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米国関連情報 (2)コミュの122.オバマと戦争 奇怪なビンラディン掃討作戦、「ジェロニモ」で崩壊に向かう米国の戦略

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 5月1日、バラク・オバマ米大統領がホワイトハウスで緊急声明を発表し、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンを殺害したことを明らかにした。米軍の特殊部隊のチームを主権国家であるパキスタンの首都イスラマバードの近郊に送り込み、ビンラディン及びその側近たち数名を殺害したというのである。

 謀略渦巻く国際政治の世界をウォッチしている者にとっても、これほど奇怪な事件に出会うのは珍しい。ビンラディン殺害作戦の細部や同氏の隠れ家を発見するに至ったインテリジェンスなど、この事件の詳細についてはいまだ不明な部分が多く、米政府の公式発表も後に訂正されているため、現時点で明らかになっている情報のみを鵜呑みにするのには十分注意が必要である。

 そうした不確定要素を考慮しながらも、今回の事件が米国の対テロ戦争に与えるインパクト、もっと端的に言えば、「これは米国のテロとの戦いの勝利を意味しているのか」、それとも「新たな混沌の時代への突入を意味しているのか」、に焦点を絞って分析してみよう。

「単独作戦」を強調したオバマ演説

 まずは世界を驚愕させたオバマ大統領の声明を見ていこう。

 「今晩、私は米国民と世界に対し、米国が軍事作戦を実施し、アルカイダの指導者であり数千人の無実の男性、女性そして子供たちの殺害に責任のあるテロリスト、オサマ・ビンラディンを殺害したことを報告する」

 劇的なリードで始まるスピーチは、ビンラディンが911米同時多発テロの首謀者であり、米当局の必死の追跡にもかかわらず約10年にわたって逃走を続け、その間にも危険な国際テロ組織アルカイダが世界中でテロを企ててきた経緯について触れ、自身が大統領になって以来、ビンラディンの殺害もしくは逮捕を対テロ戦争の最優先課題に位置付けてきたことを説明した。

 そして昨年8月以来、ビンラディンの隠れ家に関する情報収集・分析を注意深く実施した結果、「行動を起こすのに十分なインテリジェンスが集まったと判断し、オサマ・ビンラディンを捕まえ、彼に裁きを受けさせるための作戦を許可した」と述べた。

 「この数年間、私は、もしビンラディンがいることがわかったならば、それがパキスタン国内であろうとも行動するということを何度も繰り返し明言してきた。われわれはその言葉通りに実行したまでだ。しかし、留意しておきたい重要なことは、我々のパキスタンとの対テロ協力が、我々をビンラディンと彼の隠れ家へ導くことにつながったという点だ。実際、ビンラディンはパキスタンに対しても宣戦布告しており、パキスタン国民に対する攻撃も命じていたからである」

 このオバマ演説の中で、この部分がもっとも興味深く、また示唆に富んでいる。同大統領はこう述べることで、今回の作戦が米国による単独行動であり、パキスタンに対して事前に相談しなかったことを明らかにすると同時に、一方では、“これまでの長期にわたる両国間の諜報協力が間接的に今回の作戦に貢献した”として、パキスタンに対して一定の配慮を見せたのである。

 さらにオバマ大統領は、「これから前進するにあたり、パキスタンがアルカイダやその関連組織に対する戦いにおいて、我々と共に歩み続けることが重要である」と続けて述べている。

2011年5月9日(月) 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110506/219788/

 このオバマ大統領の微妙な言い回しは、対テロ戦争をめぐる米国とパキスタンの非常に複雑な関係を物語っており、今後のテロとの戦いの方向性を暗示している。今回米国が単独で軍事作戦を実施するに至った背景を知るために、過去数カ月の米・パキスタン関係を振り返ってみよう。

