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かこむを囲む会コミュの【 三銃士 】 〜 最終章 光(前編) 〜

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 「第六章 冷雨」より
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──────数日後、イービス城。

早朝、兵士の一人が血相を変えて大広間へ駈け込んできた。
「こ、コンドリーザ様ぁー!!!」
「なんじゃ、朝から騒々しい・・・・。」
朝の一息をついてるところに水を注され少し不機嫌そうにコンドリーザが睨んだ。

「し、城が!大勢・・!みんな・・」
「だから、何だと言うのだ!!」
全く言葉にならない兵士にさらにコンドリーザの苛立ちが頂点に達したときだった。

「ん?何なら外が騒がしいな。」
窓の外からするざわつきに異変を感じたコンドリーザ。
「ヨシカワージャ、ちょっと窓から下の様子を見て参れ。」
コンドリーザの肩を揉んでいたヨシカワージャは窓から様子と伺うと目を疑った。
「コンドリーザ様!城の周りにたくさんの人が居ますー!」
「何っ!?」
コンドリーザも驚き窓から見下ろした。

そこには、城の周りを取り囲むかのように民衆が溢れていたのだ。
人々はそれぞれ棒や鎌などの想い想いの武器を持ち何かを叫んでいる。

『マンターリシャス様万歳!マンターリシャス様万歳!』

民衆は亡き女王の名前を叫ぶ。そして民衆の数はどんどん増えていった。
コンドリーザは言葉を失った。

そこへ静かにフジドーシャスがやってくる。
「何やら、外は大変な事になっているようですね・・・。」
そう言いながらもフジドーシャスの顔にはうっすら笑みが浮かんでいるようだった。

「きー!忌々しい!ハーラモはおるか!!」
コンドリーザは叫ぶ。

「ここに。」
ハーラモが姿を現す。
「一体どうなっているのだ!」
「ご覧の通り、民衆が城に押し寄せております。城門は我が兵で抑えておりますので今は問題ありませんが、早急に対処しないと大変なことになります。」
苛立つコンドリーザと反対にハーラモは淡々と説明した。
「そしてこの騒ぎの首謀者とも思われる者が・・・」
「誰じゃ!?」
コンドリーザは今までに無い形相でハーラモに詰め寄った。ハーラモは静かに答えた。

「──────イヌドーシャス様のようです。」




─────────

──────

───


湧き上がる民衆の中、イヌドーシャスは馬にまたがり城門の前にいた。その横にはムカイヤマン、そして後にはイマムリオン、マツウラトス、オーイスの馬も並ぶ。

「まさか、このような事になるなんて思いもしていませんでした。」
イヌドーシャスは呟いた。
「これは国民が貴女の母上を慕っていたからこそ、そしてこれが貴女の母マンターリシャス様の偉大なのですよ。」
イマムリオンは応える。イヌドーシャスは静かに瞳を閉じると、一粒の涙が頬を伝った。

「それにしても、イマムリオン殿には驚かされます。たった数日でここまでにさせるとは・・・。」
ムカイヤマンは民衆を見渡した。




───────数日前。



カムシーにサカイヤとキタムージャが訪れる。
「イマムリオンさんの言ったとおりにしたら、すごい街中が騒ぎになってるよー。」
「そうですか、上手くいきましたね。」
イマムリオンは微笑んだ。

「そろそろ教えてくれても良いんじゃない?」
ムラターニャは不思議そうに尋ねる。イマムリオンはゆっくり語りだした。

「我々だけであの一城を相手にしても結果は見えていました。」
そしてイマムリオンは窓から見える小川を眺めながら続けた。

「小さな水の流れで流せるものなどはたかが知れてます。しかし、その流れが大きくなれば城でさえも流してしまうものになる・・・。」
一同は不思議そうに首をかしげた。

「街の人間だな・・・?」
マツウラトスが呟き、イマムリオンが笑う。

「街の人々を巻き込むというのですか!?それだけはなりません!」
イヌドーシャスはイマムリオンに詰め寄る。

「まぁ落ち着いてくださいイヌドーシャス様。私も別に街の人間を犠牲にしようとは思っていませんよ。」
イマムリオンはイヌドーシャスをなだめた。
「しかし、今や街の人間は不満なども溜まっているのも事実。無謀な暴動に走るのも時間の問題な状態です。」
イヌドーシャスは俯き黙り込んだ。

