞が与えられるそうだ。
 しかし、ありゃいったいなんなんだ?それに城に張ったあの根みたいなもの・・・、あの先にあるつぼみが咲いた時世界が滅びるなんて巷じゃ囁かれてるぜ。まったく・・・縁起でもねぇよ。
 まああんたらも討伐隊に志願するなら、一度あのテントの団長に話し通しときな。
 
 彼の話からは不安感がありありと伝えられます。
 ここで天使の詳細を明かすと、彼は驚きとともに歓声を上げますが、巧く喋らなければかなり怪しまれる事でしょう。最悪、捕らえられるかもしれません。(自分がこれをやった時は、PLと騎士団の戦闘になってしまいました)
 しかしどうあれ、然る後、現場の責任者である騎士団長と対面すれば、騎士や傭兵を殺しでもしない限りスムーズに話は進行します。

8へ
 『天国の残骸』8

 騎士団長は礼節を弁えた紳士です。また他の兵と同様疲弊してはいるものの、その目は死んでいません。対面した一行に対し、彼は必要な事を聞いたあと、その情報のかなり深い所まで探ろうとしますが、一行が言いあぐねていれば自らその問いを自重します。しかし、例え一行が真実を全て話しても、彼は動じることなく必要な情報以外自らの胸の内に留め、別段一行に(特にAに)責任を追及しようとはしません。
 騎士団長は一行の力を見込んで、一度、王の下に集った研究班への助力を申し立て、一行がそれを承諾すると研究班に紹介状を書いてくれます。
 現場のソーサラーが一行を要塞都市へと転移させ、速攻で都市へ到着します。

 要塞都市:おそらく国境付近の都市でしょう。ですが別に多少発展した普通の町でも構いません。ここでは、一行が最後に装備が整えられるような街であれば
と思っての事なので。
 研究班はその街の要塞、或いは魔術士ギルドで研究を進めています。
 紹介状を見せると、まずはその天使の詳細の真意を求められ厳重に隔離された一室へ案内されます。そこには幾つかの鉄の箱が置かれています。
 天使は四肢を拘束しても触手を飛ばして攻撃してくる上、幾ら身体を痛めつけてもすぐさま再生する為、結果、魔術的措置を施された鉄の箱に捕獲されています。一見ギャグですが箱から例の歌が聞こえます。(でかいラジカセですね)
 そして再び天使との戦闘になりますがここでは、見張り役の高位ソーサラーがいるのですぐさまブレードネットをぶっかけてくれます。そして炎による天使の死滅が確認されると、研究班は一層慌しくなるでしょう。
 一行は温かく研究班に迎えられます。
 
 しかし一行も地道に消していく以外駆除案が提案できないでしょうし、現状既にかなり疲弊した討伐隊の様子からもその方法は酷く困難に思えます。そして何よりあのつぼみが何なのか。街で耳にする不吉な噂の通りならば残された時間は僅かかもしれません。
 そんな時、一行はこの辺りにも例の王都付近の遺跡と似た遺跡がある事が、何らかの方法で知らされます。(研究員や、街の人間などから)
 一行は遺跡へ向かいますが、ここで一旦異界のもう一つのゲートから脱出した際のルートを述べておきます。

 魔術学院から脱出した際:一行(或いは加えてアグリ)がゲートを開くとそこはある古い遺跡の一室へと繋がっています。
 その一室には下位古代語で記された大量の研究資料が魔術的措置でコーティングされ新品同様の状態で埃をかぶっています。少し読めばそれはエデンの資料であると同時に、ある巫女と魔術士の研究の記録だという事が分かります。
 巫女、または魔術士の苗字は、Aに苗字があるならばそれと同様、或いは名残を感じさせるものです。(蛇足ですがこの下りで従兄弟のPLトムは、
 『私、トムだけどお父さんに絶対に言っちゃいけないっていう秘密の苗字があるの』

