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ミラレパコミュの灰色の岩のヴァジュラの砦

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ミラレーパの十万歌


第二部 ミラレーパと人間の弟子たち






灰色の岩のヴァジュラの砦


 すべてのグル方に礼拝いたします。

 ジェツン・ミラレーパは、「灰色の岩のヴァジュラの砦」につくと、鞍の洞窟でサマーディに入りました。
 さて、グタンには、タントラのヨーギーがいました。彼はジェツンの説法を以前に聞き、彼に強い信心を抱くようになりました。ミラレーパを訪れて、彼は言いました。

「尊者よ、私はしばらく瞑想をおこなって参ったのですが、経験は得られず、功徳を積めませんでした。おそらくは、私が正しい修行方法を知らないためだと思います。どうか、適切な教えを授けて下さいますように、お願い致します。」

 ミラレーパは答えました。

「そのためには、一切の必要な事項を知ることが必要だ。」

 そしてミラレーパは、「六つの要」という歌を歌いました。


 心の現れは、
 無尽蔵の太陽光線の中に浮き上がる
 無数の埃の微粉よりも多いもの。
 王者のごときヨーギーは、
 これらの現れの自性を知っている。

 存在の真の本性という実相は、
 原因や条件によって生み出されたのではない。
 王者のようなヨーギーは、
 唯一の真実を、正確かつ明白に知っている。

 たとえ幾百の槍に脅されようと
 完璧に知り尽くした見解は、揺らぐことがない。
 このようにして、王者のようなヨーギーは、
 自然に、一切の愛着を征服する。

 絶えず動きやまぬ心は、
 たとえ鉄の箱に入れても、調御するのは難しい。
 王者のごときヨーギーは、
 これらの顕現がすべて幻影であることを知る。


 そこで弟子となった者が尋ねました。

「今あなたのおっしゃったような経験は、徐々にもたらされるのでしょうか。それとも即座にやってくるのでしょうか。」

 ミラレーパは答えました。

「徳に恵まれた人々は、即座に覚醒を成就する。凡人および徳の劣った者は、徐々に悟りを得るだろう。私はおまえに、真の覚醒の印と、覚醒と似ている経験の印についても説明しよう。中には、誤ってこの後者を真の経験であると考える人たちもいる。」

 そこで彼はマハームドラーの四つの段階における、真と偽りの経験の違いについて解き明かす歌を歌いました。


 無上のグルの御足に礼拝いたします。

 心の現状に執着することは、輪廻の因。
 とらわれがなく、照らし出す自覚が
 不生で内在するものであると悟ること、
 これが集中の段階の完成の印。

 もしも「二即一」について語りながら、
 しかしなお形状について瞑想し、 
 もしもカルマの真実について心得ていながら、
 なお悪行を犯すならば、
 彼は本当は、無明と愛欲を抱いたまま瞑想している。
 真の集中のステージにおいては、
 かかることは決して見られない。

 とらわれなき輝ける心が、
 歓喜に包まれ、あらゆる言葉の戯れを超えていると知るならば、
 自己の心の本質を、大空のように明らかに見る。
 これは「言葉の戯れから離れたステージ」の完成の印。

 言葉の戯れから離れたステージについて語りながら、
 しかし彼はなお、あれこれ言い立て、
 言葉をすべて超えたるものを明らかにする代わりに
 依然として、言葉に言葉を積み重ねる。
 それゆえ彼は無智な者。
 我執を持って瞑想する者。
 言葉の戯れから離れたステージにおいては、
 このようなことは存在しない。

 顕現と空の無分別がダルマカーヤであり、
 そこにおいては、
 輪廻とニルヴァーナは同じであると感じられる。
 それは、仏陀と衆生の完全なる同化。
 これらが、多くの人が言明するように、
 一つの味の段階の印。

 「すべては一つだ」と語る者は、
 依然として区別している。
 一つの味の段階には、
 そのような無明は存在しない。

 妄念それ自身は、
 偏在する生来の智慧の精髄。
 原因と結果は、どちらも同じもの。
 これは、自己の内側に存在する仏陀の三つの身体を悟ることである。
 それらは、学ぶことを超越した段階の
 完成の印。

 学ぶことの超越について語るとき、
 彼の心は、なお動き回っている。
 彼は照出について話すが、
 実は逆に無明の状態なのである。
 学ぶことを超越した段階には、
 かかることはない。

 
 弟子は、

「これらの教えは本当に希有なものです! 我らのような無智な者を助けるために、どうか今度は、六つのパーラミターの教えを教えてください。」

と、大きな声で言いました。ミラレーパはそれに応えて歌いました。


 完全なるジェツン・グルの御足に礼拝いたします。

 富や財は草の葉の露のようなもの。
 これを知るなら、喜んで手放すべきである。

 有暇と幸福を与えられた人間に生まれるということは、
 非常に貴いこと。
 これを知るなら、己の眼を守るように、
 戒を注意深く守るべきである。
 
 怒りは悪趣に落ちる因。
 これを知るなら、生命の危険にさらされようとも、
 怒りを発することを抑えるべきである。

 自他の利益は、
 怠惰では成し遂げられるはずがない。
 よって、善行をなすように奮闘しなさい。

 乱れた、さまよえる心では、
 大乗の真理を決して見ることはない。
 よって、精神集中の修行を修めなさい。

 仏陀は、探して見つかるものではない。
 それゆえ、自分自身の心を熟視せよ。

 秋のもやが空に消えるまで
 信と決意を持って奮闘しなさい。


 この歌を聴いた弟子の胸の中に、ジェツンに対する強い称賛の念と信がわき起こりました。そして彼は家に帰っていきました。

 数日後、彼と他の後援者たちがミラレーパをもてなすために、たくさんの供物を運んでやってきました。一同はジェツンの生涯の物語を以前に聞いていて、大変な信を持っていました。そしてこのたびは、ダルマを教わりにやってきたのでした。彼らは、ミラレーパがどのようにして修行時代の試練を切り抜け、また禁欲的な修行に精進したのかと尋ねました。そして、最終的に解脱を成就するまでの道程を詳しく話してほしいと頼みました。ミラレーパは「六つの説示」の歌をもって答えました。


