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かこむを囲む会コミュの【 三銃士 】 〜 第五章 仲間 〜

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 「第四章 忠誠(後編)」より
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みんな黙ってイヌドーシャスの話に聞き入っていた。
イマムリオンも壁にもたれながら、考え事をしているようにうつむき静かだった。

『えぐっ・・・イヌドーシャス様、可愛そうですー・・・えぐ・・えぐっ。』
タニアイリスは号泣している様子。

『なるほどな・・・。あの時に俺達の横を過ぎていった馬はあんたらだったってことか。』
マツウラトスはこの宿に来るときの出来事を思い出していた。

『あの時は大変失礼致しました。』
イヌドーシャスも思い出したようで頭を下げる。

『そして追っ手を恐れとりあえず森へ逃げ込んだのですが、私が体調を崩してしまい・・・。あとは皆さんのご存知の通りです。』
イヌドーシャスは語り終えるとムカイヤマンと目を合わせた。

『イヌドーシャス様の説明したとおりだ。コンドリーザは躍起となって我々を探しているだろう。ここに居れば、皆に迷惑をかけることになる・・・。だから明日にはここを・・』
『何言ってんのよ!そんな話聞かされたら出て行かせるわけにはいかないじゃないの!お姫様のピ
ンチだってのに・・・あんたらだってそう思うだろ?』
ムラターニャがムカイヤマンの話を遮り立ち上がった。そして、3人の男達を眺める。

イマムリオンは笑みを浮かべると小さく頷いた。
マツウラトスもそれに応える。

ムカイヤマンとイヌドーシャスは戸惑いと驚きの表情で顔を合わせた。

『俺はごめんだね!』
ずっと黙って聞いていたオーイスが口を開く。
『おいおい、お前ら正気か?たとえ腐ってるとはいえ一国を相手に喧嘩しようなんてどうかしてるぜ!いつもの喧嘩とはわけが違う。怪我じゃ済まないかもしれないんだぜ?俺はごめんだね。』

『あんたそれでも男かい!?』
ムラターニャが一喝する。

『うるせぇ!男だが、命まで捨てる義理はねぇ!大体、姫さん達だって行き当たりばったりで飛び出してきてるじゃねぇか?そんなのに手を貸せるか!』
オーイスはそう言うと一人部屋に下がっていった。

周りにまた沈黙が流れる。

『気にしないでください。アイツはいつもあんな感じですから・・・』
イマムリオンは笑顔でイヌドーシャスとムカイヤマンへ言った。

『いや、オーイス殿の言うことは間違いではない。我々は確かに行き当たりばったりでここにいる。この先どうしたらいいのかも正直分からないのだ・・・。』
ムカイヤマンは拳を強く握り締めた。

『なぁに大丈夫さ。これからの計画をたてる為の頭脳がここにいるからな。』
マツウラトスがニヤリと笑いながらイマムリオンに目をやった。
『ふ・・・そうだな。お前みたいな怪力もいれば怖いものも無いだろうしな。』
イマムリオンがそれに応える。

『それじゃあ・・・?』
ムラターニャが2人を見つめる。

『ああ、これも何かの縁です。喜んで手を貸しましょう。』
イマムリオンはムカイヤマンらに大きくうなずいた。

『・・・・・ありがとうございます・・・』
イヌドーシャスは瞳をにじませながらムカイヤマンと共に深々と頭を下げた。

『さて、話もまとまったところで夕食にするかね。タニアイリス、手伝っておくれ。』
『はい〜・・・ぐすん。』
ムラターニャはタニアイリスと奥へ消えていった。

『これからですが、あなた方を城が必死に探しているのは間違いないでしょう。なので、外出は控えここで待機してもらいたい。情報収集などは我々が行います。ここに居る以上見つかることは無いと思いますが、用心するに越したことはありません。注意してください。』
『わかりました。』
イヌドーシャスはうなずいた。

『・・・・・・たくっ、どうかしてるぜ・・・』
二階から一人皆を見つめながらオーイスは静かに呟いた。


そして、外で聞き耳を立てていた影がひとつ・・・
『ふふ、いい事を聞いてしまった・・・。』
影は街へ向けて足早に去っていった。



翌早朝、オーイスは荷物をまとめて出て行った。
ムラターニャ達は心配したが、マツウラトスとイマムリオンは『いつもの事』と至って冷静だった。

その頃オーイスは街を歩いていた。このまま街を出る前に飲みたい気分だがこんな朝早くに開いている店などあるはずも無い・・・・と思われた時、一軒の看板が目に入る。
【スナック憂姫~ユウキ~】とかかれたその看板は、この街には全く似合わない異色なものに感じる。
カランカラン・・・オーイスは店の扉を開ける。
店内は薄暗く、赤っぽい明かりに統一されておりなんとも妖艶な雰囲気であった。内装も、この国のものではないようだった。