PLC『秘密の・・・苗字?ww』

トム『そう、・・・トム・ザ・グレート・ムッシュかまやつ・トエル・ウル・ラピュタ』

 なんでもトムは、グレート・ムッシュかまやつの略だったらしく、この即興がなければ『巫女・かまやつ』とか『魔術士・ザ・グレート』とかになってました。どうでもいいですねすいません)
 どうやらアグリの手で異界から避難した彼の腹心と巫女の一人は、ここで万が一の事態に備え研究を進めていたようです。巫女の実体験と伝承を、研究者としての視点から考察した文章が一行にエデンに関する新たな情報を伝えます。

 伝承と研究資料へ

 『天国の残骸』巫女の伝承と魔術士の研究の記録

 かの楽園の種子は我等に大いなる心の太平と安住の地を齎すもの也――

考察:心の太平とは、エデンによる精神の並列化に伴う作用の事だと思われる。また、○○(巫女、ここでは仮にマキナ)からの話によると移民達の先祖はエデンの末路を一度目にしている。その為、実験的に巫女の一族に移植させたものの、結果として全体に移植させるには至らず、その天使に防衛や暗殺を課すのみに留まったようだ。

 種は芽吹き、大地に根を張り、やがて花を創る――
 花は新たな種を生み、次なる世界を目指すのだろう――

考察:マキナの話によれば最初の天使の最後はまるで樹の根のように変化し、一抱えもある花を作ったそうだ。モマの天使にそのような兆候は見られなかったが、恐らく同じ天使といっても個々に異なる役割が与えられているのかもしれない。その花が幾つか種を零すとともに根は灰のように朽ちてしまったという。その実というのが、今回モマに齎されたエデンであり、移民の飼っている家畜や犬などは、それに対し強い食欲的欲求を見せていたそうだ。どうでもいいが、エデンの影響だろうか?最近マキナの笑顔を見ると自分でも理解し得ない不可解な感情に見舞われる。胸が苦しい。

 種は鏡、それの心の美しさを映し出す――
 自らの美しさに惹かれ生きとし生けるものは水面に顔を覗かせる――
 恋する者はその水面に口をつけ、愛する者はその泉に身を投げる――
 そして波紋は、泉の外へと広がってゆく――

考察:興味深い、今までの植物的な比喩から一変して水が表現されている。
・心の美しさ、これは精神の並列化によるものと考えて間違いはないだろう。
 しかし生きとし生ける者、これは移民の家畜達がエデンに強い食欲を覚えていた事から考えると、エデンに対する効果は人間にのみ及ぶものでは無いのかもしれない。
・泉に身を投げる。ここもまた興味深い一節だ、これまでの伝承と比べかなりネガティブな文が組み込まれている。移民の先祖達がエデンの末路に何を見たのか?不死身の天使達からは「死」という概念は生まれてこない。それを食らったものは他がどう死滅しようと生き続けているイメージがあるが、この部分はマキナにもう少し、彼女の感覚を踏まえて掘り進めていこうと思う。マキナ・・・。
・波紋は、泉の外へと広がってゆく。どういう事なのだろうか?水面の波紋はその池の内側に広がるものだ。泉の外、これは明らかにおかしな一節だ。エデンによる犠牲者が増えるという事か、それならば小気味良く収まる気もするが違和感が残る・・・。

 泉の中からは、そこでしか見えぬ景色があり――

 其処にしか在らぬ、終わりがある――

最終考察へ
『天国の残骸』最終考察

最終考察:10年にも及ぶこの対話もこの文章が最後になる。
 初めに、これは驚くべき事だが妻は次元転移魔法の構成を容易く理解した。
 彼女には魔術の才が無いため行使には至らないが、他の呪文に関して「奇跡ね」と驚く彼女からは到底考えられない明晰な理解を示し、あまつさえ感覚的言動から構成の効率化まで口に出してきた。
 これはどういう事か、私はこう結論付ける。

