連帯オール沖縄・東北北海道コミュの １９１９年２月８日 朝鮮青年独立団 【２・８独立宣言書】

「アジア近代史にこのような格調高い民族の人権の宣言があったことを私は色平哲郎氏からはじめて知ることができた」（櫻井智志）

【２・８独立宣言書】


全朝鮮青年独立団はわが二千万の民族を代表し、正義と自由の勝利を得た世界万国の前にわが独立を期成せんことを宣言する。


四千三百年の長い歴史を有するわが民族は、実に世界最古の民族の一つである。時には中国の正朔を奉じたことはあったが、これは両国皇室の形式的な外交関係に過ぎなかった。朝鮮は常にわが民族の朝鮮であり、いまだかつて一度として統一国家であることが失われたり、異民族の実質的支配を受けたりしたことはなかった。


日本は朝鮮が日本と唇歯の関係にあることを自覚していると称して、１８９５年日清戦争の結果、韓国の独立を率先して承認した。そしてイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、ロシアなどの諸国も、独立を承認しただけではなく、これを保全することを約束した。韓国もまたその恩義を感じ、諸般の改革と国力の充実を鋭意図ったのである。



当時ロシアの勢力が南下し、東洋の平和と韓国の安寧を脅かしたので、日本は韓国と攻守同盟を結んで日露戦争を始めたが、東洋の平和と韓国の独立保全が実にこの同盟の主旨であった。ここにおいて、韓国はいよいよその好誼を感じ、陸海軍の作戦上の援助はできなかったものの、主権の威厳までをも犠牲にし、およそ可能な限りの義務をつくして、東洋の平和と韓国独立の二大目的を追求したのであった。


しかしその戦争が終結し、当時のアメリカ大統領ルーズベルトの仲裁で講和会議が開かれると、日本は同盟国である韓国の参加を許さず、露日両国の代表の任意で日本の韓国への宗主権を議定した。日本はその優越した兵力によって、韓国の独立を保全するという旧約に違反し、暗弱であった当時の韓国皇帝および政府を脅かし、「韓国の国力充実によって独立が得られる時期まで」という条件によって韓国の外交権を奪い、これを日本の保護国とした。そして、韓国に世界列国と直接交渉する道を断たしめ、「相当の時期まで」という条件によって司法、警察権を奪った。さらに「徴兵令実施まで」という条件で軍隊を解散させ、民間の武器を押収し、日本の軍隊と憲兵警察とを各地に配置した。


甚だしくは、皇宮の警備までも日本の警察を用いるまでになった。このようにして、ついに韓国を全くの無抵抗者にしながら、明哲な韓国皇帝を放逐すると皇太子を擁立し、日本の走狗としていわゆる合併内閣を組織し、ついに秘密と武力とをもって合併条約を締結した。ここにわが民族は建国以来半万年にして、自己を指導し援助すると約束した日本軍閥の野心的政策の犠牲となったのである。


実に日本の韓国にたいする行為は、詐欺、暴力によるものであり、実にこのような偉大なる詐欺による成功は、世界興亡史上特筆すべき人類の大恥辱といわねばならない。


保護条約を締結する際に、皇帝と賊臣を除く数人の大臣はあらゆる反抗手段をつくし、その発表の後も全国民はみな素手でもって可能な限り反抗した。司法、警察権が奪われ、軍隊が解散した時も同じように反抗した。


合併の際には、手中に寸鉄の武器を持たなかったにもかかわらず、可能な限りの反抗運動を試みたが、精鋭な日本の武器により犠牲となった者は数知れない。以後１０年間、独立を回復しようとした運動で犠牲となった者は数十万に達し、かの惨酷な憲兵政治下において、手足と口舌の自由を奪われながらも、独立運動は絶えることなく続けられた。こうしたことからも、韓日合併は朝鮮民族の意思によるものではないことを知らなければならない。