『なんだこの店・・・』
オーイスは恐る恐る店内へ進む。

『あら、いらっしゃい』
突如、カウンターから声がする。その方向を見ると壁にもたれながらタバコを燻らす一人の女性。
戸惑うオーイスを、席へ誘う。
『こんな時間からお客さんなんて珍しいわね。』
『変わった店っすね・・・』
ソファーに腰をおろしながらオーイスは辺りを見渡す。
『そう?銀座や六本木じゃ定番よ?』
『・・・ぎんざ?ろっぽんぎ・・・??』
『まぁ、いいわ。エリちゃ〜ん?』
女はカウンターの奥へ向かって誰かを呼んだ。
『はーい』
奥からまた女性が出てくる。
『エリちゃん、お客さん。相手してあげてね。』
そういうと、最初の女はカウンターへ戻っていった。
『エリです。いらっしゃいませ。』
オーイスはエリと名乗るその女性に心打たれた。いきなり手を握り締め。
『・・・・結婚してください。』
エリは一瞬唖然とすると噴き出した。
『あははは、変な人ですねー!頭おかしいんじゃないですかぁ?あー面白い。』
『そ、そう?わはは。』
オーイスも照れ笑い。その後しばらく一緒に飲んだ。

『エリちゃん、どんな男が好きなの?』
オーイスが尋ねる。
『んー、すっごい頼りになって、何でも命かけてでも頑張る人。』
エリが応える。
『・・・・・。で、でもさ死んだら意味なくね?』
『んー、でも逃げてるよりマシじゃない?そういえば、お客さんてヘタレなタイプだよねきっと。』
『ひどいね、エリちゃ〜ん。』
そしてオーイスは少し黙り込んだ。

『よし、今日は帰るわ。』
そう言うとオーイスは店を出ていった。

店を出ると、一人の男を見かける。
『アイツ確か・・・』
オーイスは男を呼び止めた。
『お前、カルベス・・・だったよな?』
カルベスはオーイスの顔を見ると慌てて逃げようとする。
『ちょいちょい、なんで逃げるのよ?』
オーイスはカルベスを捕まえる。
『いや、その・・・ボクは何もしてないです。』
カルベスは明らかに動揺している。そして、胸に抱えた袋を隠すように脇にずらした。
オーイスはそれを見逃さず、さっとその袋を取ると中を明けた。
『こりゃ、何よ?』
『あ、これは僕が頂いた・・・』
中には金貨が詰まっていた。
『おいおい、なんでこんなもん持ち歩いて・・・?』
カルベスはさっと袋を取り返すと強い口調でオーイスに言った。
『コレは僕がコンドリーザ様から人探しの礼として頂いたものだ!』
『人探しだと?』
『お前らの泊まっている宿にお姫様が居るみたいじゃないか。昨日聞いちゃったんだ。だからそれを教えてあげただけだ!』
カルベスはそう言うとずれたメガネを正す。
『お前・・・なんてこと。』
オーイスの表情に汗が流れた。
『僕は国民の義務として・・・』
『クソが!!!』
オーイスは胸倉を掴んだままカルベスを突き飛ばした、カルベスは転がり金貨が道に散らばった。それを尻目に来た道をオーイスは全速力で駆け出すのであった。


カムシーでは危機がおとずれていた。

『この宿の者はいるか!!』
ムラターニャが玄関を開けるとそこに立っていたのは城の兵士と思われる大柄な男が二人。
『何かご用かしら?』
ムラターニャは怪訝そうに尋ねる。
『この宿に、城が探しているある犯罪者が潜伏しているとの情報が入っている。よって宿の中を検めさせていただく!』
そういうと2人の男はどかどかと上がり込んでくる。
『ちょっとそんな人は居ないよ!勝手にあがりこんでなんなのさ!』
『それは調べればわかること!ええい、どけ!』
兵士は抵抗するムラターニャを振り飛ばした。ムラターニャは床に倒れ込み、タニアイリスが駆け寄る。
兵士達は台所、居間、客室を乱暴に調べていく。そして1階を一通り調べ終わると2階へ向かった。
同じように1つ1つ客室を調べていく。しかし何も見つかることは無く最後の部屋の前に来た。
『ここが最後だ!』

ただ、その扉の向こうにはイヌドーシャスとムカイヤマン、そしてマツウラトスが息を潜めていたのだ。
宿に兵士がやってきたのを見たムカイヤマンの瞬時の判断でこの部屋に隠れたのであった。