 エデンは、次元を越える能力をその身に宿している。

 何故そのような力を備えたのか?これには私自身、身の震える思いだが、エデンは根付いた世界のあらゆる生命に寄生しその数を増やしていくのだろう。
 やがては寄生されていない生物の生息領域は追い詰められ、それに成るか、死ぬかの二択を迫られ、結局は根絶やしとなる。
 植物に至っては今まで関連性を見出せなかったが、モマの地質悪化から考えうるにその地の精霊力を無尽蔵に吸収しているのではないだろうか?
 あの無限の活力はそこから得られるものなのだろう。
 よって、その世界を絞り尽くしたエデンは、次元の門を開き、あの無秩序な奔流に種を躍らせ世界を去る。
 波紋はそう、泉の外へ広がっていくのだ。
 しかし、移民については益々分からなくなった、彼等が事の顛末を一度見ている以上彼等の世界は滅んでいるのだろうか。
 ならばエルフやドワーフのように妖精界のような異世界の住人だったのかもしれない。それを考えると、あの荒涼とした不気味な異界も、エデンに食い荒らされた世界の一つだったのかもしれない。
 私達に何が出来るか、終には帰ってこなかったアグリ学長が私に託した最後の指令をここに残す。
 妻との研究の結果、それには巫女のように多くの天使達に精神を伝達出来る者が必要だ。一族の者でも、その血の濃度によっては性質が失われた者も確認されている。その者に行使しても、この方法は成立しない。
 悪用を恐れ、量産は控たがこの資料の最後に三枚の呪符を残す。
 この呪符には貼り付けた者の精神に「自殺」や「自壊」衝動を強制的に付加する呪いが込められている。通常の人間は自殺か、良くて廃人。実験は行っていないが、末端である天使に用いた所で、その固体を死滅させる事に留まってしまうだろう。
 これには、これを用いても死滅しない肉の身体が必要なのだ。

 そしてこの方法の媒介となった巫女は、恐らく助からない。

 しかし、天使自体にある精神攻撃に対する強い耐性を考えるに、これがエデンに対する最善で唯一の対抗手段だ。あとは神を呼ぶぐらいの事しか私には考えつかなかった。そういう点では、エデンは神々の領域に住まう、魔物だ。
 私達の世界の未来に、かつてのような事件が起き得ない事を願うが、私の論が正しければ遅かれ早かれ、エデンはこのアレクラストに訪れる。
 成功するかどうか、すまないが確証はない。だが、これが私達が未来に託しうる全てだ。

 そしてその全てを、この書を読んでいる、君に託す。

※巻末には三枚の呪符(魔力強度25、使い捨て)が挟まれています。

9へ
 『天国の残骸』9

 遺跡の隠し扉(目標値20、Aならば一ゾロ以外自動成功)から外に出た一行は、要塞都市へ到着し、そこで街の人間から噂や状況を教えられます。GMは一行に、騎士団や研究班の下へ向かうよう誘導して下さい。
 こうしてようやく二つのルートは繋がります。巫女の伝承に関しては事前に序盤の情報収集時に端々をちぎって伝えておいても、今思うと良かったかもしれません。街ではC関連の(例えば宿屋の娘)等がまだ取り残されている事も伝えられるでしょう。また、アグリが同行している際は彼は40代中頃の当時の姿にシェイプチェンジし、「少し、世界を見てくる」等と言って一時パーティーを離脱しますが、話の端々に夜中現れては情報の共有を求めます。