 この世への興味を失ったとき
 信心とダルマに対する求道心が固められる。

 家庭の絆を捨てることは難しい。
 故郷を離れることによってのみ、
 怒りを免れることができる。

 血のつながった親族や親友に向けられた
 激しい思いに打ち勝つことは、困難なことである。
 その情熱を癒す最上の方法は
 一切のつながりを断つこと。

 人は決して、豊かで満ち足りていると思いはしない。
 足るを知り、質素な木綿の衣類をまとうがよい。
 このようにして、あまたの欲望やとらわれを克服する。

 世間の魅力を避けるのは、困難なことである。
 質素を堅く守ることで
 虚栄への熱望は抑えられる。

 プライドや自尊心を避けるのは、困難なことである。
 ゆえに、動物のように、山に住め。

 信心深き施主たちよ。
 これが、忍耐から生じる真の理解。
 おまえたちすべてが、意味ある行いを修め、
 あらゆる功徳を積むように願う。

 虚空のごとく、ダルマカーヤは衆生に偏在する。
 だが無明は、彼らを輪廻へと誘う。

 ダルマカーヤを垣間見るのはたやすいが
 その成就を不動にするのは困難なこと。
 それゆえ、彼は依然として五毒に責められる。

 もし悟りが不動になれば、
 感覚器官と意識が自由に動いても、とらわれることはない。
 かくして彼は三身と永遠に融け入る。
 これは解脱の確信。

 主たるサマーディとそれに続くサマーディとは
 ただ初心者のための二つの段階。
 不動の心には、それらは一つ。

 不惑のヨーガにおいては、
 六つの愛着していない感覚が絶えずわき起こる。
 しかし私は不可分の三身に確固としてとどまる。
 とらわれることなく、私は力強く歩む。
 とらわれから自由になり、
 願いを叶えてくれる功徳を私は勝ち得る。
 
 賢者は、空間のような瞑想を
 いかに修めるかを知っている。
 日々の行いのすべてにおいて
 自己を何ものにも執着させず
 精神は解き放たれ、
 富も美しさも望まない。

 人は、あらゆる外観を
 もやか霧のようなものだと見るべきである。
 すべての衆生の解放を誓っているとしても、
 顕現はすべて、
 水に映った月のようなものであると
 知らねばならぬ。

 愛着なく、
 人間の体はただ惑わしのものと知る。
 かくして彼は、一切の束縛から離れ、自由を勝ち得る。
 けがれのない蓮の花が泥の中より咲き出るように、
 彼は修行の確信を手にする。

 心は空間のように偏在し、
 ダルマカーヤとして、すべての顕現を照らし出し、
 すべてを知り、すべてを輝かす。
 私は手のひらの上の水晶を見るように、
 それをハッキリと見る。

 始まりにおいて、何ものも来るものなく、
 中程において、何ものもとどまるものなく、
 終わりにおいて、何ものも去るものなし。
 心においては、生起も消滅もない。
 かくして彼は、過去・現在・未来の等しさの中にとどまる。

 心は内在的に、空のように純粋である。
 赤と白の雲は、ひとりでに消滅する。
 四つの元素の跡形も見られない。
 
 偏在する心は空間に似ている。
 それは決して不生の世界から分かたれず、
 輪廻の三つの世界への道筋を断つ。
 これが覚醒の確信。

 もしもヨーギーがそれを成就するならば
 死すべき肉体を去り、バルドに入るとき、
 すべての功徳を完成させることができる。

 深遠なる教えを理解して
 母と子の心を出会わせる。
 もしもそのとき、合一させることに失敗しても、
 サハジャの教えを通して
 彼はまだ、幻のようなバルドの身体を
 純粋な至福の身体へと転移させる力がある。

 もしもサンボーガカーヤですら
 影のようなものであり、真実ではないと知るならば、
 いったいどうして、彼が道に迷い続けることがあろうか?
 これは私の、絶対確実なる、
 バルドについてのこのヨーギーの確信。

 
 グタンから来た人々はみな、彼らの信心を強め、それから後、しばしばミラレーパに供物を持ってきました。

 ある日、とても朝早く、輝きの状態に入っていたミラレーパの眼前に、ヴァジュラダーキニーが姿を現しました。ダーキニーはこう予言しました。

「ミラレーパよ、あなたは、
 太陽のごとき弟子一人と、
 月のごとき弟子一人、
 それに二十三人の星のごとき弟子、
 成就した二十五人の弟子、
 そして覚醒した不退転の百人の魂、
 道の最初の悟りを達成する百八人の大聖者、
 道に入った一千人の男女のヨーギーを持つ事でしょう。
 あなたによってダルマを好み、その結果、永久に悪趣を免れる者は、数えきれません。
 クンタンの上地方に、約束された者がいます。彼はあなたの月のような弟子となるべき者です。その者のためにそこへ行きなさい。」

 そこでミラレーパは、上クンタンへ向かう決心をしました。


 これは、灰色の岩のヴァジュラの砦の一連の物語の中の、最初の部分です。


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