兵士が扉に手をかける。ムカイヤマンとマツウラトスは心臓の鼓動が早くなる。汗が頬を伝うのも感じる。そして持った武器に手をかけ体勢を構えた。後でイヌドーシャスも祈るしか術が無かった。
その時だった。
『ちょい待ちなよ兵隊さん。』
イマムリオンである。
『なんだ貴様は?』
兵士は振り向き不審な目でイマムリオンを睨んだ。
『そんな怖い目で睨まないでくれよ。私はただのここの客だ。でも、その部屋に入るのは止めといた方が言いと思うなぁ。』
『なぜだ?何か隠しているのか?』
兵士はますます怪しい目つきでイマムリオンを眺めた。
『いや、そうじゃないけどね。その部屋にはある病人が隔離されているのだよ。それが酷いもんでね〜』
イマムリオンはため息をつきながら続ける。
『医者もさじを投げた病らしくてね、髪は抜け、肉は腐り、そりゃあ酷いもんだよ。しかもこれが伝染病ってんだから怖いものでね・・・。』
イマムリオンは兵士に近づきニヤリと笑う。
『・・・・伝染っても知らないよ?構わないなら入って調べていくといい。』
『・・・・。』
兵士2人は顔を見合わせごくりと唾を飲んだ。
『う、うーむ・・・そんな部屋なら誰も隠れてるとは思えんしな・・・。よし引き上げるぞ!』
兵士達は扉からそそくさと離れる。
『とんだガセ情報だったようだな。あのカルベスとかいう男、覚悟しとけよ・・・』
そして宿から去っていった。
部屋の中のムカイヤマンたちは安堵の深いため息をつき、身体の力が一気に抜けたようだった。
『変な汗かいちまったぜ・・・』
マツウラトス達が部屋から出てくる。

『思い出しました!!』
突然、イヌドーシャスが叫ぶ。
『!?・・・どうかされましたか?』
皆驚き、ムカイヤマンが尋ねる。
『私あれからずっと考えていたのですけれども、私達が城から出るときに手引きしてくれたあの馬番の者・・・』
『ああ、あの者ですね・・・。それが何か?』
『あの者の顔をずっとどこかで見たことがあると思っていたのですが、思い出したのです。あれは、ずっと母の従者として仕えていた者です。名は確か・・・コンドフィーリア。馬番の少年のような格好をしてはいましたが、あの顔間違いないかと・・・。』
イヌドーシャスは小さくうなずく。
『それが本当なら、彼女はどうしてそんな所にいるのだろうか?』
イマムリオンは腕を組んだ。
『それは解りません。ただ、母が亡くなったのと同時に行方もわからなくなったと聞いていましたが・・・。』
イヌドーシャスも不思議そうに首をかしげた。すると、イマムリオンは何かを閃いたように話す。
『そうだ、もし彼女がマンターリシャス女王の従者だとしたら、死の真相も何か知っているかもしれないな。』
『確かにそうかもしれねぇが、どうやって確かめるよ?』
マツウラトスが尋ねる。
『連れて来るしかないよなぁ。』
イマムリオンはにんまり笑みを浮かべながら応えた。
『!?』
イヌドーシャスとムカイヤマンは驚き顔を見合わせる。
『な・・・城に入り、彼女を連れてくるというのか!?危険すぎる!』
ムカイヤマンが勢いよく立ち上がり異議を唱える。しかしイマムリオンは慌てなかった。
『うん、確かに危険だがそれしか方法は無いよ。それに、さすがに私も勝算も何もなく言っているわけではない。』
『・・・・何かよい手があるのですか?』
ムカイヤマンはまたゆっくりと腰を落ち着けた。
『うーん・・・勝算というよりは自信かな。これをやるのに最適な人物が居る。』
『最適な人物・・・ですか?』
イヌドーシャスも興味深く尋ねる。
『その人物ならばきっとやり遂げられるだろう。それは・・・』

『俺しかいないよなぁ・・・!』
突然の声に皆が振り向く。そこにはオーイスが少し息を切らせながら立っていた。

『オーイス殿!』
ムカイヤマン達は驚いた。しかし、イマムリオンとマツウラトスは予想通りというような様子であった。

『おかえりオーイス。買い物にでも行ってたか?』
『あ、ああ…まあな。』
イマムリオンの笑顔の問いかけにオーイスは恥ずかしそうに頭を掻いた。

そしてイマムリオンは話を続けた。
『そう、この計画はこのオーイスにやってもらう。』
イマムリオンはオーイスの肩をたたいた。

『こいつはどうしようもない奴だが、逃げ足も速いし身が軽い。今回の策をやるには死んだり捕まったりすることは許されねぇ。だからこそコイツが一番適任なのさ。そうだろイマムリオン?』
マツウラトスが後からゆっくりと呟く。
イマムリオンもそれに静かにうなずいた。

『し、仕方ねぇなー!そんなに頼まれちゃあ断れねえな。ハハハ』
オーイスは少し重くなった空気を払うかのように笑った。
『なぁに、俺がちゃっちゃっとそのナントカっていう女を連れてきてやんよ☆』
そう言うとオーイスはムカイヤマンとイヌドーシャスに胸を張った。

『よろしく頼みます・・・』
イヌドーシャスは頭を下げた。

『明日の早朝に城に入る。これからその詳細な計画を我々の部屋で打ち合わせる。ムカイヤマン殿とイヌドーシャス殿はそのコンドフィーリアという女性の特徴など細かく教えて欲しい。』
『わかりました。』
イヌドーシャスは小さく強くうなずいた。

物語の最後の歯車がいまゆっくりと回りだしたのである。


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 「第六章 冷雨」に続く
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