マンターリシャスの死後、暗くなりがちの街には、実際に色々な噂が流れていた。イヌドーシャスも殺されたのではないか?コンドリーザにマンターリシャスは殺されたのではないか?真実がわからないまま、街の人間の城への不信感は日に日に高まっていった。

「このまま住人の城への不信感が強まれば、今後の国の反映にも影響が出ます。ここで街の人間と貴女が手を結ぶべきなのです。」
イマムリオンはイヌドーシャスを見つめた。
「私が・・・?」
「そう、マンターリシャス様の亡き今、次にこの国を治めるのは貴女しかいない。街の人間もきっとそれを望むでしょう。」
不安そうにするイヌドーシャスにイマムリオンは優しく説いた。

「イマムリオン殿のおっしゃる通り、この国を治めるのはイヌドーシャス様しかおられません!今、街の人々と共に城を取り戻そうではありませんか。大丈夫です、私がずっと側におりますゆえ・・・」
ムカイヤマンも立ち上がった。

「そこで私は街中を回っているサカイヤさんに、『イヌドーシャス様は生きており共に戦いたいと言うことを望んでいる。』という事を言い広めてもらったんだ。』
イマムリオンはサカイヤを横目で見る。

「そしたら街のみんな驚いてたよー!一気に噂広がったみたい。」
サカイヤは嬉しそうに話した。
「サカイヤちゃんに頼まれて私も協力したのよさ!」
キタムージャも胸を張る。
「そしたら、今日街で聞いたんだけどねー、明日の早朝街の人たちが中央広場に集まるみたいー。」

それを聞いたイマムリオンは笑みを浮かべると改めて皆に言う。
「お聞きの通り明日がその日になりそうだ。明日我々も街の中央広場に向かう。イヌドーシャス様も良いですね?今回の民衆を率いるのは貴女ですからね。」
イヌドーシャスは周りのまなざしを確認すると、小さく頷いた。


次の日、太陽が昇りきらない中の中央広場には街中の人間が集まっていた。
『マンターリシャス様の敵だ!!』
『城を取り戻せ!!』
『魔女をいぶり出せ!』
人々は口々に叫び、熱気に満ちていた。

そこへ広場の東の台の上に人影が現れる。
その人影はだんだんと背中から昇りゆく陽の光に照らされていく。

『おい、あれを見てみろ・・・』
人々は人影を見つけるとざわめいた。

『イヌドーシャス様だ・・・』
『イヌドーシャス様が参られた!噂は本当だったんだ!』

太陽がまぶしくイヌドーシャスを照らす。

『マンターリシャス様の若き頃にそっくりじゃ・・・マンターリシャス様が甦り我々の元に参られたのじゃ!!』
老人が叫ぶ。陽の光によって照らされたその姿はマンターリシャスによく似ていた。美しく、気高く・・・
人々はどよめき、涙を流すものさえ居た。

イヌドーシャスは人場に集う多くの人々を目の前にし、改めて喜びと花の偉大さを感じるのであった。
イヌドーシャスは馬からおりると、ゆっくりと民衆の前に進み口を開く。
「イービス王国の民の皆さん、私はマンターリシャスの娘イヌドーシャスです。」
広場の人々の視線はイヌドーシャスへ向けられ、静まり返った。

「イービス王国の国民の皆さん、今国の未来は危うい状態です。母の愛したこの国を今一度取り戻す為に皆さんのお力を私にお貸しいただけませんでしょうか?」
国民はイヌドーシャスの言葉を真剣に聞き入る。
「ただ、『民は国の宝』と母やお爺さまもおっしゃっておりました。皆さんから犠牲が出ることは避けねばなりません。その為に私達は頼もしい仲間を得ることが出来ました。」
イヌドーシャスはイマムリオンら3人を紹介する。そして大きく深呼吸する。