 詳細を伝えられた研究班は、最終的に一行を王へと面会させます。
 王は一行の力を見込んで、討伐作戦の中核を担う事を依頼します。PLによってはごねたり、Aが苦悩したりするでしょうがそこはGMの腕の見せ所、どうにかしてください。(自分の時のAは酷くあっさり承諾したので寂しかったです)
 承諾すると後日、騎士団の作戦本部へ召集されます。
作戦内容:宮廷魔術士の情報から、恐らく巫女は城の最上階に謎のエルフと共に潜伏しているようですが、城の上層は特殊な結界によって転移させることが出来ません。また城の内部にも夥しい数の天使が徘徊しており、このまま行っても殺されにいく様なものです。
 そこで残存する討伐隊を集結させて王都に総攻撃を仕掛けます。それにより、多少なりとも天使を城内部から分散させ、機を見て一行を騎士団の精鋭部隊を護衛につけて城の下層へ転移させます。
 城の内部に関しては見取り図を用意されますが、内部を熟知した精兵を共に転移するので細かな案内は彼等に任せて欲しい、とのことです。
 討伐隊が、他国の戦士団も含めて総集結するのは二日後です。
 その間に装備を整える代金はだいたい経費で落ちるでしょう。
 作戦決行前夜、一行は夢を観ます。Aは家族の夢を、Bは師匠の夢を、C〜は夢をみませんがアグリが同行している際は彼が部屋を訪れます。アグリはこの世界に関してとりとめのない感想を述べるとCに一つの提案と告白をします。
 「Aの妹に掛けられた高位ギアスは、私ならば恐らく解く事が可能だ」
 しかし、それによって天使がどうなるか、過剰な精神負荷を掛けられた彼女がどういう行動に出るか分からない。これは確実性の無い、一つの案だ。
 天使を懐柔出来た処で、私には今度はこの国がモマのようにならないとは断定出来ない。
 何故、アグリがCにこの事を話すかと言えば、仮に呪符が失われた際、また呪符に効果がなかった際、行使出来る最後の可能性だからです。しかし、巫女に深く関わり過ぎているAやBに話せばこの案を真っ先に実行しようとするかもしれません。
 ですから距離を置いて状況を客観視出来るCにだけ、彼はこの事を話します。
 また、全てが無事終わったとしても、アグリは自らを消滅させようと思っている事を告白します。彼は自らの頭をトントンと指で叩き、

 「この世には、語り継いではならない物語りがある」

 もろ、スネークな事を言います。

 「その最後を、しっかりとお前に看取って貰いたい」

 こうして決戦前夜の夜は更けて行きます。
 サラっと書きましたが、AとBの夢もなるべく深く描写しておきたい所です。
 ここまでで、キャンペーンの区切り部分を書いておきます。
 ・妹と対面、天使と初戦闘後
 ・情報を集め、師匠と遺跡で対決後
 ・異界脱出後
 ・決戦前夜(私がGMした際は騎士団との戦闘から、王との謁見までに結構な時間がかかった為)
 加えてPLが5Lv丁度だったので、多少強くなってくれる様に気持ち多めにシナリオを区切りました。しかしこれはあくまで目安ですので特に気にされる事無く流れに身を任せて適当なところで区切って頂いて構いません。

10へ
 『天国の残骸』10

 最終決戦が幕を開けます。
 宮廷魔術士が用意した魔法の鏡からは戦闘を開始した王都近郊の様子が伺えます。集結した連合討伐軍は壮観ですが、小国の国民のほとんどを媒介にして生まれた天使の軍勢はそれを遥かに上回る絶望的総数です。
 今は士気も高々に果敢に応戦する兵達も、あまり長くはもたないでしょう。
 宮廷魔術士が城内部を伺うと、一行に用意はいいか?と確認をとり、
 一行と精鋭騎士達は王城の下層へ転移します。
 城の構造や、転移する場所はお任せしますが、起こりうるイベントを幾つか記入しておきます。重要なモノには☆をつけておきます。