すでに「破綻」していた米・パ同盟

 オバマ政権の対テロ戦争にとって、パキスタンの存在は死活的に重要である。オバマ大統領はアフガニスタンのテロを封じ込めるには、パキスタンに潜伏しているアルカイダやタリバン、ハッカーニ・ネットワークといった過激な武装勢力の拠点を潰さなければならず、パキスタン国内に過激派の「聖域」がある限り、いくらアフガニスタンに米兵を増派しても意味がないと考えてきた。

 それゆえ、「アフガニスタン・パキスタン(アフ・パキ)戦略」と呼び、両国への対策を同時に進める戦略をとってきた。アフガニスタンには10万の兵力を派遣して軍事作戦を実施する一方、パキスタンでは米中央情報局(CIA)が諜報活動に従事し、米特殊部隊がパキスタン軍に対する訓練を実施、さらに限定的な軍事作戦としてCIAが運用する無人機プレデターによるミサイル攻撃を、特にアフガニスタンとの国境近辺で実施してきたのである。

 米国はパキスタン国内に兵力を投入した軍事作戦ができないため、パキスタン政府に対し、「聖域」に隠れているタリバンやアルカイダを攻撃するように、と圧力をかけてきた。しかし、パキスタンは米国が望むような軍事作戦をいつまで経っても実施せず、逆に無人機による攻撃やCIAの諜報活動に対する反発を強め、米パ関係は悪化の一途をたどった。

 オバマ大統領は2010年8月頃から、パキスタンの首都イスラマバード北方のアボタバードの施設にビンラディンが潜伏している可能性についてCIAから報告を受け、さらなる情報収集を命じたと述べているが、この頃から米・パキスタン関係は一直線に悪化していく。

 まず7月にはウィキリークスの「アフガン戦争文書」が公開され、その中でパキスタンの情報機関ISIがタリバンを支援していることを記す米軍の機密文書が暴露された。また同年11月末には米国務省の外交公電も暴露され、パキスタンがタリバン支援を止めないことを米外交官たちが悲観的に報告している文書などが公開され、これを受けてパキスタン政府が激怒する一幕があった(「“ダダ漏れ”「アフガン戦争は正しい戦争」と言い続けるオバマの迷走ぶり」2月8日)。

 また今年1月には、CIAの契約スパイ、レイモンド・デービスがパキスタン東部の町ラホールでパキスタン人2名を射殺した後逮捕され、米・パ外交関係に亀裂が走ったのも記憶に新しい(「映画さながらの発砲事件 犯人はCIAのスパイ」3月4日)。この「デービス事件」を受けて、ISIはCIAとのインテリジェンス協力を停止しており、対テロ戦争をめぐる米パの協力関係は事実上凍結状態になっていた。

 パキスタンからの情報提供が途絶える中、米国は独自のインテリジェンスを基にした秘密工作活動や無人機によるミサイル攻撃を激化させ、パキスタン軍および情報機関を苛立たせた。今年の3月17日には、パキスタンの北ワリジスタン地域でCIAが無人機攻撃を実施し、民間人を含めた40名のパキスタン人を殺害すると、パキスタン側の怒りが爆発。とりわけパキスタン陸軍トップのカヤニ大将がこの攻撃に激怒し、無人機攻撃の中止を強く求めた。

 さらにこの後パキスタン政府は米国に対し、パキスタン国内で活動するCIAと米特殊部隊のオペレーターの数を劇的に減らすことを要求し、具体的にはCIAと特殊部隊の要員合わせて335名を帰国させるように米政府に要求している。さらにパキスタン側が把握していない秘密活動に従事するCIAの要員も帰国させることを要求している。

 CIAがパキスタン国内でパキスタン当局の把握していない諜報活動を行っていることに、パキスタン側は不満と苛立ちを募らせていたのである。

 そして4月11日には、パキスタン情報機関ISIのアフメド・パシャ長官がワシントンを訪れ、CIAのパネッタ長官やマイク・マレン統合参謀本部議長と4時間におよぶ会談を行ったが両者間の溝は埋まらなかった。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110506/219788/?P=2