「私たちに力をお貸し下さい。」
イヌドーシャスは頭を下げた。それも見たムカイヤマンも頭を低くした。

『・・・シャス・・・ドーシャス・・・イヌドーシャス・・・イヌドーシャス!イヌドーシャス!!』

清聴していた民衆からポツリポツリと声が上がる。それは次第に共鳴していき、最後には大きな歓声へと変わった。

「さぁ、イヌドーシャス様の後につづけ!!」
ムカイヤマンが叫ぶ。
イヌドーシャスたちはゆっくりと城に向けて進みだした。


───


──────


─────────

「さぁ、仕事するぜぇ・・・」
マツウラトスが門の正面に移動し指を鳴らす。その横には大きな一本の丸太を数人がかりで屈強な男達が抱えて控えていた。
「さぁ、一気にぶち当たれぃ!!」

『オオオオオォォォォーー!』
マツウラトスの合図と共に男達は走り出し、丸太をまるで鐘付きのように門に叩きつけた。
凄まじい音が響き渡る。しかし、さすがに強固な門はびくともしない。
「さか、もういっちょお!!」

その音は、城内にも伝わっていた。

コンドリーザは険しい表情を浮かべながら腕を組み考え込んでいた。
城内から響く音と振動がするたびに表情はいっそう険しくなった。

「どうするんですかー。もう逃げちゃいましょうよ。」
ヨシカワージャもコンドリーザと窓の間を行ったり来たりを繰り返す。

「お母様・・・」
そこへフカダールが心配そうな顔を浮かべてやってくる。
「おおフカダールや、そんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫よ。お前には指一本触れさせないからね。」
コンドリーザはフカダールを抱きしめる。

「そんな悠長なこと言ってられますかね。」
フジドーシャスもやってくる。
「民衆は女王の敵である叔母さまを黙って放っておくわけは無いと思いますけど?」
フジドーシャスは不適な笑みを浮かべた。

「だから、前も言った様に私はお前達の母親を殺してなどおらん!」
コンドリーザは強い口調で返す。
「何を今更言うのですか!!」
フジドーシャスから笑みが消え、キッと反論する。

沈黙が続く。

その時だった、城門から今までに無い大きな音と振動が響き渡った。

兵士が走ってやってくる。
「城門が破られました!!!民衆は城の正面入り口を完全に占拠した模様です!」

「・・・・・」
コンドリーザはドサっと椅子に座りこむ天を仰いだ。

その頃、城門では完全に入口を占領したイヌドーシャス達が動こうとしていた。
「城内へは我々のみが入る!民衆の者達はこの場で待機するのだ!無理はするな!!」
ムカイヤマンが叫ぶ。そしてイヌドーシャス達は一気に城内へ入っていった。

イヌドーシャス達は城を進む。襲ってくる兵士達をムカイヤマン、オーイス、イマムリオンが蹴散らす。
マツウラトスもしんがりを勤めながら、後を堅く守っていた。

「このまま大広間へ向かいます。きっとそこにコンドリーザ達はいるはずです!」
イヌドーシャスが走りながら叫ぶ。
その時、急にムカイヤマン達の足が止まる。

「で、出たー!!」
オーイスが声を上げた。
その先にはハーラモが立ちふさがっていた。

「これはこれは“新人”君・・・」
ハーラモは不敵な笑みを浮かべる。

「そこを通して頂きたい!」
イマムリオンがハーラモに頼む。するとハーラモは何も言わずに剣を重々しく抜いた。
「こいつぁ、厄介だぜ・・・」
オーイスはムカイヤマン達の後にさりげなく隠れながら呟いた。