 【ある程度城内を登った所で、巨大な根によって道が塞がっている。】
 ・ここでは一回、窓やテラスから騎士の案内で外に出て迂回し街の様子を一望出来ます。遠く城壁の付近で、討伐軍と天使の苛烈な戦闘が行われています。また城下街では、取り残された市民の一部が鍬や武器を持って天使と応戦する姿が見受けられるかもしれません。アグリが同行している時に限りますが、Cに関連のある娘などがその中に見え、一時的にアグリと共にパーティーを離脱して助けに行くなんて事があったら最高に燃えますね。そうでなければただの絶望イベントになりそうなのでお勧めは出来ません)
 ☆【階下から押し寄せてくる天使達】
 ・一行を先に行かせる為に騎士達が階段で足止めをします。案内役を残して、騎士達は決死の覚悟でその場に留まります。
 【立ち塞がる天使の群れ】
 ・一室では大量の天使が待ち構えています。必死に応戦しますが、それでも厳しいかもしれません。アグリが同行しているならアグリが、居ないのであれば騎士がある程度のところで呪符を一枚使うよう進言します。
 呪符を行使すると、その天使を中心に天使達は悶絶しながら灰のように朽ちて行きますが、城の根は消えず、窓の景色からは未だ宙を舞い交戦する天使の姿が伺えます。端末を幾ら破壊しても、本体には影響がない事をここで明確にして下さい。(ただし、PL達は呪符を使う事を結構嫌がるので、最悪ぐだるかもしれません、ですので、今思うと無くても良かったかなぁと)
 ☆【最上階手前】
 ・そこでは師匠こと、狂ったハイエルフが二人の天使と共に待ち構えています。アグリが同行しているのなら、男の顔の天使は英雄アルサイム。女の顔の天使は彼の妻であるという事が判明します。
 師匠はここで一行に、特にBに重点を置いて話しかけます。

 「来たか、貴様らならば来るとは思っていた。Aよ行くがいい、今のお前が○○(妹)に何が出来るか、その目で見届けるが良い」
 そう言ってAのみを通路の先にある最上階への階段に通します。
 そして中ボス戦が始まります。ここで経過したラウンド数をGMは記録しておいて下さい。そのロスを挟んでAを除いた一行は最上階に到着します。

 「・・・Bよ、私が憎いか?」

 「不思議なものだな、悠久の時の中にあって、私が唯一安らぎを感じたのはお前と過ごした一時だけだ。下等な種族である筈の、・・・お前だけだ」

 「B、こちらに来い。お前が望むなら、私が新たに築く世界の半分をくれてやってもいい」

 Bの最大の山場です。正直どうなるか分かりません。(私がGMをした際は「欲しい!」と言ったものの周りのPLの冷たい視線にBは撤回しました)この時、Bが騙し討ちでもすれば状況は一気に片付いてしまうかもしれません。Bが騙まし討ち、或いは断った際に師匠は
 
 「それがお前の答えか、Bッ!」

 などと言い。中ボス戦が始まります。
 英雄アルサイムとアグリの妻は他の天使達に比べ高い能力を持った精鋭です。
 記述を忘れていましたが、天使は『精神に関する魔法の抵抗に+4の修正』があります。この精鋭に関しては『魔法の抵抗に+4の修正』があります。
 細かな詳細は例によりお任せしますが、アグリが同行している際はGMの負担を減らす為、階下から適当な数の天使を襲来させ案内を足止めに使って手を抜いて下さい。
 アグリが居る場合は天使達を一挙に引き受け、適当な処でライトニングバインドで片付けてしまうでしょう。この時、妻に対する躊躇いが、展開にゆとりを持たせてくれます。おのずと師匠の相手はBとCが引き受ける事になります。アグリが居ない場合でも、呪符を使えば天使は瞬殺でしょう。
 3で前述した通り師匠は強力なハイエルフです。強いです。やばくなったらアグリや騎士が積極的にサポートして下さい。
 ですがエルフですので恐らく、そう長くはかかりません。師匠は最期、Bに対し

 「私は・・・何を求めていたのだろうか?今、貴様に葬られ、地に伏しているというのに・・・、そうか、B、お前が、お前こそが・・・私の・・・」
 そう言って息絶えます。