 この会談後、オバマ政権内でもっともパキスタン寄りとして知られたマレン統合参謀本部議長が、パキスタンのメディアとのインタビューで、「パキスタンのISIとハッカーニ・グループとの関係が継続していることで、米・パ関係は緊張している」、「この複雑な米・パ関係は、一晩で改善するようなものではない」、「この問題に対する魔法の解決策などない」などと述べ、両国関係に対する悲観的なコメントを発していた。

 さらに4月16日には、パキスタンのジラニ首相がカブールでアフガニスタンのカルザイ大統領と会談し、「米国と長期的な戦略的関係を築くのではなく、パキスタンやその同盟国である中国と組んでタリバンとの和平を実現し、経済再建する道をとってはどうか」と提案したことが報じられた。パキスタン政府は否定したものの、米メディアは広くこの会談内容を報じ、パキスタンの戦略的同盟国としての存在に根本的な疑問を呈していた。

 このようにビンラディン殺害作戦を実施した時点で、米国とパキスタンの関係はすでに最悪の状況にまで悪化しており、その同盟関係は事実上「破綻した」と言っても過言でない状況にまで冷え込んでいたのである。

パキスタン不信を強める米国

 このような状況の中、オバマ政権はビンラディンの隠れ家に対する急襲作戦を、パキスタン政府には知らせずに、単独で実施する方針を固めていったようだ(※)。

 「作戦実施の数か月前、米国は攻撃を拡大させ、他国、特にパキスタンとの調整も含めるべきか検討したが、CIAは早い段階で南アジアの形ばかりの同盟国(パキスタン)の参加を排除した」とパネッタCIA長官は米タイム誌とのインタビューの中で述べている。

 その理由は「いくらパキスタンと協力しようと努めても結局のところ任務をぶち壊しにしてしまう危険性があると判断されたからである。連中がターゲット(ビンラディン)に警告してしまうかもしれないからだ」

 パネッタ長官はこのように驚くほど率直に述べ、“パキスタン政府に話せばアルカイダに情報が筒抜けになる可能性があるのでパキスタンは外した”ことを公に認めたのである。かつて米政府高官がここまであからさまにパキスタン政府への不信を口にしたことはない。

 ビンラディンの隠れ家が、アフガニスタンとの国境沿いの、パキスタン政府の支配が及ばない地域にあったのではなく、軍人の町として知られるアボタバードの、パキスタン軍士官学校と目と鼻の先にあったことで、米国内ではパキスタンに対する不信感が増大し、「パキスタン政府や軍がビンラディンを匿っていたに違いない」として同国を非難する声がますます強まっている。

 オバマ政権のジョン・ブレナン大統領補佐官(テロ問題担当)も、「ビンラディンが(パキスタン国内に)広範な支援組織を持っていないなんて信じられない」と述べており、米議会からは、「なぜパキスタン軍のコントロール下にある場所でビンラディンが隠れることができたのか、この隠れ家の所有者は誰で、この建物を建設しセキュリティ・システムを設置したのは誰なのか、といった疑問にパキスタン政府が明確な回答をしない限り、今後同国に対する援助は認められない」としてパキスタンに対する援助を見直すべきだとの声も強くなっている。

 オバマ政権は、今回の事件を利用してパキスタンに対する圧力を強め、パキスタンを米国に協力せざるを得ない方向に追い込もうと考えているようだ。

 ジョン・マクローリー元CIA副長官は、「今回の事件で、行き詰っていた米・パキスタン関係に新たな機会が生まれることになるかもしれない。パキスタンは今や凄まじい圧力の下にさらされ、懸案の問題、すなわちパキスタン国内でタリバンを掃討することなどで、米国に協力せざるを得ないと感じるかもしれないからだ」と述べている。

 またオバマ政権高官の中からも「ビンラディンがパキスタン国内にいたことを明らかにしたことで、米国はパキスタンの弱みを手にした。これはパキスタンに対する圧力に変えることができる」といった意見が出ている。