「ここは俺が・・・・」
前に出ようとするマツウラトスを、スッと伸びた腕が静止する。

「ここは私にお任せ下さい。」
ムカイヤマンが前に出る。
「ムカイヤマン!」
イヌドーシャスが心配そうに見つめる。
「ご心配なさらずに。すぐに追いつきますから・・・。イマムリオン殿、イヌドーシャス様を頼みます。」
ムカイヤマンはイヌドーシャスに笑顔を見せると、ハーラモを見つめ剣をゆっくりと抜いた。

「ムカイヤマン・・・。やっとお前と決着をつけられるなぁ・・・。いつもお前にやられてばかりだったが、今日の俺は違うぜ・・・?」
ハーラモは不適な笑みを浮かべながらムカイヤマンを見つめた。
「ハーラモ殿、こんなところに居ていいのか?コンドリーザ様をお側でお守りするのが貴殿の役目ではないのか?」
ムカイヤマンが尋にハーラモは笑い出す。
「くくく・・・ははははは。コンドリーザ様ねぇ。俺はな、正直この城やコンドリーザがどうなろうとどうだって良いのさ・・・。」
「?」
「俺は、戦いの中にのみ己の存在意義を感じる。その欲求を満足させてくれそうだったからここにいただけだ。だから、忠義だの何だのと言うものは俺には最初から持ち合わせていない。俺が求めるのは“戦い”だけだ。」
ハーラモは剣を目の前に掲げ、刃に移った自分の顔を眺め話し続ける。
「だから、ここが無くなれば他の場所に移るのみ・・・。だが、その前にお前だけは倒しておかないと前には進めない。だからこの場で俺に斬られろムカイヤマン。」
ハーラモは剣先をムカイヤマンに向けた。
「・・・・・・。」
ムカイヤマンは何も言わずに黙ってハーラモを見つめた。
「それとも、そこのお姫様を先に斬ったほうが戦いやすいか?」
ハーラモはイヌドーシャスに目線を向ける。
「・・・・わかった。」
ムカイヤマンはハーラモを睨んだ。
「イヌドーシャス様に傷ひとつつけてみろ・・・。お前のその大きな身体と首がお別れすることになるぞ。」
「ふははは!面白い!!やってみろ!!!」
そう叫ぶとハーラモがムカイヤマンに斬りかかる。ムカイヤマンの剣とぶつかり火花が散るほどの凄まじい音が響く。
その後も剣と剣のぶつかり合いが続く。
「さぁ、イマムリオン殿!今のうちに!」
ムカイヤマンの叫びを合図に、一同は再度走り出した。イヌドーシャスは何度もムカイヤマンを心配そうに振り返る。
「大丈夫ですよ。彼女を信じて・・・!」
イマムリオンの呼びかけにイヌドーシャスは小さく頷きもう振り返らなかった。





イマムリオン達は大広間にたどり着いた。しかし、そこには誰もいなかった。
ただ、先ほどまでいたような空気だけはしっかり漂っている。
「おいおい、みんな逃げちゃったんじゃないのぉ?」
オーイスが辺りを見渡した。
「そんなはずは・・・フジドーシャス!フジドーシャス!」
イヌドーシャスは妹を呼んだその時だった。

「きゃあああああぁぁぁ!!」
女性の悲鳴に一同は驚く。
「この声は・・・まさか」
イヌドーシャスは血相を変えて慌てて声の方向へ走り出した。一同も後に続く。

奥の間の入り口にフジドーシャスとイシモリンヌが座り込んでいた。
「フジドーシャス!!!」
イヌドーシャスはフジドーシャスをみつけるとそのまま抱きしめた。
「お姉さま・・・!」
フジドーシャスも力強く抱きしめ、涙が溢れた。
「一体どうしたの?」
イヌドーシャスが尋ねる。
「叔母さまが・・・」
フジドーシャスの身体が震える。イマムリオンが慎重に部屋に入るとそこには目を疑う光景が存在していた。
「!?・・・これは一体・・・」

そこには椅子に座りながら息絶えているコンドリーザの姿だった。
胸には短剣が深々と突き刺さり、コンドリーザのドレスを真紅に染め上げるのだった。


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 「最終章 光(後編)」に続く
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