11へ
 『天国の残骸』11

 Aが最上階に辿り着くとそこは根に覆われ、床一面にネトついた粘液が滴っている薄暗い部屋です。
 その暗がりの奥、一際太い根に半身を同化させた妹が、虚ろな眼でこちらを見ています。Aが近づくと妹はその足音に「・・・兄さん?」と反応します。
 しかしAが何を言っても妹は反応を示さず、あさっての方向を見て、

 「誰?誰なの?どうして何も言わないの?」「やだ、怖いよ」「何も見えないよ・・・寒いよ、兄さん」「お父さん・・・」
 
 などと呟き続け、Aが何らかの行動に出ようとした際突如背後から、何処か聞き覚えのある声が飛んできます。

 「どうした?○○(妹)、怖い夢でも観たのか?」(Aの口調で)

 それはシルエットだけはいつかのAを真似た乳白色のエデンです。
 また妹をAから遮る様に

 「まったく、○○の怖がりも直らんなぁw」

 父の声で、父のシルエットで作られたエデンの塊が出現します。妹は「恐ろしい魔物が近づいて来るの、お父さん、兄さん、私、怖いよ、助けて!」と泣き喚きます。

 「大丈夫だ○○、父さんと兄さんが、お前を守ってやる」

 そして戦闘が始まります。AのコピーはAと同様の能力を持っていますが、マジックアイテムはコピー出来ず、加えて装備の品質は劣っています。また魔法は使えませんが、触手を利用したそれに類する簡単な攻撃を仕掛けてきます。
 父のコピーは装備こそ貧弱ですが、優秀な冒険者であった全盛期の力を反映している強敵です。父の詳細はお任せします。
 この戦闘では先の師匠戦のロス時間を計算して、時間と共に一行(またはアグリも)が到着していきます。尚、これから先の展開はAがファイターであった事を前提に進行しますので、ルーンマスターである場合は独自の場面展開を調整して下さい。
 一行が、幾らAと父もどきを倒しても、次から次へと湧いてきます。隙を見てGMは再びAを妹の下へ誘導して下さい。アグリが同行している場合はCが、アグリにギアスの解除を求めるかもしれません。展開には大して変化はありませんが、厚みは増すかもしれません。かくしてA最大の山場です。
 
 Aが妹に触れると(またはギアスを解除すると)妹は一瞬だけ奇跡的に意識を取り戻します。妹はAを見て「来てくれたんですね、兄さん」と安堵の笑みを浮かべますがすぐに苦痛に顔を歪めます。

 「駄目、もう、抑え切れない、お願い・・・兄さん、私を殺して・・・このままじゃ、兄さんの事も、分からなくなっちゃう・・・」

 そしてAが、呪符を行使すると妹は痛烈な悲鳴を上げ崩壊が始まります。
 猛烈な勢いで周囲の根が灰のようにボロボロと朽ちていき、薄暗かった室内には窓から陽光が差し込み吹き抜けた風が白い灰を青空へと攫っていきます。
 窓の景色からは外でも同様の事が起こり、街中から天に向かって白い灰が昇っていくのが伺えます。妹は
 
 「兄さん痛いよ!苦しい!?助けて!早く、あたしを!殺して!!」

 と懇願します。Aが手にした武器(ここでは遺品として託されたグレートソードでしたが、鈍器だったら最悪ですね)彼女に止めを刺すと、剣はその刀身が半ばまで折れます。彼女は笑みを浮かべ

 「ありがとう兄さん、お父さん」

 的な事を言って、剣の刀身もろとも同化した根とともに崩壊を始め、天へと昇って行きます。(この時GMはグレンラガンが大好きだったので「愛してるわ、兄さん」と言わせました)
 しかし、何もかも消え去ったと思われたその時、部屋の片隅でうずくまる何かを一行は目にします。Aのコピーです。
 コピーは「○○助ける」「俺の妹・・・」「妹・・・!」「あああああああああああああああああ!!!」と恐慌しながら屋上へと逃げていきます。