このように、わが民族は日本の軍国主義的野心による詐欺暴力のもとに、わが民族の意思に反する運命におかれた。それ故に、正義をもって世界を改造するこの時にあたり、その匡正を求めることは当然の権利であり、また世界改造の主人公であるアメリカ、イギリスは、保護と合併にたいし率先して承認したという理由によって、今日その旧悪を贖う義務がある。


また合併以来の日本の統治政策をみると、かの合併当時の宣言に反して、わが民族の幸福と利益を無視し、征服者が被征服者に対するような古代の非人道的な政策を用い、わが民族にたいし参政権、集会・結社の自由、言論・出版の自由などを一切許さず、甚だしくは信教の自由、企業の自由に至るまでも拘束している。行政、司法、警察などの諸機関が朝鮮民族の人権を侵害し、公的にも私的にもわが民族と日本人との間に優劣の差別を設け、わが民族には劣等の教育を施し、永遠にわが民族を日本人の使役者にしようとしている。


歴史を書き改め、わが民族の神聖な歴史的、民族的伝統と威厳を破壊し、さらに陵辱を加えている。少数の官吏を除いて、政府の諸機関、交通、通信、兵備などの諸機関の全部あるいは大部分には日本人のみを用い、わが民族には永遠に国家生活の智能と経験を得る機会を与えないようにしている。わが民族は、このような武断専制の不正、不平等の政治のもとでは、決してその生存と発展を享受することができない。


それだけではない。人口過剰の朝鮮に無制限の移民を奨励し、土着のわが民族が海外に流離するのをやむなくさせた。また政府の各機関はもちろん、私設の諸機関にまでもことごとく日本人を用いることで、一方ではわが国民の職業を失わせて、また一方ではわが国の富源を日本に流出させた。また商工業においても日本人に対してのみ特殊な便益を与え、わが民族にはその産業的発展の機会を失わせた。このように、あらゆる方面でわが民族と日本人との間の諸般の利害は互いに相反し、その害を受くるのはわが民族である。故に、わが民族は生存の権利のために独立を主張するのである。


最後に東洋平和の見地からみても、かの最大の脅威であったロシアはすでにその軍事的野心を放棄し、正義と自由に基づいた新国家を建設しようとしており、中華民国もまた同様である。さらに、今後国際連盟が実現すれば、再び軍国主義的侵略を敢行する強国は現れないだろう。そうだとすれば、韓国を合併した最大の理由はすでに消滅している。これより、もし朝鮮民族が無数の革命の乱を起こすとすれば、日本に合併された韓国は却って東洋平和を乱す禍根となるであろう。わが民族は正当な方法によってわが民族の自由を追求する。


もしこれが成功しなければ、わが民族は生存の権利のために自由な行動をとり、最後の一人に至るまで必ずや自由のために熱血をそそぐであろう。これがどうして東洋平和の禍根とならないであろうか。わが民族は兵を持たない。わが民族は兵力をもって日本に抵抗する実力はない。しかしながら、もし日本がわが民族の正当な要求に応じなければ、わが民族は日本に対し永遠の血戦を宣布せざるを得ない。


わが民族は高度の文化をもってからすでに久しい。そしてまた半万年にわたる国家生活の経験をもっている。たとえ多年の専制政治の害毒と境遇の不幸がわが民族の今日を招いたものであるにせよ、今日より正義と自由とにもとづく民主主義的先進国の範に従って新国家を建設するならば、わが建国以来の文化と正義と平和を愛好するわが民族は、必ずや世界の平和と人類の文化に対し貢献するであろう。


ここにわが民族は日本および世界各国に対し、わが民族に自決の機会を与えることを要求する。もしその要求が受け入れられなければ、わが民族はその生存のために自由行動をとることで、わが民族の独立を期成せんことをここに宣言する。


１９１９年２月８日
朝鮮青年独立団代表
崔八鋪、尹昌錫、金度演、徐椿（＊数人分の文字化け部分割愛）