 少なくとも、今回米国がパキスタン国内でビンラディンを仕留めたことで、「パキスタン領内で無人機攻撃を止めろ」「パキスタン国内でCIAの諜報活動を止めろ」といったパキスタンの要求を撥ね退けて、米国の諜報活動の正当性を主張できる、とオバマ政権は考えたのだろう。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110506/219788/?P=3

 「パキスタンが米国の意に反してタリバンやアルカイダを支援してきた」…、その決定的な証拠を今回これ以上ないくらい明確に示したのだから、パキスタンは観念して協力せざるを得なくなる…。今回ビンラディンを単独作戦で殺害し、「パキスタンの犯罪」を白日の下に曝したことで、パキスタン軍や情報機関内部でビンラディンを匿うことに関与していた「ならず者分子」の立場を弱体化させ、パキスタンにさらなる圧力を加えてその対米姿勢を変えさせる…、オバマ政権にはそんな狙いがあったものと推測される。

アフ・パキ戦略の崩壊

 しかし、これまでのところ、パキスタンはオバマ政権が狙ったような反応は示していない。

 今回の事件に関して、パキスタン側は、「オサマ・ビンラディンを匿ったという事実はない」として疑惑を断固否定。パキスタン外務省は、作戦終了から数時間後に声明を発表し、「今回の作戦が米国の政策に基づく米軍による単独行動であった」ことを認め、「この許可なく一方的に実施された作戦」は、「将来2度と許されることはない」と強い口調で米国を非難した。

 パキスタン軍や情報機関は事件発生からしばらくの間沈黙を保ったが、4日になってISIの高官が欧米メディアに対し、「アボタバードのビンラディンがいた邸宅は、かつてISIが捜索をした場所だが、それ以来同組織のレーダーからは外れていた」とするコメントを流している。それによるとこの邸宅が建設中だった2003年頃に、「アルカイダの幹部が隠れている」可能性があるとして、ISIが同施設に急襲をかけたが幹部はおらず、それ以来この施設はISIの監視対象から外れていたというのだ。

 しかし、2004年の時点でこの施設のあった場所を映した衛星写真によると、まだ何も建設されていない更地だったとの情報もあり、このISI高官の説明の正当性に疑問符が付けられている。

 ISIはまた「この施設についてのインテリジェンスを、2009年以来米国側と共有していた」という情報も発信している。

 ISIはさらに、米特殊部隊の急襲作戦の後、この施設に残されていたビンラディン夫人や娘、それに複数の子供たちを管理下において事情聴取をしていること、米軍のチームがビンラディンの息子を生け捕りにして連れて帰ったことなど、これまで米政府が公表していなかった新たな情報も公開している。

 パキスタンの情報機関ISIは、米国に対する態度を改めるどころか、早くも米国に対して神経戦を挑み始めているようである。5日にはパキスタン外務省が、「米軍によるパキスタン国内の急襲作戦は国際法違反である」として米国の行動を強く非難する声明を出している。

 パキスタン国内の反米感情はさらに増大し、イスラム過激主義に対する支持は強まり、パキスタン政府が親米路線をますますとりにくい状況に向かいつつある。今後パキスタンが、米国の対アフガン戦略に協力し、パキスタン国内のタリバンなど過激派反米武装勢力に対する圧力を強める政策をとることはますます困難になるだろう。

 オバマ大統領は、冒頭のスピーチで、「これから前進するにあたり、パキスタンがアルカイダやその関連組織に対する戦いにおいて、我々と共に歩み続けることが重要である」と述べたことを紹介した。オバマ政権はビンラディン殺害作戦という「ショック療法」を通じて、パキスタンの反米勢力を弱体化させ、米国の対アフガン作戦に協力させる方向に追い込むことを狙っていたが、現実にはまったく逆の方向に進む可能性が高い。

 今回の作戦によりオバマ大統領の支持率は急上昇中だが、米・パ関係は完全に空中分解し、オバマ政権の「アフ・パキ戦略」は根底から崩壊したと言えるだろう。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110506/219788/?P=4

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