 ラスボス戦が始まります。

12へ
 『天国の残骸』12 

 ―最終章―

 屋上で一行が目にしたのはつぼみと同化するコピーの姿です。
 巨大なつぼみを取り込んだコピーは、六対の神々しい翼を持った巨大な天使の姿へと変貌します。(推奨BGMは賛美歌)
 吸収直後は体中がグニャグニャと蠢き、様々な人間の貌を浮かび上がらせますが、しばし苦悶の表情を浮かべ

 『○○は!「私が」「我が」「余が」「僕が」「あたしが」「俺が」』

 「『「 助ける!!! 」』」

 と叫んだ後、妹の顔に定着して一行に襲い掛かります。
 大天使の能力は天使が持ち得る全ての能力です。かなりの強敵にして下さい。
 戦闘開始から1ラウンド後、愛用の武器の無いAの足元に上空から一本の純白の剣が突き刺さります。それはへし折れた父の形見と同様の形状で、刀身には「○○からAへ」と刻まれています。
 Aが握り構えると精神点を五点消費して刀身を蒼い焔が覆います(※ファイアウエポン)剣自体の能力は高品質の+2〜3のグレートソードです。また、エンゼルキラーの特殊能力が付加されており、魔神、天使のクリティカルに−1。加えて天使はこの剣で与えた傷を再生出来ません。

 大天使を討伐した後、最期に残ったのは未だ「妹を助ける・・・」などと呻き続けるコピーの姿です。その姿にAは妹を救えなかった自身を投影し、また、それに自ら剣を突き立てる事で、それと決別した。そんな心象風景をGMはそっと呟きます。(私はここで剣も共に消滅させましたが別に残しても良いです)
 しかし、そんな感情が剣と共に妹の下へ昇っていくのは、何だか、一つの救いの形にも思えます。
 
 こうして物語りは終結し、エピローグとなります。
 一行は英雄となり莫大な褒賞を賜ります。
 Bには師匠の遺品が託されるかもしれませんし、そこから新たな事件が始まるのも一興かもしれません。
 Cには、スウィートな展開が待っているかもしれません。
 案内役の騎士とは最早マブダチでしょう。
 
 そして、アグリが同行していた際。

 彼はCの前に現れます。この時、CがAやBにあの事を話していたならば、一行一同が集まった時でも構いません。アグリは二、三言葉を交わした後、自らにディスインテグレイトを詠唱します。
 彼は最早、魂さえも消し去りたい程に疲弊していたのです。

 「そんな顔をするな、始原の巨人の下へ還るだけだ」

 あくまで演出ですが、彼は爪先から徐々に金色の粒子に変わって行きます。

 「お前達との旅は、僅かな間ながらひどく充実したものだった」

 「お前達は、この世界で何を見つけ、何処へ辿り着くのだろうな?」

 「楽しかったよ」

 アグリは最後に破顔して笑みを浮かべ
 
 「礼を言おう!冒険者達よ!」

 そしてアグリは、ふわりと纏っていたローブだけを残し、風に攫われていきました。


 これにてキャンペーンは完全終了です。半分以上もトピックを使ってしまいトピ主様には何だか申し訳ないです。昔、ほとんどアドリブで進めた部分を言語化して具体的に並べたら想像を遥かに超える量になってしまいました。
 ホント、すんませんでした。
『天国の残骸』補足

 【エデン】
エデンに関する能力の詳細をまとめておきます。
・再生能力の付加
 これは大地に含まれる精霊力を吸収して、細胞を回復、または増殖させる能力です。基本的に無尽蔵な回復力を持つように思われますが、還元出来る精霊が「土」「植物」「生命」に限られています。その為、それらを封じる事によってこの能力は制限されます。
・弱点である「火」
 今回天使の息の根を止める数少ない弱点であった「火」ですが、これはエデン本来の性質とは異なっています。モマで繁殖し形成された「天使」は当時の民衆の中に根差した炎のイメージが、深層心理の中で強く死に直結していました。それ故に齎された弱点であり、形成される環境によっては様々な弱点、或いは完全無欠に近い被寄生者が誕生する可能性もあります。
・精神の共有・性質の理想化
 何故エデンにこのような能力が備えられているかというと、エデンが寄生した共同体の中で、繁殖に最も有用と思える方向性を被寄生者から抽出し、効率的にその数を増やす為のものです。被寄生者は、自ら細胞を差し出す事はありませんし、異なる生物に細胞を与える事を好みません。(生物として、仲間に食事を分け与える事はあっても、自ら食われようとは思いません)またそれ故に、極端に精神の欠落、あるいは無気力な状態の媒介にエデンを寄生させても、エデンは体内に吸収されず排泄されてしまいます。
 言うなればエデンは健康な精神に寄生し、肉体に影響を与える生物なのです。
・天使
 このキャンペーン内で登場した被寄生者の総称ですが、弱点で前述したようにこれは形成される共同体によって様々な変化を齎します。
 また流民の伝承の中で語られる被寄生者は、設定の中では巨大な剣を携えた戦士の姿をしています。巫女の存在も、この理想の多様性の中の一つの分岐だったのでしょう。また巫女の素質を備える者は、付随して精霊力を敏感に感じ取ることが出来ます。
・根について
 これは産卵の形態をとる為に必要な状態です。形こそ天使ではありませんが、根底ではまだ繋がった状態です。しかし他の根と直結し、巨大なものとなっている場合は、その統括意識をつぼみ、或いは融合した巫女に集めています。
・種(たね)としてのエデン
 エデンは寄生した共同体に限界が訪れる、または必要な養分が共同体内で蓄えられると産卵を始めます。養分が不足していた場合は単体が根のように変質し、そこから一輪の大きな花が咲いて幾つかの実を作ります。十分な産卵体勢が整っていた場合は、それらの根が直結し、なるべく高い位置に巨大な花をつけます。この場合、大量の実が作られるとともに異世界へのゲートをエデンは展開し、ばら撒きます。割合としては三分の一ほどが異世界へ運ばれるでしょう。
 生まれたての実、種の形態のエデンはそれまで共同体で蓄えた意識が全て取り払われたまっさらな状態です。これを移植しても、母体となった共同体からは異物として捉えられます。
 また、その形状は凄まじく美味しそうに見えます。これは他の動物も同様で本能の根元にある食欲を強く刺激します。

 以上の点を踏まえて、冒険者がエデンを食べたがったり、ロバに食わしたりした時は対応して下さい。

 【ラスボスに関して】
 何故、最後の崩壊でつぼみと、コピーはそれを免れたか。(友人に突っ込まれたのでついでに書いて置きます)
 つぼみに関しては、種の塊となった時点で指令系統が従来の天使とは異なっていた為、その崩壊を免れました。またつぼみ自体は天使と異なり(これは種にも言えますが)再生能力を持ちません。あっさり処理出来るでしょう。
 コピーに関してはAの意識が、自らを無意識にコピーに投影してしまった故に、妹の命令伝達から外れてしまったと考えていました。Aに巫女としての才能はありませんので、極端に意識の投影が容易かった媒介のみに作用した、ということです。
【エンゼルキラー】
 これは凝結した高密度のエデンの塊と考えて下さい。
 妹の最後の願いが大気に拡散したエデンの残骸と共鳴し、それに対抗する力を形成しました。繁殖能力は取り除かれていますが、何らかの方法で復活するかもしれません(妹の意識含めて)。余談ですが、『天国の残骸』の題の由来はこの剣から来ました。

 長々と失礼しました。静かにします。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。

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